【文徒】2014年(平成26)4月1日(第2巻59号・通巻261号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】「ComicWalker」創刊の背景を考える
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2014.4.1 Shuppanjin

1)【記事】「ComicWalker」創刊の背景を考える

「200タイトルのマンガが無料で読める新ウェブコミックサービス」としてスタートした「ComicWalker」がネット界隈でも話題になっている。
ComicWalker」の無料配信は「週刊少年ジャンプ」や「週刊少年マガジン」「週刊少年サンデー」のような少年マンガ週刊誌を擁さないKADOKAWAだからこそ「ComicWalker」のようなサービスが可能であると私は思っている。
即ち、KADOKAWAは、「ComicWalker」を擁してオリジナル50作品を含む200タイトルの無料配信という形に踏み込まない限り、コミックス販売におけるマンガ大手三社との距離は、いつまで経っても縮まらないのである。週刊少年マンガ誌を創刊するよりもコストは遙かに安くつくはずである。そういう意味で戦略的には正しい選択だと私は思っている。KADOKAWAからすれば「ComicWalker」からミリオンコミックスを何としても誕生させたいところだろう。
ComicWalker」の古林英明統括部長の次のような発言が総てを語っている。
「将来的にはニコニコ動画さんのようなプレミアムサービスも導入したいと考えていますが、現状ComicWalkerでは無料で幾つかのエピソードを読んでもらいながら、気に入った作品は、電子書籍や紙の単行本をお買い求め頂く、というのが基本的なモデルです」
「いま紙の雑誌による『マンガとの出会い』は出版不況と呼ばれる状況の中、どんどん減ってしまっています。ComicWalkerで改めてそういった場をプロデュースしたいというのが第一にありますね」
http://ddnavi.com/news/188696/

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2)【本日の一行情報】

東野圭吾の「変身」(講談社文庫)がWOWOWでドラマ化される。「変身」は既に125万部を売っているようだが、講談社としてはドラマ化によって更に売り伸ばしたいところだ。
http://www.cinemacafe.net/article/2014/03/29/22531.html

MMD研究所による「2014年3月電子書籍に関する利用実態調査」。
「20歳以上の男女551人を対象に電子書籍の利用状況について聞いたところ、無料コンテンツの利用率は21.8%、有料コンテンツの利用率は14.5%、読む際に利用している端末はスマートフォンタブレット電子書籍リーダーの順に多く、3割強の人がスマートフォンを使って電子書籍を読んでいるという結果になった」
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1403/28/news101.html

◎ 書物をモチーフにした「リブレポーチ」を販売するHEMING'Sが、岩波書店とコラボし、岩波文庫の初期の表紙をデザインしたポーチを発売。オレでも買えば岩波文化人の仲間入れができるということかな?「ロミオとジューリエット」ってのが良いなあ。「ジュリエット」ではなく「ジューリエット」なんだよね。
http://dot.asahi.com/life/lifestyle/2014032800026.html

◎「スタンダードブックストアあべの」が開店。
http://bookshop-lover.com/bookshopviewing90-standardbooksabeno
「本屋ですが、ベストセラーはおいてません」というコピーがステキだ。
http://standardbookstore-a.blog.jp/

◎アマゾンは動画サービスで新しい広告収益型モデルを導入しようとしている。アップルの「アップルTV」やグーグルの「クロームキャスト」に対抗するつもりなのだろう。アマゾンは品揃えにおいても、ビジネスモデルにおいてもエブリシングでないと我慢ができないようだ。そういう意味でアマゾンは「帝国」主義的な企業なのである。
http://japan.cnet.com/news/service/35045808/
インターネットという新大陸におけるマルチチュード的ビジネスの可能性について誰か真剣に考えないかなあ。世界の100万人が毎日1円ずつ使えば、年間売上高3億6000万円の企業が成立する…。
と書いてきたのだが、あれっ!無料の動画サービスを提供する計画はないとアマゾン自身が「ウォールストリート・ジャーナル」に端を発した報道を否定した。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA2T01X20140330

◎フジテレビはスマホ・ケータイ向けに配信するオリジナル対談マガジン「そこ、キク!」を創刊。「docomo スゴ得コンテンツ」「auスマートパス」と「フジテレビコンテンツストア」(月額200円)で購読できる。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1403/28/news130.html

◎「ラ・ファーファ」(ぶんか社)の今晴美編集長はファッション誌の経験がなかったがゆえにタブーに挑戦できた。
「入社以来、マンガや寝相アートに関わる企画や本を手がけてきたという今編集長がファッション誌を手がけたのは同誌が初だったというが、今編集長は『ファッションへのこだわりがなかったからこそできた』と振り返る」
http://mantan-web.jp/2014/03/29/20140328dog00m200058000c.html

◎「ELLE JAPON」(アシェット婦人画報社)5月号がグッチとコラボ。「フローラ」ボックス入り特別号を限定書店で限定数量発売。私の住んでいる千葉県の書店は一軒も入っていない!
http://www.elle.co.jp/magazine/magazine_elle/node_854745

◎「OGGI」(小学館)を中心に活躍する人気スタイリストの佐藤佳菜子はベイクルーズグループのウィメンズブランド「ラ トータリテ(LA TOTALITE)」とコラボ。
http://www.wwdjapan.com/fashion/2014/03/29/00010959.html

