【文徒】2020年(令和2)11月18日(第8巻214号・通巻1871号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】サントリー学芸賞が決定した!
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2020.11.18 Shuppanjin

1)【記事】サントリー学芸賞が決定した!

サントリー学芸賞が次のように決まった。
〔政治・経済部門〕
酒井正(法政大学経済学部教授) 「日本のセーフティーネット格差 ―― 労働市場の変容と社会保険」(慶應義塾大学出版会)
詫摩佳代(東京都立大学法学部教授)「人類と病 ―― 国際政治から見る感染症と健康格差」(中央公論新社
〔芸術・学部門〕
李賢晙(小樽商科大学言語センター准教授)「『東洋』を踊る崔承喜(チェ・スンヒ)」(勉誠出版
中嶋泉(大阪大学大学院学研究科准教授)「アンチ・アクション ―― 日本戦後絵画と女性画家」(ブリュッケ)
〔社会・風俗部門〕
伊藤亜紗東京工業大学科学技術創成研究院未来の人類研究センター准教授)「記憶する体」(春秋社)を中心として
志村真幸(南方熊楠顕彰会理事、慶應義塾大学非常勤講師)「南方熊楠のロンドン ―― 国際学術雑誌と近代科学の進歩」(慶應義塾大学出版会)
〔思想・歴史部門〕
梅澤礼(富山大学学部准教授)「囚人と狂気 ―― 一九世紀フランスの監獄・学・社会」(法政大学出版局
小山俊樹(帝京大学学部教授)「五・一五事件 ―― 海軍青年将校たちの『昭和維新』」(中央公論新社
https://www.suntory.co.jp/news/article/13792-1.html
慶應義塾大学出版会が「日本のセーフティーネット格差 ―― 労働市場の変容と社会保険」と「南方熊楠のロンドン ―― 国際学術雑誌と近代科学の進歩」でダブル受賞を果たした。
https://note.com/keioup/n/n131f066ff71e
中央公論新社も「人類と病 ―― 国際政治から見る感染症と健康格差」と「五・一五事件 ―― 海軍青年将校たちの『昭和維新』」でダブル受賞を果たしている。ともに中公新書だ。このところ中公新書のラインナップの充実ぶりには眼を見張るものがある。
《第42回サントリー学芸賞が発表され、詫摩佳代著『人類と病』、小山俊樹著『五・一五事件』が受賞しました。前者が政治・経済部門、後者は思想・歴史部門となります。同賞の中公新書の2冊同時受賞は、第1回以来のことです。この機会に、両書をお読みいただければ幸いです。》
https://twitter.com/chukoshinsho/status/1328258080270807047
小山俊樹がツイートしている。
《第42回サントリー学芸賞(思想・歴史部門)に、拙著『五・一五事件』(中公新書)が選ばれました。同書は重版5刷が決定です
著者として本当に驚きのほかありませんが、選考委員の先生方と関係者の皆さま、編集者の白戸直人さんをはじめ刊行にご助力を頂いた方、また読者の方々に深く感謝いたします。》
https://twitter.com/tkoyama3/status/1328278582804635648
「『東洋』を踊る崔承喜(チェ・スンヒ)」については、勉誠出版のホームページに詳しい。崔承喜について、こう書かれている。
《崔承喜(チェ・スンヒ、1911~1969)は、日本の現代舞踊家・石井漠(いしい・ばく)の下で研鑽を積み、1926年から朝鮮をはじめ、日本、中国、アメリカ大陸、ヨーロッパ各地で舞踊公演を行った舞踊家です。
1938年1月から始まった世界巡回公演では、民族的な伝統美を生かしたモダン・ダンスをもって、「朝鮮の舞姫の名を全世界に広めました。
 日本のみならず、世界公演でも大きな成功をおさめた「半島の舞姫」は、やがて「世界の舞姫」と呼ばれるに至りました。》
https://bensei.jp/?main_page=wordpress&p=11490
「アンチ・アクション」の版元であるブリュッケは同書の刊行を最後に廃業したという。
《二冊の版元であるブリュッケは、1996年に創業して20年余り、これまでの美術史に抵抗する研究を数多く世に出してきました。そして、2019年『アンチ・アクション』の出版を最後に、会社を終えることになりました。》
http://www.nadiff.com/?p=15756
「記憶する体」(春秋社)の伊藤亜紗がツイートしている。
《『手の倫理』3刷とサントリー学賞受賞を記念して、手づくりなキャンペーンを企画しています。何と、カバーの絵を提供してくれた黒坂祐さんが、400枚のカードに一枚ずつ絵を描いてくれています(裏は印刷した伊藤のドローイング)。いくつかの本屋さんを通して、ご購入いただいた方へのノベルティ→》
https://twitter.com/gubibibi/status/1328323565557465089
志村真幸はミステリ同好会の出身らしい。
《ミステリ同好会で同期の志村真幸くんが「南方熊楠のロンドン」慶応義塾大学出版会)で、サントリー学芸賞社会・風俗部門での受賞が決まったとのこと。ちなみに志村くんはその有り余る才能でSF研と連の会長でもあった記憶。すごいなあ。おめでとうございます!》
https://twitter.com/kozukata/status/1328267431224111106
くまざわ書店八王子店がツイートしている。
《【注目書】梅澤礼『囚人と狂気 一九世紀フランスの監獄・学・社会』法政大学出版局。19世紀七月王政下の議会に提出された監獄法案により、独房で精神を病んだ囚人が“非理性”や植民地へと追放されてゆく過程をたどる、表象化研究の成果。M・フーコー、A・スカルらの書籍とともにぜひ。》
https://twitter.com/kuma_hachiouji/status/1109708057196417024

