【文徒】2020年(令和2)10月7日(第8巻185号・通巻1842号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】学術会議任命拒否事件の行方 首相の強行突破は成功するか?
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
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1)【記事】学術会議任命拒否事件の行方 首相の強行突破は成功するか?

毎日新聞は10月6日付で「首相『法案批判は無関係』 学術会議任命拒否巡り 理由明言せず」(佐野格)を掲載している。
菅義偉首相は5日、内閣記者会のインタビューで、科学者の代表機関「日本学術会議」から推薦された新会員候補6人を任命しなかった問題を巡り、6人が安全保障法制や「共謀罪」創設など、安倍晋三前政権の重要法案について批判的な立場だったことは「一切関係ない」と述べた。だが、6人の任命を拒否した理由については「個別の人事に関することはコメントを控える」と明言を避けた。》
https://mainichi.jp/articles/20201006/ddm/001/010/115000c
毎日新聞・日下部聡が引用ツイート。
《これは説明になっていない。最も説明すべきなのは理由。英語のreasonには理性や道理という意味もあります。理由を説明しない、あるいはできないということは、理性や道理に立脚していないということでもあると思います。》
https://twitter.com/satoshikusa93/status/1313108084831604736
毎日新聞グループホールディングス顧問・小川一も引用ツイート。
《菅氏の説明は官房長官時代からトートロジーでした。「問題ないと考えてやったことだから、問題はない」という論法です。「なぜ問題ないのか」と聞くと「法律に則っており問題がないからだ」と答えるだけです。議論をはねつけ「鉄壁のガース」と呼ばれてきました。》
https://twitter.com/pinpinkiri/status/1313211979184574465
ホームレス作家」の松井計がツイートしている。
《学術会議問題、総理や側近が屁理屈というか、ムチャなことばかり言うので、逆にどんどん窮地に追い込まれてる感じですね。私は、もっとガチガチの理論武装をしてるのかと思ってました。ちょっと意外。これでは応援団がエモーショナルな部分に訴えかける戦術に出るのもむべなるかなという感じですね。》
https://twitter.com/matsuikei/status/1313076524967366657
マーティン・ファクラーは首相の狙いを次のように推測している。
《菅さんが安倍政権の時に、官房長官として強大な人事権をてこに中央省庁を掌握してきた。今は首相として、日本学術会議の会員候補6人を拒んだのは、同じ手法を学者に対しても使っている。狙いは、批判的な大学教授を排除することによって、一種の世論操作を目指す。》
https://twitter.com/martfack/status/1313072500331347968
青木俊がファクラーを補足している。
《これは影響が大きいのでは。戦後の日本の世論は専ら新聞社がつくってきたものではないと思う。背後にアカデミズムの力や動向があった。それを捻り変えようとする狙いはあるのだろう。》
https://twitter.com/AokiTonko/status/1313101167958781963
「メディアと自民党」や「情報武装する政治」などの著書を持つ社会学者の西田亮介は次のようなツイートで首相を擁護している。
《なんで、いま、みんな日本学術会議に関心を持っているの?新政権のツッコミどころだからというだけでしょう。もともとほとんど関係ないうえに興味もなかったじゃない。ぼくだってそうで、たぶん1、2回ほど部会のシンポジウムかなにかで話したことあるけれど、はっきり言えば関係ない。》
https://twitter.com/Ryosuke_Nishida/status/1312929611081080832
小田嶋隆が西田を引用ツイート。小田嶋も日本学術会議そのものに関心を持っていないとしながら、こう投稿している。
《私も、日本学術会議自体には関心を持っていない。ただ、日本学術会議の人事に政府が介入した事件には当然のことながら関心を抱いている。これはたとえば、伊藤詩織さんご自身にはほぼ興味を持っていなかった自分が、彼女の性暴力犯罪被害とその告発の行方関心を抱いているのと同じ話だと思う。》
https://twitter.com/tako_ashi/status/1313086724382191616
西田亮介も属している日本社会学会は理事会名義で10月5日に「第25期日本学術会議新規会員任命拒否に対する声明」を発表している。
