【文徒】2020年(令和2)12月2日(第8巻223号・通巻1880号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】日販「2020年間ベストセラー」
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2020.12.2 Shuppanjin

1)【記事】日販「2020年間ベストセラー」

日販が「2020年間ベストセラー」を発表した。総合のベスト10は次のとおりだ。
1「鬼滅の刃 しあわせの花」 集英社
2「鬼滅の刃 片羽の蝶」集英社
3「あつまれ どうぶつの森 完全攻略本+超カタログ」 徳間書店
4「鬼滅の刃 風の道しるべ」 集英社
5「あつまれ どうぶつの森 ザ・コンプリートガイド」 KADOKAWA
6「WORLD SEIKYO」 2020年春号  聖教新聞社
7「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」 新潮社
8「ケーキの切れない非行少年たち」 新潮社
9「世界一美味しい手抜きごはん」KADOKAWA
10「鋼鉄の法」 幸福の科学出版
第1位と第2位を占めたのは「鬼滅の刃」のノベライズであった。「鬼滅ノベライズ」は第4位にもランクインした。この4位を挟むのがゲーム「あつまれ どうぶつの森」の攻略本である。コロナ禍の2020年を象徴している順位だ。
単行本フィクションのベスト5は次の通りだ。
1「流浪の月」 凪良ゆう 東京創元社
2「少年と犬」 馳星周     KADOKAWA
3「半沢直樹 アルルカンと道化師」池井戸潤 講談社
4「クスノキの番人」 東野圭吾 実業之日本社
5「オーバーロード(14)」丸山くがね KADOKAWA
単行本ノンフィクションのベスト3位は次の通りだ。
1「WORLD SEIKYO」 2020年春号
2「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」 新潮社
3「鋼鉄の法」 幸福の科学出版
宗教団体系の出版物が相変わらず強い。
単行本実用のベスト3は次の通りだ。
1「世界一美味しい手抜きごはん」 KADOKAWA
2「はじめてのやせ筋トレ」 KADOKAWA
3「見るだけで勝手に記憶力がよくなるドリル」 サンマーク出版
KADOKAWAが大健闘している。
単行本ビジネスのベスト4は次の通りだ。
1「人は話し方が9割」 すばる舎
2「FACTFULNESS」 日経BP
3「『繊細さん』の本」 飛鳥新社
4「嫌われる勇気」 ダイヤモンド社
ビジネス書はロングセラーが強かった。
新書ノンフィクションのベスト10は次の通りだ。
1「ケーキの切れない非行少年たち」 新潮社
2「一切なりゆき」 藝春秋
3「還暦からの底力」 講談社
4「自分のことは話すな」 幻冬舎
5「空気を読む脳」 講談社
6「世界のニュースを日本人は何も知らない」 ワニブックス
7「夫のトリセツ」 講談社
8「バカの国」 新潮社
9「偽善者たちへ」 新潮社
10「なんのために学ぶのか」 SBクリエイティブ
新書フィクションのベスト10は次の通りだ。
1 「JUMP j BOOKS 鬼滅の刃 しあわせの花」 集英社
2 「JUMP j BOOKS 鬼滅の刃 片羽の蝶」 集英社
3 「JUMP j BOOKS 鬼滅の刃 風の道しるべ」 集英社
4 「JUMP j BOOKS 劇場版 鬼滅の刃 無限列車編 ノベライズ」 集英社
5 「JUMP j BOOKS ONE PIECE novel LAW」 集英社
6 「JUMP j BOOKS ハイキュー!!ショーセツバン!!」(13) 集英社
7 「JUMP j BOOKS ハイキュー!!ショーセツバン!!」(12) 集英社
8 「JUMP j BOOKS 呪術廻戦 夜明けのいばら道」 集英社
9 「C★NOVELS Fantasia 女王と海賊の披露宴」 中央公論新社
10 「JUMP j BOOKS 呪術廻戦 逝く夏と還る秋」 集英社
中央公論新社の健闘を称えるべきだろう。それにしても、この領域集英社の独壇場になってしまった。
庫のベスト10は次の通りだ。
1 角川庫「AX アックス」 伊坂幸太郎 KADOKAWA
2 集英社庫「マスカレード・ナイト」 東野圭吾 集英社
3 光庫 「素敵な日本人」 東野圭吾 光
4 創元推理庫 「屍人荘の殺人」 今村昌弘 東京創元社
5 新潮庫 「ペスト」 アルベール・カミュ 宮崎嶺雄訳 新潮社
6 新潮庫 「ホワイトラビット」 伊坂幸太郎 新潮社
7 幻冬舎庫「糸」 林民夫 幻冬舎
8 角川庫 「青くて痛くて脆い」 住野よる KADOKAWA
9 幻冬舎庫 「大河の一滴」 五木寛之 幻冬舎
10 講談社庫 「罪の声」 塩田武士 講談社
コミックスのベスト10は次の通りだ。
1 「鬼滅の刃」(18) 集英社
2 「ONE PIECE」(95) 集英社
3 「SPY×FAMILY」(3) 集英社
4 「鬼滅の刃 公式ファンブック」 鬼殺見聞録 集英社
5 「進撃の巨人」(30) 講談社
6 「キングダム」(57) 集英社
7 「約束のネバーランド」(17) 集英社
8 「僕のヒーローアカデミア」(25) 集英社
9 「五等分の花嫁」(13) 講談社
10 「ハイキュー!!」(41) 集英社
講談社が辛うじて「進撃の巨人」と「五等分の花嫁」をランクインさせているが、残りは集英社が占拠している。もしかするとこの傾向は来年もつづく?
https://www.nippan.co.jp/news/bestsellar_20201201/

