【文徒】2021年(令和3)3月30日(第9巻58号・通巻1955号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】與那覇潤が「論座」で呉座勇一を擁護したけれど
2)【記事】日テレ「バンキシャ!」で宮本亜門が五輪中止の意思表明
3)【記事】平野甲賀の訃報記事から一週間が過ぎた
4)【本日の一行情報】
5)【深夜の誌人語録】
6)【お知らせ】 
----------------------------------------2021.3.30 Shuppanjin

1)【記事】與那覇潤が「論座」で呉座勇一を擁護したけれど

歴史学者の與那覇潤が「論座」に3月28日付で「呉座勇一氏のNHK大河ドラマ降板を憂う 『実証史学ブーム』滅亡の意味」を発表している。
《不思議なのは私よりもはるかに呉座氏と親交が深く、彼の今後に期するところもあるはずのそうした識者たちが、それこそ実証的に言を読み解けば不当だと論証できる非難まで呉座氏に浴びせられるのをただ傍観し、我関せずを装っていることである。いったい彼らにとって、実証とは、あるいは学問とは、なんのためにあるのだろうか。》
《呉座氏というシンボルを損なった「実証史学ブーム」なるものは、今回の騒動を最後に雲散霧消し、歴史学それ自体の意義を顧みる人も、やがて誰もいなくなるだろう。私個人としては、それはそれでもうかまわないとも思う。
しかしそのことが、一時的な激情ではなく「過去に発された言葉の積み重ね」によって営まれる公正さの終焉を意味するとき、私たちの社会は多くのものを失うだろう。そして夕空に舞う雲雀を見て落とす涙は、より好ましい秩序がやがて再生することを、もはや予告しないのである。》
https://webronza.asahi.com/national/articles/2021032600009.html?page=1
私は與那覇のように呉座を擁護することはできないのだが、與那覇はこう北村紗衣を紹介している。この紹介の仕方からして透けて見えるのは・・・。
《発端は、フェミニストとしての批評活動でも知られる北村紗衣氏(英学)との論争である。》
北村は見逃さない。こうツイートしている。
《「フェミニストとしての批評活動でも知られる北村紗衣氏(英学)」って、ひょっとしてこの著者、フェミニスト批評とかフェミニズム批評を知らない…のか?》
https://twitter.com/Cristoforou/status/1376095075210461185
北村は、こうもツイートしている。
《アカデミア一般の性差別、ハラスメントを矮小化しているだけにしか見えないし、「呉座氏は北村氏以上に、知名度のある学者である」って、そもそもこの脈で知名度の話を出してくる時点でダメでしょ。》
https://twitter.com/Cristoforou/status/1375987806070132741
山口智美は與那覇潤の章を読んだが、無駄な時間を費やしたと切って捨てている。
《性差別の問題は軽視しつつ、的外れな方向に持っていき、言い訳を入れつつも呉座氏を擁護する役割しか果たしていない感じの記事で、読んでしまって無駄な時間を費やしたわ。》
《端端に見えるのが「フェミニズムの方向性が間違えているのではないか」という批判は当然的な視点。呉座氏も與那覇氏も私は全く面識もなくよく知らないが、フェミニズムにコミットしてきた人たちという印象はない。専門性や関わりがなくても、フェミニズムら批判できると思うのかといういつもの光景。》
https://twitter.com/yamtom/status/1376002711506722821
東京大学総合化研究科教授の清水晶子が山口をリツイートしている。
《構造的な差別を背景とするハラスメントについての「それは個人間で解決可能な個人間の問題」との主張は、ハラスメントの被害を軽く見積もりつつ同時に加害責任を個人化もするわけで、一見呉座氏を擁護するように見えるこの記事が本当に守っているのはアカデミアの男性中心主義なのでは、とも感じる。》
https://twitter.com/akishmz/status/1376006667112914948
沈黙することによって洞ヶ峠を決め込んだ実証史学の研究者たちが守ろうとしているのは、「アカデミアの男性中心主義」なのかもしれない。
「戦う姫、働く少女」(堀之内出版)の河野真太郎は次のように與那覇潤を批判している。
《北村さんに現在進行形で向けられている暴力を問題にする前に呉座氏への「不当な批判」を問題にすることが何なのか、分かっていらっしゃるのでしょうか。それは「別の話」ではあり得ない。》
https://twitter.com/shintak400/status/1375995039889850371