《第25期日本学術会議新規会員任命に際し、日本学術会議が推薦した105名の会員候補者のうち6名を内閣総理大臣は任命せず、その理由を明らかにしていない。このような決定は研究者の自由闊達な研究活動を委縮させるものであり、ひいては研究に基づいたイノベーションを阻害するものである。
日本社会学会は、内閣総理大臣による任命拒否とその理由開示拒否という異例の決定が学問の自由を侵すものであると考え、6名の会員候補者の任命拒否理由のすみやかな開示、そして6名の会員への任命を求める。》
https://jss-sociology.org/news/public/council/20201005post-10909/
山崎雅弘は西田を次のように批判している。
《今の日本では、マルティン・ニーメラーという人物の有名な言葉を知らない人や、路上で誰かが理不尽な暴力を受けている光景が目に入っても被害者が友人知人でなければ無視して通り過ぎるような人でも「社会学者」になれるのか。これが若い学者の認識か。
いま誰が何を言っているか記録に留めておこう。》
https://twitter.com/mas__yamazaki/status/1313111036153659394
マルティン・ニーメラーという人物の有名な言葉」とは、次の通り。
ナチス共産主義者を攻撃し始めたとき、私は声をあげなかった。なぜなら私は共産主義者ではなかったから。
次に社会民主主義者が投獄されたとき、私はやはり抗議しなかった。なぜなら私は社会民主主義者ではなかったから。
労働組合員たちが攻撃されたときも、私は沈黙していた。だって労働組合員ではなかったから。
そして彼らが私を攻撃したとき、私のために声をあげる人は一人もいなかった。》
映画人有志22人が10月5日付で発表した「日本学術会議への人事介入に対する抗議声明」はマルティン・ニーメラーを引用している。スポーツニッポンは10月5日付「日本学術会議問題、是枝裕和監督ら映画人22人が抗議声明『言論の自由への明確な挑戦です』」で、この抗議声明の全を掲載している。そこには、こんな行がある。
《除外された6人の候補者は、安保法制や共謀罪に異を唱えた学者たちです。今回の任命拒否は、会議の理念を踏みにじるだけでなく、「会議の自律性とそれによって守られる学問の自由への挑戦」であり「政府に批判的な研究者を狙い撃ちにし、学問の萎縮効果を狙ったとみられても仕方ない」(江藤祥平上智大学准教授)ものです。》
《この問題は、学問の自由への侵害のみに止まりません。これは、表現の自由への侵害であり、言論の自由への明確な挑戦です。
それは今に始まったことでなく、安倍政権の7年8ヶ月間続いている、そして、「あいちトリエンナーレ」の助成金一時不交付から顕著になったことだと考えます。
今回の任命除外を放置するならば、政権による表現や言論への介入はさらに露骨になることは明らかです。もちろん映画も例外ではない。》
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2020/10/05/kiji/20201005s00041000372000c.html
映画人有志22人は次の通り。
青山真治(映画監督)、荒井晴彦(脚本家、映画監督)、井上淳一(脚本家、映画監督)、大島新(映画監督)、金子修介(映画監督)、小中和哉(映画監督)、小林三四郎(配給)、是枝裕和映画監督)、佐伯俊道(脚本家、協同組合日本シナリオ作家協会事長)、白石和彌(映画監督)、瀬々敬久(映画監督)、想田和弘(映画監督)、田辺隆史(プロデューサー)、塚本晋也映画監督)、橋本佳子(プロデューサー)、古舘寬治(俳優)、馬奈木厳太郎(プロデューサー、弁護士)、三上智恵(映画監督)、森重晃(プロデューサー)、森達也(映画監督)、安岡卓治(プロデューサー)、綿井健陽(映画監督・ジャーナリスト)。
この呼びかけ人のひとりである想田和弘も西田亮介を引用ツイートしている。
《別に日本学術会議そのものに関心があるわけではなく、菅政権が違法な任命拒否により、言論の自由や学問の自由を脅かしているから声を上げています。あなたは今回は関係ないかもしれないけど、次はどうだか分かりませんよ。》
https://twitter.com/KazuhiroSoda/status/1313223544650727424
首相の母校である法政大学の総長・田中優子は、同大学の公式ホームページに10月5日付の「総長メッセージ」として「日本学術会議会員任命拒否に関して」を発表している。田中は《内閣総理大臣が研究の「質」によって任命判断をするのは不可能》だとしたうえで次のように書いている。
《本学は2018年5月16日、国会議員によって本学の研究者になされた、検証や根拠の提示のない非難、恫喝や圧力と受け取れる言動に対し、「データを集め、分析と検証を経て、積極的にその知見を表明し、世論の深化や社会の問題解決に寄与することは、研究者たるものの責任」であること、それに対し、「適切な反証なく圧力によって研究者のデータや言論をねじふせるようなことがあれば、断じてそれを許してはなりません」との声明を出しました。そして「互いの自由を認めあい、十全に貢献をなしうる闊達な言論・表現空間を、これからもつくり続けます」と、総長メッセージで約束いたしました。
