【文徒】2014年(平成26)4月17日(第2巻71号・通巻273号)

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1)【記事】「TiARY」とラティアグループ
2)【記事】産業革新機構から9億円が出資されるニューと提携する博報堂
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2014.4.17 Shuppanjin

1)【記事】「TiARY」とラティアグループ

ワイズマネージメントとスターティーインターナショナルが共同運営する「TiARY」は「美」と「カワイイ」をコンセプトにした女性向けメディアであり、インターネットを拠点としている。最大の特徴は次のような5つのコンテンツを連動させていることである。
・ TiARYアプリ 「写真を撮って、みんなの“カワイイ”を集めて、発信して、つながる!!」SNSであり、スマホ用アプリもリリースしている。
http://www.tiary.jp/login.php

・ TiARY Press 美容、ファッションなどの気になる情報を配信するTiARY関連サイトの総合情報配信メディアである。いわば「総合誌」の役割を果たしている。
http://press.tiary.jp/
・ TiARY Direct 女性のキレイを応援する美容関連に特化したECサイトである。
・ TiARY WEDDING ウェディングを中心としたハウツーサイト。
・ TiARY ESTHETIC エステを中心としたハウツーサイト。
要するに「TiARY」はネットで展開する情報ゼロ円の女性誌にほかならない。
ワイズマネージメントはラティアグループの関連会社。ラティアグループはエステサロン、美容室、カフェ、ウェディングといったライフスタイルを取り巻く13店の直営店舗運営と280点を超えるオリジナル製品の企画・開発・製造・販売を行っている。
http://www.ratia.co.jp/
つまり、「TiARY」のユーザーはラティアグループの顧客ターゲットであり、同時に「TiARY」は顧客を囲い込みつづけるための装置でもあるのだ。そんな「TiARY」がイメージモデルとして「ViVi」の藤井リナを起用した。そうすることで「ViVi」の読者も「TiARY」に巻き込もうと考えているのだろう。
http://www.sankeibiz.jp/business/news/140415/prl1404151207038-n1.htm
ラティアグループのオーナー兼CEOはホームページによれば拓希(ひろき、と読むようだ)という人物であるようだ。
「現在は、ラティアグループを中心に様々な企業の株主や経営に携わり、今もなお成長と拡大を継続し、関わるグループ総売上合計は年商100億円強というカンパニー群を率いて常にビジネスの最先端にもいる。
人物像としては、失敗をしない順風満帆な人生に周りからはよく見られるが、彼は2001年に首の頸椎を骨折するという大交通事故に見舞われ、生死をさまよった経験を持つ」
ホームページを見れば、どこか神憑かっている得体の知れない企業である。
スターティーインターナショナルはホームページを見る限り、普通のウエブ企業である。
http://www.starty-in.jp/about/president.php

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2)【記事】産業革新機構から9億円が出資されるニューと提携する博報堂

博報堂は、動画作成ツールを核にモーションコミックの制作・配信等を営むニューとともに、「モーションコミック」の制作や海外への事業展開を強化するという。ニューへは、産業革新機構から9 億円を上限とした出資がなされ経営面でのサポートが行われることが決定しており、博報堂も第三者割当増資を引き受け、出資を行う。博報堂としては「モーションコミック」を出版コンテンツの第3のカテゴリーへと成長させ、国内・海外のマンガ・アニメ市場を活性化させることを目指すそうだ。
http://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2014/04/20140415.pdf
ニューが設立されたのは2012年5月。社員は現在21名だそうだ。住所は千代田区神田神保町3−27−8 5Fってことはオレの近くだ。関連会社のシフトワンでは「月刊ヒーローズ」に連載されている「ULTRAMAN」(著者:清水栄一・下口智裕)第1巻の「モーションコミック」を既に制作している。
http://shiftone.jp/
というわけでニューは出版社にマンガの商品化許諾をもらうためのルート営業や動画配信事業者への取次・販促営業を担う人材を募集している。月給25万円也。
http://tenshoku.mynavi.jp/jobinfo-136732-3-1-1/
ニューの社長をつとめる谷口裕之って「ケータイ★まんが王国」を運営するビービーエムエフのトップだったと私は記憶している。確か日商岩井の出身者ではなかったか。谷口はいつの間にやらビービーエムエフを去っていた。
ビービーエムエフは小学館資本提携した後、社名をmenueに変更している。menueはリサ・パートナーズがmenueの株式取得のみを目的として設立したMNH(代表取締役:吉田仁平)と平成26年5月1日を効力発生日として吸収合併を行う予定。存続会社はmenueを名乗る。
http://www.menue.co.jp/news/info/2014/02/928/
更に付け加えておくならば「月刊ヒーローズ」の版元であるヒーローズは小学館クリエイティブとフィールズの共同出資により設立されている。

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3)【本日の一行情報】

◎帯を照屋林賢が書いているというだけで好感を持ってしまう私である。富山義則の「沖縄ビーチ大全505」(マガジンハウス)は買いだ。
http://tomtomphotos.com/?eid=737&PHPSESSID=47c9cab8d10fe5ba759ec673a38a407d
富山の仕事では上里隆史と組んだ「琉球古道」(河出書房新社)が忘れがたい。
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309225685/
上里といえば「琉日戦争一六〇九」だ。版元はボーダーインク。1990年に那覇市に誕生した出版社である。
http://borderink.shop-pro.jp/?pid=17127337

