【文徒】2020年(令和2)10月8日(第8巻186号・通巻1843号)


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1)【記事】デマゴーグ平井夫を野放しにするフジテレビ
2)【記事】産経新聞「学術会議の会員手当約4500万円」の印象操作
3)【記事】学術会議任命拒否事件 学会から抗議声明つづく
4)【本日の一行情報】
5)【深夜の誌人語録】
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1)【記事】デマゴーグ平井夫を野放しにするフジテレビ

平井夫は10月5日午前9時52 分に次のようにツイートしている。
《今日も「バイキングMORE」です。お題は日本学術会議の任命問題。しかし既得権益を奪われる人達の抵抗ってスゴイな。まあ僕らの税金ですから。とっとと民営化して欲しいものです。》
https://twitter.com/iwaneba/status/1312918642892263424
このツイートを投稿した後、平井は放送で日本学術会議について虚偽の発言をするのだが、その後、新たなツイートは投稿していない。
「ハフポスト日本版」は10月6日付で「『学術会議で働いたら学士院へ行き、年金250万円もらえる』は誤り。学士院『全くない』と強調」を公開している。
《…平井氏は、「政府の中にある機関なのに独立しているというのはまずおかしい」とし、民営化すべきだと指摘。その上で、日本学術会議の会員を6年務めると日本学士院の会員となり、年金がもらえる「ルール」になっていると以下のように説明した。
「やっぱり政治家だってもちろん間違う事はあるんだけど、それは僕たち選んでる国民の責任でもあるわけです。ただ学者さんというのはそういうプロセスを経てないですから。自分たちで勝手になって勝手に選んでるわけだから、僕らとしてはね、面倒の見ようがないわけ。だからおかしいんですよ。僕は民営化して、自分たちで会費を払って、提言すればいいんじゃないですか。だってこの人たち6年ここで働いたらその後学士院というところに行って、年間250万円年金がもらえるんですよ。死ぬまで。皆さんの税金から。大体。そういうルールになってる」
これには他の出演者も驚き、この部分を切り取った動画がTwitter上でも拡散。「年金欲しさか」などの反応が寄せられた。しかしこの「ルール」は存在しない。ハフポスト日本版の取材に、日本学士院が明確に否定した。》
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5f7bcec1c5b61229a055ff86?ncid=tweetlnkjphpmg00000001
「煉獄の獅子たち」(KADOKAWA)の小説家・深町秋生は平井に紅衛兵を重ね合わせている。
《フジテレビの凋落の象徴・平井夫。今日も平気でデマを流していたという話。革の紅衛兵みたいなおぞましさだ。》
https://twitter.com/ash0966/status/1313119882192379906
要するに平井夫はデマゴーグなのである。東京大学先端科学技術研究センター教授・池内恵は平井の発言を「虚偽」だと切り捨てている。
《虚偽です。「学者は6年ここで働けば学士院に行き年間250万円年金が死ぬまでもらえる」学術会議の委員を経験して、学士院会員になる人は100人に一人もいないでしょう。定員が全く違う。ここまで虚偽の情報を流す理由はなぜなのか。》
https://twitter.com/chutoislam/status/1313072783375515650
学士院の定員は150名(終身)。6年任期制の学術会議に比べると格段に少ない。
http://www.alit.city.iruma.saitama.jp/irumashiseiyoukan/kentikumidokoro/
平井の政治的立場が虚偽を平気でばら撒かせているのだろう。「植民地朝鮮の宗教と学知: 帝国日本の眼差しの構築」の川瀬貴也が平井にはマスコミ論を大学で教える資格はないとツイートしている。平井は今年の4月から立命館大学客員教授の任にある。
《フジテレビの平井夫という人、少なくともマスコミ論とかを大学で教える資格はないよね。これだけ裏を取らずにデマをまき散らしているんだから。「学者ってなんか偉そうでむかつく」という劣情におもねっているだけの電波芸者(というと芸者に失礼)。》
https://twitter.com/t_kawase/status/1313083602519773185
公共の電波で堂々と劣情に阿っているのだ。アゴタ・クリストフエマニュエル・トッドの翻訳で知られている慶應義塾大学教授・堀 茂樹はテレビ界に提言している。
《公共の電波に巣を作り、尤もらしい顔でこの手の卑しい煽動デマを流す平井夫という「上席解説委員」とやらは、即刻、メディアから追放されるべきでしょう。フジTVは謝罪し、平井氏を解雇すべきです。》
https://twitter.com/hori_shigeki/status/1313270709527797761
平井夫自身は謝罪せず。フジテレビは伊藤アナの「補足と訂正」で事態の収束を図ろうとしている。九州大学法学部教授・南野森がこれを批判している。
