【文徒】2020年(令和2)11月19日(第8巻215号・通巻1872号)



Index------------------------------------------------------
1)【記事】電通「社員230人を個人事業主に」は働き方改革、雇用破壊か
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2020.11.19 Shuppanjin

1)【記事】電通「社員230人を個人事業主に」は働き方改革、雇用破壊か

日経電子版で2020年11月6日~12日に公開した新着記事のうち、ツイッターでよく読まれたトップ10のひとつに選ばれたのは、11月12付「電通、社員230人を個人事業主に 新規事業創出ねらう」であった。
https://twitter.com/i/events/1327266744847593473
これが電通によって導入される新制度だ。
《新制度の適用者は、営業や制作、間接部門など全職種の40代以上の社員約2800人を対象に募集した。適用者は早期退職したうえで、電通が11月に設立する新会社と業務委託契約を結ぶ。契約期間は10年間。電通時代の給与を基にした固定報酬のほか、実際の業務で発生した利益に応じてインセンティブも支払われる。》
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66103760R11C20A1916M00/?n_cid=SNSTW001
タニタも同様の制度を導入するようだし、明日は我が身の「働き方」にかかわる問題だけにオーディエンスにとっての関心は高かったのであろう。評価も真っ二つに割れている。
田端信太郎は一言。
《羨ましい!》
https://twitter.com/tabbata/status/1326512635068641280
博報堂出身のクリエイターである三浦崇宏もこれが本当の働き方改革だと絶賛している。
《これが本当の働き方改革
人類史上最もホワイトで前向きなリストラだと思う。早期退職制度までクリエイティブだから、やっぱり電通はすごい会社だ。》
https://twitter.com/TAKAHIRO3IURA/status/1326531662943936517
ジャーナリストの清水潔は終身雇用制度崩壊が始まったと認識している。
《「人件費縮小などのリストラ策ではない」と随分ほんわりと優しい記事だが、これはこの美しい国日本の「終身雇用制度」崩壊のはじまりなのではないのだろうか。》
https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1326687574136483841
竹熊健太郎が呟く。
《よく読むとこれリストラなんだよね。》
https://twitter.com/kentaro666/status/1326852839830745088
日本労働弁護団常任幹事,日本労働弁護団東京支部事務局長,外国技能実習生問題弁護士連絡会共同代表,外国人労働者弁護団代表,日本労働評議会顧問,全国一般東京ゼネラルユニオン顧問,首都圏なかまユニオン顧問,全国際自動車労働組合顧問などの肩書を持つ弁護士の指宿昭一は否定的だ。
個人事業主になれば労働法による保護がなくなる。労働時間規制もなく、「過労死」しても労災とはされない。「競合他社との業務」が禁止される個人事業主が、電通と対等の契約当事者として交渉できるとは思えない。電通の社員のみなさんには、このことをよく考えていただきたい。》
https://twitter.com/ibu61/status/1326659338778275841
アベノミクスによろしく」の弁護士・明石順平のツイート。
《ダメだ。長時間労働が悪化してさらに犠牲者が出るぞ。これは労基法等の適用逃れが真の目的と言うべきだ。過去の事件から何も学んでいない。》
https://twitter.com/junpeiakashi/status/1326539546738061314
百合花梨は自らの経験をベースにツイートしているようだ。
《キレイごと言ってんじゃないよ!
大昔、私も個人事業主として、いつ切られても句言えない立場で電通さんと仕事してたけど、いやぁ~、マジロクデモないよ。
こんな蟹工船的な労働を、法的に許してたら法曹界要らないっしょ?!
あ、日本に法曹界ってまだあったっけ?》
https://twitter.com/yurikalin/status/1326565408946544643
2ちゃんねる」開設者の西村博之がこんな投稿をしていた。
《Q:ひろゆき電通の社長だったら?
「社員をクビにして、個人事業主として業務委託契約をして残業代を払わないで合法的に長時間働かせるシステムにしますー」
みたいなのを、録画で喋ったら現実になってた。。。》
https://twitter.com/hirox246/status/1326531441123995649
田中康夫は「異邦人」の次のような呟きをリツイートしていた。
電通が一部の正社員を個人事業主にしようと画策しているようですが、労働者として雇用していると過労死の責任を追及されるので、個人事業主扱いにして労働法制の保護から外し、使用者責任を免れようとしているようにしか見えません。この動きを止めなければ瞬時に広がります。》
https://twitter.com/Narodovlastiye/status/1326664405673603072
キャリコネニュース」が11月17日付で「電通『正社員の個人事業主化』の狙い 新会社設立し10年契約のバックアップも」を発表している。
《対象者は、勤続20年以上で60歳未満の社員、または中途の場合は勤続5年以上で40~60歳未満の社員の計約2800人。約20回の説明会と70回以上の個別相談会を行ったところ、約230人が自ら手を挙げて参加を表明したという。同社広報は
「自主的なものであり、会社が『切り替える』というものではありません」
とあくまでも参加者の意思によるものと強調する。
個人事業主への移行は、同社が提唱する「ライフシフトプラットフォーム」という新たな仕組みの根幹を担う。目的は「人生100年時代」といわれる現代に、社員が個人事業主として年齢にとらわれずに長く働けるようになることだ。また、同社としても
「(個人事業主になった)OBOGとのネットワークが築ければ、将来的には当社が今まで提案する機会が得られなかった地方の企業自治体、教育機関やスタートアップ企業などの新たなビジネスの機会ができることもあるのではないかと考えています」
とメリットを見込んでいる。年齢を40代以上に限定した理由については「『年齢の幅を広げるべきか』との議論があったのは事実です」と明かした上で、
「20~30代はまだビジネススキルを習得している育成の時期であり、かつ人生100年時代を見据えてのセカンドキャリア、エイジレスな働き方を検討するには実感を伴わない世代であることが社員の声としてもあったためです」
と説明した。》
https://news.careerconnection.jp/?p=104963
いずれにしても、「親方」の時代がやって来るのかもしれない。