その約束を守るために、この問題を見過ごすことはできません。
任命拒否された研究者は本学の教員ではありませんが、この問題を座視するならば、いずれは本学の教員の学問の自由も侵されることになります。また、研究者の研究内容がたとえ私の考えと異なり対立するものであっても、学問の自由を守るために、私は同じ声明を出します。今回の任命拒否の理由は明らかにされていませんが、もし研究内容によって学問の自由を保障しあるいは侵害する、といった公正を欠く行為があったのだとしたら、断じて許してはなりません。》
https://www.hosei.ac.jp/hosei/daigakugaiyo/socho/message/201005_03/
J-CASTニュース」が10月5日付で公開した「菅首相母校・法大の田中優子総長が声明 日本学術会議問題は『見過ごすことはできません』」は次のように書いている。
《2018年春、自民党杉田水脈衆院議員は、政権批判的だった法政大学の山口二郎教授に対し、巨額の科学研究費(科研費が支給されていると批判。山口教授はこれに反論し、2人の間で論戦となっていた。
こうした問題を受け、田中総長は18年5月16日に大学の公式サイト上で「適切な反証なく圧力によって研究者のデータや言論をねじふせるようなことがあれば、断じてそれを許してはなりません」と抗議し、さらに「互いの自由を認めあい、十全に貢献をなしうる闊達な言論・表現空間を、これからもつくり続けます」と宣言していた。》
https://www.j-cast.com/2020/10/05395973.html?p=all
2018年5月16日付の総長メッセージ「自由で闊達な言論・表現空間を創造します」で田中は、こう書いている。
《昨今、専門的知見にもとづき社会的発言をおこなう本学の研究者たちに対する、検証や根拠の提示のない非難や、恫喝や圧力と受け取れる言動が度重ねて起きています。その中には、冷静に事実と向き合って社会を分析し、根拠にもとづいて対応策を吟味すべき立場にある国会議員による言動も含まれます。
日本は今、前代未聞の少子高齢化社会に向かっています。誰も経験したことのない変動を迎えるにあたって、専門家としての責任においてデータを集め、分析と検証を経て、積極的にその知見を表明し、世論の深化や社会の問題解決に寄与することは、研究者たるものの責任です。その責任を十全に果たすために、適切な反証なく圧力によって研究者のデータや言論をねじふせるようなことがあれば、断じてそれを許してはなりません。》
https://www.hosei.ac.jp/hosei/daigakugaiyo/socho/message/180516/
創価大学経済学部准教授の中田大悟が首相を窘めている。
日本学術会議の組織を変えたいのなら、政府がそう提案して議論をすればよかったんですよ。実際、そういう議論が過去にあったのだから。これが目的なのであれば、前触れ無くいきなり人事案を拒否なんてしちゃいかんのですよ。そんなもの正当化できない。目的にはとるべき手段がある。》
https://twitter.com/dig_nkt_v2/status/1312779103070683136
明治大学政治経済学部政治学科教授の木寺元が中田を引用ツイートしている。
《全く同意。任命拒否問題について、日本学術会議にも別の問題があるーという別個の論点を提示し、「どっちもどっち論」に持ち込むのは、whataboutismの常套手段である。こうした中立性を装った党派的行動には注意深くあらねばならない。
https://twitter.com/hajimekidera/status/1313032708029784065
whataboutismとは、「そっちこそどうなんだ主義」のこと。旧ソ連が得意としたプロパガンダ手法のひとつである。首相はアカの影響を受けている?!
講談社の運営する「現代ビジネス」は10月5日付で元「革新官僚」髙橋洋一の「問題だらけの『日本学術会議』は、今すぐ『民営化』するのが正解だ」を発表している。
《筆者は、その後、国家公務員を退官し、アカデミアに転じた。そこでは、日本学術会議は一部の貴族のようなもので、研究の最盛期を過ぎた引退間際の豪華なポストでお小遣い付きにみえた。筆者のような中途でアカデミアに参入した者にはまったく無縁な世界だ。
《2017年3月「軍事的安全保障研究に関する声明」では、軍事研究を禁じた過去の声明を継承している。つまり、憲法で規定されている「学問の自由」に反することを言い続けているわけだ。》
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/76145?imp=0