《バイキング、番組最後のCM明けに突然伊藤アナが「補足と訂正」。ゲストコメンテーターの発言についてMCが代わりに訂正・謝罪するのはわかるが、昨日の平井夫氏の大嘘発言は「フジテレビ上席解説委員」としてのフジテレビの番組中での発言。なぜ本人が出てこないのだろう? すぐ出られるだろうに。》
https://twitter.com/sspmi/status/1313360685053612032
山崎雅弘が南野を引用ツイート。
《フジテレビ報道局解説委員室上席解説委員の平井夫氏は、自分が個人としてすべき「テレビのオンエアでデマを述べたこと」への謝罪と撤回を、フジテレビの局アナにやらせて終わり? フジテレビの社内倫理はそれでOK? 今後もこの人はフジテレビ報道局解説委員室上席解説委員?》
https://twitter.com/mas__yamazaki/status/1313403194605666305
そもそも伊藤アナの「補足と訂正」にも問題ありだと住友陽が指摘している。
《このフジテレビの言い訳も、その問題の所在の一部が受け取った側の「印象」にあるとすり替えるもの。平井夫氏は学術会議の会員はそのあと学士院に行って年間250万円を死ぬまでもらうとはっきり言ったのであって、「印象を与えた」程度のものではない。本人が出て頭を下げて訂正と謝罪をするべきだ。》
https://twitter.com/akisumitomo/status/1313375544717664256
南野は、こうもツイートしている。
《「上席」解説委員なのに、本人が訂正も謝罪もせず局アナに「補足と訂正」をさせて終わりにするつもりなのだろうか。このまま何事もなかったかのように平井夫氏が登場し何事もなかったかのように番組が続けられていくのなら、坂上忍氏にもがっかり。そういうところ筋通しそうなイメージだったのだが。》
https://twitter.com/sspmi/status/1313411842857824256
フジテレビの経営責任も問われて然るべきだろう。田中康夫のツイート。
《木村花さんの命を奪ったテラスハウス@TH6TVの反省もなく#日本学術会議 @scj_info
 に関して嘘八百を公共の電波で垂れ流す山口県出身 平井夫氏を定年後も上席解説委員で再雇用のフジテレビ@fujitv代表取締役社長が故遠藤周作氏 子息 遠藤龍之介氏という日本の絶望的悪夢》
https://twitter.com/loveyassy/status/1313208092062957568
これも田中康夫。そんなことがあったのか!
《小生と同い年の遠藤龍之介社長は一浪&停学処分一留ヤッシーりも2年先にCX入社今は亡き鹿内春雄CEOが面接官だった横澤彪CPに美麗な自分の女性秘書を見詰める目線がなかなかな あの青年を採用しようと奇妙な「評価」を受けたのが小生 直後に処女作が藝賞を受賞 内々定を辞退した1980年秋》
https://twitter.com/loveyassy/status/1313500206218964992
毎日新聞は10月7日付で「ファクトチェック『学術会議OBは学士院で死ぬまで年金250万円』フジ解説委員発言は誤り」(吉井理記)を掲載している。
日本学術会議の任命拒否問題に絡み、フジテレビの5日昼の情報番組「バイキングMORE」で、平井夫上席解説委員が「会員OBは日本学士院会員になり、死ぬまで250万円の年金をもらえる。そういうルールになっている」と発言し、インターネット上で拡散された。同様の発言をする与党議員もいたが、日本学士院などに確認すると、日本学術会議OBが学士院会員になるというルールはなく、発言は誤りだった。》
しかし、SNSで平井の虚偽発言は、あたかも事実であるかのように拡散していく。
《早速、ツイッター上では、安倍晋三前首相や菅義偉首相の支持者らが、日本学術会議を批判する趣旨で平井氏の発言を次々にツイート。自民党の長尾敬衆院議員は「同じ立命館大学出身の平井先輩!よくぞ番組で言ってくださいました!ありがとうございます。この既得権益の在り方、しっかりと是正していきます」とまで投稿するなど、広く拡散した。》
まさにデマゴーグの面目躍如である。こんな人物を野放しにしているフジテレビの責任は重いはずなのだけれど…。
毎日新聞は今後、局として平井氏の発言趣旨の確認などをするかなどを問うたが、同局企業広報室は「本日の『バイキングMORE』でお伝えした通りです。今後、チェック体制を強化し再発防止に努めてまいります」と回答した。》
https://mainichi.jp/articles/20201006/k00/00m/040/302000c
「政治の数理分析入門」(木鐸社)の浅古泰史がツイートしている
《学術会議が学者の利権団体というイメージを見事に植え付けられた感じ。やはり、自民党政権は恐ろしいな。
デマと知っていただろうに、自民党のために「学術会議=学士院」を拡散していた人たちの名前は、覚えていたい。》
《デマを拡散する→それなりに拡散した後で、ひっそり謝罪する→すでにデマは独り歩きしている
という図式。テレビ局が協力したことには、少し驚いてるけど。》
https://twitter.com/yasushiasako/status/1313266164286451712
https://twitter.com/yasushiasako/status/1313451859311353856

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2)【記事】産経新聞「学術会議の会員手当約4500万円」の印象操作