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2)【本日の一行情報】

朝日新聞社は、小中高校の現役教職員を対象に「先生のためのSDGs勉強会 基礎編」を12月9日・16日にオンラインで開催する。
https://ict-enews.net/2020/11/16asahi-3/

◎「週刊少年マガジン」(講談社)で連載している大久保篤の「炎炎ノ消防隊」は、「炎炎ノ消防隊 弐ノ章」としてTVアニメ化され、全国MBS、TBS、BS-TBSほか全21局で放送中だが、「JOURNAL STANDARD」とコラボしたスペシャルコレクションの受注受付を、11月13日から30日まで実施している。
https://www.j-cast.com/trend/2020/11/15398848.html

毎日新聞の「経済プレミア」は元「サンデー毎日」編集長・山田道子の「メディア万華鏡 これじゃあ男もしんどくない?『鬼滅の刃』の男女観」を掲載している。
《「鬼滅の刃」は、少年漫画雑誌の雄での連載、舞台が大正時代なのは重々承知ではあるが、禰豆子は基本「助けられるヒロイン」。鬼にならないように竹の口枷(くちかせ)をくわえているのは「女はしゃべるな」みたいに私には思えるし、鬼にならないと戦えないのも、なぜ?と思ってしまう。》
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20201112/biz/00m/020/025000c
ツイッターでは「観てないだろ」「読んでない」と大炎上中である

◎11月15日付東京新聞は西法太郎の「三島由紀夫事件 50年目の証言 警察と自衛隊は何を知っていたか」を書評で取り上げている。評者は平山周吉なのだが、私は思わず「異議なし!」と叫びそうになってしまった。
《著者の前作『三島由紀夫は一〇代をどう生きたか』の中に、熊本の神風連資料館を訪れたことが書かれていた。明治九(一八七六)年の神風連の乱は、晩年の三島に大きな影響を与え、『奔馬に描かれた。「反近代」の士族反乱である。資料館には警察学校OB等が作った厚手の資料集『神風党の変』があった。公的記録と報道を網羅した本で、「神風連を貶める記述はなく、崛起の志に配慮した内容」だった。おそらく本書はその志を受け継いでいる。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/68364

青山商事は、「ザ・スーツカンパニー」ブランド誕生20周年を記念した特別商品として、アメリカ発祥のアウトドアブランド「グレゴリー」(サムソナイト・ジャパン)、雑誌「Begin」との共同企画によるバックパックを、11月16日(月)から「ザ・スーツカンパニー」全店とオンラインショップで販売している。
https://www.asahi.com/and_M/pressrelease/pre_19415986/

朝日新聞デジタルは11月16日付で「博報堂DYMから制作費3千万円を詐取容疑 元社員逮捕」を掲載している。
《広告大手「博報堂DYメディアパートナーズ」(博報堂DYM、東京都港区)に架空のCM制作費を請求して計約3千万円をだまし取ったとして、警視庁は16日、元社員の中島真毅容疑者(43)=東京都大田区=を詐欺容疑で逮捕した。共謀したとみられる同社の取引先だった広告会社の役員ら3人の男も逮捕する方針。警視庁は被害総額が約7億円にのぼるとみて調べている。》
https://digital.asahi.com/articles/ASNCJ466PNCGUTIL01Y.html
毎日新聞は11月17日付で「CM架空発注容疑 博報堂系元社員ら逮捕 総額7億円か」を掲載している。
《中島容疑者はテレビCMの製作を担当していたが、社内調査で不正が発覚。19年9月に懲戒解雇され、20年7月に警視庁に告訴されていた。》
https://mainichi.jp/articles/20201117/ddq/041/040/002000c
田端信太郎が呟いている。
《例の電通個人事業主化とかも、注意しないとこんなんばっかになりそ》
https://twitter.com/tabbata/status/1328347429339422721

毎日新聞は11月16日付で「オリンピック懐疑論打ち消し躍起 『東京倒れたら北京も』 IOC会長、来日の狙い」を掲載している。
《開催への流れを決定付けたいバッハ氏だが、一方で首相との会談では、予防線を張ることを忘れなかった。首相から開催への意欲を引き出し、主催者でありながら自らは「決意を十分共有する」「我々は日本の側に立っている」と、開催を支える役回りであるかのような表現を使った。》
https://mainichi.jp/articles/20201116/k00/00m/050/303000c

日本経済新聞は11月15日付で「KKR・楽天西友に出資発表 両社で85%取得」を掲載している。
《米投資ファンドコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)楽天は16日、2021年初めにもスーパー大手の西友に出資すると発表した。西友の親会社の米ウォルマートから西友株をKKRが65%、楽天が20%取得する。》
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66255000V11C20A1MM8000/?n_cid=SNSTW001

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3)【深夜の誌人語録】

慌てず、騒がず、焦らず、黙々と。