日本初のウェールズ小説集「暗い世界」(堀之内出版)も河野の仕事だ。「系と理系はなぜ分かれたのか」(星海社新書)隠岐さやかは科学史家だ。
《被害者の二次被害のことよりこの話題が先に影響力のある媒体で出るのが日本の問題だと思う。
あと医学部入試女子学生差別について著者は事態を全く理解していないと思しき記述になっている。》
https://twitter.com/okisayaka/status/1375999252430606336
「反ヘイト・反新自由主義の批評精神」(寿郎社)の岡和田晃のツイート。
《與那覇潤氏の記事に見受けられる呉座問題の擁護ですが、呉座氏が濫用していたカジュアルなネットジャーゴンとしての、「在日問題も『帰化しろ』で終了してしまう」発言を批判する行為を、「切り取り」だと評している。雑に「帰化しろ」と言われる側への想像力がまったくない。》
https://twitter.com/orionaveugle/status/1376006509373493248
外山恒一フェイスブックに次のように投稿していることも承知している。
《呉座勇一氏の唯一の非は、何の非もないのに非を認めてスゴスゴと退散したことである。そんなことを繰り返すからポリコレどもがますます増長するのだ。自らのプライドを守りきることもできない、脆弱な、青白い人系インテリには困ったものだ。》
《與那覇潤氏による呉座勇一氏擁護の論説 は、現状まあ相対的には勇敢なものではあろうが、何ら非のない呉座氏の非をムリヤリ指摘してポリコレ派に媚を売っている時点で結局は擁護になっていない。ったくどいつもこいつも覇気のない脆弱なインテリばかりだ。》
https://www.facebook.com/koichi.toyama.35/posts/2322961197847796?__cft__[0]=AZX2_NaCbVq948abZk09MYEcGA7fqtjiWQ_Cw34GSvqR0ml2fDniutvsyXeZ6IBtTL06vLZ4v_PO0UdT5HfhRj1cpyJfBFhHH7kJef-e6qCFyW-McsKJlIRhEy6rEmwteQM&__tn__=%2CO%2CP-R
「日韓歴史認識問題とは何か 歴史教科書・『慰安婦』・ポピュリズム」の木村幹が次のような連ツイを発表している。
《「呉座騒動」について與那覇さんが書いた章、というセットアップ。自分はいろいろと考えさせる所があって辛い。二人とも間違いなく突出した才能だったのに、どうしてこうなったのか。北村先生の置かれている困難な境遇と併せて、今のうちの業界のどこかに深刻な問題があるような気がする。以下雑感。》
《自分が理解している限り、與那覇さんが書いているように、呉座さんの持っている突出した才能は、実証主義的な能力以上に「全体を大づかみして描写する能力」であり、その意味で(大雑把さの度合いが違うとはいえ)両者はとても似た強みを持っていると思う。問題は、実証との関係の取り方かもしれない。》
《與那覇さんは実証を重視する人たちの関係づくりに失敗し、猛烈に批判にさらされ、挫折する事になった。他方、呉座さんはネット言説上、本来の強みと違う「実証を代表する」立場に立たされたものの、「イデオロギー的なもの」を捨てきれなかった。結果、イデオロギー的なものだけが炙り出された。》
《両者が共に実証主義に何の拘りを持たず、無邪気に「フレームワークを打ち出す」事だけに徹する事が出来、しかも周囲がそれを生産的に受け止める事が出来ていれば、事情はもっと違うものになったのかもしれない。》
《だから自分はやっぱり研究の世界の問題を指摘するのは重要だと思う。二人とも(強みの違いこそあれ)実証もパラダイム作りもそれなりに出来た突出した才能だと思う。そしてこの二つの部分は分けて評価されてしかるべきだった。実証論は実証で、そしてパラダイム作りはそのパラダイムで。》
《自分は與那覇さんには、彼が自らのパラダイムに関わる議論をどうやって実証で埋めてくるか、が見たかったし、呉座さんには自分の持つイデオロギー的傾向性にネガティブな部分を含め、ネットで吐き出すのではなく、研究の中で回収して欲しかった。若い彼らにはそれ位の時間が与えられてもよかった。》
《自分は一時期同じ様な境遇にあったけど、家族や院生さんたち、そしてお医者さんにも恵まれて、人生を立て直す時間が貰えた。だから、自分が甞て作った「大きなパラダイム」を少しずつ実証で補える時間を貰った。だから彼らにも、そんな機会をもう一度持ってほしいと思う。》
《正直、イデオロギー的な方向性とは全く別に、「状況を大胆に描写できるが故の大きすぎるリスク」は、北村先生もまた持っているので、(全く大きなお世話であることを承知の上で)心配になっている。すいません。》
https://twitter.com/kankimura/status/1376160659793092608