テレビがデマゴギーを撒き散らすなら、新聞は印象操作に巧妙だ。
産経新聞は10月6日付で「学術会議の会員手当約4500万円 加藤官房長官が人件費示す」を掲載している。
《加藤氏は令和元年度決算ベースと断った上で、会員手当として総額約4500万円、同会議の事務局の常勤職員50人に、人件費として約3億9千万円支払ったと説明した。》
https://www.sankei.com/politics/news/201006/plt2010060012-n1.html
タイトルも記事本も「誤読」を誘発しているとしか思えないような記事である。事実、ツイッター界隈では「右」系の論客として知られている黒瀬深にしてからが誤読している可能性が大である。黒瀬は、こうツイートしている。
《こりゃ選ばれなかったらゴネるわ。あれこれ尤もらしい理屈を並べておいて、結局は金なんだよね。しかしこんな金があるなら若手研究者に使えばいいのに、学者の世界も年功序列なんだなぁ。》
https://twitter.com/Shin_Kurose/status/1313399827489722368
こちらは自民党に所属する神戸市会議員・岡田ゆうじの引用ツイート。
《次々出てくる「学者ムラ」のお手盛り厚遇。「政府はカネだけ出して口は出すな」と、コネで成り立つムラ人達が「独立性」を隠れ蓑に、公金を貪ってきた。
歴代内閣には着手できなかった最強のタブーに、菅内閣が早速着手。実に力強い。》
https://twitter.com/okada_tarumi/status/1313373393761132544
恐らく、黒瀬や岡田は学術会議の会員は一人当たり年間で4500万円を手にするものと誤読してしまったのである。見出しに釣られてしまったのである。これは学術会議を批判する側の大きな失点となろう。安田菜津紀がツイートしている。
《見出しが独り歩きしているけれど、年間4500万円の手当は「一人あたり」ではなく「総額」。会員数は約200人。受け手が釣られないことも大事だけれど、なぜこのタイトルをあえてつけたのか、なぜ加藤氏はこの言い方をしたのか?そして追及されている点には詳細説明がないまま。》
https://twitter.com/NatsukiYasuda/status/1313383491988459520
4500万円は210人の会員に対する年間の総支給額である。一人当たりに換算すると年間21万円程度にしかならない。会員の立場は公務員であっても、平均すると月2万円にも満たない手当なのである。慶應義塾大学経済学部教授の坂井豊貴が指摘している。
《この「利権」みたいな印象操作がなされている件ですが、210人の会員に4500万円て、一人で年間21万円少々でしょうか。非常勤で、会議に出た手当が出るのでしょう。私は日本学術会議んて縁はないけど、ある時期の公務員バッシングを思い出すし、嫌なレッテル貼りだと思う。》
https://twitter.com/toyotaka_sakai/status/1313390129117970433
国会パブリックビューイングの上西充子は、安田を引用ツイートし、記事本の書き方も問題にしている。
《本でも、「会員手当として総額約4500万円、同会議の事務局の常勤職員50人に、人件費として約3億9千万円」となっており、事務局人件費は50人という人数が書かれてあるのに、会員手当の方は人数が書かれていないところに作為を感じます。》
https://twitter.com/mu0283/status/1313385391626436609
大阪大学平川秀幸もツイートしている。
《これはミスリーディングな見出し。これ、一人当たりではなく会員210名、連携会員2000人の総額。一人当たりでは年間2万円程。国の審議会1回出席の謝金に毛が生えた程度で、年間複数回の会合に出席している。》
https://twitter.com/hirakawah/status/1313413146749530112
産経新聞は「天敵」日本共産党の宮本徹から注意を受けている。
《210人分の学術会議の会員手当、合計年間で約4500万円。50人の職員の人件費3億9千万円。加藤官房長官が人件費示す。会員は年度途中で予算不足で、旅費など自腹も。会員になればもらえる年金はなし。産経さん、誤解を招かない見出しにしましょう。
https://twitter.com/miyamototooru/status/1313395408475885568
弁護士の堀新が呟いている。
《最初は「日本学術会議共産党と中国に支配されてる反日研究組織」とかいう陰謀論だったのが、いつのまにか「日本学術会議は既得権益集団で税金の無駄だから見直して緊縮しろ」という話にすり替わっているのではないか?》
https://twitter.com/ShinHori1/status/1313402116409495553
もっとも、学術会議の会員が年間何円の報酬を得ているか、具体的な情報はまだ出てこない。世間は会員の肉声が聞きたいのではないか。こうした情報飢餓につけこんだのが産経新聞だということかもしれない。

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3)【記事】学術会議任命拒否事件 学会から抗議声明つづく

