【文徒】2020年(令和2)6月11日(第8巻106号・通巻1763号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】世界に恥を曝した日本の公共放送NHK
2)【記事】持続化給付金問題で電通に問われているのは「倫理観」だ
3)【本日の一行情報】
4)【人事】白泉社 2020年6月5日付
5)【深夜の誌人語録】
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1)【記事】世界に恥を曝した日本の公共放送NHK

NHKの情報番組「これでわかった!世界のいま」が公式ツイッターに掲載したアニメ動画について「配慮が欠けた」として、掲載を取りやめて謝罪した一件について、毎日新聞は6月9日付のステレオタイプの『怒る黒人』、レベル低い歴史認識NHK米抗議デモ解説動画を削除、謝罪」で次のように書いている。
《動画は何が問題だったのか。
林香里・東京大教授(ジャーナリズム研究)は、そもそも「放映された番組自体に違和感があった」と指摘する。番組では黒人男性が白人警察官に殺された事件などを説明した上で、背景の解説としてアニメ動画を使用していた。しかし、ツイッターの投稿内容と同様に「銃社会アメリカで白人警官は黒人への恐怖の中で仕事をしている」と、まるで「黒人=暴力」とするかのような説明やデモの「暴化」という側面を強調していた。林教授は「銃を持つのは黒人だけではないし、デモのほとんどは憲法に保障された抗議活動だ。NHK米国をこれほど理解していないのかと衝撃を受けた」と話す。》
https://mainichi.jp/articles/20200609/k00/00m/040/176000c
海外のメディアも日本の公共放送の無理解に驚いている。
「The Independent」もその一つである。記事のタイトルは「Japanese broadcaster removes ‘racist’ video about George Floyd protests after outrage over ‘caricatures’ of black Americans」。
https://www.independent.co.uk/news/world/asia/japanese-broadcaster-racist-video-george-floyd-protests-a9556256.html
「The Guardian」も取り上げている。記事のタイトルは「Japan's public broadcaster condemned over 'offensive' BLM anime」。
https://www.theguardian.com/world/2020/jun/09/japans-public-broadcaster-condemned-over-offensive-blm-anime
ロイターが配信した「Japan's NHK removes video about U.S. protests after online outrage」は書いている。NHKの無責任で不誠実な言い訳は世界に報道されてしまったようだ。ロイターの記事はテニスの大阪なおみが「This is awful. I'm embarrassed to say I'm Japanese when I see this,」とツイートしていることも紹介している。日本語に訳せば「これはひどい。これを見て、自分は日本人だと言うのが恥ずかしい」である。
https://jp.reuters.com/article/us-minneapolis-police-japan-cartoon-idUSKBN23G0NL
ブルームバーグ」は6月9日付で「NHK、米抗議デモ巡る黒人アニメ動画で謝罪-駐日代理大使も批判」を掲載している。
《動画を巡っては、米国のジョセフ・ヤング駐日臨時代理大使が9日、自身のツイッターで、NHKの意図は理解しているとしつつ、「もっと多くの考察と注意が払われるべきだった」と発信。「使われたアニメは侮辱的で無神経」と批判していた。》
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-06-09/QBNEUFDWX2PY01
「安倍政権にひれ伏す日本のメディア」(双葉社)でわが国のメディアを厳しく批判した、ニューヨークタイムズの元東京支局長・マーティン・ファクラーは、こんな提案をしている。
《この動画は、人種偏見の酷い例として海外のSNSで拡散されている。こんな鈍感な報道を防ぐには、メディアの中の多様性を増やすことがある。例えば、もしNHKに黒人ジャーナリストがいたら、この動画を止めることができたかもしれない。日本社会の多様性が増えているが、メディアは追いついていない。》
