【文徒】2021年(令和3)3月29日(第9巻57号・通巻1954号)つづき

東京五輪開会式の演出の実質的な責任者だったMIKIKOはツイッターで「一連の報道に関しまして」を発表した。
《一連の報道に関しまして、ただただ戸惑うとともに、一方で何もお答え出来る立場にはないと考え、コメントを差し控えさせていただいておりました。しかし、日々目まぐるしく情勢の変わる中、この問題が長引くことで、選手の皆様はじめ今まさに大会開催に向けて頑張っていらっしゃる方々が集中できない一因になるのであればとても苦しく、やはり私自身の口から思いをお伝えする責任があると考え直し、コメントを発表させて頂くことにしました。
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2020年3月24日、新型コロナウイルスの感染拡大により、東京オリンピック・パラリンピックの1年程度の延期が決定しました
延期前、私はオリンピック開閉会式の執行責任者として、500名近くのスタッフ、キャスト、更にその先にいらっしゃる直接お会いすることは出来なかった数多くの関係者の方々の才能と時間をお預かりしておりました。
その中には渡辺直美さんもいらっしゃいました。
開閉会式の準備も一時停止が告げられ、再開の際は連絡をいただけるとのことでした。
延期から約6ヶ月後の去年の10月、今後について皆様に何もご連絡できていない中で、これ以上お待たせするわけにはいかないと思い悩み、勇気を出して私から電通に問い合わせを入れました。その際、すでに別の演出家がアサインされ、新しい企画をIOCプレゼン済みだということを知りました。11月になって新しい企画、新しい演出家のもとで改めてオファーを頂きましたが、その企画に一から関わっていない以上、責任が取れるものではありませんでした。
形は変わったとしても従前の制作物で活かせる部分は有効活用すべきだと考えておりました。また、これまでの企画案に尽力してきていただいた皆様との関係で道義にも反していると感じました。世界中がコロナの恐怖と悲しみに包まれている中で開催されるオリパラのセレモニーのあり方を考えた時に、このような疑問を持ちながら参加するわけにはいかない、と悩み抜いた上で辞任の決断に至りました。
「もし時間が巻き戻せるなら、このコロナ禍のセレモニーで、何を伝えるのか、何が出来るのかを全員で話したかった」
オリンピック・パラリンピックのプロジェクトをサポートして下さっていたある尊敬するスタッフの方の言葉です。
延期前まで精魂込めてセレモニーに向き合ってきた方々としっかりコミュニケーションをとり、無駄のない前向きな新しい企画を全員の力を合わせて一緒に作りたかったです。
実際に手を動かして下さっていたスタッフ、キャストがしっかり輝いて、評価されるセレモニーにしたい。
4年に一度のこの舞台の為に、命を燃やしてこられた世界中のアスリートの方々を激励するセレモニーにしたい。
世界中からここ東京に集える奇跡を讃え合いたい。
その思いを胸に、2016年のリオ閉会式からこの案件に関わってきた人間として、最後まで成し遂げたいと何とか踏み止まってきましたが、叶いませんでした。
この思いは今後の作品で形にしてお返しします。
私たち世代が未来に残さないといけないものは何なのかを真剣に考えます。
伝えたい人に届く方法を自分なりに前向きに探し続けて参ります。
個人として、組織の一員として、あるいは組織そのものとして、それぞれのお立場での正義があるのだと思います。
もうこれ以上の発言はせず、目の前の一つ一つの仕事に心を込めて向き合っていくことが、私にとっての正義です。
ご理解頂けると幸いです。
もし東京オリンピックパラリンピックが開催されるのであれば、日本が世界に誇れる、子どもたちに誇れる、開催できた全てのことや全ての人に、感謝を届けるセレモニーになって欲しいと心から願います。
そして、国籍、性別、年齢、容姿に関係なくそれぞれが持って生まれた個性を尊重し喜び合える世界になることを祈っています。
なお、体調に関してはおかげさまで快方に向かっております。
ご心配の声を沢山頂いたのにも関わらず、すぐにコメントが出せず申し訳ございませんでした。
まだまだ寒暖差の激しい日々が続きますが、皆様何卒ご自愛ください。》
https://twitter.com/mikiko_san/status/1375395260512133127
https://elevenplay.net/mikiko_comment_20210326.pdf
https://digital.asahi.com/articles/ASP3V7D4LP3VUTIL05K.html
茂木健一郎MIKIKOを引用ツイートしている。
《配慮の行き届いた、そして筋の通った立派なステートメント。真情が伝わってきて心が動かされる。MIKIKO先生の当初の案で渡辺直美さんも参加して開会式ができればいい。》
https://twitter.com/kenichiromogi/status/1375461361820438528
ポケモンGO」のNiantic・川島優志も引用ツイートを発表している。
MIKIKOさんのコメントを読む。心が痛い。春の記事も読んだ。多様性の欠如が、特に危機において、いかに誤った判断をもたらすことか。ここまで苦しめられながら、前を向こうとしている @mikiko_sanに心からの敬意を。これからもずっと応援しています。》
https://twitter.com/mask303/status/1375466217792696326
田端信太郎の引用ツイート。
《こんな失礼な話ある? 佐々木宏なぞ、このまま引退しちまえ。》
https://twitter.com/tabbata/status/1375447473229983747
これは毎日新聞記者・荒木功。
《1年延期になった後、知らぬところで東京オリンピックは別物になってしまっていたのではないかと感じました。》
https://twitter.com/vyg02343/status/1375416566649524227
1年延期になったことによって本質が露呈してしまったとも言えよう。