教育史学会は10月4日付で教育史学会代表理事・米田俊彦(お茶の水女子大学)名義の「日本学術会議への政治介入にかかわる教育史学会理事会声明」を発表した。
《教育史学会理事会は、菅義偉首相が日本学術会議の新たな会員に推薦された者の内の6名の任命を拒否したことに対して強く抗議し、被推薦者全員の即時任命を要求する。
日本学術会議法は、政府からの独立性を担保するために、会員を推薦する基準を「優れた研究又は業績のある科学者」と規定している内閣総理大臣が多種多様な学術研究の優劣に立ち入る権能を持ちえないことが明らかである以上、今回の措置では個々の学者の政治的・社会的な発言や活動が基準とされたと考えざるをえない。
「令和の滝川事件」とも称される今回の措置は、1933年に大臣が滝川幸辰京都帝国大学教授を「赤化教授」との評判に基づいて休職処分とした事件や、1935年に当時の学会の通説(天皇機関説)を「不敬」とする声に押されて部省が美濃部達吉帝国大学教授の著書を発禁処分とした事件を思い起こさせる。
当時の政府・部省は強権的措置により学問の自由を抑圧した上で、1936年の日本諸学振興委員会設置、1939年の科学研究費創設、1945年には学術研究会議への研究動員委員会設置などを通じて、「国策」に役立つ「国家有用」の研究だけを選択的に「振興」する体制を整備した。
学術研究会議の後身である日本学術会議が政府からの独立を原則としているのは、戦前・戦中の学界が「国策」に全面協力したことへの痛切な反省に基づいている。
学術会議は創設翌年の1950年には「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」という声明を発し、2017年には「学術研究がとりわけ政治権力によって制約されたり動員されたりすることがあるという歴史的な経験をふまえて、研究の自主性・自律性、
そして特に研究成果の公開性が担保されなければならない」として「軍事的安全保障研究」に反対する旨の声明を発表した。時々の政権による学術研究への介入は、たとえ直接の標的対象が限定されていたとしても、日本国憲法に定める「学問の自由」を決定的に損ない、学界全体を萎縮させる効果を持つ。さらに、学校教育や社会全般における自由な化と表現の抑圧につらなる行為としても看過できない。
教育史学会理事会は教育史学の発展をもって貢献するべき日本学術会議協力学術研究団体の一学会として、政権による日本学術会議の政治介入に反対する旨、ここに決議する。》
http://kyouikushigakkai.jp/wp/wp-content/uploads/2020/10/ee755d59ced6a161bf776c40f047be99-1.pdf
社会事業史学会は10月3日付で社会事業史学会会長・大友昌子名義の「内閣総理大臣による第25期日本学術会議会員候補の任命拒否に対する抗議声明」を発表した。
《今般、内閣総理大臣が、第25期日本学術会議会員候補の任命を拒否した問題について、断固、抗議の意志を表明します。
内閣総理大臣による日本学術会議会員候補の任命拒否は、日本学術会議を独立機関として規定する「日本学術会議法」の趣旨に反する行為であり、日本国憲法第23条に保障される「学問の自由」を侵害し、敷衍して「言論の自由」および「民主主義」を破壊する行為です。
日本学術会議の協力団体として、社会事業史学会はその創設以来の理念である平和と民主主義の理念に基づき、学問の自主性と自律性を侵害する今回の会員候補任命拒否について遺憾とし、下記2項の実行を内閣総理大臣に求めます。
1.第25期日本学術会議会員候補の任命を拒否した理由を明らかにすること。
2.第25期日本学術会議会員候補をすみやかに会員に任命すること。》
http://shakaijigyoushi-gakkai.com/iAJxkD
社会政策学会幹事会は10月5日付で代表幹事・石井まこと名義の日本学術会議会員候補の任命拒否に対する声明」を発表した。
《社会政策学会は、内閣総理大臣による第 25 期日本学術会議会員候補の任命拒否に対して抗議の意を表明します日本学術会議法には、会員は日本学術会議の推薦に基づいて内閣
総理大臣が任命することと定められています。今回の 6 名の会員候補の任命拒否は、同法の立法趣旨およびこれまでの政府答弁に見られる法解釈を逸脱するものです。また、日本学術会議法には、会員を専ら学問的観点から選出することが定められています。非学問的観
点から任命拒否を行なうことは、社会政策学会が希求してきた学問の自由を脅かすものです。社会政策学会は、日本学術会議の協力団体として、6 名の会員候補を速やかに任命するよう内閣総理大臣に求めます。》
https://jasps.org/wp/wp-content/uploads/2020/10/%E5%B9%B9%E4%BA%8B%E4%BC%9A%E5%AD%A6%E8%A1%93%E4%BC%9A%E8%AD%B0%E5%95%8F%E9%A1%8C%E5%AD%A6%E4%BC%9A%E5%A3%B0%E6%98%8E%E6%96%8720201005-1.pdf
日本社会福祉学会は10月5日付で日本社会福祉学会会長・木原活信名義の「『日本学術会議の新会員推薦6名の内閣総理大臣による否認』に関する会長声明」を発表している。
《既に報道にありますように、日本学術会議の新会員推薦者のうち6名の方々が内閣総理大臣によって任命が否認されました。