「ふたつの日本『移民国家』の建前と現実」(講談社現代新書)の望月優大がこんなツイートを発表している。
《学術会議の批判はやりたい人が事実に基づきやりたいだけやればいい。
ただし、それは「過去の議会が民主的に作った法律に今の政府の行為が違反していないかどうか」という合法性の論点とは論理的に関係がない。
その根本に答えずに済ます“ためにする“議論については詭弁や印象操作だと言うしかない。》
https://twitter.com/hirokim21/status/1313051258438053890
時事通信は10月6日付で「菅首相、判断の正当性を強調 くすぶる説明責任―学術会議、任命拒否問題」を配信している。
《政権内には懸念も広がっている。政府関係者の一人は「首相は自分で招いたことなのにおろおろしている」と指摘。「始めからやらなければよかった」と嘆いた。連立を組む公明党からも「大失敗だ。首相の責任は免れない」(関係者)と厳しい声が漏れる。》
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020100501053&g=pol
10月5日に放送された「バイキングMORE」(フジテレビ系)でフジテレビ報道局解説委員室上席解説委員の平井夫は次のように「嘘」を語って首相を擁護した。
《政治家も間違う事はあるけど選んだ国民の責任でもある。けど学者はそのプロセス経ず自分で勝手に選んでるから面倒の見ようがない。民営化すればいい。学者は6年ここで働けば学士院に行き年間250万円年金が死ぬまでもらえる。皆さんの税金から》
https://twitter.com/FreeTweet000/status/1312978033209348096
九州大学法学部教授の南野森が呆れている。
《平気で嘘をつく平井夫氏。学術会議の会員を6年やれば日本学士院会員になれる!?
そんな馬鹿な。「そういうルールになってる」などということは、全くない。完全な事実無根。これがフジテレビの「上席解説委員」。》
https://twitter.com/sspmi/status/1313091686084435968
フジテレビは「公共の電波」を使ってデマゴギーを垂れ流して良いとでも思っているのだろうか。白央篤司が指摘する通りである。
《あ、ちゃんと記事になったのですね。平井夫氏、発言内容からフジテレビの解説委員というのが最初は信じられなかったのですが、どうやら本当のよう。確信犯なのかウッカリだったのか……。いずれにせよ、フジは社としての対応が問われるのではないでしょうか。》
https://twitter.com/hakuo416/status/1313287132031508480
ちゃんと記事にしているのは「女性自身」ウェブ版だ。10月5日付で「『日本学術会議で働くと年金』バイキングが誤解説と批判殺到」を発表している。
《目的も、属性もまったく異なる組織を関連付けて、日本学術会議への批判の材料とした平井氏。ほかにも不正確な発言があった。
「2017年に日本学術会議が軍事研究の禁止というとんでもない提言を出したんですね」
あたかも、近年になって日本学術会議が軍事研究に反対した反対し始めたような発言だったが、日本学術会議は創立翌年の1950年ベトナム戦争の最中だった1967年に“軍事目的の研究は絶対にしない”という内容の声明を出している。2017年の声明は、防衛装備庁が将来の“装備品”に使える基礎研究に研究費を支給する「安全保障技術研究推進制度」を2015年に創設したことを受けて、過去の声明を継承することを確認したものに過ぎない。
平井氏は2017年の声明がきっかけで、「(政府の)堪忍袋の緒が切れて、もうちょっと“偏っていない機関”にできないかという声が政府内であがって、今回のこと(任命拒否)になった」と説明したが、日本学術会議の軍事研究に対する態度は70年間ずっと一貫している。むしろ変わってしまったのは日本政府のほうではなかろうか。》
https://jisin.jp/domestic/1900366/
これも望月優大のツイート。
《自分の政策に絡めてデマと怒りと不信をまき散らす人たちが続々と出てくる中で、菅総理はそれらを明示的に批判したり止めたりすることもない。トランプが極右のプラウドボーイズを非難するかと問われて「stand back and stand by」と言ったことを思い出す。同じ構造じゃないか。》
https://twitter.com/hirokim21/status/1313345828845625345
毎日新聞は10月5日付で「#排除する政治~学術会議問題を考える『首相は法律知らずインチキ』任命拒否の法学者がそう語る三つの理由」(木許はるみ)を掲載している。任命を拒否された一人である早稲田大教授・岡田正則のインタビュー記事である。