https://twitter.com/martfack/status/1270038230608441347
18世紀医学史・学研究者である小川公代がツイートしている。
《英ガーディアン紙までも、問題となったNHK番組の動画を「極めて不快なアニメ動画」として報道。「アフリカ系アメリカ人の既存のステレオタイプを再強化している」このアニメ動画がSNSで批判を浴びたことや大坂なおみの批判ツイートに言及。人種表象にも差別は潜んでる。》
https://twitter.com/ogawa_kimiyo/status/1270289171903438848
モリカトロンAIラボ編集長の高橋ミレイがツイートしている。
《先のNHKの番組から大坂なおみ氏への差別発言まで。一部の日本人が認めたがらない日本のレイシズムがこうして海外に知れ渡ることに。太陽と月と真実は隠しきれないとは本当のこと。》
https://twitter.com/mikeneko301/status/1270298180953890816
山崎雅弘も「The Guardian」の記事を読んでいる。
《英ガーディアンも、NHKという公共放送局(パブリック・ブロードキャスター)が制作した「黒人への偏見と差別を煽るビデオ」を批判的に取り上げている。日本人の人権意識の低さを露呈する事例が国際問題になるのは一体何度目だろう。
公共放送局がこのレベルというのが異様。》
https://twitter.com/mas__yamazaki/status/1270266052040028160
茂木健一郎も視聴者をバカにしていると怒っている。
NHK、民放と変わらない感じでタレントつかってワイプ多用してちゃらちゃらしたバラエティつくっているし、ニュースの編成はひどいし、ジャーナリストいないし、公共放送としての役割を全く果たしていない。ずっと我慢しているけど、今回の「世界のいま」のバカさ加減は一線を超えた。》
《ジャーナリズムとしての質が低すぎて話にならない。NHKは、「一般視聴者にわかりやすく」というわけのわからない理屈で、意味のないキャラクターつかったり、タレントに内容のない話をさせたりするより、ちゃんと事象の本質に迫って欲しい。そもそも視聴者をバカにしている。》
https://twitter.com/kenichiromogi/status/1270264190347796481
https://twitter.com/kenichiromogi/status/1270268223724740608
舩田クラーセンさやかはNHKが全世界に謝罪することを求めてNHKの問題となっているツイッターアカウントにリプを飛ばした。
NHKは、こんなヒドい人種プロファイリングの絵を、全国放送で流しただけでなく、SNSで拡散?なぜ筋肉ムキムキで血が浮き上がってる?これこそ、米国だけでなく、世界で、何百万人の人が闘っている偏見と構造的な差別を象徴。直ちにネット上から削除し、全世界に謝罪し、検証番組を。》
https://twitter.com/sayakafc/status/1269965167372177409
「精神0」が公開中の想田和弘も驚いている。
《人種差別が「考え方の違い」ってどういう意味なのでしょうか。差別に抗議するのは「ののしりあい」なのですか?根本的に間違ってますよ。NHK、いったいどうなってんだろ。》
https://twitter.com/KazuhiroSoda/status/1270321684650749953
飯山陽のツイート。
NHK黒人差別動画問題を外国メディアも報道。NHKは「配慮に欠けていた」と謝罪したが、私には制作者自身の持つ差別意識露呈しただけに見える。差別を格差とカネの問題だけに還元する論法にもうんざりだ。イスラム過激派テロも格差が原因だとする。NHKはカネが全てかもしれないが皆がそうではない。》
https://twitter.com/IiyamaAkari/status/1270367898570158080
「精神の歴史」(有志舎)の歴史学者・田中希生は、「右翼小児病」だと切って捨てている。
NHKによる米国差別問題の「解説」だが、怒りを通り越して呆れ、一回して怒りを覚える。問題を訴える側と問題を起こした側とを等価に見ようとする論法は、きわめて幼稚だが、昨今のイエロージャーナリズムやネット右翼の仕方とも共通する。公平による正義の簒奪。どうしようもない右翼小児病。》
https://twitter.com/kio_tanaka/status/1270284755884359680

