セブンネットショッピングが電子書籍サービスを開始!「セブンebookリーダー」は「欠陥アプリ」ではないのか?

セブン&アイ・ホールディングス傘下のセブンネットショッピングが、電子書籍配信サービスを始めたというよりも、コンビニ最大手のセブンイレブン系列のネット通販が電子書籍を扱い始めたといったほうがわかりやすいだろう。
もちろん、セブンイレブンらしく「川下」に徹しての参入である。「取次」の役割を独占的に担うのは凸版印刷の子会社であるビットウェイだそうだ。ビットウェイはアプリ「セブンebookリーダー」も提供する。
これも「提供する」というよりも、セブンイレブン電子書籍販売において、ビットウェイは取次機能を独占するかわりにアプリを提供させられたと私などは推測してしまう。バイイングパワーを見せつけて優位な仕入れ条件を獲得するのはセブンイレブンのビジネス文化にほかならない。
いずれにしても電子書籍の「取次」がトーハンでなかったことは意外と言えば意外である。セブンイレブンのドンたる鈴木敏文氏はトーハンの出身だし、トーハンセブンイレブンによって支えられていると言えるほど両社の関係は親密であったが、それはあくまでも「紙」の世界にとどまるということなのだろう。セブンイレブンは冷徹な会社である。もっとも、だからここまで成長できたということでもある。
販売するのは約4万5千アイテム。iPhoneiPadAndroid端末、Windowsパソコンから利用できる。ユーザーは「セブンebookリーダー」で購入すると最大1年間、3台までの端末で何度でも作品をダウンロードできる。サンプルとして『星守る犬』(双葉社)と『365日誕生日別運命事典』の一部を読むことができる。
ただし「セブンebookリーダー」をダウンロードしただけでは電子書籍を購入することはできない。私はiPadでダウンロードしたのだが、次のような文章が目に飛び込んできた。

セブンネットショッピングのウェブサイトでログインしていただくと、同サイトで購入した電子書籍の管理および閲覧が本アプリで行えます。

この一文の下に「本棚を表示する」とあるわけだが、要するにセブンネットショッピングの会員にならない限り、「セブンebookリーダー」は利用できないということなのである。
つまり、iPadユーザーの私の場合だとSafariセブンネットショッピングで検索し、そこで登録しない限り使えないということなのだろう、恐らく。appstoreのカスタマーズレビューでも「端末登録が全くわかりずらい」と指摘されていたが、その通りだと思う。
そもそも登録から何から総てをアプリで済ますことができないというのはアプリとしては欠陥商品ではないのだろうか。最近、セブンイレブンは酒やタバコを買うと店員が「確認画面をタッチして下さい」と言って消費者の手を煩わせることに平気だが、それと同じことがこのアプリでも言えるだろう。消費者本位、ユーザー本位ではないのだ。
だいたい20歳以上かどうかを本人に確認させることにどんな意味があるのだろうか。未成年者の購入を防ぐため?それだったら身分証を提出しない消費者には売らないというくらいの取り組みを導入すべきではないのだろうか。こうした半端なヤリクチは消費者に敵対する。確かにアプリの名称は「セブンebookリーダー」だから、このリーダーをダウンロードしただけでは電子書籍を変えなくても当然だろうとでも、セブンイレブンはお考えなのだろうか。
少なくとも「セブンebookリーダー」というリーダー専門のをappstoreに並べるのであれば、購入専門のセブンネットショッピングのアプリも用意するくらいのユーザーに対する配慮がユーザーに最も近い「川下」で商売をするセブンイレブンには必要なはずである。
註・「App Storeにある電子書籍アプリはBookLiveでもhontoでとebookJapanでもみんなリーダーアプリのみですよ。クレジットカードなど外部の課金も使うアプリはAppleからストアへのリンクを一切禁じられています。したがって必然的にリーダーのみのアプリとなるんですね。
業界事実には詳しいようですが、Appleのルールも知らずに知ったかぶりするのはちょっと恥ずかしいですよ」というコメントをいただいた。要するにApp Storeにある電子書籍アプリはBookLiveでもhontoでとebookJapanはどれもこれもユーザー本位ではなく、その原因はAppleのルールにあるということなのだろう。
註2「felm7」さんは「AppleIDで購入するタイプはOK。ただしAppleに30%とられる。クレジットカードや他の決済タイプは全部NG。Amazon電子書籍アプリも去年からビューアーだけの片肺になった」というコメントをいただいた。Appleに30%とられるということは、紙の書籍で言えば取次マージンと書店マージンの両方をAppleが懐に入れているということになる。取り過ぎと思うのは私だけだろうか。