◎「あなたのための いわなみ少年文庫フェア」を開催した旭屋書店 KuLaSu season なんばパークス店の礒部」は次のように語っている。書店員を出版社と置き換えても良いだろう。
「フェアをしていて毎回感じるのが、書店員としては知っていて当たり前の本が、お客様には新鮮だったりするんだなぁ、ということ」
http://www.mishimaga.com/hon-hatsu/024.html

◎さすが下野新聞渡辺喜美の地元だものね。
「水野氏は、今回の問題が週刊誌に掲載されたきっかけについて、同党を離党し結いの党を立ち上げた江田憲司代表の実名を挙げ『江田さんサイドが吉田(嘉明)さんサイドに頼み込んだと推察している』とした」
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20140329/1548872

三省堂書店有楽町店の新井見枝香のオススメは少年アヤの「尼のような子」(祥伝社)だ。
http://crea.bunshun.jp/articles/-/5001
これだよ、このブログだよね。
http://yaplog.jp/ayatan-doku/

藤子・F・不二雄の生誕80周年を記念した公式マガジン「Fライフ」が小学館から創刊された。
http://natalie.mu/comic/news/113294

◎駄目だと私は思っていた「MADURO」だが、「ヤンジー」「チャラジー」「枯れジー」という言葉のセンスは確かに良い。その昔、45歳を熟年と呼んでいた時代があったんだよなあ。今や45歳は読者として若いクチだ。
http://youpouch.com/2014/03/30/183581/

◎「びあ西宮食本」が発売された。
http://www.hankyu.co.jp/ekiblo/ayapon/15687/

◎田中龍作の現地取材によるティモシェンコの実像。この国のマスメディアはティモシェンコの実像を伝えない一方で「クリミア併合」を「クリミア編入」としたり、説明もなく突如「編入」から「併合」に表記を変えたりと、「撤退」を「転進」と言い換えた癖から未だに解放されていないようだ。
「彼女が率いる「祖国」のメンバーがテレビ局などメディアのオーナーなのである。ティモシェンコ氏をめぐるニュースはトップ扱いとなる」
ウクライナでは政治家が国策会社の大株主であったりする。国家事業の中枢に座り巨大利権を独占する。ティモシェンコ氏もその一人である」
http://blogos.com/article/83350/

◎元TBSのアナウンサーのタレントで今年からオーストラリアで暮らし始めた小島慶子が「Oggi Fashion College」に登場し、次のように語ったという。
「オーストラリアは多文化政策でいろんな人種がいる。多文化社会の中に身を置いていると、変わっていることは当たり前。日本にいると『同じ』だと思い込みすぎて、お互いに窮屈になるけれど、そういう世の中がみんな生きやすいのかもしれない」
http://mantan-web.jp/2014/03/30/20140329dog00m200049000c.html

◎イケダハヤトがLINEと比べサイバーエージェントの編集力の弱さを指摘しているのだが、それは多くのネットメディアに該当することでもある。イケダの次のような指摘は一面では正しい。
「本当に難しいのは、ライター個々人の特性を見抜いて『こんな原稿書いたらどうですか?』とサジェストすることなのです。こうしたサジェストは書籍の編集においてはよく見られるプロセスですが、不思議なほど、ウェブメディアの世界では編集者から『ボール』が飛んできません」
http://blogos.com/article/83369/
確かにイケダの主張するように編集力という意味では「現代ビジネス」は秀逸なネットメディアである。しかし、「編集力の解放」という点からすれば「現代ビジネス」には物足りなさが残るという「逆説」もまた成立するはずである。
ネットメディアにおいて編集力をどういう力学で導入するのか。そこに「新しさ」があるネットメディアこそが、これからの時代を席巻することになるのではあるまいか。そういう意味で私は「投稿サイト」を注目している。

◎無料アプリ「AdGang for iPhone」は確かに便利だ。世界の広告事例集である。クリエイティブに鈍感な雑誌広告関係者は、こういうアプリで感性を磨いてね!
http://iphone-mania.jp/news-25167/

◎「電子書籍大賞」は「進撃の巨人」(講談社)に決定。予想通りの結果である。
http://ddnavi.com/news/189055/

双葉社版原作とも、韓国版映画とも結末が異なるスパイク・リーの「オールド・ボーイ」と聞けば見なくてはなるまい。
http://www.fashionsnap.com/the-posts/2014-03-30/oldboy/
ドゥ・ザ・ライト・シング」の衝撃は今でも忘れられない。

凸版印刷は企業向けカタログ閲覧システム「iCata(アイカタ)」の機能を拡張し、アプリのアップデート版の提供を開始した。「iCata」は2010年11月に提供を開始したBtoBカタログ閲覧システムであり、アプリをスマートフォンタブレット端末にダウンロードすることで、住宅設備・建材や文具業界を中心とした約350社、4500冊、45万ページのカタログを無料で閲覧できる。
http://ascii.jp/elem/000/000/879/879972/

◎「公益法人に関する市民調査委員会」なるブログが「小学館I氏の暗躍」なるエントリをアップしている。
http://shiminchosa.blog.fc2.com/blog-entry-663.html

集英社は、スマホGPS機能を利用して「ジョジョの奇妙な冒険」を試し読みできる企画「JOJO THE WORLD TOUR」を実施している。全国各地の指定エリアに行ってチェックインすると、同作品第1部〜第8部の各部冒頭部分、計1000ページ以上が無料で読めるという販促キャンペーンであろう。
http://www.araki-jojo.com/tour/

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3)【深夜の誌人語録】

無駄を排除するための無駄が必要である。何の思慮もなく無駄を排除するのであれば誰だってできるのである。