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2)【記事】持続化給付金問題で電通に問われているのは「倫理観」だ

東京新聞は6月10日付一面右肩トップで「応札経緯 経産省が虚偽説明 給付金事業『理事会 トップ参加』」を掲載している。デジタル版のタイトルは「『入札決めた理事会にトップ参加』経産省が虚偽説明 持続化給付金の業務受託」。
《国の持続化給付金事業を巡り、委託先の一般社団法人サービスデザイン推進協議会が入札への参加を決めた四月の理事会に、当時の笠原英一代表理事(今月八日に退任)が欠席していたことが分かった。巨額な国の事業の応札をトップ抜きで決める法人のいびつな実態が浮かんだ形。経済産業省はこれまで「代表理事は出席していた」と明言しており、説明が虚偽だったことも判明した。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/34531
三面には「国、外注企業数把握せず 給付金事業 参加は20~30社か」を掲載している。デジタル版のタイトルは「給付金事業の外注先、経産省も把握できず 受注に20~30社加わる?」を掲載している。
《法人の資料などによると、電通から外注された電通の子会社四社もさらに外注していた。特に電通ライブは電通から流れた五百九十五億円のうち手元に残るのは八千万円で99%は外注に回していた。九日の衆院予算委員会では、梶山弘志経産相が外注関係を誤解し、電通ライブに残るお金を「百七十九億円」と誤って答弁する一幕もあった。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/34520
こちら特報部」でも電通を取り上げている。「持続化給付金事業で注目 電通 自民・政権と蜜月 『政府広報費』年数十億円 イメージ戦略・選挙一手に」がそうだ。デスクメモには次のように書かれていた。
電通グループは東証一部上場。ホームページには有価証券報告書などかなりの情報が載っている。ただ、説明責任に対する意識は低いと言わざるを得ない。給付金事業を巡る不自然さが本紙報道などで明るみに出たのは先月二十八日。会見まで十日以上かかるのは理解し難い。》
社説は「持続化給付金 独立した検査が必要だ」だ。
《給付金事業については一般社団法人サービスデザイン推進協議会が受託し、それを広告大手の電通に委託。さらに電通は関連会社を通じ人材大手のパソナなどに一部業務を外注した。その間の経緯や資金の流れに疑念が生じている。》
《協議会が電通に再委託する間に減った約二十億円についても不透明なままだ。国は振込手数料や人件費に充当したとしている。だが実際に誰が業務を行い、何件の給付につきどれだけの手数料がかかったのかなど詳細な情報は不明だ。電通に直接委託しなかった理由についても分かりにくい。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/34536
朝日新聞デジタルは6月9日付で「経産省による電通隠し? 識者『丸投げのような再委託』」を掲載している。日本大学客員教授で会計検査院元局長の有川博は次のように語っている。
《公共調達の適正化に関する2006年の財務省の通知では、随意契約における事業の一括再委託を禁止している。競争入札の場合でも再委託には担当省庁による委託内容や必要性の承認が必要で、「事業の適正な履行を確保するように」と定めている。
各省庁はこの通知に基づいてガイドラインを作り、一括再委託は控えているはずだ。経産省は、この通知を守っていたのかしっかり検証すべきだ。》
https://www.asahi.com/articles/ASN696TQ6N69ULFA01B.html
朝日新聞デジタルは同じく6月9日付で「経産省、全容把握せず給付金事業 電通からは再々々委託」を掲載している。
新型コロナウイルス対策の持続化給付金事業をめぐり、事業に関わる業者の全体像を示す資料を経済産業省が受け取ったのが8日だったことが、明らかになった。梶山弘志経産相が9日の衆院予算委員会で答弁した。大半の事業が再委託され、多数の下請けが絡む構図が不透明と批判されているが、同省が全容を把握していない状況で事業が進められていたことになる。》
https://www.asahi.com/articles/ASN696TKQN69UTFK013.html
毎日新聞は6月10日付で「新型コロナ 持続化給付金 入札公告前、電通関与か ヒアリング、『協議会』と同席」を掲載している。
新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業などに政府が現金を配る持続化給付金の民間委託を巡り、入札の公告前に経済産業省一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」ヒアリングした際、広告大手の電通の担当者が同席していた。後電通は協議会から再委託を受け、実質的に業務を取り仕切っており、識者は同席によって協議会側が入札で有利になった可能性を指摘する。》