◎学研プラスは、3月25日(木)に「やさしい中学」シリーズ改訂版を発売した。1冊で中学3年分の内容を学べるロングセラーが、学習指導要領改訂に対応してリニューアルした。これが売れているようだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003261.000002535.html
教科書のデジタル化にともなって学参がどうデジタルシフトするのかは見物である。

朝日新聞は3月27日付で社説「デジタル教科書 導入に向け環境整えよ」を掲載している。
部科学省の有識者会議が、小中学生向けデジタル教科書の「本格的な導入」を求める中間提言をまとめた。時期を小学校の教科書が改訂される24年度と明記し、「紙」からの全面切り替え、紙との併用など、いくつかの選択肢を示している。
すでに実験的にデジタル版を使っている学校からは、字や図表、写真を拡大できるだけでなく、動画や音声の利用も可能になり、子どもたちの理解が深まるとの報告がされている。》
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14848848.html?iref=pc_rensai_long_16_article

マガシークは、NTTドコモと共同運営するファッション通販サイト「d fashion」で、3月27日(土)よりファッション誌「GISELe」(主婦の友社)との誌面連動企画の第八弾を開始している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000047.000052613.html

主婦の友社は、チャンネル登録者数100万人を達成したYouTuberヘラヘラ三銃士初のスタイルブック「時代はヘラヘラ三銃士」を3月19日(金)に発売した。するとネット書店の総合ランキング第1位を獲得し、発売即重版が決定した
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001576.000002372.html

◎「2020年 CREATOR OF THE YEAR賞」(日本広告業協会)は電通第5CRプランニング局グループ・クリエーティブ・ディレクター・眞鍋 亮平に決まった。ポカリスエット2020「ポカリNEO合唱」やアシックス 「ぜんぶ、カラダなんだ。」「ASICS FIRST RUN」などのクリエイティブワークが評価された。
https://www.jaaa.ne.jp/2020_coy_award/

ジェトロ・スタートアップ支援課は、学習まんがの企画において豊富な実績のある小学館 の第四コミック局コミックス企画室とのタイアップ企画として、J-Startupの一社であり、世界初の「人工流れ星」の実現を目指す民間宇宙スタートアップの協力のもと、学習まんがを企画した。この企画は支援対象であるJ-Startupの1社に焦点をあて、本気で世界を変えようとするスタートアップ創業者の挑戦を紹介することを通じ、次代をけん引するスタートアップや起業に挑戦する若者を増やすべく、夢の実現への想いを載せたメッセージを届けることを目的としている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000038.000071241.html

アニプレックスは、集英社WEBコミックサイト「となりのヤングジャンプ」で連載されている「明日ちゃんのセーラー服」をTVアニメ化することを決めた。
https://www.oricon.co.jp/news/2188537/full/
今度は「となりのヤングジャンプ」か。

◎「劇場版 呪術廻戦 0」が2021年冬に公開される。
https://twitter.com/animejujutsu/status/1375494601784532992

◎ネイチャーラボは、メンズケアブランド「MARO」(マーロ)とTVアニメ「呪術廻戦」のコラボシャンプーボトルを渋谷n-space(エヌスペース)で3月30日より先行発売する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000262.000017718.html

◎棚園正一「学校へ行けない僕と9人の先生」(双葉社)の続編となる「学校へ行けなかった僕と9人の友だち」が双葉社から発売された。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000227.000014531.html
棚園正一がツイートしている。
《本日3月27日発売です!!
今の自分に描けること全部詰め込んだつもりです。
"生きづらさを抱える、すべての人へー"
不登校・ひきこもりに苦しまれている方々に関わらず、広く沢山の方々に読んでもらえたら嬉しいです》
https://twitter.com/tanazono/status/1375586826052722688
映像化が待たれる企画だ。

東京新聞は3月27日付で「電通の『働き方改革』波紋 中高年社員の早期退職募り、4月から個人事業主に」(久原穏)を掲載している。
電通が中高年社員の「セカンドキャリア」を支援するとして4月から本格的に始まる制度が議論を呼んでいる。40歳以上の希望者を早期退職させ個人事業主にして仕事を発注するが、個人事業主は労働法で守られずさまざまなリスクを負う。コロナ禍でも苦境に陥っている個人事業主は多く、こうした手法が広がれば安全網のない働き手が増える懸念がある。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/94031

宇野重規朝日新聞の書評委員を降りることになった。宇野本人ツイッターで、こう報告している。
《朝日の書評委員としての最後の原稿。前向きなメッセージで終えられて良かった。本を通じて多くの読者に繋がれて幸せだったことを、特にこの半年強く感じた。》
https://twitter.com/unoshigeki/status/1375578249951027200
宇野が最後に取り上げたのは山本芳久の「世界は善に満ちている トマス・アクィナス哲学講義」(新潮社)であった。
《評者は政治学者であり、ややもすれば世界や社会の悪や不正にばかり目が行きがちである。それでも「絶望しすぎてはいけない」、「憎しみより愛が根底的である」という本書のメッセージを大切なものであると思う。》
https://book.asahi.com/article/14306109

◎三栄の女性ファッション誌「FUDGE」(ファッジ)が、「日本音楽高等学校」の制服リニューアルをプロデュースした。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000492.000023526.html

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3)【深夜の誌人語録】

時は妥協も忖度も何もせず、ただ冷酷に過ぎてゆく。

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4)【お知らせ】 

」2000号まで、あと46号。