【文徒】2021年(令和3)3月29日(第9巻57号・通巻1954号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】東京オリンピック 聖火リレーは誰のため?何のため?
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
4)【お知らせ】
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1)【記事】東京オリンピック 聖火リレーは誰のため?何のため?

毎日新聞は3月25日付で「聖火リレー、規定超え121日 スポンサー意向、延期も変わらず」を掲載している。
《組織委は、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の3県を重点に回る方針を打ち出し、1964年東京五輪と同様に全都道府県を通過できるようIOCと交渉した。1年延期で簡素化を検討したが、スポンサーの意向もあり、121日間の日程で全国1741市区町村の約半分にあたる859市区町村を巡る日程を維持した。》
https://mainichi.jp/articles/20210325/k00/00m/050/352000c
誰のためのオリンピックなのか。オリンピックにスポンサーは必要だとしても、スポンサーのためのオリンピックではあるまい。商業主義があまりにも露骨だと嫌悪の対象になりかねまい。それこそスポンサーにとっては逆効果である。東京新聞中日新聞記者の原田遼がツイッターで報告している。
《聖火よりも、ランナーよりも目立ってたのは先導するスポンサー車両のどんちゃん騒ぎ。大音量の音楽を響かせ、踊るわ、グッズを配るわ、マスクをしていないDJがウェウェイ叫ぶわ。どこが復興五輪?どこがウィズコロナ?
車両に隠されランナーが見えるのは少しだけ。》
https://twitter.com/N9kLtpthc9thCRP/status/1375030166880014336
原田のツイートがバズッた。1.5万がリツイートし、1.8万の「いいね」がついた。
立川談四楼のツイート。
《五輪スポンサーは、世間では一流どころということになっている。だけど聖火ランナーを先導するスポンサー車両は異様だぜ、醜悪だぜ。蜜を避けろ静かに見ろと言いながら、祭りだワッショイとばかりに大はしゃぎなんだ。イメージダウンもいいところだが、今さら降りられないので、ヤケになっているのか。》
https://twitter.com/Dgoutokuji/status/1375294540349722632
コカ・コーラトヨタは大顰蹙を買っている。音楽プロデューサー高橋健太郎が呟いている。
《コカコーラとトヨタか。ランナーはオマケの販促イヴェントじゃん、これ。》
https://twitter.com/kentarotakahash/status/1375192379741757441
「密」も発生しているようだ。毎日新聞は3月27日付で「聖火リレーそろり発進 密は? 消えた? 五輪機運高まるの?」を掲載し、次のように書いている。
《初日の25日も、県内最多の人口33万人のいわき市内の沿道で肩が触れ合うなど密集が生じていた。広報車や沿道スタッフから「間隔を空けてください」と呼びかけはあったものの、密集は解消されなかった。それでも組織委は「我々の定義した密の状態ではなかった」とした。今後リレーを控える自治体の担当者はライブ中継を見て、「密集してしまってから呼びかけても動かない。早め早めに密にならないよう声をかける必要がある」と心配する。》
https://mainichi.jp/articles/20210327/k00/00m/050/289000c
著名人が聖火リレーを次々に辞退していることは、スポンサーにとってマイナス効果であろう。毎日新聞は3月25日付で「『復興五輪』冷めた意義 著名人次々辞退 福島、医療から疑問視」も掲載している。
東日本大震災の被災地・福島県から走り出す聖火リレーは大会が掲げる「復興五輪」の象徴になるはずだった。しかし、コロナ下でリレーの理念は揺らいでいる。スタート当日に落語家の笑福亭鶴瓶さんがランナーの辞退を発表するなど、著名人の「辞退ドミノ」はその表れだ。》
https://mainichi.jp/articles/20210325/k00/00m/050/377000c
NHK NEWS WEB」は3月25日付で「少なくとも91人 聖火リレー辞退するなどした著名人ら」を公開している。黒木瞳走らないそうだ。
《25日に始まった聖火リレーは121日間かけて全国各地を巡りますが、延期されたこの1年の間に、辞退や死去した著名人などのランナーは、34の都府県で少なくとも91人いることがわかりました。》
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210325/k10012936041000.html
リレーされるべき聖火が消えてしまった。朝日新聞デジタルは3月25日付で「聖火リレー、火が2度消える 『風強くなかったのに』」を掲載している。
《大会組織委員会は25日、福島県での聖火リレー中、広野町と富岡町で2度、トーチの火が消えたと発表した。近くの職員がランタンの種火を使って再点火した。組織委は原因を調査中という。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP3T73FYP3TUTIL067.html
毎日新聞は3月26日付で「聖火が消えた…関係者絶句 『絶対消えないトーチ』は看板倒れ?」(村上正、川崎桂吾)を掲載している。
《「えっ、消えた?」。福島県富岡町で25日午後1時半ごろ、ランナーが持つトーチの火が消える場面があった。並走していた実行委員会スタッフが無線で連絡。追走する車から別のスタッフが降りてきて、ランタンの種火を使って再点火した。約30秒間消えた聖火。再び赤くともった火を見つめる人々。リレーは一時ストップしたものの、大きなトラブルにはならず続行された。》
https://mainichi.jp/articles/20210326/k00/00m/050/106000c
台風並みの風雨でも消えないはずだったのに消えた。呪われた聖火リレー?しかし、大して騒ぎにもならなかった。国民は五輪に冷めているようだ。誰のための五輪?何のための五輪?「報道ステーション」に大会組織委員会トップの橋本聖子が出演したようだ。温泉ドラゴンのシライケイタがツイートしている。
報道ステーション
オリンピック、中止や延期は考えてないかとの質問に、
橋本聖子
「考えてない。私にとってチャンス」
「ホテルなど、これまで準備してきたことを覆すことは難しい」
なんだこれ。
国民は準備してきたことを覆されまくっているのだが。》