https://mainichi.jp/articles/20200610/ddm/001/040/088000c
毎日新聞は同じく6月10日付で「新型コロナ 持続化給付金 受注巡る疑念拭えず」を掲載している。
経済産業省の持続化給付金事業を巡る問題の渦中にある一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」は8日、問題の表面化後初めて記者会見したが、大部分を再委託した広告大手の電通との関係などについて説得力のある説明に至らなかった。協議会は9日、オフィスを報道機関に公開して「実体がない」との疑念の払拭に躍起だが、巨額の公金を扱う事業者として透明性を更に高める必要がある。》
https://mainichi.jp/articles/20200610/ddm/008/010/073000c
日本経済新聞は6月9日付で社説「補助金事務局ビジネスに透明性を」を掲載している。
《政府が補助金事業の運営を民間に委託した案件で、相次いで不透明な実態が明らかになった。民間委託は公共サービスの質を高め、費用を抑える有効な手法であり、疑念を抱かせる事態を政府や事業者は早急に改善すべきだ。》
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60156300Z00C20A6SHF000/
河北新報は6月10日付で「給付金事業再委託/納得できる説明が必要だ」を掲載している。
《事業は実質的に電通が仕切っていたとみられる。このため野党は、協議会は実体のない組織で国の事業を電通に受託させるためのトンネル団体ではないかと批判している。
なぜ電通が直接受託しないのか。梶山弘志経産相は、過去に事業を担った電通が国の補助金の振り込み元となったため問い合わせが集中したことなどを理由に挙げていた。
これに対し電通の副社長は「巨額の預かり金をバランスシート(貸借対照表)に計上するのは不適切との社内の判断があった」と述べ、食い違っている。いずれにしても納得できる説明とは言い難い。
https://www.kahoku.co.jp/editorial/20200610_02.html
西日本新聞は6月9日付で社説「補正予算審議 疑念に答え無駄をなくせ」を掲載している。
《コロナ禍で打撃を受けた中小企業に現金を支給する持続化給付金を巡る民間委託も国民の疑念を募らせている。第1次補正で経済産業省が一般社団法人サービスデザイン推進協議会に769億円で事業委託したが、この法人は20億円少ない749億円で広告大手電通に再委託していた。野党はこの法人が電通に仕事を回す「トンネル法人」ではないかと追及している。
政府は「不透明な金額は一切ない」と言うが、なぜ電通に直接委託しないのか。給付金の支給事務は民間委託に頼らず、経産省を含む国の出先機関をもっと有効に活用できないものか。そんな素朴な疑問が浮かぶ。》
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/615347/
主だった新聞で社説に取り上げていないのは讀賣新聞だけとなったと言って良いだろう。
大塚英志事務所のツイート。
《例えば、サービスデザイン→電通電通ライブ→パソナとその都度中抜きされて図では最末端に見えるパソナ大日本印刷といった大企業から更に下請け、孫請と続き最後にコールセンターの派遣職員の時給に。労働も生産もせず「中抜き」でなりたつ企業がいかに政治や経済に寄生しているかがよくわかる。》
https://twitter.com/MiraiMangaLabo/status/1270546208440737792
これも大塚だ。
《サーブスデザインなんたらの自称「お飾り」の理事トップがこの組織をプラットフォームといっていたが、この伝言ゲーム的中抜きの間に入るのもプラットフォームでよくテレビに出てくるwebがらみの起業家ってみんなこの図の中に割り込んできた人。》
https://twitter.com/MiraiMangaLabo/status/1270556943862513664
先日の記者会見で「丸投げ」とチームを形成しての「分業」は違うのだという説明が誰からもなされなかった。私の知る限り、チームを形成しての「分業」は電通の武器であったはずだ。電通は、いつから変わってしまったのだろうか。
春オンライン」は6月10日付で「持続化給付金『電通社員』も参加 経産省最高幹部が民間業者とテキサス旅行」を発表している。それによれば、今日発売の「週刊春」で、経産省の最高幹部である中小企業庁長官の前田泰宏と電通出身でサービスデザイン推進協議会を取り仕切る平川健司業務執行理事のテキサスでの密なる関係が取り上げられているそうだ。
《6月11日(木)発売の「週刊春」では「前田ハウス」に参加した人物の証言やパーティの写真を掲載。前田氏と、平川氏など民間業者との関係について詳報する。》
https://bunshun.jp/articles/-/38333
問われているのは、まさに倫理観なのである。もはやマス4媒体いう枠内で仕事をしている電通ではないのだから。簡単に美風は弊風に転化するのである。