《私は行政法が専門なので、国や地方の公的な仕事もしています。国家公務員、地方公務員への研修や司法試験の委員などをしてきました。これまでさまざまな行政事件で当事者の方々を応援してきましたが、まさか自分が当事者になるとは考えていませんでした。専門家・研究者としての活動についての疑心暗鬼を、政権は持たせたいのでしょうか。
私は15年と18年に辺野古の新基地建設に対して、行政法学者たちと政府の対応に抗議する声明を出しました。その時、賛同はするけど、名前を伏せる研究者もいました。仕事への影響を心配していたのかもしれません。今回の任命拒否によって、研究者の活動が萎縮してしまうのではないかと懸念してしまいます。》
むろん、「萎縮」を狙ってのことなのだろう。
菅首相や加藤さんは、まったく法律を知らずに発言していますね。インチキにもほどがあります。日本学術会議法の条を本当に読んでほしい。》
そうしたインチキを民衆は支持してくれるはずと首相は「誤読」したのではないだろうか。次のような指摘は、とても重要だ。国家公務員、地方公務員への研修や司法試験の委員などの仕事をし、また自分のゼミから国家公務員の総合職に合格した学生を輩出している岡田なればこその発言であろう。
ヒアリングに出席した内閣府などの職員は、政治家の口から出任せの言葉に合わせ、取り繕うのに必死でした。苦し紛れの説明を政治家が官僚にさせている状況は、見ていていたたまれなかったですね。安倍晋三前首相の答弁の口裏合わせのために書の廃棄や改ざんをやらされた公務員と同じです。政権は職員を盾にしている。政権を維持するためには何をやってもいいという政治家の発想は、あまりにも残酷です。有能な方々が法律を破る手先になってしまっている。政権のやっていることは、職員に対する人権侵害だと思います。》
https://mainichi.jp/articles/20201005/k00/00m/040/125000c
朝日新聞デジタルは10月6日付で「政治的偏向はありえない 東大名誉教授が見た学術会議」(聞き手・大内悟史、藤生京子)を掲載している。現在は学習院大学特任教授である教育学者の佐藤学は次のように語っている。
《今回の出来事は菅政権で起きましたが、安倍政権を継承したことで起きた問題でもあることは間違いないでしょう。菅義偉首相は、なぜ新会員を任命しなかったのか、理由を明らかにすべきで、理由を明らかにできないならば任命見送りは撤回すべきです。学術会議は今後も菅首相の任命拒否を承認することはないでしょう。この問題は政府を告訴する訴訟になりかねない大事件です。》
https://digital.asahi.com/articles/ASNB56F6PNB3UCVL009.html
朝日新聞デジタルは10月6日付で「学術会議会員の任命『推薦通りの義務なし』内部書公開」を掲載している。
日本学術会議が推薦した会員候補6人が任命されなかった問題で内閣府は6日、首相が任命の拒否ができるかどうかについての見解をまとめた2018年の内部書を、野党側に公開した。学術会議の会員が特別職の国家公務員であることを踏まえ、首相が「推薦のとおりに任命すべき義務があるとまでは言えないと考えられる」と結論づける内容だ。》
https://digital.asahi.com/articles/ASNB63VZGNB6UTFK00D.html
毎日新聞は10月6日付で「#排除する政治~学術会議問題を考える「自由への侵害」は飛び火する 戦前の大学弾圧事件から考える学問の行方」(古川宗)を掲載している。「言論抑圧 矢内原事件の構図」などの著書があるニュージーランド・オタゴ大学教授・将基面貴巳にインタビューした記事だが、将基面は次のように語っている。
《支配する側である政府が恣意的に権力を行使しているわけですから、支配される側は、権力がどう行使されるか分からない。そういう状況にあると、支配される側は相手にとって好ましい存在になるように、自己検閲を始める。今の日本語で言えば、「そんたく」ですよね。非常にきつい言い方をすれば、そんたくばかりしている学者、官僚、会社員は精神的な奴隷状態なわけです。そういう状態が今の日本で広範に見られる中では、こういう任命の問題が起こっても何もおかしくないと思います。》
《「学問の自由を守る」と言うことは簡単なのですが、実際それを維持するのは非常に難しいことです。そして、日本でどれだけそのことを真面目に考えている研究者がいるのかと考えると、はなはだ危ういと思います。
先ほども言いましたが、2016年の時点で、政府側の人事介入があった時、日本学術会議側が問題視しなかったこともその表れのようにも思えます。認識や脇の甘さがあったのではないか。権力におもねらない学問・研究が成り立つための前提条件を守るためなら、いくら神経過敏でも足りないぐらいなのに、遠慮してしまっている。今回の事態は、戦前のように学問の自由の堤防が破れ始めているのだと思います。》
https://mainichi.jp/articles/20201006/k00/00m/040/118000c