https://twitter.com/keikei_keita/status/1375078598873280512
「70s 原宿 原風景」(DU BOOKS)のスタイリスト・中村のんがシライを引用ツイートしている。
橋本聖子さん「延期はありえない」何故なら「私の人生は五輪と共に生きてきたから」と自分ファースト発言に唖然。音楽と共に生きてきた友達のミュージシャンは予定していた30本のライブが中止。お芝居と共に生きてきた知り合いの役者さんは、出演予定だった大きな舞台、3本が公演中止になりました。》
https://twitter.com/nonnakamura/status/1375085763449167872
東京新聞が3月26日付で掲載した「聖火リレー 大音量、マスクなしでDJ…福島の住民が憤ったスポンサーの「復興五輪」」はツイートがバズッた原田遼が書いている。
《・・・森の陰から「ズチャ、ズチャ、ズチャ」と大音量の音楽を響かせ、やってきたのは大型トラックだった。真っ赤に塗られた車体に「コカ・コーラ」の字。リレーの最上位スポンサーだ。
車両は「コンボイ」と呼ばれる宣伝用の改造車らしい。荷台部分の上部分にDJ(ディスクジョッキー)が乗り込み、マイクで叫んできた。「福島のみなさん1年待ちました」「踊って楽しみましょう」。DJはマスクはつけていない。沿道と距離は近く、観覧者に飛沫(ひまつ)が落ちてきそうだ。われわれには「大声を出すな」と言っていたじゃないか。
 車両は早歩きくらいのスピードでのろのろ進む。並走し、10人ほどのスタッフ(マスクは着用)がダンスを披露したり、観覧客にタオルを配ったりしてくる。コロナ禍の最近は、接触を避けようと街ティッシュ配りも見なくなったけど…。
ほかの最上位スポンサーであるトヨタ自動車日本生命、NTTグループの「コンボイ」が続いてやってくる。「ゆず」や「EXILE」の曲をかけ、こちらはマスクを付けたDJが負けじと声を張り上げる。いくつもの音楽と掛け声が重なり、かなりうるさい。》
https://www.tokyo-np.co.jp/article/94041
ひろゆきこと西村博之がツイートしている。
《大音量の下品な宣伝カーで聖火ランナーを先導するスポンサートラック。
五輪のスポンサーってお金を使って企業イメージを悪くしようとしてるように見えるんだけど、誰かに騙されてるの?純粋に頭が悪いの?》
https://twitter.com/hirox246/status/1375614817571078147
しかし、このコンボイを報道したのは東京新聞にとどまった。ルポライターの安田蜂俊がこう解説している。
《これ、東京新聞東京五輪のオフィシャルパートナーに入ってないからやれる報道だったりするのよな。五輪まわりの実態は朝日讀賣毎日日経では絶対出てこないね。》
https://twitter.com/YSD0118/status/1375670420360155139
田中康夫は3月27日放送のTBSラジオ「ナイツのちゃきちゃき大放送」に出演して次のように語っている。
《「東京2020」っていうもののオフィシャルパートナーにいわゆる全国紙四紙。読売、朝日、日経、毎日がなってるわけ。で、全国紙ではないのでもオフィシャルサポーターに産経と、あとは「今度、札幌でできればな」って思っている北海道新聞がなってるよ。
でもね、これだってね、自分たちがお金出していて……それ、読者の購読料じゃないですか。そして毎朝、新聞を配達してくれる販売店の人が届けた新聞の購読料からお金を注入してるんだったら、今こそ何らかの意思表示を僕はすべきだと思うけど。「いや、それでもやるぞ!」っていう風なご意見だってそれはいい。でもなんか、いまだに奥歯にものが挟まった言い方で。「外国ではこう言ってます」って……それはちょっと違くない?》
https://miyearnzzlabo.com/archives/73109
それは全く違う。これも全く違う。畠山理仁は、ここでも取材を断られたそうである。
聖火リレーの取材も自由ではなかった。媒体社や放送局、編集部に所属している記者に限られていた。聖火リレーの取材を正式に申し込んだら私は正式に断られました。》
https://twitter.com/hatakezo/status/1375461915833458689
原田遼がスマホで撮影した動画も削除されることになるのだろうか共同通信は2月28日に「五輪聖火リレー、動画投稿はNG IOCルール、テレビ局権利保護」なる記事を配信していた。
2020年東京五輪パラリンピック組織委員会は28日、3月26日に始まる五輪の国内聖火リレーについて一般の人が沿道で撮影した動画は、会員制交流サイト(SNS)などインターネットへの投稿は認められないとの方針を示した。組織委によると、国際オリンピック委員会IOC)のルールで、放送権を持つテレビ局の権利保護が目的という。》
https://this.kiji.is/606102685013558369?c=39546741839462401
毎日新聞は3月26日付で「米NBC『リレーの聖火消すべきだ』『虚飾のため危険冒している』」を掲載している。共同通信の配信記事だ。
《米国内で東京オリンピックの放送権を持つNBCは25日、「リレーの聖火を消すべきだ」と題する寄稿を電子版に掲載した。「新コロナウイルスパンデミック(世界的大流行)のさなか、聖火リレーは五輪の虚飾のため、公衆衛生を犠牲にする危険を冒している」とした。》
https://mainichi.jp/articles/20210326/k00/00m/050/162000c
3月26日付産経新聞によれば聖火リレーナチス統治下で開催された1936年のベルリン五輪で始まったことを挙げ、「ナチス宣伝活動に由来するような伝統は廃止されるべきだ」とも主張しているそうだ。
https://www.sankei.com/tokyo2020/news/210326/tko2103260001-n1.html
「ハフポスト日本版」は3月26日付で「パラ聖火『やまゆり園』で採火方針、事件遺族『想像もしてなかった』 相模原市から意向確認はなかった」(濵田理央)を発表している。
《東京パラリンピックの聖火をめぐり、相模原市は入所者ら45人が殺傷される事件が起きた障害者施設「津久井やまゆり園」で火を採火する方針を決めた。
被害者や家族、遺族への意向確認はなく、犠牲となった女性(当時19歳)美帆さんの母親は「想像もしていなかった」と、ハフポスト日本版にコメントを寄せた。  》
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_605d7de4c5b67593e0574b95?utm_campaign=share_twitter&ncid=engmodushpmg00000004