 日本学術会議は、2004年に改正された日本学術会議法によって学術会議内部の選考委員会で会員を決定し、内閣府に推薦して内閣総理大臣が任命することになっています。10月1日が任命式でしたが、突然の任命拒否ということは報道された通りです。
そもそも日本学術会議は政府に学術の立場から政策提言を行う独立した組織として活動してきました。そして、「科学者全体の総意」にもとづく組織としての性格を担っています。
今回の内閣総理大臣による推薦者の「否認」は、科学者の総意にもとづく組織の会員を政治が否認するという前代未聞のことであり、学問の自由を否定することになります。
日本社会福祉学会としては、このような事態を憂慮します。そして梶田隆章日本学術会議会長が表明されている「任命されていない方を任命していただくことを要望する」ことに賛同し、それを支持したいと思います。また梶田会長が要望されておられるとおり、法律に基づいて拒否されるのならその説明責任は政府の側にあり、その説明を強く求めます。》
https://www.jssw.jp/activity/statement/
10月5日付で「菅義偉首相の日本学術会議委員任命拒否に反対す明治学院大学キリスト教研究所・ 国際平和研究所有志の声明」を発表した。
《2020 年10 月1 日、菅義偉首相が日本学術会議から推薦された新委員候補者105 名のうち6 名への任命を拒否した、との報道がなされました。任命拒否の具体的理由は、本日3 日午後の時点でもあきらかにされておらず、現状では6 名の学者の研究領域ないし研究成果が、学術会議委員として不適格なものである、との見解を内閣総理大臣が示したことになります。
しかしながら、日本国憲法第23 条に「学問の自由は、これを保障する」とあるように、学術研究はあらゆる拘束から自由であることが憲法上保障されており、科学的・研究倫理的な検証以外の手法に則った研究成果の妥当性判断は、この「学問の自由」を侵害する行為にほかなりません。
明治学院大学キリスト教研究所・国際平和研究所有志は、「学問の自由」を守るため、今回の菅義偉首相の行為に抗議し、6 名の学者の委員への就任を認めるよう強く求めます。》
http://www.meijigakuin.ac.jp/~kiriken/%e8%8f%85%e7%be%a9%e5%81%89%e9%a6%96%e7%9b%b8%e3%81%ae%e6%97%a5%e6%9c%ac%e5%ad%a6%e8%a1%93%e4%bc%9a%e8%ad%b0%e5%a7%94%e5%93%a1%e4%bb%bb%e5%91%bd%e6%8b%92%e5%90%a6%e3%81%ab%e5%8f%8d%e5%af%be%e3%81%99/
日本映像学会は10月5日付で日本映像学会会長斉藤綾子名義の「日本学術会議会員推薦者の任命拒否に関する抗議声明」を発表した
日本学術会議の山極壽一前会長は、10月1日開催の同会議総会において、同会議が推薦した新会員のうち6名が菅義偉首相により任命を拒否されたことを明らかにしました。同会議の協力学術研究団体である本学会も、改選にあたっては同会議の推薦に基づき首相が任命することが従来的な憲法解釈による慣例であり、学問の自由の立場から当然だと考えます。
しかし、菅首相による今般の任命の拒否は学問の自由を侵害するおそれのある明らかな政治的介入です。
日本映像学会理事会は任命を拒否した菅義偉首相に強く抗議を表明し、日本学術会議が要望する任命拒否の理由の開示と任命拒否された6名の新会員の速やかなる任命を強く求めます。》
https://jasias.jp/archives/7609
日本パグウォッシュ会議は10 月4 日付で「日本学術会議会員任命拒否に関する声明」を日本パグウォッシュ会議代表・鈴木 達治郎、副代表・栗田 禎子、副代表・高原孝生名義の「日本学術会議会員任命拒否に関する声明」を発表した。
《2020 年10 月1 日、日本学術会議により新会員として推薦されていた105 名のうち6名
が、首相によって任命されなかったことが判明した。
 日本学術会議はわが国の科学者を内外に対して代表する機関であり、科学の発展を図り、我が国の行政や産業、社会に科学を反映浸透させるため、政府に対して政策提言や勧告を行なう役割を担っている。首相の所轄ではあるが「独立して」職務を行なうものとされ(日本学術会議法第3 条)、独立性を担保するため、会員はあくまで日本学術会議の「推薦に基づいて」内閣総理大臣が任命する(同7 条)ことが定められている。
 日本学術会議によって推薦された会員の任命を首相が拒否するという今回の事態はきわめて異例であり、日本学術会議法と明白に矛盾するものであると言える。さらに現法が改定された際の「人事に介入しない」旨の国会答弁とも矛盾する。日本学術会議の「独立性」という原則が侵されれば、科学者が時の政権におもねることなく、あくまで科学の観点から社会のあり方について客観的・冷静な助言を行なうという学術会議の責務を果たすこと自体が難しくなるだろう。
 日本学術会議は、1949 年、戦前の反省の上に、科学を基礎とする化国家の建設と平和的復興をめざして設立された。同じく平和を希求し、科学者の社会的責任の自覚の上に核兵器廃止を求めて活動するパグウォッシュ会議は、日本学術会議の使命に深く共感すると共に、学問の自由を脅かし、学術会議の存立にかかわるとも言える今回の事態を憂慮する。
 10 月2 日、日本学術会議菅首相に対し、「任命拒否の説明と撤回」を求める要望書