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3)【本日の一行情報】

祥伝社は「からだにいいこと」を8月17日発売の10月号をもって休刊することを決めた。
https://www.shodensha.co.jp/koukoku/pdf/karakoto_kyukan.pdf

小学館の「サライ」7月号の付録は2019年10月31日に火災で焼失した首里城正殿をモデルとした「首里城正殿ペーパークラフト」だ。――その復興を願い、在りし日の首里城正殿をモデルにして設計した、とのこと。完成サイズは幅約31cm、奥行約16cm、高さ約15cm。約1/100サイズながら赤瓦や唐玻豊、龍の装飾なども表現している。小学館らしい付録である。この付録を担当した副編集長の花村優子がコメントを発表している。
《この『首里城正殿ペーパークラフト』は、どなたでも気軽に作れるよう工夫されています。長年、学年誌や幼児誌で組み立て付録を開発してきた弊社のノウハウが活かされています。組み立てに要する時間は1~2時間程度です。ご家族やご友人と組み立ててみてはいかがでしょうか》
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000690.000013640.html

◎「動きすぎてはいけない:ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学」河出書房新社)の千葉雅也が絶賛している。
白井聡、武器としての「資本論」、全人類必読。》
https://twitter.com/masayachiba/status/1269944765291696129
千葉は続けて、こう呟く。
《なるほどね、この流れでやっと源蓄の話が出てくるのか。説明の順序がすばらしい。本当に、役に立つことを目指して書かれた入門書だ。》
https://twitter.com/masayachiba/status/1269945494576312320
ドゥルーズの哲学原理」(岩波書店)の國分功一郎がリプライしている。
《資本の起源を説明する源蓄の話は、資本論でも最初には書かれてないわけで、マルクスもその点、役に立つことを考えてあの本を書いたよなと思う。商品の話から始めるというのは所与を異化するようにして話を始めるということでしょう。》
https://twitter.com/lethal_notion/status/1270213330544680961
私は「資本論」を向坂版ではなく、国民庫の岡崎次郎版で読んだ。もっとも向坂版も実質的には岡崎による翻訳であった。岡崎は夫婦で死出の旅に出たまま失踪してしまう。今尚、遺体は発見されていないはずだ。朝倉喬司が「老人の美しい死について」(作品社)岡崎次郎について書いている。そう朝倉は「老人の美しい死について」で岡崎を描いたことが遺作の「活劇日本共産党」(毎日新聞社)へと繋がっていくのである。確か朝倉は「活劇日本共産党」の続編も構想していたはずだ。

毎日新聞は6月8日付で「三重テレビのアナウンサー逮捕 住居侵入容疑 同僚女性同居の会社員宅に」を掲載している。
三重県警は8日、三重テレビ放送(津市)のアナウンサー、一色克美容疑者(45)=同市長岡町=を住居侵入容疑で逮捕した。
逮捕容疑は5月23日午後11時10分ごろ、同県鈴鹿市白子町の男性会社員(35)の自宅アパート敷地内に侵入したとしている。県警鈴鹿署によると、一色容疑者は容疑を認め、「男性と同居している女性に興味があり、部屋をのぞいたり、壁に耳を当てて音を聞いたりしたかった」と供述しているという。》
https://mainichi.jp/articles/20200608/k00/00m/040/109000c
三重テレビはホームページに「当社社員の逮捕について」を発表した。
《当社社員が住居侵入容疑で逮捕されたことは誠に遺憾であり、大変重く受け止めています。内容については調査中であり、事実関係を確認し、社内規定に従って厳正に対応します。》
http://www.mietv.com/
J-CASTニュース」は6月8日付で「逮捕の三重テレビ・一色克美アナ 「妖怪好き」生かして活躍していたが...」を掲載している。
三重テレビのアナウンサーの一色克美容疑者(45)が2020年6月8日、住居侵入の疑いで三重県警に逮捕された。
平日夜のニュース番組「ニュースウィズ」や、高校野球の実況を担当していた。三重テレビ公式YouTubeチャンネルには、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い流行した「アマビエ」などの妖怪を解説する動画が投稿されており、妖怪好きとして視聴者から親しまれていた。》
https://www.j-cast.com/2020/06/08387497.html?p=all
東スポWeb」は6月9日付で「三重テレビの“妖怪アナ”住居侵入の疑いで逮捕 狙いは同僚女子アナの私生活のぞき見か」を掲載している。
《逮捕容疑は5月23日午後11時10分ごろ、男性の自宅アパート敷地に侵入した疑い。この時、異変に気付いた男性が110番通報していた。
鈴鹿署員が警戒していたところ、今月8日午前1時ごろに同アパート付近に車が止めてあり、周辺をウロウロしていた一色容疑者に任意同行を求めた。
大胆すぎる犯行だ。捜査関係者によれば「人通りの少ない田舎に一色容疑者の車がポツンと止めてあった」というから怪しさ満点。好奇心が募り過ぎて暴走してしまったのだろう。》
https://www.tokyo-sports.co.jp/entame/news/1895703/
スポニチアネックス」は6月9日付で「三重テレビのアナウンサー逮捕、同僚女性アナ宅に侵入 数年前からストーカー行為か」を掲載している。
《一色容疑者は97年10月同局に入社。三重テレビは8日「当社社員が逮捕されたことは誠に遺憾であり、重く受け止めている」とのコメントを発表した。女性は数年前から「何者かにストーカー行為を受けている」と同社に相談していたという。》
https://www.sponichi.co.jp/society/news/2020/06/09/kiji/20200608s00042000370000c.html
三重テレビのアナウンサーを実名で報道するなら、黒川検事長と麻雀賭博に手を染めていた記者の名前も実名で報道すべきなのではないだろうか。