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2)【本日の一行情報】

東京大学名誉教授にして国学研究資料館館長のロバート・キャンベルのツイート。
電通テック本社ビル。写真では捉えにくいけど目の前に立つと押し込んでくるような重量感とか質感が好きな名建築だ。ぼくも寂しい。60年代の記憶がまたひとつ、消える》
https://twitter.com/rcampbelltokyo/status/1375594145713070082

ロンドンブーツ1号2号の田村淳が卒業を報告するツイート。
《大学院卒業しました!
教授から『色々と周りから言われるだろうけれど、堂々と修士課程を修了したと言いなさい。私たちがそれを認める!』という言葉がとても嬉しかったし、これまでの事が救われた気がした。学びが楽しいと感じさせて頂き感謝です。これからも学び続けます!》
https://twitter.com/atsushilonboo/status/1375373058886696967
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科卒業だ。

星海社代表取締役社長・太田克史のツイート。
Kindleでめでたく本日から配信開始した星海社新書の電子書籍『「メタルの基本」がこの100枚でわかる!』がすごい!! Amazon Unlimitedとの連携で、なんと本をタップするだけで即メタルが聴けるのです。こんな電子書籍、見たことない。これぞ電子書籍の最新型です!!》
《世界初となった電子書籍専用フォントの開発と発表に続いて、また新たな電子書籍の世界を皆さんにお届けできて本当に嬉しいです。まだまだアイデアはたくさんあるので、このまま波に乗って世界初を駆け抜けていきたいと思います。Welcome to the Jungle!!》
https://twitter.com/FAUST_editor_J/status/1375418881670402055
https://twitter.com/FAUST_editor_J/status/1375421338211348482
https://www.amazon.co.jp/dp/B08YQVS48R/