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2)【本日の一行情報】

◎映画「はりぼて」の監督である五百旗頭幸男がツイートしている
《古巣 #チューリップテレビ が僕の退職や砂沢監督の異動にも踏み込んだ
ディープなニュース特集を放送しました。》
https://twitter.com/yukioiokibe/status/1328688863238254593
これが、そうだ!
https://www.tulip-tv.co.jp/news/news_detail.html?nid=2489&dd=20201117
沖縄タイムスの阿部岳がチューリップテレビが「はりぼて」を取り上げたことを評価している。
《これを当事者のチューリップテレビが放送したことに拍手を送りたい。ちょっとドキドキ。
報道現場から異動した砂沢智史監督「不都合な部分も見せないと」「フェアでありたい」
退社した五百旗頭幸男監督「僕らは組織を忖度した」「はりぼての僕たちが描いたはりぼての意味を考えてもらいたかった」》
https://twitter.com/ABETakashiOki/status/1328693437864972294
「週刊春」特派記者の和田泰明が五百旗頭を引用ツイートしている。
《作品が同業者にもウケているのは、組織の中でのもがきが共感できるからだろう。映像素材は本来会社のものだから、それを辞めた人間が使うには、会社とのせめぎ合いがあったはず。五百旗頭さんの「会社にも忖度した」は産みの苦しみを表している。》
https://twitter.com/yasuakiwada/status/1328865724501168128
五百旗頭が阿部をリツイートしている。
《正々報道。
古巣チューリップテレビの報道現場には、それをさらりとやってのける覚悟と信念が根付いています。簡単に棄損されるものではありません。》
https://twitter.com/yukioiokibe/status/1328695496525770753
五百旗頭幸男が呟く。自虐ではあるまい。「はりぼて」の矜持である。
《『#はりぼて』は、「はりぼて」の僕たちが描いた映画です。》
https://twitter.com/yukioiokibe/status/1328726098318815232

電通は、電通テック電通ライブ、電通パブリックリレーションズ、電通デジタル、電通国際情報サービスの国内電通グループ各社と、エムクロッシングが運営する「Material ConneXion Tokyo」(マテリアルコネクション東京)の7社合同で、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の取り組みを支援するプログラム「SDGsビジネスソリューション」の提供を11月16日から開始した。
https://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2020104-1116.pdf

電通は、YouTubeチャンネル開発・運用などエンターテインメントコンテンツ制作に強みを持つFIREBUG代表取締役CEO:宮﨑聡、代表取締役プロデューサー:佐藤詳悟)と業務提携契約を締結した。今後、両社の強みを生かし、著名人を起用したテレビCM・YouTubeチャンネル連動型の動画広告で開発と販売を行っていく。なお、電通グループは、FIREBUG社と資本提携を結んでいる。
https://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2020105-1117.pdf

◎マガジンハウスのグラビア女性週刊誌「anan」11月25日発売2227号の表紙は乃木坂46を卒業した白石麻衣白石のYouTubeチャンネル「my channel」の登録者数は100万人を超えている。「anan」の表紙を飾ることは一流の証明という世界観を構築して最も得をするのは「anan」である。
https://www.crank-in.net/news/83127/1
「anan」の将棋特集って読んでみたいものだ。