https://twitter.com/kankimura/status/1376172986227564550
「新世紀ゾンビ論」(筑摩書房)の藤田直哉も次のような連ツイを発表している。
《検索して見てみたけど、誹謗中傷に声をあげた女性研究者への攻撃は酷すぎるし、多すぎるね… 声を上げること自体は正当で、抑制的だったし、処分だって重すぎるものにはならなかった。にも関わらず、被害者にこれほどの攻撃が来るとは… やっぱり異常だよ、やってる人。》
《常日頃からこんな感じだったら、確かに抑圧感や恐怖感あるだろうし、表現の自由も名目だけだろうし、これを食らわない男性は下駄を履いて特権があると言われても仕方がないだろうね。》
《男性が下駄を履かされている、特権があると言われてもちょっとピンときにくかったが、女性が女性であるだけで、意味も必要もなベルセルクみたいに魑魅魍魎が足を引っ張り続けられているのを見ると、確かに下駄だわ。》
《自戒と反省をこめて言えば、悪気なくとも、女性の受けている経験が分からないのは、被害や実態が見えなくて分からないからで、しかし見えないのは、女性が語るだけで攻撃し抑圧し隠蔽しようとする暴力の結果だと言うことがよく分かる。》
《こんな恒常的な抑圧と暴力によって黙らされ、素直な考えや気持ちや経験を話すこともできず、実態を発信することもできなければ、世の中の多くの人が感じて認識している世界というのは、実質的に、検閲がある中国のネットが提供する世界像と近いような幻想的なものかもしれない》
《フェミやリベラルが抑圧する! 表現の自由の侵害だ! と感じる気持ちは分からないでもないが、それより巨大かつ恒常的な抑圧や表現の自由の侵害には何故声をあげないのか、という怒りや反発には妥当なところがあるんじゃないかな。意見を発することの不均衡があれば、健全な民主主義も機能しにくいし》
《見えないのは、SNSの仕組みのせいという部分もあるのかな。攻撃が殺到している人にはすごく見える。その周辺の人にも割と見える。でも、タイムラインを別種に作っている人たちにはほとんど見えなかったりする。意識的に見に行かないと、存在そのものが見えない。》
https://twitter.com/naoya_fujita/status/1375465937357303818

https://twitter.com/naoya_fujita/status/1375600427454984192
こんなツイートも発見した。
《今朝読み終わった『デヴィッド・ボウイ』、著者の田中純さんには書いてくれてありがとうと言いたいが、この本のあとがき的な所で、2016年の表象化論学会で北村紗衣さんの企画・司会でボウイのパネルが開かれたことに触れられていて、北村さんにもありがとうと言いたくなった。》
https://twitter.com/kova41/status/1376359473074216963

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2)【記事】日テレ「バンキシャ!」で宮本亜門が五輪中止の意思表明