祥伝社から刊行されている「ジェンダーレス男子に愛されています。」(ためこう)が、「カラフラブル~ジェンダーレス男子に愛されています。~」としてTVドラマ化され、4月1日より読売テレビ日本テレビ系全国ネットで放送される。舞台となるのはマンガ誌編集部。
https://www.shodensha.co.jp/genderless/
https://natalie.mu/comic/news/421547
時代の最前線に立っているのはマンガだ。
https://www.tmku8.com/portraits
こうした作品を世に送り出す「フィール・ヤング」(祥伝社)のマンガを見る目には敬意を表したい。大したものである。

◎3月8日(月)発売されたマイナビ出版の「キャッシュレス・マガジン」に掲載されたJR東日本の広告「チケットレスでおトクに乗車!『えきねっと×ビューカード』春キャンペーン」の情報に誤った表記が発覚した。
誤:【キャンペーン期間】2021年3月15日(月)~5月31日(月)
1等 JRE POINT 10,000ポイント(10,000円相当)…… 500名様
2等 JRE POINT 3,000ポイント (3,000円相当)……3,000名様
正:【キャンペーン期間】2021年3月15日(月)~6月25日(金)
1等 JRE POINT 10,000ポイント(10,000円相当)…… 500名様
2等 JRE POINT 1,000ポイント (1,000円相当)……3,000名様
https://www.jreast.co.jp/card/caution/notice21032402.html/

スポーツニッポンは3月24日付で「Ado『うっせぇわ』MVに続きサブスクも1億再生突破!ソロ最年少、17週目で大台突破」を掲載している。
ビルボード・ジャパンの集計によるもので、昨年12月7日付で100位圏内(88位)にランクインして以来、17週目での大台突破は米津玄師の「感電」と並ぶ歴代6番目の早さ。ソロ歌手では最年少でのスピード記録となった。》
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2021/03/24/kiji/20210324s00041000417000c.html

◎斜線堂有紀の小説「神神化身 壱 春惜月(はるおしみづき)の回想」がドワンゴ発のIPブランド「ⅡⅤ」より、庫本より少し大きいサイズのB6判で刊行された。小説は公式Twitterおよびニコニコチャンネルで連載されている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000065.000060989.html

Snow Man目黒蓮が表紙にソロ初登場したマガジンハウスの女性グラビア週刊誌「anan」2243号「色気の在りか。」が、全書店で完売続出し品薄状態となったため、緊急重版されることになった
https://www.oricon.co.jp/news/2188619/full/
女性誌のジャニタレ依存症は不治の病なのかもしれない。

講談社が刊行している女子小学生向けのおしゃれ誌「Aneひめ」のvol.10の表紙を飾るのは、King & Princeと発表されるや問い合わせが殺到し、異例の発売前重版が決定した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003142.000001719.html
どうでも良い話かもしれないが、私はジャニタレよりもジャニーズ事務所を去った男たちに惹かれる。本来、雑誌とは、そういうではなかったかとふと思うときがある。例えば「ジャニーズ事務所 出禁」というタイトルを掲げて森田剛を表紙にしてしまうような蛮行もまた雑誌のお家芸であったことを忘れてはなるまい。

毎日新聞が3月25日で掲載している「つい『野党は反発』と書いてしまう 政治報道を上西さんと考えてみた」(吉井理記)は「政治と報道」扶桑社新書)を刊行した法政大教授・上西充子をインタビューした記事である。
《・・・首相や政府が野党の問いに正面から答えない、あるいは説明を拒否し続けたことを「かわした」「議論はかみ合わなかった」と観戦記のような表現に落とし込むのではなく、「答えなかったこと自体が重大な問題であり、これこそが読者・有権者に伝えるべきニュースだ」という感覚だというのだ。
「あるいは『反発』と丸めるのではなく、見出しでも記事でも、なぜ野党の議員は首相の姿勢や政府の法案などに反対・批判をしているのか、そこにどんな問題が潜んでいるのか、といったことを読者に分かるようにきちんと書くよう、工夫することです。観戦記みたいな『与野党攻防』や『政局報道』よりも、何が今問われているのかを私たちに示す『論点報道』に力を入れてほしい。そこが伝わる見出しや記事なら、読者も読んでみよう、と思うのではないでしょうか」》
https://mainichi.jp/articles/20210324/k00/00m/010/288000c
吉井に代わって言うのならば、吉井も加わった「汚れた桜 『桜を見る会』疑惑に迫った49日」(毎日新聞出版)を政治報道の最低の水準とすべきなのである。

