【文徒】2014年(平成26)3月17日(第2巻49号・通巻251号)

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1)【記事】雑誌広告の明日のために
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】雑誌広告の明日のために

カンター・ジャパンによれば「昨年7月から10月にかけてグループ会社のテイラーネルソンソフレス(TNS)社がアメリカで実施した調査によると、4〜6ヵ月以内に新車を買おうと考えている人のうち、テレビや新聞広告などの伝統的な広告手法を信頼する情報源として捉えている人の割合は約59%」だった。次のような指摘を念頭に置いておこう。
「伝統的な広告手法は、それを見て消費者がブランドのウェブサイトを見たり、自動車ディーラーに出かけたりする後押しをしてくれる情報源となっており、それが信頼する情報源として評価されているところです。一方、消費者主導型のオンラインコンテンツは、購入する車種を絞り込む際の情報源になっているようです」
http://kantar.jp/whatsnew/2014/03/13/Topics_140313_TAPPS.pdf
出版社は雑誌広告からウエブサイトへという導線を構築することをもってクライアントにアプローチすべきである。
週刊ポスト」では大前研一が次のように書いている。
「LINEをリアルと連動させて“生きた情報”を提供すれば、確実に利用者の一部をつかまえて行動を誘発することができ、eコマースよりもはるかに大きなビジネスチャンスが生まれると思うのだ」
http://www.news-postseven.com/archives/20140313_245349.html
雑誌はLINE、ツイッターフェイスブックとリアルを連動させることで質の高い「生きた情報」を提供すればビジネスチャンスが生まれると雑誌の側に引き寄せて理解したい。

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2)【本日の一行情報】

◎日販発表による2月の雑誌・書籍売上動向。雑誌・書籍合計売上は前年同月比7.4%減。内訳は、雑誌4.1%増、書籍11.0%減。書籍は、売上構成比の高い文庫・実用書・文芸書の売上増加率が2ケタ割れした影響で、2011年3月以来の2ケタのマイナスを記録。
http://ryutsuu.biz/sales/g031204.html
アベノミクス知らずの出版業界である。

◎「BAILA」(集英社)とコラボしたマドラスのOL向けシューズはコレ。いいね!
http://www.wwdjapan.com/fashion/2014/03/13/00010695.html

ハニカムが「思考するモード誌」をコンセプトに「RDV」を創刊。「RDV」は「出会い」を意味するランデヴーの略語。
http://fashionpost.jp/archives/24999
ハニカムについては以前も記事にしたが、ウエブマガジン「ハニカム」を運営している。
http://www.honeyee.com/

◎「週刊文春」は女性週刊誌でもある。女性週刊誌から「週刊文春」に乗り換えた読者は多いはずである。そりゃあそうだよ!女性週刊誌の芸能スクープは読者からすれば眉唾ものなのだから。ジャニーズ事務所AKB48、あるいは特定の芸能プロダクションをタブーにしての芸能スクープしかできないことを読者は承知しているのだ。「週刊文春」は今週も「小林よしのり痛恨の極み!? NMB48渡辺美優紀 医大生モデルとお泊まり」と昔ながらの芸能スクープを報じている。
http://www.narinari.com/Nd/20140325090.html
http://shukan.bunshun.jp/articles/-/3757
読者からすれば「週刊文春」を買っても恥ずかしくないけれど、買って恥ずかしいのが女性週刊誌である。つまり、買っても恥ずかしくない女性週刊誌づくりを目指さないと、女性週刊誌は、この世から消えることになる。女性週刊誌は「週刊文春」を真剣に学ぶべきだと思う。

こうの史代の「この世界の片隅に」(双葉社)がアニメ映画化される。私は「週刊漫画ゴラク」に連載されている「日の鳥」のファンである。
http://natalie.mu/comic/news/111925

◎日本はアメリカを抜いて世界最大のアプリ市場となった。
http://app-review.jp/news/167115

◎「最凶の料理批評家」友里往耶とホリエモンツイッターで激突。
http://blog.livedoor.jp/itsoku/archives/37676250.html
友里の3月14日付のブログ「ホリエモンに怒られちゃった!」が秀逸だ。友里の執拗さにホリエモンもタジタジである。
http://tomosato.net/weblog/page/2/