http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/kanji/pdf25/siryo301-youbou.pdf)を提出した。
日本パグウォッシュ会議はこれを支持し、政府が今回の決定を一日も早く撤回することを
要求する。》
https://www.pugwashjapan.jp/seimei-20201004
関西社会学会は10月5日付で関西社会学会理事会名義の「『日本学術会議会員任命拒否に対する声明』発出のお知らせ」を発表した
菅義偉首相は、第25期日本学術会議会員の任命にあたって、日本学術会議が推薦した105名の候補者のうち6名の任命を拒否し、現在に至るまでその明確な理由を説明していません。これは首相による任命権の恣意的な運用に道を開き、日本学術会議の独立性を損ない、自由な学問研究による社会への貢献を阻害するものです。
関西社会学会は、人間と社会を研究する社会学者の学会として、同調圧力を強め社会を委縮させる、この決定に強く抗議します。そして、速やかに今回の決定理由を開示するとともに、この決定を撤回して6名の候補者を会員に任命することを求めます。》
https://t.co/XD24skgpPZ?amp=1
日本地域福祉学会は10月1日付で会長・原田正樹による会長声明を発表した。
《第25期日本学術会議の会員任命にあたって、日本学術会議が推薦した会員の中から政府が理由等を明らかにせず、任命拒否をするという事態が起こりました。憲法23条の「学問の自由を保障する」という見地からも、明らかに不当なものであり、日本学術会議の協力学術研究団体として日本地域福祉学会は、強く遺憾の意を表明するものです。学問の自由と研究倫理、それは政府、権力に介入されず自律的に営まれるものでなければなりません。政府に対して強く抗議し、日本学術会議には毅然とした対応を求めます。》
http://jracd.jp/file/20201001_kaityoseimei.pdf
生物科学学会連合は10月5日付で 緊急声明を発表した。
《生物科学学会連合は、第25期日本学術会議会員候補者6名が、政府により任命を拒否されたことに対する日本学術会議の要望書を支持します。早期の解決を望みます。》
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=3244622248989622&id=100003256364726
基礎経済科学研究所は10月3日付で「菅総理大臣の日本学術会議会員任命に関わる蛮行に抗議する」を発表した。
菅総理大臣は 10月1日「日本学術会議」の新会員を任命したが、同会議が推薦した候補者 105人のうち 6人を除外した。
日本学術会議法は、戦後、1948 年に「わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と連携して学術の進歩に寄与することを使命とし」(前て制定され、この前は多くの改正を経た現行法においても不変である。戦時中、学問の自由が剥奪され、軍事利用されていったことへの反省を込め、「わが国の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させること(第1章第2条)」を目的に掲げている。科学とは疑いを持ち、検証することなしには成立し得ないものであり、学問の自由が必要である。だからこそ同法第 3 条の「独立して」という規程は決定的に重要である。
また、同法第 7 条第 2 項は「会員は、第 17 条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。」となっているが、第 17 条によれば、推薦主体は同会議である。1984 年の法律改正によって研究分野ごとの推薦に基づいて総理大臣が任命する形式に変更された際も、当時の中曽根総理大臣や総務長官は政府が行うのは形式的な任命に過ぎず学問の自由独立はあくまで保障されると答弁し、2004 年に今日の日本学術会議法になって以降も学術会議からの推薦者の任命が拒否されたことはなかった。
 今回、菅総理大臣が除外した6名の候補者は、いずれも政府批判を行っていた研究者である。この6名にターゲットを絞り、任命を拒否したことは、政府が科学を封じ込め、ねじ曲げ、政策に疑問の余地を挟ませないという姿勢を示したものである。この行為は、学問を、科学を、そして科学者を政治的意図に従わせようとするものにほかならない。
 日本学術会議の役割の一つに政府への勧告・提言があるが、科学的見地に基づく政策提言を行うためには、上記の通り政府からの独立が必要不可欠である。日本の平和的復興、人類社会の福祉に貢献するためという目的に反する政策が行われているとしたら、日本学術会議が科学的見地に基づいて独立して、政府を批判することは必要不可欠なものであり、その意見を封じ込め支配しようとする行為は人類社会の福祉の実現に対するあからさまな攻撃でもある
 しかも、不許可の理由も決定過程も開示しないという姿勢は、この間、日本政府が一貫して行なってきた情報隠蔽と改竄、マスコミ支配の流れの中に位置付けられるものである。
 このような行為を看過すれば、日本は恥ずべき専制国家であることを内外に示し、何よりも科学の死につながるものである。わが研究所は、2020 年度総会の名をもって、菅総理大臣の今回の蛮行に強く抗議するとともに、以下のことを要求する。