朝日新聞に連載していた「池上彰の新聞ななめ読み」が3月26日に掲載された「最近の朝日、行儀良すぎ」をもって最終回を迎えた。これは朝日関係者のみならず、新聞で禄を食んでいる者にとって必読の章だろう。
《掲載拒否騒動から6年半。その後の朝日の紙面を見る限りでは、なんだか“お行儀”がよくなり過ぎた気がします。外部からの批判に耳を傾けることは必要ですが、気にし過ぎると、批判すべき対象への批判の矛先が鈍ったり、何が何でも特ダネを取るのだという意欲が薄れてしまったりする恐れがあるように思えます。
最近の総務省の会食接待問題をめぐる「週刊春」の特ダネ連打を見ると、新聞社は何をしているのだと苦情を言いたくもなろうというものです。
「週刊春」が何者にも忖度しないで特ダネを連発してきた結果、編集部にさまざまな情報が集まるようになっていると聞きます。新聞社だって読者の信頼を得られれば、もっと情報が寄せられるのではないでしょうか。
「週刊春」に特ダネを連発されてしまうことを屈辱と考えて頑張ってほしいのです。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP3Q7JMFP3LUPQJ00L.html
「週刊春」が何者にも忖度しないで特ダネを連発してきたのとは逆に新聞は記者クラブ制度に過度に依存してしまった結果、新聞もまた「忖度村」の一員として、その行動に「自主規制」がかかってしまうということだ。そうした「忖度村」を活写したのが「汚れた桜 『桜を見る会』疑惑に迫った49日」であったと私は認識している

朝日新聞で二年間に渡って書き続けてきた津田大介による論壇時評が3月25日付で最終回を迎えた。次のような事実に愕然としたのは私だけであろうか。
《1959年12月に連載が始まったこの論壇時評は、筆者含め30人の論者が代替わりで執筆してきた。全員が男性だ。メディアの中核をなす「論壇」や「批評」という分野では60年以上男性優位な構造が変わらなかったのだ。
このことはここ1年出版された「ポストコロナ社会」を考える多くの共著本の男女比率が著しく男性に偏っていることと無関係でない。男性は大字で社会のことを語り、女性は家庭でケアに従事していればいいという無意識の価値観は、日本社会のそこかしこに残っている。「わきまえた」女性しか社会的地位を得られない。》
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14845832.html?iref=pc_ss_date_article
来月から津田に代わって東京大学教授の林香里が論壇時評を担当する。

サントリー美術館は開館60周年記念展「ざわつく日本美術」を7月14日(水)~8月29日(日)まで開催する。身分を超えた男女の性愛が描かれている「袋法師絵巻」が公開される。
https://www.suntory.co.jp/news/article/mt_items/sma0050.pdf
https://www.suntory.co.jp/sma/collection/tobira/18/

時事通信は3月25日付で「メディアドゥ、日本芸社を完全子会社化 取得価額15億円」を配信している。
《メディアドゥは25日、出版やデジタル配信を手掛ける日本社(東京)の発行済み株式の全てをRIZAPグループから取得し、完全子会社化すると発表した。》
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021032500903&g=eco
《当社グループは、本件子会社化によって、同社が有するコンテンツ IP を当社グループの流通プラットフォームと掛け合わせることで、効率的かつ効果的な販売の促進を図っていくことに加えて、当社グループが有する電子書店との協働や Webtoon といった新たなコンテンツのマーケティングバリューチェーンおける付加価値創出に向けた研究開発等、両社のシナジーを追求しながら、当社グループの企業価値の向上に取り組んでまいります。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/3678/tdnet/1947380/00.pdf
日本芸社にとっては朗報であったことだろう。

KADOKAWAは、KADOKAWAの取締役にして、ドワンゴで代表取締役社長をつとめる夏野剛が6月22日付で代表取締役社長に就任すると発表した。現在の松原眞樹代表取締役社長は取締役副会長に、井上伸一郎代表取締役は顧問にそれぞれ就任する。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/9468/tdnet/1947487/00.pdf