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2)【本日の一行情報】

毎日新聞記者でYouTuberの宮原健太がツイートしている
菅総理の懇談への毎日の出欠について多数問い合わせを受けております。毎日は懇談に出席しておりました。私は担当外ではあるのですが、この事について社として説明をすべきと要望し、後日、記事で説明される事となりました。毎日の見解はそちらを参照頂けると幸いです。回答が遅れた事お詫び致します。》
https://twitter.com/bunyakenta/status/1313094259260583936

◎これも毎日新聞の話題。馳星周がツイートしている。
毎日新聞が広告で天皇賞特集をやるんだと。それに出ろと言われた。》
https://twitter.com/KW7MBql9fYjANgE/status/1313338821967114241
毎日新聞デジタル編集G記者の中嶋真希がリプライ。
毎日新聞の中嶋と申します。私はこの件、担当外なのですが、馳さんが出てくださると担当者に聞き、興奮していかに馳さんがステイゴールドを愛しているか熱く語ってしまいました。お忙しい中ありがとうございます!》
https://twitter.com/ohayokawauso/status/1313341109171417088

◎畠山理仁は「菅義偉首相のグループインタビューを別室で傍聴する権利」を抽選で獲得した。
菅義偉首相が本日夕方、読売新聞、北海道新聞日本経済新聞ら申し込みのあったインタビューを受けるとのこと。グループインタビューの場には内閣記者会常勤幹事社19社も同席。音声は首相官邸の会見室(全29席。取材場所とは別)にも流される。こちらにも19社から1社1名来るので残る10席は抽選。》
https://twitter.com/hatakezo/status/1312933511045640192
《官邸報道室から電話。本日夕方に行なわれる菅義偉首相のグループインタビューを別室で傍聴する権利(!)が抽選で当たったとのこと。抽選対象の10席に応募したのは23名。あみだくじで10名が当選。この虚しさはなんだろう。》
菅義偉首相の表情も見られないので「菅義偉首相とされる人物へのグループインタビュー音声らしきもの」と疑われても仕方がないんじゃないか。万が一、台本を読まされていたとしてもわからない。「首相官邸でみんなと聴くラジオドラマ」の可能性も捨てきれない。》
《官邸報道室に確認。音声の生中継はNGだが、取材後の音声を全テキスト化したり記事化したりすることはOK。録音した音声を後でアップする場合には「制限できないのでOK」との返答。官邸HPへの掲載は未定。「菅義偉首相とされる人物へのグループインタビュー音声らしきもの」を後でアップしようと思う。》
《普通に記者会見すれば「菅義偉首相とされる人物へのグループインタビュー音声らしきもの」みたいな怪しげな情報が流通しなくてもよくなるのにね。》
https://twitter.com/hatakezo/status/1312971975401250817

https://twitter.com/hatakezo/status/1312998374996545537
朝日新聞記者・三浦英之が怒っている。
《官邸と内閣記者会は一体何をやっているのだろう? 別室で行うグループインタビュー? 傍聴する権利? そんなのみんなで拒否すればいい。内閣記者会、なんかとっても恥ずかしい組織になってしまっていないか》
https://twitter.com/miura_hideyuki/status/1313333098067582977