 1  6人を除外した理由を開示すること
 2  6人の「除外」を撤回し、同会議会員に任命すること
 なお、この事態は基本的事実が判明したばかりであり、今後の帰趨によっては戦前の滝川事件や天皇機関説事件等に匹敵する重大な問題になる可能性をはらんでいる。わが研究所は、この件に関する事態の推移を注視するとともに、事態に即し必要な対応をすることを表明する。》
http://kisoken.org/wordpress00/?p=2483
東京大学社会科学研究所長の佐藤岩夫は10月5日付で「本研究所教員の日本学術会議会員任命をめぐる問題について(所長メッセージ)」を発表した。
《報道されている通り、本研究所の宇野重規教授は、かねて日本学術会議より同会議の第25期・第26期会員候補者として推薦されていたところ、任命権者である内閣総理大臣により任命されない異例の事態となりました。
宇野教授は、日本学術会議法第17条に定める「優れた研究又は業績がある科学者」であることは疑いなく、また、そのような者とし日本学術会議の正式の選考手続を経て会員候補者に推薦されました。同教授が日本学術会議会員候補者として正式に推薦されたにもかかわらず、任命されず、その理由も明らかでないことは誠に遺憾といわざるをえません。日本学術会議が10月2日に発出した要望書の通り、宇野教授が日本学術会議の推薦に基づき速やかに同会議会員に任命されることを期待します。》
https://issnews.iss.u-tokyo.ac.jp/2020/10/post-916.html
 歴史学研究会委員会は10月3日付で「政府の日本学術会議会員任命拒否に断固抗議する緊急声明」を発表した。
《10月1日、日本学術会議第25期の発足にあたり、同会議が推薦した新会員候補105名のうち6名の任命を、政府が拒否したことが明らかとなった。現行制度下で、初の事態である。
今回の政府の対応は、同会議の職務の独立を定める日本学術会議の趣旨に反するのみならず、学問の自由を著しく侵害し、科学者の自律した研究活動を委縮させ、ひいては言論の自由や思想・信条の自由といった民主主義社会の根幹をも否定しかねないものである。学問の自由と独立が否定され、国民統制と戦争協力に動員された過去の歴史を想起する時、今回の措置が将来に大きな禍根を残すことが強く懸念される。
以上から、政府による任命拒否に断固抗議する。また、時の政権の恣意によって任命拒否が行われるのではないかとの社会の疑念を払拭するためにも、政府に対して、任命が見送られている新会員候補のすみやかな任命と、任命を見送った経緯についての明確な説明を要求する。
そして、この問題の解決に向け、立場や専門の違いを越えた、広汎な連帯を呼びかけるものである。》
http://rekiken.jp/appeals/20201003.html
東京大学大学院人社会系研究科長・大西克也は10月6日付で「本研究科教員の日本学術会議会員任命をめぐる問題について」を発表した。
《本研究科・日本化研究専攻の加藤(野島)陽子教授は、日本学術会議より第25期会員候補者として推薦されていましたが、内閣総理大臣により任命されない事態となりました。
加藤教授は、日本近現代政治史の専門家として優れた研究実績を持ち、日本学術会議法第十七条に定められた選考基準に基づき適切に推薦されたと認識しています。加藤教授は、内閣府などの公書管理に関する委員会委員を長く務め、その知見をもとに学術会議でも当該問題にも取り組むことが期待されていましたが、十分に理由を説明することなく任命されなかったのは大変残念です。10月2日付で日本学術会議から発出された「第25期新規会員任命に関する要望書」に記載された要望2点が、早期に実現することを望みます。
コロナ禍で様々な分断が加速する中、本研究科は多様な主張に耳を傾け、他者への理解と尊重を通じて寛容なポストコロナの社会を実現することに、学術的見地から貢献することを目指しています。このような立場から、日本学術会議が十分に活動を行うことができるよう、今後とも協力していく所存です。》
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/news/2020/12351.html
立憲デモクラシーの会は10月6日付で「菅義偉首相による日本学術会議会員の任命に関する声明」を発表した。加藤陽子宇野重規は立憲デモクラシーの会の呼びかけ人である。
《10月1日、菅義偉首相は、日本学術会議の新会員の候補者105名のうち、6名を除外して任命した。除外の理由は示されていない。2004年の法改正で日本学術会議が候補者を推薦する方式がとられて以来、同会議の推薦した候補者を首相が任命しないのは初めてのことである。
日本学術会議法は、同会議は210名の会員で組織され、会員は、同会議が「優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し・・・内閣総理大臣に推薦する」ものとする(同法17条)。会員の任命権者は内閣総理大臣であるが、任命は日本学術会議の「推薦に基づいて」行われることとされている(同法7条2項)。
一般に、「何々に基づいて」という言は、行政機関の権限行使を強く拘束するものと理解されている。しかも、日本学術会議法は、同会議が「独立して」その職務を行うものとしており(同法3条)、同会議の政府からの独立性を尊重すべき旨を明確にしている。会議による会員候補者の推薦は、内閣総理大臣の任命権の行使をとりわけ強く拘束するものと理解することができる。