朝日新聞デジタルは3月25日付で「『ファミ通』出版社の編集者を逮捕 原稿料詐取の疑い」を掲載している。
《別人になりすまして原稿料をだまし取ったとして、愛知県警は25日、東京都新宿区、出版社編集者佐藤栄一容疑者(43)を詐欺などの疑いで逮捕し、発表した。出版大手KADOKAWAによると、佐藤容疑者はゲーム雑誌「ファミ通などを出版する子会社の元従業員という。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP3T6QZVP3TOIPE02R.html
KADOKAWAによると、佐藤容疑者はゲーム雑誌『ファミ通』などを出版する子会社の元従業員」ということは、KADOKAWA Game Linkageの社員だったということなのだろうか。この記事だけでは、よく分からない事件だ。深町秋生がツイートしている。
《なんだこりゃ。けっきょく編集者が自分で書いていたんだろうか、あるいは誰かに書かせてたのか。なぜ愛知県警一宮署なのか。最大の疑問はなぜこんなチンケな案件が刑事事件になったのかという点か。気になる。》
https://twitter.com/ash0966/status/1375115106862866432
この後、深町は納得しているのだけれど。
《不思議に思ってたけど、情報が寄せられて納得した。なるほど捜査もするわけだ。》
https://twitter.com/ash0966/status/1375116882248749056

朝日新聞デジタルは3月25日付で「朝日新聞社と評論家・出版元、双方が控訴 名誉毀損訴訟」を掲載している。
芸評論家・小川栄太郎氏の著書「徹底検証『森友・加計事件』 朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」の記述で朝日新聞社の名誉を傷つけたとして、小川氏と出版元の飛鳥新社に200万円の賠償を命じた東京地裁判決について、本社と小川氏、飛鳥新社は25日までに、判決を不服としてそれぞれ控訴した。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP3T6VYMP3TUTIL025.html

ハースト婦人画報社の「25ans」(ヴァンサンカン)は、3月27日(土)発売の5月号をもって創刊500号となる。3月29日(月)~4月2日(金)の5日間、毎夜20時から、君島十和子、妃海風綺咲愛里といった日替わりの豪華ゲストとともにインスタライブを開催するそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000281.000008128.html

◎近代映画社の映画誌「SCREEN」は、2021年5月に創刊75周年を迎えるそうだ。これを記念して国立映画アーカイブ展示室(7階)において「創刊75周年記念 SCREENを飾ったハリウッド・スターたち」が4月13日(火)から7月18日(日)まで開催される。
https://screenonline.jp/_ct/17440728
私にとって「スクリーン」といえば双葉十三郎の「ぼくの採点表」なんだよな。「ぼくの採点表」を読んでいなければ「ウェスタン・ロック ザカライヤ」などという映画には飛びつかなかったはずだ。双葉はウェスタン・ロック ザカライヤ」に白星三つ、黒星三つという高得点を献じていたのである。
https://eiga3mai.exblog.jp/30578590/
そういえばセルジオ・コルブッチの「殺しが静かにやって来る」も「ぼくの採点表」だったよな。

山本義隆の「リニア中央新幹線をめぐって 原発事故とコロナ・パンデミックから見直す」がみすず書房から刊行される。
https://www.msz.co.jp/book/detail/08996/

◎ロイターは3月25日付で「中国で外国小売りブランド相次ぎ「炎上」、新疆問題巡りやり玉に」を配信している。
《中国のソーシャルメディアでは25日、外国の小売りブランドに対する批判が広がった。スウェーデンファストファッション大手H&Mが中国・新疆ウイグル自治区における強制労働に「深い懸念」を表明した過去の声明がやり玉に挙げられたのが発端だ。》
https://jp.reuters.com/article/china-xinjiang-cotton-retailers-idJPKBN2BH1KW
ロイターは3月25日付で「ナイキの新疆問題声明、中国SNSで『炎上』」を配信している。
《米スポーツ用品大手ナイキが、中国の新疆ウイグル自治区で強制労働が行われているとの報道に懸念を示す声明を出し、24日に中国のソーシャルメディアで「炎上」する事態となった。
https://jp.reuters.com/article/nike-china-xinjiang-idJPKBN2BH0IB