3月28日、日本テレビ系「真相報道バンキシャ!」は聖火リレーの模様を伝えた。もちろん、聖火リレーに批判的な報道ではなかった。この番組に生出演していた演出家の宮本亜門にコメントが振られた。宮本もまた聖火リレーを称賛するようなコメントを述べるだろうと私などは思って見ていたのだが、さにあらず。宮本は《「ごめんなさい、炎上覚悟であえて言います」と切り出し、「僕は日本から中止の意思を表明するべきだと思います」と発言》したのである。デイリースポーツは3月28日付で掲載している「宮本亜門『炎上覚悟であえて言います』 東京五輪『日本がNOを!』…TVで発言」は、つづける。
《その理由を「オリンピックは日本だけのものでなく、世界のものであり、先進国だけでなく、後進国のものでもあります。今の感染状況の世界を冷静に見てて、インド、ブラジルを含めて…。皆さん切り裂かれちゃうんですよ、国民の気持ちが」と説明。「皆さんの本当にやりたい気持ち、分かるけれども、今、誰が(東京五輪開催に)ノーを言うか。やはり日本が勇気を持ってNO!ということを期待したい」とメッセージを発した。》
https://www.daily.co.jp/gossip/2021/03/28/0014191367.shtml
英軍事誌ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー東京特派員の高橋浩祐は宮本亜門同様にホリプロの所属のようである。高橋は宮本をデイリースポーツの記事を引用ツイートしている。
ホリプロの先輩、宮本さん。自らの信念に基づき、発言され、尊敬致します。ホリプロには聖火リレーを務められる方もおりますが、「言論の自由」がしっかり健在。素晴らしい!》
https://twitter.com/KosukeGoto2013/status/1376118680774447104
こんな程度の発言で興奮せざるを得ない「私たち」の「言論の自由」に乾杯!安富歩の呟き。
《【普通の考えが炎上する国】》
https://twitter.com/anmintei/status/1376184347493986308
チューリップテレビ出身の五百旗頭幸男は一捻りしてツイートしている。
《多くの人が思っているであろうこんなまっとうな意見を、こんな著名な方が炎上覚悟の勇気を持って言わなければならないこの国が、五輪開催国にふさわしいとは思えません。》
https://twitter.com/yukioiokibe/status/1376228050430423043
これは「凡人エリック」のツイート。
宮本亜門氏が東京五輪中止すべきとコメントしたのは当然の事。
だが今のコロナ禍で東京五輪中止すべきというのになぜ「炎上覚悟」しなければならないのか?今や変異株まで拡大し、全国的に感染拡大に向かっている。それでも五輪強行すべきというなら、明らかに人命軽視でしかない。》
https://twitter.com/No_Zey_2020/status/1376130158394892291
これも「凡人エリック」だ。
《先日の宮本亜門氏の「東京五輪中止すべき」は当たり前の発言。それでも炎上覚悟と前置きしたのは、日本ならではの同調圧力を感じる。
閉塞感ある状況の中、五輪で盛り上がりたい気持ちはわかるが、それでも人命の方が大事。周囲がどうあれ、こうした正論は自分一人だけだとしても貫き通せばいい。》
https://twitter.com/No_Zey_2020/status/1376309285634772993
記者、アナウンサーの郡司真子は宮本亜門に同調している。
《私も中止したほうがよいと考えています。
声を上げる人が増えますように。》
https://twitter.com/bewizyou1/status/1376272933660717056
女優の毬谷友子は宮本発言に涙を流したそうである。
《涙出た。
同世代を生きる演劇の仲間です。》
https://twitter.com/mariyatomoko/status/1376125288799559681
宮本に批判的なツイートも投稿されている。これも紹介しておこう
《映画監督、脚本家、などの職業の人間は、どうしても同業者だけの狭い世界しか知らないから世の中の潮流がわからないのかもしれないなぁ・・・。》
https://twitter.com/itagakishika/status/1376292732159754241
《演劇業界バカしかおらんのか。。》
https://twitter.com/ps20xx/status/1376288153145729024
東京五輪中止論を唱える宮本亜門氏。
彼が関わる舞台公演のチケットは絶賛発売中!》
https://twitter.com/Bbcbuta/status/1376277998316363780
《またしても演劇関係者だ。
彼らは五輪中止が棍棒となって自分達に振り下ろされるという想像ができないのかと毎度不思議で仕方が無い。》
https://twitter.com/Bbcbuta/status/1376276726146166784
《芸術や演劇への公演の規制には批判するのに、スポーツへのリスペクトはない視野の狭さ
そして五輪を目指している選手は演劇や飲食のように補助金寄越せと決して叫ばない》
https://twitter.com/DasReichFurJPN/status/1376133567516876800
《五輪が正しいとも思わないけど、平田オリザ鴻上尚史、野田秀樹、宮本亜門ケラリーノ・サンドロヴィッチ毬谷友子、シライケイタ。
社会や他者に寄り添えない演劇人がこれだけいる。
本当に悲しい。自らの生煮えの政治的偏向から来る欲求を満たすことしか考えていない。》
https://twitter.com/shinsuke600701/status/1376184754177892354