◎「進研ゼミ小学講座」が「鬼滅の刃」とコラボすることになった
https://ict-enews.net/2020/10/05benesse-5/

◎お笑いコンビ「たんぽぽ」川村エミコの初エッセイ集「わたしもかわいく生まれたかったな」が集英社から発売された。10月11日(日)には、14時より中目黒 蔦屋書店でゲストに大久保佳代子を迎えて、19時より本屋B&Bでゲストに爪切男を迎えて、オンライントークイベントが開催される。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000184.000011454.html

電通および国内電通グループの17社で構成する「Dentsu Commerce Room」は、ホワイトペーパー第2弾となる「カンバセーショナルコマースによりECは進化する」を発行した。
https://www.dentsu.co.jp/news/topics/pdf-cms/i2020013-1005.pdf

電通が社内オフィスで実施した「チャイムリノベーションプロジェクト」が、グッドデザイン賞を受賞した。
「チャイムリノベーションプロジェクト」は、社内で定刻に流れるチャイムを音楽が得意な社員が演奏・アレンジし、耳から職場に変革を与えることに挑戦したプロジェクトだ。
https://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2020094-1005.pdf

◎「Nippon.com」は10月5日付で「本読みの店主のいる書店は街を豊かにする-甲府・春光堂書店」を公開している。
《奥の棚の前には作業机を置いてもまだゆったりとした空間があった。
 10年ほど前からここで読書会を開いているという。
「本好きな公務員の方が街の喫茶店に数人で集まって、1冊の本を読むという会を始められたのです。誘われて参加しているうちに、いつの間にかうちを場所に使っていただくようになりました。今は持ち回りで読む本を決めると、事前に店頭でも紹介します。集まるのはだいたい10人前後でしょうか」》
古事記に関する勉強会も行われている。独学で長年古事記を研究してきた甲府在住の在野研究者を講師に、1年をかけて古事記を読み解く。初年度の3年前、宮川さんも参加した。勉強会がきっかけ古事記を取り扱うコーナーが充実した。》
《宮川さんは得々三会という「朝活」を2011年から運営している。毎週火曜日の朝7時、会社員、自営業、学生など30人ほどが集まっていたが、コロナ禍は夜、オンラインで開催している。スピーカーのレクチャーを聞き、感想を言い合い、横のつながりが育っていく会の面々は、甲府の街をよくしたいという思いを共有する。春光堂書店も月に1回会場となる。》
https://www.nippon.com/ja/japan-topics/c07109/

JTBパブリッシングが8月4日(火)に発売した、ひとつ上の京都観光を提案する情報誌「芸妓さんが教える 京都ええとこ 映えるとこ」は、「京都ガイド本大賞2020」の大賞を受賞した
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000092.000024732.html

白泉社は電子限定の新雑誌「少年ハナトユメ」を10月5日(月)より主要電子書店にて配信を開始した。396円(税込)。「少年ハナトユメ」は雑誌だけでなく、収録作品ごとの購入も可能だそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000326.000046848.html

高田賢三が10月4日、新型コロナウイルス感染症のためパリ近郊の病院で死去。81歳。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64601350V01C20A0CZ8000/
辻仁成がツイートしている。
《悲しいニュースが届きました。親交のあったデザイナーのKENZO、高田賢三さんが、コロナが原因で亡くなられました。尊敬していただけに、悲しい。もの静かな優しい方でした。ご冥福をお祈りします。やすらかに。
ありがとう、KENZOさん。》
https://twitter.com/TsujiHitonari/status/1312779142383964161
バウムガルテンの美学」の井奥陽子が高田の思い出をツイートしている。
KENZO高田賢三氏の訃報。心よりご冥福をお祈り申し上げます。高田氏は小学校の頃、あまり外で遊ばず、女の子の絵を描いてばかりいたらしい。心配したお母様から相談されて「そのままでいいですよ」と答えたことが、当時駆け出しの教員だった私の祖母の、小さな自慢だった。》
《幼い頃に祖母宅で、高田賢三氏から祖母へのパリ土産の紅茶を飲んだことが、私の大きな自慢。 MARIAGE FRERESの大きな箱を開けると、嗅いだことのない香りがふわっと漂って、黒と黄のパッケージがキラキラ輝いて見えた。夢だったのかな。あれ以来、アールグレイが大好き。》
https://twitter.com/yoko_a17/status/1312951441871437824
https://twitter.com/yoko_a17/status/1312952731108347904
宮本亜門の追悼ツイート。
《ちょうど一年前、高田賢三さんが衣装を担当した「蝶々夫人」の初日でした。美しくてため息の出る衣装の数々。夢の中のようでした。
賢三さん、ありがとうございました。》
https://twitter.com/amonmiyamoto/status/1312902150385618944
加藤登紀子も追悼している。
《ショックです。山本寛斎さんの死去に続き、画期的なファッションを切り開いた巨人の死。パリでお世話になったので、本当に寂しいです。ご冥福をお祈りします。》
https://twitter.com/TokikoKato/status/1312795679513669632