◎LINEが運営するライブ配信サービス「LINE LIVE 」(https://live.line.me/)において、サザンオールスターズ 特別ライブ 2020「Keep Smilin' ~皆さん、ありがとうございます!!~」を6月25日(木)20時から配信することになった。チケットはLINEチケットにおいて3,600円で販売される。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002295.000001594.html
配信ライブが定着すると、ライブビジネスのあり方が劇的に変わる可能性がある。VRテクノロジーを導入すれば会場や劇場に足を運ばずとも臨場感を堪能できるようになるのかもしれない。それでも会場や劇場に足が向かうとすれば「密」な空間をリアルに体感したいからだろう。その欲求がそう簡単に消えるとも思えないからである。

◎赤松利市、良いねぇ。こういう啖呵を久しぶりに聞いたように思う。
《私は中間小説を書いています。エンタメ小説を書いているという意識はありません。況してや学をや。中間小説の中間小説たる所以は時代の写し鏡であるということです。だから時代の変遷とともに、消化され消え去るものだと考えています。》
https://twitter.com/hZoImkE6gPbGnUs/status/1270536867381821440

◎スポーツ報知が6月8日付で「今後の広告業界は? GO・三浦崇宏代表が語る『8対6の消費時代がくる』『ブランディングが大事』」を掲載している。三浦は次のように語っている。
《「僕はこれから8対6の消費時代がくると思っています。給料を8割にしてくれ、その代わりに労働を6割でいいという。こんなにブランド物がいらない、家族で野菜と豚肉をご飯で食べたらおいしいじゃんと思った人も多いと思う。消費は食材や洗剤といった絶対に欲しいものとどうしても欲しい物の2極化になると思います。これもいいかなというのは買わなくなる。そう思われるものは広告をうつのがバカらしくなるでしょうね。Amazonでリンクを張ればいいやって」》
https://hochi.news/articles/20200608-OHT1T50104.html
8対6の消費時代において重視されるのは「機能性」のはずだ。三浦が言うようにブランディングは大事だが、ブランドの「意味」が変わってくることを覚悟しておいたほうが良かろう。

博報堂DYメディアパートナーズは、アーリーワークスと業務提携する。これにより、博報堂DYメディアパートナーズが持つメディア企業とのネットワークと、博報堂DYメディアパートナーズのdApps新規事業開発プロジェクト「PlayAsset」が持つブロックチェーンに関する知見、そしてアーリーワークスが開発したブロックチェーン型超高速データベース「Grid Ledger System(GLS)」を掛け合わせ、ブロックチェーンを活用した企画開発からシステム開発まで一気通貫したソリューションが提供できる体制を構築する。昨今急激に増大しているIoTデバイスをはじめ、あらゆるメディアから生み出される膨大なデータを、安全に収集・管理・利用するためのデータベースの構築で、メディア産業の成長を支援することになる。
https://www.hakuhodody-media.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2020/06/HDYmpnews0609.pdf