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2)【本日の一行情報】

産経新聞が11月29日付で掲載している石原千秋芸時評にこんなくだりがあった。
《旧聞に属するが、「女性はいくらでも嘘をつけますから」発言の杉田水脈議員に読んでおいてほしかった。その後、「嘘をつくのは性別に限らないこと」と訂正したようだが、いままさに過去の桜に関する嘘が暴かれている男性もいる。
しかし問題は、フロイトの「冗談は本音である」という説を参照すれば、「失言は本音である」ことだ。杉田議員の発言はおそらく自民党の「本音」であって、杉田議員は組織の中で「本音」を言う役割を担っているのだろう。いつの時代にもそういう役割の人はいる。》
https://www.sankei.com/life/news/201129/lif2011290021-n1.html

◎マガジンハウスの「Dr.クロワッサン」。今回の特集は「新型コロナ インフルエンザ 感染症に負けない、カラダをつくる。」も良いけれど、私がこっそりと買ったのは「anan特別編集 Bright to Win『2gether』のすべて。」だ。
https://magazineworld.jp/books/paper/5460/
https://magazineworld.jp/books/digital/?83875454AAA000000000
配信ドラマを見ていると、これまでのテレビが「不自由」に感じてしまう。そういうオーディエンスは多いのではないだろうか。良質な配信ドラマによって私たちは見たいときに見る自由を謳歌できるようになったのである。

◎「エイガドットコム」は11月30日付で「Netflix、84年ぶりの快挙なるか 米アカデミー作品賞歴代最多ノミネート記録更新の可能性」を公開している。デビッド・フィンチャーの「Mank マンク」、アーロン・ソーキンの「シカゴ7裁判」、スパイク・リーの「ザ・ファイブ・ブラッズ」の他にも、ジョージ・C・ウルフの「マ・レイニーのブラックボトム」、ジョージ・クルーニーが監督・製作・脚本をつとめる「ミッドナイト・スカイ」、メリル・ストリープとニコール・キッドマンが共演するミュージカル「ザ・プロム」が年内中に配信される。
https://eiga.com/news/20201130/6/
確かに物凄いラインナップだ。

リクルートマーケティングパートナーズが企画制作する妊娠・出産・育児の情報サービス「ゼクシィBaby」は、妊娠・出産情報誌「ゼクシィBaby 妊婦のための本 3周年記念号」を11月30日に発行するが、同社では2020年7月より妊娠・出産の基礎知識やノウハウが詰まった毎号約200ページの情報誌を「ゼクシィBaby」会員の妊婦の自宅まで無料で配送している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000352.000025184.html