◎日販とトーハンは両社の間で合意した雑誌返品業務の物流拠点統合を次のようなスケジュールで実施する。
(1)2020年11月から、トーハン東京ロジスティックスセンターで行っていた雑誌返品業務を、日販グループの出版共同流通株式会社蓮田センターにて実施。
出版共同流通株式会社は、2002年に、出版取次5社、出版社2社の共同出資により設立された会社であり、現在は、日販、楽天ブックスネットワーク、日教販の返品業務を受託している。
(2)円滑な移行を図るため、蓮田センターで作業するトーハン業量を段階的に増加させる。
 第1回 (業量 25%) 2020年 11月16日 到着分から
 第2回 (業量 50%) 2021年 1月18日 到着分から
 第3回 (業量100%) 2021年 2月15日 到着分から
https://www.nippan.co.jp/news/20201005/
https://www.tohan.jp/news/20201005_1637.html

東京新聞は10月2日付で「原爆ツイート、HPに転載 NHK広島、注釈付け加え」を掲載している。
《NHK広島放送局が原爆被害を伝えるツイッターで「朝鮮人だ!」「乗客を窓から放り投げた」などと投稿し、差別をあおっていると批判されている問題で、同局は2日、8月までの投稿を削除した上で、同局のホームページ(HP)に転載した。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/59266
東京新聞は10月4日付で「原爆ツイート巡り市民らシンポ NHK広島の対応を批判」を掲載している。
《市民団体「ピース・フィロソフィー・センター」の乗松聡子代表は「朝鮮にルーツのある人は暴動を起こす怖い人だというイメージを抱かせる」と指摘。これまでのNHKの対応について「謝罪も、日本が朝鮮を植民地支配した加害の歴史への言及もない」と批判した。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/59651
東京新聞は10月5日付で「市民団体、NHK広島に抗議 『差別扇動』投稿削除求め」を掲載している。
《同局は2日に、8月までの投稿をツイッターから削除した上で、ホームページに転載。批判を受けたツイートは注釈を付けた上でそのまま移されており、抗議は完全な削除を求めている。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/59752
三本とも共同通信の配信。
NHK広島放送局のサイトでは、転載したツイートの問題部分に下記のような注釈を加えている。
《※注 当時の混乱した社会状況を伝え、戦争の時代についてリアリティーをもって考えていただくために、資料に基づきNHK広島放送局の責任で作成しました。
当時の日本には、多くの朝鮮半島出身者が暮らしていました。1910年の韓国併合によって日本による統治が始まった後、働き口を求めて日本本土に移住する人々やその家族などが増えました。日中戦争が長引いて労働力不足が深刻化した際に、軍需工場や炭鉱などに動員された人々もいました。広島にも多くの朝鮮半島出身者が暮らし、原爆の犠牲になりました。その数は定かではありませんが、広島市平和公園にある「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」には「2万余名」の命が奪われたと記されています。》
https://www.nhk.or.jp/hibaku-blog/timeline/tsubuyaki/6/436446.html
《※注 当時の混乱した社会状況を伝え、戦争の時代についてリアリティーをもって考えていただくために、資料に基づきNHK広島放送局の責任で作成しました。
当時の日本には、多くの朝鮮半島出身者が暮らしていました。1910年の韓国併合によって日本による統治が始まった後、働き口を求めて日本本土に移住する人々やその家族などが増えました。日中戦争が長引いて労働力不足が深刻化した際に、軍需工場や炭鉱などに動員された人々もいました。》
https://www.nhk.or.jp/hibaku-blog/timeline/tsubuyaki/8/436451.html
アリバイ的・機械的につけたと言われても仕方のない注釈だと思う

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3)【深夜の誌人語録】

夢は実現するために見るものだ。