◎「ダイヤモンド・オンライン」は3月27日付で「朝日新聞『希望退職100人募集』のリストラ事情【社外秘の労組アンケート結果付き】」を発表している。
《なぜ資本効率を悪くする押し紙を、販売店はあえて抱えるのか。それは押し紙も加味したトータルの注部数を目安に、クライアントからの折り込みチラシ収入があるからだ。さらに押し紙の部分に対しても、新聞社から販売奨励金が付く。
こうした構造がある中で、コロナ禍により経済活動が停滞し、折り込みチラシ収入が激減した。エリアにより程度の差はあるが、対前年同期比7割減という店もあった。
こうなると、販売店押し紙を抱えるメリット(折り込みチラシ収入と販売奨励金)よりもデメリット(押し紙仕入れ代金)の方が大きくなる。故に押し紙の圧縮へと動きだした可能性は高い
実際、ダイヤモンド編集部が東日本のある朝日新聞売店の注数を確認したところ、20年4月の緊急事態宣言後に約2割も減少していた。
同様のことが朝日新聞以外の新聞販売店でも起きたことで、国内の新聞発行部数の減少スピードが速まったと推察される。》
https://diamond.jp/articles/-/265806
デジタルによって広告ビジネスのあり方が根底から変わろうとしているのだ。雑誌にしても同じようなものだろう。

ダイヤモンド社は「週刊ダイヤモンド」と「ダイヤモンド・オンライン」の編集部を2019年に統合して、「ダイヤモンド・オンライン」上での有料サブスクリプションのビジネス強化へと舵を切った。編集部を統合するに当たって「記者チーム」「編集チーム」「デジタルチーム」という3つに再編し、完全にデジタルファーストに移行したそうである。産経新聞社会部出身の山口圭介は「Media Innovation」が3月26日付で公開した「組織変革でサブスクに舵を切る『ダイヤモンド』、雑誌社ならではの勝算とは?・・」で次のように語っている。
《完全にデジタルファーストに移行しました。今はオンラインに掲載した特集を追加取材したり、再編集したりして2週間後に雑誌に掲載するというフローで制作しています。過渡期は記者チームがオンラインで展開した特集を2週間後に雑誌に展開し、編集チームが雑誌で展開した特集をオンラインで展開するという変則的な体制だったので、かなり大変でした(笑)。今はオンラインから紙への一方向です。台割から何から製作工程を全て刷新してゼロから作り直したので苦労しましたが、今は軌道に乗って落ち着いてきました。
幸いな事に雑誌とオンラインでは読者層が異なります。それぞれの読者層にあわせる形で手直しをしています。オンラインは記事単位で特定の読者層に深く刺すスタイルが効果的ですが、雑誌はマスをターゲットにした方が反応がいいです。例えば、オンラインでは「アクティビスト襲来」という特集だったのを、雑誌ではより多くの人に届きやすいよう「最強投資家が狙う割安株」というタイトルに変えて、中身も銘柄リストを加えて色付けするというような事もやっています。》
https://media-innovation.jp/2021/03/26/diamond-subscription-interview/
これはダイヤモンド社に限ってのことではないはずだ。雑誌はオンラインで利益を上げられなければ、生き残りは難しいだろう。時代の流れが加速度的に早まっている。

小学館の女性ファッション誌「Oggi」(オッジ)の3月27日発売5月号で、マンガ「名探偵コナン」の特集が掲載される。
https://mantan-web.jp/article/20210325dog00m200083000c.html

讀賣新聞オンラインは3月26日付で「中日新聞社員、経費200万円を私的流用…取引先に威圧的な態度で従わせる」を掲載している。
中日新聞社名古屋市)は26日、名古屋本社事業局に勤務していた40歳代男性社員が経費を私的に流用したなどとして、諭旨退職処分にしたことを明らかにした。処分は25日付。》
https://www.yomiuri.co.jp/national/20210326-OYT1T50120/

白泉社が運営する総合エンタメアプリ「マンガPark」 で『寝取られ令嬢の王子様』(漫画:きくちくらげ 原作:高宮咲)の連載がスタートする。きくちくらげは白泉社の投稿サイト「マンガラボ!」出身の作家で、高宮咲は「小説家になろう」を舞台に作品を発表している作家だ。高宮の同名小説のコミカライズというわけだが、こうした作品は今後、増えることは間違いあるまい。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000471.000046848.html
TLのヒストリカルもののヒロインは何とか令嬢だらけである。最近、オレもこうした令嬢にかかわることが増えた。

高杉良業界紙石油化学新聞」で腕を磨き、小説家としては、その経験を生かし、出光興産をモデルにした「虚構の城」でデビューし、以後も、安田生命の内紛を題材にした「広報室沈黙す」、日本経済新聞に切り込んだ「乱気流」など経済実録小説の秀作を世に送り出してきたが、遂には高杉自身を取り上げた自伝的長編小説「破天荒」を新潮社から刊行することになった。経済人、企業人、経済官僚も次々に実名で登場するそうだ。これは、楽しみである。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000174.000047877.html