小学館小学館集英社プロダクションは、事業創造アクセラレーター・コーポレートアクセラレーターを運営するゼロワンブースターとともに、事業創造プログラム「小学館アクセラレーター」を6月9日(火)から開始した。「小学館アクセラレーター」では「子どもたちの未来に種子をまくイノベーション」をキーワードに、「エデュケーション」など3つの領域について事業プランを広く募集し、採択された複数の起業家・事業家を支援しつつ、ともに新たな事業創造を目指す。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000250.000002610.html
才能に対する「門戸開放」だ。

読売新聞東京本社編集局科学部次長 三井誠の光社新書「ルポ 人は科学が苦手~アメリカ『科学不信』の現場から~」が「科学ジャーナリスト賞2020」を受賞した。書籍では毎日新聞出版の「誰が科学を殺すのか 科学技術立国『崩壊』の衝撃」も受賞している。
https://jastj.jp/jastj_prize/
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000414.000021468.html

◎「PRESIDENT Online」に元木昌彦が「なぜ週刊春だけに日本を揺るがすスキャンダルが集まるのか」を発表している。「週刊春」元木昌彦をして、こう言わしめている。
《私は講談社という出版社で月刊誌や週刊誌に携わり、定年後も、毎週、ほとんどの週刊誌に目を通しているが、これほどの大スクープを次から次へと放つ週刊誌はこれまで見たことがない。》
その理由を元木は、こう書いている。
《ポストは知らないが、現代にスキャンダルを持ち込んでも、かわいそうないい方になるが、そうしたネタを扱える編集者も、取材できる記者もほとんどいなくなってしまっているはずだ。かくして、スキャンダルネタを持っている人間は、春か、時々新潮に、持ち込むということになる。
もちろん、春には、持ち込まれたスキャンダルの真偽を見分ける編集者や、そのネタをもとに、裏を取り、ファクトを積み重ね、ものにする取材力のある記者がいるからできることは間違いない。》
《それと今一つ春の強みは、書き手を大切にすることである。春を舞台に大きく成長した書き手を幾人も知っている。》
https://president.jp/articles/-/36121

毎日新聞は6月9日付で「まちの小さな本屋さん『流泉書房』 リアルなつながりに活路 弁当やパンも配達 /兵庫」を掲載している。
《JR・山陽の垂水駅北側にある商店街の一角。5月下旬の朝、流泉書房の店主・大橋崇博さん(39)の元に、近くのパン屋さんからこの日の配達分の食パンが届いた。間もなく妻茜さん(39)が本や雑誌と食パンを車に積んで配達に出発。途中、モーニングサービスの客でにぎわう喫茶店に寄り、雑誌を届けたついでに配達用の弁当を受け取る。駅前や住宅街を回り、1時間ほどで商店や個人宅約10軒に本と弁当とパンを配達した。》
https://mainichi.jp/articles/20200609/ddl/k28/040/272000c
withコロナは「デリバリーの時代」でもある。流泉書房はツイッターで「本日のオススメ本」を公開しているが、このセンスもステキだ。6月5日には400冊目として、中町信の「模倣の殺意」(創元推理庫)を紹介している。
《あまり多くは語れない作品なのだが、超絶トリックと50年前に書かれたということに驚く。発表から30数年経って改稿決定版が発行され再度注目された傑作なので、ミステリ好きの方にはぜひ読んで欲しい!!》
https://twitter.com/books_ryusen/status/1268798825688268800
作者の死後、教堂が創元推理庫版「模倣の殺意」を2012年末に品切れ商品発掘企画の一冊に選び大ヒットした。双葉社徳間庫を経て創元推理庫に辿り着いた作品である。

日刊ゲンダイDIGITALは6月9日付で「持続化給付金“中抜き”法人『サ推協』真相語らず居直り会見」を掲載している。
《…会見した平川健司業務執行理事(2019年6月に電通退社)は、膨大な給付金事業にかかる経費を一つ一つ説明。“中抜き”を否定した。平川氏は、給付金支給事業の執行トップだ。
しかし、報道陣に「総事務費の97%を電通に丸投げし、関係が深パソナトランスコスモスに再委託することが“仲間内”での分け合いに見えてしまう」と指摘されると、「巨額の公金を扱う上で、今回は我々の中で一番よい方向をとれた」「さほど特殊な仕事のしかたではない」と半ば開き直った。》
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/274328