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3)【記事】平野甲賀の訃報記事から一週間が過ぎた

朝日新聞デジタルは3月23日付で「装丁家平野甲賀さん死去 『深夜特急』の題字手がける」を掲載している。
平野甲賀さん(ひらの・こうが=装丁家)22日、肺炎で死去、82歳。葬儀は親族で行った。喪主は妻公子(きみこ)さん。
沢木耕太郎さんの紀行小説「深夜特急」の題字など、のびやかな「描き字」で知られ、7千冊以上の装丁を手がけた。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP3R6373P3RPTLC009.html
世代の違いというわけではないが、私からすると平野甲賀といえばサイのマークの晶社だ。平野甲賀は晶社から刊行された本の装丁を30年刊に渡って一手に引き受けていた。
平野公子がツイートしている。
《皆様がツイッター甲賀さんの仕事を上げて下さるので、そのときの担当編集者さんから、打ち合わせの情景まで浮かんできました。いつも笑いが絶えない、そして皮肉チクリの装丁家でした。
さぁ、来週からみなさんお仕事に向って下さいネ。
ありがとうございました。
 涙の一筋もこぼれない愚妻》
https://twitter.com/sora_kita/status/1376069482485977088
甲賀さんの私への申し送り。
葬式ナシ、黒い服ばかりでツマンナイ。
子ども孫だけで野辺送り。墓はいらない。
読経はニカさんに一度たのんでね。
デザイナーやイラストレーターや舞台人がだれでも見れて再利用できる作業資料室をキミコさんはつくること。
大変ささやかな申し出でした。合点承知。》
https://twitter.com/sora_kita/status/1376230574851956741
シンガーソングライターの二階堂和美平野甲賀の訃報に接して3月24日にツイートしている。
平野甲賀さんが旅立ってしまわれた。せっかく同じ瀬戸内に越してきてくれていたのに、ほとんど会いに行けなかったことが悔やまれてならない。こんな日がくることはわかっていたのに。こんな日は絶対に来る。来るんだ。でも本を見てたらずっと会える。声も聞こえる。甲賀さん、ほんとにありがとう!!》
https://twitter.com/nikaido_info/status/1374472263198666753
これを平野公子が3月29日にリツイートしている。
《ニカさん ありがとう。
甲賀さんはまだお経をあげていただいていません。東京にお骨は5月に戻ります。
いつか東京にニカさんが来られたら、ニカさんに読経していただきたいから、一度だけ。それで充分。
甲賀さんはカクバリズムのみんながどんなに好きだったか!》
https://twitter.com/sora_kita/status/1376227113926238209
二階堂は浄土真宗本願寺派僧侶である。
私などからすると平野甲賀というと晶社なのだが、「無くならない ――アートとデザインの間」を晶社から刊行している佐藤直樹ツイートも紹介しておこう。
平野甲賀さんは今となっては「装丁の人」「描き字の人」なのだろうけれど、日本のデザインシーンの中で傑出していたのは写真植字の使い方だったと思う。度の過ぎた手詰めは「指定」ではなく自ら版下をいじっていたところからきている。》
https://twitter.com/naokisatoasyl/status/1374630242954801156
このツイートに仲俣暁生が次のようにリプライしているのが嬉しい
植草甚一の「一」がタテ組みだと「甚」に接するギリギリでしたよね。私も描き字や甲賀フォントより、アリものの写植や活字の清刷りを最大限に活かす技のほうを、彼の仕事として語り継ぐべきだと思います。とくに極太ゴシック!》
https://twitter.com/solar1964/status/1374688943384322055
ヤギヤスオのツイート。
平野甲賀さん、ザッパの写真をコラージュして原宿セントラルアパート、平野さんの事務所に届けた。1978年か。改めて合掌…
https://twitter.com/yagiyasuo/status/1375758081062182916
植草甚一もそうだが、私にとって平野甲賀ポール・ニザンやスーザン・ソンダク、リチャード・ブローティガンチェーザレ・パヴェーゼとともに本棚に収められているといったほうが正確である。もちろん、中川六平の「ほびっと 戦争をとめた喫茶店 ベ平連 1970-1975 in イワクニ」(講談社)も平野甲賀だ。これまた、「もちろん」となるのだろうが編集は中村勝行