毎日新聞は12月1日付で「#排除する政治~学術会議問題を考える『まるでモラハラのよう』 矛盾だらけの『改革』論議 名大・隠岐さや香教授」を掲載している。
《「フランスのブルボン王朝の出来事かと思うほど、前近代的なことが起きた」。菅義偉首相が日本学術会議の新会員候補6人を任命拒否した問題。学術会議の連携会員で、パリの科学史を研究してきた隠岐さや香・名古屋大大学院教授はこう表現する。5年前、学術会議のあり方を考える有識者会議の委員を務めた隠岐さんには、政府の今回の対応が「学術界に対するモラハラ」に見えるという。》
https://mainichi.jp/articles/20201130/k00/00m/010/215000c

下山進が「サンデー毎日」で連載している「2050年のメディア 第38回 部数を伸ばし続ける唯一の週刊誌 英『エコノミスト』の秘密」で次のように書いている。
《…この雑誌が現在も部数を伸ばし続けている理由を、同誌が、ニュースを報道する雑誌(これはネットに代替されてしまう)ではなく、世の中に起こっている事柄を「分析」し、その意味を「解釈」し、そして将来を「予測」する雑誌だからだと考えるにいたった。
https://mainichi.jp/sunday/articles/20201130/org/00m/040/001000d
分析し、解釈し、予測することが本来のジャーナリズムの役割なのだろう。事実の羅列は、その入口に過ぎまい。主張を優先するあまり、事実の羅列すら疎かにするのはジャーナリズムではなくプロパガンダということになろうか。

朝日新聞は12月1日付で社説「ネット中傷対策 試行錯誤を重ねながら」を掲載している。
《裁判手続きの整備や被害相談に応じる仕組みの強化に力を入れるのはもちろんだが、SNSなどを運営するプラットフォーム事業者の責任も重い。
総務省はこの夏、海外勢を含む事業者から不適切な投稿への取り組み状況を聴取した。だが具体的で納得できる説明がされたとは言い難く、外国の本社任せのような回答もあった。社会的責任の大きさを自覚し、早急に態勢を整えるべきだ。
ツイッター社が事実と異なる投稿に警告表示をしたり、大統領選前にリツイート機能を見直したりして関心を集めた。事業者の介入をどこまで是とするか、国内でも議論を深めたい。》
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14714790.html

毎日新聞は11月30日付で「学術会議任命拒否『100%デマですやん』 ある日ウィキペディアに自分の名前が載ってしまったら…」を掲載し、千人計画の参加者リストに名前を入れられてしまった雲南大助教のケースを取り上げているが、次のように書いている。
《島袋さんのようなデマはすぐに改善されたが、著名人をはじめ、デマの被害者は他にも大勢いるようだ。日本では19年4月の東京・池袋の暴走事故の運転手や、20年1月に不倫が報道された俳優東出昌大さんのページで虚偽の書き込みが相次ぐ「荒らし」が起きている。
ある日、自分に関するデマがネット上に出現……。島袋さんに起きたことは、誰にでも起きうるのだ。》
https://mainichi.jp/articles/20201127/k00/00m/040/171000c

徳間書店は、スタジオジブリ初の全編3DCG長編アニメーション「アーヤと魔女」を手掛けた宮崎吾朗監督の素顔に迫る「どこから来たのか どこへ行くのか ゴロウは?」を12月2日(水)より発売する。宮崎吾朗の実像に迫る聞き手は何と上野千鶴子
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000307.000016935.html

東京新聞は11月30日付で「没後50年 三島由紀夫を読む 芸評論家・田中美代子さんに聞く」を掲載している。
《田中さんが考える三島学の魅力は、定評ある章や構成、古今東西の化への知識、実はサービス精神豊かなエンタメ(娯楽)性。そして「タブーなく書きながらも、厳しいモラルがあるところ。弓のように引き絞られたものがちゃんとある」。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/71390/

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3)【深夜の誌人語録】

思いはブレーキにもアクセルにもなるから厄介だ。