野田佳彦のホームページを覗いてみたわかったこと!野田が首相として実現したのはシロアリ駆除ではなくシロアリ互助であった・・・

首相の野田佳彦のホームページを開いてみる。2011年12月1日をもって情報が更新されていないことがわかる。最後の更新情報は「今月の駅頭カレンダー」である。野田が首相に就任したのは2011年9月2日のことだから、首相に就任して三ヶ月の昨年末までは、民衆の前に立つ気持ちはあったようだ。例えば私が乗り降りする西船橋では9月7日と9月21日の午前6時半から8時半までの間、駅頭に立つ予定だったことがうかがわれる。他にも船橋駅に4回、津田沼駅に2回、北習志野駅に2回、東船橋駅に2回、飯山満駅に2回、船橋妙典、馬込沢駅小室駅、日大前駅塚田駅の各駅頭に立つ予定だったことがわかる。実現できたかどうか知らないが、確かに首相になってから私の地元でもある船橋の主だった駅前の風景から野田佳彦は消えた。昨年末から野田は消費増税にのめり込んで行き、街頭に立つ意志もなくなっていったことが、ホームページの更新情報からも理解できる。そのかわり船橋市の風景として新たに加わったのは「野田やめろ!」を叫ぶ市民デモの一群である。
私が野田と名刺交換したのは社名をパナソニックに変更する前の松下電器時代に同社の船橋に住む広報マンに紹介されてのことであったと記憶する。野田が未だ千葉県議員の頃である。ともかく野田は出勤前の私たちを西船橋の駅頭で出迎えてくれたものである。国政に転じてからも、この姿勢に変わりはなかった。もともとは人々の声をよく聞き、大切にする政治家であった。しかし、首相になってから変質したことは首相官邸前で毎週金曜日に繰り広げられている抗議活動に対して「音」としてしか聞いていなかったことからも理解できるだろう。その後、抗議活動の呼びかけ人らと対面したものの、それは菅直人なる政治家の仲介によってであった。ちなみに、ある時期、私の両親の住む東中山の実家の塀には一時、野田佳彦のポスターを貼っていたものである。むろん、偉くなってからは、そうした申し出もなくなり、実家の塀から野田のポスターは消えた。
「基本政策」をクリックしてみる。そこには2009年総選挙法定ビラの内容がアップされている。野田佳彦が取り組んだ2法案が掲げられている。ひとつは政治資金規正法改正であり、こう解説されている。

国会議員関係の政治団体が、人件費を除く1円以上のすべての支出について領収書を公開することを柱とする。政治資金の透明性を高めるねらい。
野田よしひこは民主党の政治改革推進本部事務局長として与野党の実務者間協議に参加し、粘り強く交渉を重ね、合意形成に力を尽くしました。

クリーンな政治、反金権は県議員時代からの一貫した主張であった。それだけに昨年の民主党代表選で小沢一郎を退け、ノーサイドと言ってみたものの、新聞、テレビから「政治とカネ」で攻め立てられている小沢は野田からもっとも遠い位置にいる政治家であったことは間違いない。小沢が無罪であることは理解できても小沢の周辺で億単位のカネが動くことは、たとえ汚れたカネでなくとも、己のこれまでの政治活動からすれば信じ難いものであったろうし、それだけで野田は小沢を政治家として信じられなかったのだろう。野田は小沢一郎を排除することで消費増税にひた走った。しかし、野田が忘れてはならないのは、排除したのは小沢一郎だけでなく、東京のベットタウンである船橋市に住む人たちに直に触れる機会をなくしてしまったことで、民衆の原イメージを自らの政治姿勢や政治活動に繰り込むこともやめてしまったのである。でなければ、マニフェストに書かれていなかった消費増税解散総選挙なしに強行などできなかったはずである。
もう一つは宇宙基本法。こう書かれている。

縦割り行政を改め、国家として一元的に宇宙政策を推進する体制を構築し、戦略的に宇宙開発利用をすすめ、国民がその恩恵を十分に受けられるようにする。
野田よしひこは、民主党宇宙基本法検討プロジェクトチームの座長として、この法案づくりに深く関わりました。
その後、「宇宙基本法フォローアップ議員協議会」を発足させ、その共同代表として宇宙政策の旗振り役を務めています。

宇宙基本法に熱心であったことは知っていた。その何故が氷解したのは、7月に宇宙航空研究開発機構法を改正し、宇宙開発の仕事を「平和の目的」に限るという条件を削除してしまったことによる。野田は集団的自衛権に関する解釈など旧来の制度慣行を見直しに前向きな政治家であったのだ。
ここには「麻生内閣不信任案」で衆院本会議討論に立った際の発言も紹介されている。冒頭に掲げられているのは次のようなサワリである。

90歳を過ぎて年金記録が明らかになって、2千万、3千万円、本当は年金がもらえることがわかった。でも、その方は今病床に臥している。にもかかわらず、すぐにお金を支給せず、1年精査させろと言っている。こういう涙のない政治にこそ不信任が突きつけられるべきです。

そうした「涙のない政治」に後退させたのが、自民党の協力を得て成立させた消費増税法案であり、その首謀者は野田佳彦その人なのである。野田は税と社会保障の一体改革であると盛んにアピールしたが、増税分の使い道を社会保障に限定したわけではない以上、自民党の掲げる国土強靭化戦略のもと、ばら撒きが行われるであろうことは想像できたはずである。野田政治は自らの信念の裏切りの上に成立しているのではないか。次のようなことも麻生内閣不信任の際には発言しているが、これこそ野田が首相として画餅に終らせた本丸の部分である。

25,000人の国家公務員OBが4500の法人に天下りし、そこに年間12兆円以上の税金が流れています。消費税5%分の税金にシロアリが群がっている構図があるのです。そのシロアリを退治して、働きアリの政治を実現しなければならないのです。

野田は毎日新聞の2005年6月27日夕刊で「公的部門のお金にシロアリがたかっている構造を放置し、働き蜂にもっと働いて税金を払えと言っているようなものだ」とも語っている。「語っている」ではなく、「騙っている」と言うべきだろう。シロアリを退治するどころか、野田自身がシロアリに取り込まれてしまったことはNHKの番組や9月24日付の毎日新聞が社説で指摘している通り、増税によって財源を確保した復興予算が「被災地から遠く離れた全国の建設事業や企業の立地補助金などに相当の費用があてられていた」のである。まさにシロアリそのものの政治がチェックされることなく罷り通っていたのである。約4兆5000億円のうち、その四分の一にも及ぶ、約1兆1200億円が復興と直接関係があるとは思えない使われ方をしているのである。これのどこが「働きアリの政治」だというのだろうか。復興増税の使い方からして、消費増税分がどのような使われ方をするのか想像するだけで私は戦慄を禁じえない。消費税8%分の税金にも、消費税10%分の税金にもシロアリが群がることは間違いあるまい。
「野田よしひこ語録」も掲載されているが、野田曰く

高度成長が望めない現代において、「政治なんて誰がやっても同じ」という無力感は確実に国民の生活を蝕んでいきます。

野田が「政治なんて誰がやっても同じ」という無力感を更に増幅させ、更に国民の生活を蝕ませたという批判に野田佳彦は抗弁できまい。それでも抗弁するのだとすれば厚顔無恥どころか、政治が詐欺であることを認めてしまうのと同じである。野田が政治にもたらしたのは「政治なんて誰がやっても同じ」どころの「頽廃」ではないのかもしれない。