今回の首相の行動は、現政権が学問の自由を掘りくずそうとしているのではないかとの強い懸念を与える。学問の自由は、一般国民の学問研究の自由を保障するだけでなく、大学の教員を中心とする高等研究教育機関の構成員の権利をとくに保障している。
学問の自由は、研究の内容および手続につき、研究者間での相互批判と検証を可能とするべく研究の内容および手続について厳しく規律が課される点で、表現の自由や思想・良心の自由などの他の精神自由権とは大きく異なる。研究の内容および手続に関する厳密な規律があってはじめて,社会全体の中長期的な利益に大きく貢献する研究業績を生み出すことができる。学問の自由の意味は、こうした規律があくまで、大学をはじめとする学術機関や各分野の研究者集団の自律に委ねられるべき点に存する。
学問研究の成果が、しばしば社会の既成の価値観やその時々の政府の政策への批判やその変革をもたらすこと、そのために社会や政治部門の側からの敵対的反応を招きがちであることから、外部の政治的・経済的・社会的圧力に抗して各学問分野の自律性を保護すべき必要性もそれだけ大きい。
日本国憲法が学問の自由を保障する条項を特別に設けているのもそのためであるし、また、日本学術会議法が、会員の人事について同会議の独立性・自律性を強く認めているのも、科学者集団の自律性が保障されてはじめて、同会議の目的である、わが国の「科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させる」ことが可能となるからである。
今回の6名の候補者の除外について、加藤勝信官房長官は、政府が日本学術会議に対して、「会員の人事などを通じて、一定の監督権を行使することは法律上可能になっている。直ちに学問の自由の侵害にはつながらないと考えている」と述べ、さらに「専門領域での業績にとらわれない広い視野に立って・・・しっかりと精査していくのは当然のこと」と述べたと伝えられているが、これまで説明してきたように、こうした権限行使がそもそも「法律上可能になっている」とは言いがたいし、各専門領域での研究者による評価を政府が「広い視野」という名目に基づいて覆すことは、学問の自由の侵害そのものである。
首相は今回の権限行使を直ちに撤回し、6名の候補者を会員に任命すべきである。過ちを改めるについて憚りがあるべきではない。》
https://constitutionaldemocracyjapan.tumblr.com/
日本私大教連は10月3日付で日本私大教連中央執行委員会名義の菅首相による日本学術会議会員推薦者の任命拒否に関する緊急声明」を発表した。
《 10月1日、日本学術会議の総会において、山際寿一前会長は、学術会議が推薦した新会員のうち6名が菅義偉首相により任命を拒否されたことを明らかにした。
日本学術会議は、わが国の科学者を内外に代表する、政府から独立した機関であり、同会議の会員は、任期6年で、その半数が3年ごとに改選されるが、改選にあたっては同会議の推薦に基づき首相が任命することとなっている。会員に推薦された者をそのまま任命することは、現在の任命方式に変更される際の国会審議における政府答弁でも明言されていた。これまで半数改選に際して、被推薦者が任命されなかった例は過去になく、このことにより同会議の独立性が一定担保されてきたのである。
政府は、昨年、首相の任命拒否が可能であるとの解釈変更を行っていた。これは、今回の任命時期にあわせて行ったもので、意図的であったことは明らかである。これは解釈権の枠を超えた、立法権簒奪ですらある。
今回の新会員の任命にあたって、任命されなかった被推薦者には、国会の参考人として共謀罪法案や安保法制に対して批判を行った者が含まれている。政府の政策を批判したことを理由に、任命されなかったとすれば、明らかに政治的な判断によるものと言わざるを得ない。
政治的な判断によって会員が任命されるようになれば、学術会議は政府の御用機関となり、日本の学術が政治に従属させられることになりかねない。戦前、日本の学術が戦争に動員された反省を踏まえ、政府からの独立を保障しつつ、設けられたのが現在の日本学術会議である。
学術は、人類共通の財産として営まれるものであり、決して権力者のものではない。
今回の菅義偉首相による任命拒否は、日本学術会議の歴史に残る汚点となるばかりか、学問の自由を定めている日本国憲法の明確な蹂躙である。
日本私大教連中央執行委員会は、このような暴挙を行った菅義偉相に抗議するとともに、日本学術会議法の定めどおりに推薦された6名の会員の任命拒否を直ちに撤回することを強く要求する。あわせて日本学術会議には、引き続き6名の任命を行うよう政府に働きかけることを求める。》
https://jfpu.org/wp-content/uploads/2020/10/20201003NS_%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%AD%A6%E8%A1%93%E4%BC%9A%E8%AD%B0%E4%BC%9A%E5%93%A1%E4%BB%BB%E5%91%BD%E3%81%AB%E3%81%8B%E3%81%8B%E3%82%8B%E7%B7%8A%E6%80%A5%E5%A3%B0%E6%98%8E.pdf
京都大学大学院