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4)【本日の一行情報】

◎私は鮫島浩の物言いに違和感を抱くことが多いのだが、次のような見立ては、その通りだと思う。自らのブログに「新聞記者やめます。あと64日!【検察と司法記者の癒着にフタをした『賭け麻雀』のおわび】」をエントリし、次のように書いている。
《賭け麻雀問題の核心は「検察と司法記者の癒着」である。なのに朝日新聞社はその核心を覆い隠し、「黒川検事長と彼」に加え「検察と司法記者クラブ」の関係全般を掘り下げて調査することなく、「賭け麻雀と検察報道は一切関係ありません」という結論ありきの「おわび」をあわてて掲げたとしか見えなかったのである。》
しかも、現在の朝日新聞社の経営体制とも絡む問題なのである。
朝日新聞社は7年前の「吉田調書」問題で政治部出身の社長が退任して以降、社会部出身者が社長以下の要職を占め、経営や編集の主導権を握ってきた。なかでも社会部のエリートコースである司法記者クラブ出身者は人事や広報など危機管理にあたる主要ポストを担ってきた。そうした人々にとって「検察と司法記者クラブの癒着」がクローズアップされることは避けたかったに違いない。》
こうも書く。
《「検察と司法記者との癒着」について、なぜ社外の第三者を含めた透明性の高い調査を実施しなかったのか。7年前の「吉田調書」報道取り消し後に第三者を入れ数ヶ月にわたって特別報道部の過去の報道を洗いざらい検証した対応との落差に驚きを禁じ得ない。》
朝日新聞はジャーナリズムよりも「会社の論理」を優先させたのかもしれない。鮫島も書いている。
朝日新聞社がとった対応は、緊急事態宣言・賭け麻雀・渦中の人物の「合わせ技一本」でとにかく「社員」を処分し、世論の批判をしのぐことだった。そこで優先されたのは「組織防衛」だった。ひとりの「社員」が「賭け麻雀」をしたこと以上に、検察取材の実態を覆い隠そうとする新聞社の上層部の姿勢が読者の信頼を失わせたのではないか。》
https://samejimahiroshi.com/newspaper-mahjong-64-20210329/
朝日新聞社の社員・大島大輔は、かつて特別報道部でデスクをつとめ、鮫島と「背中合わせの席に座っていた」のか。

◎こういう書店を訪れたことのある版元の経営者や役員は信用できる。そんな書店のひとつである「BOOKS 青いカバ」のツイート。
《実は青カバは新刊(というのは発売三ヶ月未満の本)を仕入れるのを止めようかとちょっと前に考えた。既刊扱いの本しか置かない。でも、それは本屋として何かを捨てそうだから、あとわざわざ売上を減らすことになるから、やめた。でも本音では既刊本を売ることをどうすれば出来るか、二十年間考えている。》
《でもなぜか返品はできない個人書店をやるようになって、それはそれは矛盾を抱えていますよ。》
https://twitter.com/hippopotbase/status/1375812221968674818
https://twitter.com/hippopotbase/status/1375812224267165704

岩波新書編集部のツイート。
《本は、売れるからこそ重版になります。ロングセラーも、「今」売れているからこそ重版し続けることができます。80年前の本も、40年前の本も、10年前の本も、去年の本も、3カ月前の本も、重版し続けたい。そんな思いでSNSをやってます。どこかの誰かに、「こんな本もあるんだ」と届くと嬉しいです。》
https://twitter.com/Iwanami_Shinsho/status/1375743634448949255
それはその通りだけれど、岩波書店の出版物は「差別正味」に守られているということも忘れてはなるまい。

西荻の今野書店がフェア「編集者竹田純の仕事と周辺」を開催しているそうだ。
https://twitter.com/e_covi/status/1375845353203724289

東京新聞労働組合のツイート。
中日新聞社の「不都合な事実の消去」にあきれる。/昨年分の「中日年表」が社員の自宅に届く。/支局の地鎮祭とか、相談役が死去とか/かなり細かく1年間の社の動向を載せる。
なのに、中日新聞社偽装請負をして/労基署から是正勧告された重大事は載せない。/新聞社として、これじゃダメだろう。》
https://twitter.com/danketsu_rentai/status/1375971891744108547

磯部涼の「令和元年のテロリズム」(新潮社)について、こんなツイートを発見した。
《琵琶湖畔の長浜ホテルで温泉とサウナ。鯖寿司、牛蒡漬物、滋賀産日本酒「七本槍シェリー樽熟成」、焼酎ハイボールを呑みながら磯部涼著『令和元年のテロリズム』。朝倉喬司の犯罪ルポルタージュに共通する時代のアウラを掬い取った傑作だったが、暗澹とした気持ちになる。》
https://twitter.com/griot_sakamoto/status/1375953692097081346
慌てて購入し、一気読み。これが良かった。「ルポ 川崎」(サイゾー)も買うことにした。

みすず書房ツイッターで社員を募集している。
《【正社員募集のお知らせ】書籍編集:編集経験者歓迎。未経験者可。卒業見込予定者不可。随時、書類選考のうえ、選考通過者のみ面接日を連絡いたします。応募要項は https://msz.co.jp/info/about/#recruit
https://twitter.com/misuzu_shobo/status/1376325623103188994
猪谷千香がツイートしている。
みすず書房、「社員数24人」におののいている。このうち編集者は一体、何人なのでしょうか。》
https://twitter.com/sisiodoc/status/1376420525510074372

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5)【深夜の誌人語録】

理想と夢は違う。私は夢を選択する。

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6)【お知らせ】 

」2000号まで、あと45号。