東京五輪開会式の演出の実質的な責任者だったMIKIKOはツイッターで「一連の報道に関しまして」を発表した。
《一連の報道に関しまして、ただただ戸惑うとともに、一方で何もお答え出来る立場にはないと考え、コメントを差し控えさせていただいておりました。しかし、日々目まぐるしく情勢の変わる中、この問題が長引くことで、選手の皆様はじめ今まさに大会開催に向けて頑張っていらっしゃる方々が集中できない一因になるのであればとても苦しく、やはり私自身の口から思いをお伝えする責任があると考え直し、コメントを発表させて頂くことにしました。
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2020年3月24日、新型コロナウイルスの感染拡大により、東京オリンピック・パラリンピックの1年程度の延期が決定しました
延期前、私はオリンピック開閉会式の執行責任者として、500名近くのスタッフ、キャスト、更にその先にいらっしゃる直接お会いすることは出来なかった数多くの関係者の方々の才能と時間をお預かりしておりました。
その中には渡辺直美さんもいらっしゃいました。
開閉会式の準備も一時停止が告げられ、再開の際は連絡をいただけるとのことでした。
延期から約6ヶ月後の去年の10月、今後について皆様に何もご連絡できていない中で、これ以上お待たせするわけにはいかないと思い悩み、勇気を出して私から電通に問い合わせを入れました。その際、すでに別の演出家がアサインされ、新しい企画をIOCプレゼン済みだということを知りました。11月になって新しい企画、新しい演出家のもとで改めてオファーを頂きましたが、その企画に一から関わっていない以上、責任が取れるものではありませんでした。
形は変わったとしても従前の制作物で活かせる部分は有効活用すべきだと考えておりました。また、これまでの企画案に尽力してきていただいた皆様との関係で道義にも反していると感じました。世界中がコロナの恐怖と悲しみに包まれている中で開催されるオリパラのセレモニーのあり方を考えた時に、このような疑問を持ちながら参加するわけにはいかない、と悩み抜いた上で辞任の決断に至りました。
「もし時間が巻き戻せるなら、このコロナ禍のセレモニーで、何を伝えるのか、何が出来るのかを全員で話したかった」
オリンピック・パラリンピックのプロジェクトをサポートして下さっていたある尊敬するスタッフの方の言葉です。
延期前まで精魂込めてセレモニーに向き合ってきた方々としっかりコミュニケーションをとり、無駄のない前向きな新しい企画を全員の力を合わせて一緒に作りたかったです。
実際に手を動かして下さっていたスタッフ、キャストがしっかり輝いて、評価されるセレモニーにしたい。
4年に一度のこの舞台の為に、命を燃やしてこられた世界中のアスリートの方々を激励するセレモニーにしたい。
世界中からここ東京に集える奇跡を讃え合いたい。
その思いを胸に、2016年のリオ閉会式からこの案件に関わってきた人間として、最後まで成し遂げたいと何とか踏み止まってきましたが、叶いませんでした。
この思いは今後の作品で形にしてお返しします。
私たち世代が未来に残さないといけないものは何なのかを真剣に考えます。
伝えたい人に届く方法を自分なりに前向きに探し続けて参ります。
個人として、組織の一員として、あるいは組織そのものとして、それぞれのお立場での正義があるのだと思います。
もうこれ以上の発言はせず、目の前の一つ一つの仕事に心を込めて向き合っていくことが、私にとっての正義です。
ご理解頂けると幸いです。
もし東京オリンピックパラリンピックが開催されるのであれば、日本が世界に誇れる、子どもたちに誇れる、開催できた全てのことや全ての人に、感謝を届けるセレモニーになって欲しいと心から願います。
そして、国籍、性別、年齢、容姿に関係なくそれぞれが持って生まれた個性を尊重し喜び合える世界になることを祈っています。
なお、体調に関してはおかげさまで快方に向かっております。
ご心配の声を沢山頂いたのにも関わらず、すぐにコメントが出せず申し訳ございませんでした。
まだまだ寒暖差の激しい日々が続きますが、皆様何卒ご自愛ください。》
https://twitter.com/mikiko_san/status/1375395260512133127
https://elevenplay.net/mikiko_comment_20210326.pdf
https://digital.asahi.com/articles/ASP3V7D4LP3VUTIL05K.html
茂木健一郎MIKIKOを引用ツイートしている。
《配慮の行き届いた、そして筋の通った立派なステートメント。真