秋田書店は「逆ギレブラック企業のチャンピオン」!

秋田書店の「懸賞サギ」問題は単なる社内問題として済ますことができるものでは決してあるまい。出版業界は当然のこととしても、マスコミの信用問題にまで飛び火している。
例えば大阪市会議員の辻よしたかはツイッターに「マスコミがブラック企業化してるのかな。部数もどんどん減って、付録や懸賞を付けざるを得ない逼迫感」と投稿している。秋田書店は出版業界の信用を傷つけたという意味で万死に値すると私は考える。だから「廃業すべき」だと先週の「文徒」でも断罪したのである。
しかし、秋田書店は「懸賞サギ」問題に頬被りを決め込んでいる。
毎日新聞小川一がツイートのなかで「出版社は社会にとって大切な文字活字文化を担う。自身の主張も含めてきちんと説明する必要があると思う」と指摘しているが、そのような気配すら秋田書店からは漂ってこない。
嵐が過ぎ去るのを待つばかりという「活字文化」を担う出版社にあるまじき姿勢であるとしか私には見えない。そんな秋田書店に活字文化を担う資格などないはずである。
同じ毎日新聞の斗ヶ沢秀俊も次のようにツイートしている。
秋田書店の行為、および発覚後の対応は不誠実であるし、最悪の危機管理であると思う。会社の上層部にまともな人がいないのでしょうか。」
秋田書店は秋田貞美社長が専制君主として君臨する同族企業(秋田商事の役員陣を見ればわかる)であり、上層部に「まともな人」などいないのが実情であろう。
そもそも社告で毎日新聞を「弊社への取材も一切おこなわれず一方的に元社員の言い分を掲載したものであり、また、書かれている内容と弊社の認識とは大きな隔たりがあり、とうてい容認することができません」と弾劾しておきながら、その舌の根も乾かぬうちに「毎日新聞からの取材を弊社が一切受けていないとの記述は誤りであり、毎日新聞社からの指摘にしたがい、ここに削除・訂正し」てしまうような恥の上塗りを重ねてしまうのも「まともな人」がいない証拠なのである。
こうした失態が何を意味するかといえば、秋田書店が「企業市民」として失格であるということであろう。要するに典型的なブラック企業である。
社告を簡単に訂正してみせた秋田書店だが、個人投資家を名乗る山本一郎のブログにおける次のような記述を読めばわかるように社告によって秋田書店は墓穴を掘ってしまっているのだ。秋田書店の言い分が正しいのだとすれば、告発した元社員を何故に刑事告訴しないのか誰だって不思議に思うだろう。
秋田書店の言うとおり『解雇の理由は、元社員が賞品をほしいままに不法に窃取したことによるもの』が正当なものだとするのならば、これは当然のように業務上横領であって、刑事事件です。こんなところで社告を出し抗弁をしている暇があったら、被害届を所轄署に出し、その事実を報告するべきなんですよね。しかし、少なくとも現段階では警察庁、警視庁には秋田書店からの告発があったという事実はないようです。そうなると、秋田書店は誰に対して社告を出しているのか、消費者庁からの措置命令に対してどのような対応をする予定なのかといったところが問題になるわけですね。
秋田書店の言うとおりこの女性元社員が読者プレゼントを窃取したのだとするならば、女性元社員が休職したあと読者プレゼントは表示どおり当選者に頒布されているはずで、そうだとするならば消費者庁は事実認定を行ったあと措置命令は出ないわけですねえ…。」
8月20日に出された「不当景品類及び不当表示防止法第6条の規定に基づく措置命令について」なる「お詫び」の文章からして馬脚を現している。そう秋田書店は「お詫び」で馬脚を現し、「社告」で墓穴を掘ったのである。「お詫び」でなされている「反省」が読者に対する偽装にしか過ぎないことは「懸賞サギ」で誰も経営責任を取っていないことからも明らかであるということだ。
ブログ「編集者の日々の泡」はこう書いている。
「一見なんだか反省しきりに見えるが、『処分』がひとりもないことに注目してほしい。役員以下社員一丸となって無処分だ。
正直、出版大手にしては不正に対して甘い。問題の根が社内のかなり上部からの指示(ないし黙認)にあることが想像できる。
この点から敷衍するなら、元社員側のほうが正しく見えてしまうのは、仕方ないだろう」
作家の矢作俊彦ツイッターで次のように言い切っている。
「心底憤りを感じる。縁のない会社ではないが、これをこのまま『出版界』の一角に置いておいていいのか」
秋田書店をこのまま出版業界の一角に置いて良いはずなどないのである。読者もまた心底怒っている。
「女子社員がやめたあとも不正は続いてたから 、商品の数が足りないのは女子社員と関係なくやってた 」
ワタミも真っ青の超絶ブラックw」
http://www.tokuteishimasuta.com/archives/7283855.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter
秋田書店は秋田貞夫が、昭和23年に「日本の子どもたちに正義の精神と夢の世界を取り戻し、希望を与えよう」と出版を志して創業したというが、秋田書店自身が「正義の精神」を徹頭徹尾失い、「夢の世界」を木端微塵に破壊してしまったのである。しかも、その大罪に気がついていないのだ、秋田書店は!秋田貞美社長は!そして読者に与えたのは「希望」ではなく「落胆」にほかならなかった。総ては秋田書店が読者を軽く見た結果である。秋田書店は読者を軽く見ることによって社会を軽く見てしまったのである。