◎出版社の販売マンであれば「ネットの古本屋さん」と自称する「BOOKSHOP LOVER」を当然知っていることだろう。
http://bookshop-lover.com/

◎扶桑社は、ホームデザインのソーシャルサービスを運営するSUVACOは業務提携を行い、共同でリノベーション情報サイト「リノベりす」のサービスを開始した。扶桑社は、住宅リノベーション専門誌「リライフプラス」を擁し、SUVACOはリフォームやリノベーションなどに興味のあるユーザーが理想のホームデザインを探したり専門家に相談や仕事の依頼を行ったりすることができるソーシャルマッチングサービスを展開している。扶桑社とSUVACOは「リノベりす」にリノベーションの事例を掲載する事業者から、「広告料金」を獲得しようというビジネスモデルである。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20140313/543462/

KADOKAWA角川アスキー総合研究所が共同で実施した、「子どもライフスタイル調査2014冬」。女子小4〜6年生の「スマートフォン」使用率は6%、「タブレット」の使用率は10%。「電子書籍・雑誌を読んだことがあるか」を聞いたところ、「ある」と回答したのは、女子小1〜3年生は19%だったが女子小4〜6年生はほぼ倍の37%。
http://www.rbbtoday.com/article/2014/03/14/117876.html

アメリカで昨年9月に始まったiTunes Radioが急成長を遂げている。
エジソンリサーチとスタティスタの調査によると、首位のパンドラにおける、1カ月間に1度以上サービス利用した人の数は約7000万人。今回の調査のシェアから推測すると、2位のアイハートラジオと、3位のアイチューンズラジオはいずれも2000万〜2100万人程度になる」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40180
アマゾンも参入するというし、音楽のストリーミング配信サービスから目を離せない。

文藝春秋は昨年に引き続き今年も村上春樹で勝負する。今年は短編集でミリオンとはならないだろうが、相当な数字を弾き出すのではないだろうか。「女のいない男たち」というタイトルが良い!
http://www.bunshun.co.jp/info/140315/?cid=toppage

KADOKAWAの「エンタミクス」の表紙でコナンと杉下右京(「相棒」)が「奇跡のコラボ」だそうだ。
http://www.47news.jp/topics/entertainment/oricon/culture/143528.html
時代のキイワードは「垣根を越える」だ。

◎年間12000円か。大月書店が紙版では販売を終了した「マルクスエンゲルス全集」のオンライン版を立ち上げた。全巻会員は年間12000円。月額1000円だが一年単位の契約となる。「資本論」会員が年間6000円也。
http://www.keiyou.jp/maruen/html/member.html

◎小説・コミック投稿サイト「E★エブリスタ」における2014年2月の月間販売部数ランキングの作家別のランキングで上位10名が5000部を突破したそうだ。
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1403/14/news068.html

◎「レタスクラブ くらしの大学」はカゴメをスポンサーにして『トマトのある暮らしを楽しもう!育てて食べる、トマトフーデニング講座』を開講。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140314/prl14031418080125-n1.htm

大垣書店岩倉店が閉店。
「もともと大垣書店京都市北区)が直営していたが、閉店計画が持ち上がった1997年、当時アルバイトだった寺嶋邦子さん(69)=左京区=がフランチャイズで引き取った。寺嶋さんが経営者に存続を訴えたところ『あんたがやるなら残す』と言われ、『岩倉から本屋をなくすわけにはいかない』と決断した」
そんな書店も遂に閉店する。
http://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20140314000078

◎サンフランシスコを拠点とする新興の出版社Plympton社は「Rooster」という月額5ドルで、ユーザーにフィクション作品が一定量ずつ送信されるオンライン・サーヴィスを開始した。
http://wired.jp/2014/03/14/books-become-magazines/?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter

◎宝島社「MonoMax」が「豪華な附録に濃厚な内容」と読者に絶賛されている。「豪華な附録」なしに情報誌はビジネスとして成立しないということだろう。
http://matome.naver.jp/odai/2139461269416521401?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter

内田樹が神戸市でNGを喰らったのにつづき、山梨市が、上野千鶴子の講演会を中止。
「山梨市によると、昨年10月、上野さんに在宅医療や介護をテーマにした講演を依頼。2月から市のホームページなどで参加者を募集し、164人が申し込んだ。しかし市民から『問題発言の多い上野さんを公費で呼ぶことはおかしい』などの意見が複数寄せられ、望月清賢市長が中止を決めた」
http://sankei.jp.msn.com/life/news/140314/trd14031419010019-n1.htm
http://wan.or.jp/ueno/?p=3857
その上野千鶴子佐々木俊尚の「家めしこそ最高のごちそうである」(マガジンハウス)をツイッターで絶賛している。
佐々木俊尚『家めしこそ最高のごちそうである』(マガジンハウス)が届いた。 まったくそのとおり。それも他人のつくった家めし、がいちばん! あ〜、家庭料理食いてぇ。佐々木さん、食わせてくれんか。このなかに出てきたにんにく鍋つくってみよっと」
http://magazineworld.jp/books/paper/2645/
上野をしてここまで言わしめる、この本、ホンモノのようである。

アメリカの電子書籍市場での話のようだが、「印税収入ベースでは年内にも個人作家陣が商業作家陣を突破することが予想され」るという。
http://hon.jp/news/1.0/0/5322/?utm_content=buffer5c8bd&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer

◎音楽情報誌「CD&DLでーた」(KADOKAWA)による「卒業ソング」ランキング。1位:卒業写真/荒井由実 2位:贈る言葉/海援隊 3位:仰げば尊し/(唱歌) 4位:卒業/斉藤由貴 5位:卒業/尾崎豊 6位:蛍の光/(唱歌) 7位:旅立ちの日に/(唱歌) 8位:3月9日/レミオロメン 9位:my graduation/SPEED 10位:さくら/森山直太朗
http://news.mynavi.jp/news/2014/03/13/556/

藤子・F・不二雄生誕80周年記念作品「映画ドラえもん新・のび太の大魔境〜ペコと5人の探検隊〜」が、土日2日間の累計興収6億円で興業ランキング1位。「土竜の唄 潜入捜査官REIJI」が3位、「銀の匙 Silver Spoon」が初登場4位。小学館ウィークである。
http://topics.jp.msn.com/entertainment/movie/article.aspx?articleid=3666987

東映アニメーションバンダイ集英社テレビ東京が組んだ「マジボーン」のテレビアニメが4月1日より放映開始。マンガは「最強ジャンプ」で既に放映中。
http://corp.toei-anim.co.jp/press/2014/03/_201441_6306.php

浦和レッズの差別横断幕事件。横断幕を掲げた「URAWA BOYS」の声明。自らの「差別」行為には言及していない。誰に謝罪すべきなのかが分かっていないようだ。
「今回の件で、選手、クラブスタッフ、スポンサー各社、スタジアム関係者、スタジアム営業各社、 ボランティアの方々、そして、浦和レッズサポーター、ファンの皆様、浦和の街の方々、浦和レッズを愛する全ての人 に、ご迷惑を掛け当該チームの行動を止められなかった事をお詫びします」
http://www.sainet.or.jp/~boys/index.htm

◎石黒望のセンスに脱帽。3月15日 東京・ラフォーレ原宿 で「NOZOMI ISHIGURO Haute Couture」の2014秋冬コレクションが発表されたが、何と「渋さ知らズ」とコラボレーションしているではないか!「渋さ知らズ」のメンバーも「NOZOMI ISHIGURO」で決めている。
https://www.youtube.com/watch?v=ODiCxanNIrk

◎小誌特派記者の岩本太郎も「原告」に加わっているようだ。
http://hatakezo.blogspot.jp/2014/03/blog-post_7.html?spref=tw

宇津井健が亡くなった。主演の「スーパージャイアンツ」はアメリカでは「スターマン」として公開された。監督が石井輝男であることを私は強調しておかねばなるまい。
https://www.youtube.com/watch?v=zYgUV8myQbY
コマーシャルでは「サントリーオールド」が懐かしい。
https://www.youtube.com/watch?v=PI3s8T4s96c

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3)【深夜の誌人語録】

どんな組織においても「デスクワークの英雄」は自らの出世しか考えていない。