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4)【人事】白泉社 2020年6月5日付

1)組織の変更

総務部に「ICT推進室」を設置する。(Information and Communication Technology 情報伝達技術)

2)役員担務委嘱変更

小見山 康司
新:取締役 販売部・制作部・海外営業部担当 兼 販売部(海外営業部部長兼務を解く)
旧:取締役 販売部・制作部・海外営業部担当 兼 販売部・海外営業部部長

3)昇任および所属変更

佐藤 幹
新:海外営業部部長
旧:海外営業部部長代理

丹治 美佐子
新:総務部部長代理
旧:総務部部次長

中澤 章一
新:デジタル事業部部長代理
旧:デジタル事業部部次長 兼 デジタル営業課課長

安藤 三四郎
新:キャラクタープロデュース部部長代理
旧:キャラクタープロデュース部部次長

佐久間 崇
新:編集総務部部長代理 兼 編集総務課課長
旧:編集総務部部次長 兼 編集総務課課長

市川 育秀
新:デジタル事業部部次長 兼 デジタル編集室室長(花丸担当) を命ずる
旧:デジタル事業部 デジタル編集室室長(花丸担当)

佐藤 善丈
新:制作部部次長 兼 制作課課長 兼 カスタマー室室長
旧:制作部制作課課長 兼 カスタマー室室長

鈴木 敏成
新:総務部部次長 兼 ICT推進室室長
旧:総務部総務課課長

加藤 宏子
新:海外営業部部次長
旧:海外営業部海外営業課課長

塚田 浩
新:販売部部次長
旧:販売部販売1課課長

松谷 佳子
新:経理部部次長 兼 情報システム室室長
旧:経理経理課課長 兼 情報システム室室長

東 英夫
新:デジタル事業部 デジタル編集室室長(校閲担当)
旧:デジタル事業部 デジタル編集室室長代理(校閲担当)

片貝 健司
新:コンテンツビジネス部 コンテンツビジネス課課長
旧:販売部販売1課課長代理

岡田 純子
新:海外営業部海外営業課課長
旧:制作部制作課課長代理

小野 朝子
新:デジタル事業部デジタル営業課課長
旧:デジタル事業部 デジタル営業課課長代理

田島 尚子
新:出版部出版編集長
旧:出版部出版副編集長

近藤 多喜子
新:kodomoe編集部 kodomoe編集長
旧:kodomoe編集部 kodomoe副編集長

山下 雅弘
新:デジタル事業部デジタル編集室室長代理 (Love Jossie担当)
旧:デジタル事業部 デジタル編集室副室長 (Love Jossie担当)

秋田 修
新:デジタル事業部デジタル営業課課長代理
旧:デジタル事業部 デジタル営業課副課長

藤原 彰人
新:デジタル事業部デジタル編集室副室長
旧:デジタル事業部デジタル編集室主任

西山 桂輔
新:キャラクタープロデュース部 キャラクタープロデュース室副室長
旧:キャラクタープロデュース部 キャラクタープロデュース室主任

宮尾 陽
新:総務部総務課副課長 兼 ICT推進室副室長
旧:コンテンツビジネス部 コンテンツビジネス課主任

4)所属変更

森 綾子
新:kodomoe編集部部次長 兼 kodomoe編集長(出版担当)
旧:kodomoe編集部部次長 兼 kodomoe編集長

町田 毅郎
新:経理部部次長 兼 経理課課長
旧:経理部部次長

神永 友里恵
新:編集総務部 編集総務課副課長
旧:出版部出版副編集長

徳重 綾加
新:MOE編集部MOE副編集長
旧:第1編集部花とゆめ副編集長

萩原 淳
新:出版部出版編集主任
旧:第3編集部ヤングアニマル編集主任

長谷川 翔悟
新:第1編集部花とゆめ編集主任
旧:宣伝部宣伝課主任

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5)【深夜の誌人語録】

編集という仕事では、何をするかよりも何をしないかを決めることが先決である。