小学館パブリッシング・サービスが運営するオンラインショップ「BOOK SHOP小学館」のシステムが不正アクセスを受け、顧客のクレジットカードの情報がことし6月までの5年間に流出し、不正に利用されたおそれがあることが分かった。
《2020年6月12日の漏洩懸念から今回の案内に至るまで、時間を要しましたことを深くお詫び申し上げます。
本来であれば疑いがある時点でお客様にご連絡し、注意を喚起するとともにお詫び申し上げるところではございましたが、決済代行会社と協議し、不確定な情報の公開はいたずらに混乱を招き、お客様へのご迷惑を最小限に食い止める対応準備を整えてからの告知が不可欠であるとの説明を受け、発表は調査会社の調査結果、およびカード会社との連携を待ってから行うことにいたしました。
今回の発表までお時間をいただきましたこと、重ねてお詫び申し上げます。》
https://www.bookshop-ps.com/documents.html

◎「YAHOO!ニュース」11月17日付「鬼滅バブルと1980年代後半の金融バブルを比べてみた」で金融アナリストの久保田博幸にここまで書かれれば言うこともなかろう。
《金融バブルは崩壊し大きな痛手を日本経済に残したが、鬼滅バブルは崩壊どころか、さらに膨れ上がる可能性がある。これが日本経済にも良い影響を与える可能性も当然あろう。》
https://news.yahoo.co.jp/byline/kubotahiroyuki/20201117-00208254/

◎「日経クロストレンド」は11月17日付で「LINEに迫るメガメディアへ 『note』利用者急増で6300万突破」を発表している。
《「Yahoo! JAPAN」や「LINE」に迫るメガメディアの誕生だ。「note」は、記事や動画などのコンテンツ配信プラットフォーム。2020年3月に月間利用者数が4000万に達すると、僅か2カ月で2300万を上積みした。》
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00379/00023/

◎宝島社が保有する北欧デザインのブランド『「kippis」(キッピス)は、栄屋乳業と共同で商品開発を行い 、「kippis」のデザインを使用した 、北欧がテーマのアイスとカップデザートを11月24日(火)より全国のファミリーマートにて発売する 。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001080.000005069.html

ダイヤモンド社の子会社であるダイヤモンド・ビッグ社は、学研ホールディングスの100%子会社である学研プラスとの間で事業譲渡契約を締結した。
https://www.diamond.co.jp/information/company/information2020111601.html
地球の歩き方」などの事業は学研プラスが2021年1月1付で新設する新会社「地球の歩き方」の下で運営される。「地球の歩き方」公式アカウントがツイートしている。
地球の歩き方は地球を歩き続けます!
" 版元が変わるだけで滅びません。"
もしかすると来年は、ムー大陸アトランティス大陸のガイドブックが出るかもしれません!!!
海外旅行が難しい状況は変わりませんが、引き続き地球の歩き方応援よろしくお願いいたします!(ヨシ)》
https://twitter.com/arukikata_book/status/1328862753356845057

野村証券は非上場企業の株式を取引する「株主コミュニティ制度」を活用して、非上場であるトーハンの株式の売買を始めると発表した。
https://www.nomuraholdings.com/jp/news/nr/nsc/20201116/20201116.pdf
https://www.tohan.jp/news/20201116_1653.html
日経の11月17日付「野村、トーハン株を売買 非上場株取引制度で」によれば「トーハンは1800人を超える株主がおり、既存株主には売却などのニーズが一定程度あるとみられる」という。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO66263130W0A111C2EE9000/

春砲の餌食となったのは、近藤真彦だけではなかった。朝日や毎日も撃沈してしまったのだ。「日刊ゲンダイDIGITAL」は11月17日付で「近藤真彦を揃い特集『週朝』『サン毎』『AERA』の間の悪さ」を掲載している。
《25歳下の女性との5年に及ぶ不倫関係を「週刊春」に報じられ、所属するジャニーズ事務所から芸能活動の無期限自粛処分を受けた歌手の近藤真彦(56)。ネット上では、またぞろ「春砲炸裂!」などと盛り上がっているのかと思いきや、なぜか注目を集めていたのが「週刊朝日」「サンデー毎日」「AERAの3週刊誌。なるほど、よくよく見ると、そろって最新号の表紙や巻頭グラビアが「近藤真彦」だったのだ。》
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/281421
「限界マスコミのアライさん」が呟いているぞ。
《新聞社系週刊誌の限界を象徴する表紙群なのだ。
スターを表紙にしたい・でもギャラとかスタイリングとかヘアメイクとか…→パブのタイミングで安くすますというお財布事情が透けて見えるのだ。高齢化著しい読者層にデビュー40周年のマッチさんはギンギラギンのスター…のはずだったのだ。》
https://twitter.com/arai3media/status/1328678889271422976

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3)【深夜の誌人語録】

迷ったならば捨てる。