福山市高西町の啓文社コア福山西店が福山大学とコラボして「友だちにすすめたい本」フェアを5月10日まで開催している。これは福山大学広島県内の高校生を対象に実施した「友だちにすすめたい本コンクール」で入賞した作品を紹介するとともに、そこで推薦された14冊を展示している。
http://www.chugoku-np.co.jp/reporter/article/article.php?comment_id=1721&comment_sub_id=0&category_id=364&pl=3117673951

宝塚市は同市の魅力を全国に発信しようと、紀伊國屋書店の大阪・梅田本店や神戸店、東京・新宿本店など計10店舗、京阪神ブックファースト25店舗で「宝塚婦人こども博覧会」の会場全景図と、昭和初期の阪急路線の鳥瞰図をデザインしたオリジナルのブックカバーを15日から無料配布している。
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201404/0006864411.shtml

信愛書店が新刊書店としては閉店になる!?
http://sorainutsushin.blog60.fc2.com/blog-entry-2249.html

アメリカでの話。ブロードキャストテレビとケーブルテレビを合算すれば、まだネット広告には抜かれていない。しかし、ブロードキャストテレビ広告費をネット広告が抜いてしまったという事実は間違いない。
http://zen.seesaa.net/article/394640941.html

◎「少年ジャンプ」「ヤングジャンプ」の編集長を歴任し、快作にして怪作の「トイレット博士」のスナミ先生や「マッドブル34」のスナミ所長としてマンガにも登場していた角南攻の回顧録「メタクソ編集王」が竹書房より刊行されるのを記念して芳林堂書店高田馬場店で4月25日にトーク&サイン会が開催される。
http://www.horindo.co.jp/2014/04/1089/

◎書店の垣根を越えて作られているフリーペーパー「晴耕雨読」の表紙イラストを描いているのは丸善津田沼店の村上由夏だそうだ。丸善津田沼店独自のフリーペーパー「読書日和」も擁している。更にー。
「『ちょいゲラ』という工夫も面白い。出版社は、自社の本をたくさん仕入れてもらおうと、発売前に「ゲラ」という試し刷りを書店員さんに読んでもらうことがある。丸善津田沼店では、本が発売されたらそのゲラの冒頭数ページを冊子にして配布している」
http://crea.bunshun.jp/articles/-/4888?page=2
確かに津田沼は新刊書店の数では「神保町に負けない本の街」である。丸善津田沼店をはじめくまざわ書店TSUTAYA芳林堂書店昭和堂ヴィレッジヴァンガードが鎬を削っている。

本屋大賞受賞の「村上海賊の娘」上下は「4月8日の受賞発表を受けて発行部数は、候補に上がる前の33万5000部(上下巻)から、75万5000部へ大幅に増刷」したそうだ。出版社にとっても本屋大賞は「麻薬」なのだろう。とすれば本屋大賞教か。
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20140411/1056583/?n_cid=nbptrn_top_new

◎「ぴあフィルムフェスティバル」による若手映画作家への製作援助システム「PFFスカラシップ」の最新第22回作品として製作された廣原暁監督の「HOMESICK」がDVD化された。
http://cinema.pia.co.jp/news/160733/56800/

白泉社の「花とゆめ」40周年記念 CMに「花とゆめ」と同じ年の武井壮が声の出演。
http://www.hanayume40th.com/soreseka_cm/
このCM、嫌いじゃない。

電通2014年3月度単体売上高。消費税増税を前にした駆け込み需要の風が吹いた。雑誌が108%というのが、やはり嬉しい。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2014027-0407.pdf
電通でもネットが新聞を抜く日が確実にやって来そうである。

Twitterのアカウントは全世界で9億7,400万を数えるが、約44%が一度もツイートを行なっていないそうだ。
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/yajiuma/20140415_644317.html
私も約44%の一人である。今や私はフェイスブック派。大月隆寛なんかは逆で専らTwitterで呟いている。

◎SUUMO公式アカウントが「スーモ」が「社畜さんいわく 残業のことを『二次会』って言うんだって♪ そう言うとなんかすごく楽しそうな感じがするねっ 二次会がんばって!ぼくはもう寝るよ〜 おやスーモ♪」と呟くも、謝罪し、削除した。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1404/15/news059.html

◎中国人が選ぶ「日本留学で遭遇する奇妙な事」ベスト10。【1位】巨大で頭の良いカラス【2位】国の指導者や政治事件について、みんな言いたい放題【3位】自殺、過労死が日常的に発生している【4位】動物が手厚く保護されている【5位】東京では中国語が飛び交っている【6位】冬の気温は0度程度までしか下がらないのに、ものすごく寒い【7位】日本の山にはクマがいる【8位】日本の警察や役所などの権力機構はとても優しく、本当の公僕【9位】果物や野菜が肉より高い【10位】自動車の騒音を大きくするために、100万円以上費やして改造する人もいる
http://www.xinhua.jp/socioeconomy/economic_exchange/379654/

◎くすみ書房(キャポ大谷地内)の久住邦晴社長と東京の一人出版社「夏葉社」社長、島田潤一郎氏によるトークイベント「町には本屋さんが必要ですか?会議」が4月12日(土)、キャポ大谷地厚別区大谷地東3−3−20)内の「サッポロ珈琲館大谷地店」で開催されたそうだ。
http://www.ma-aru.jp/topics/6135

2ちゃんねる掲示板は大半の情報がクズである。【社員専用】光文社再建は可能か?23【社内SNS】、と看板は掲げられているけれど。
http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/zassi/1379435080/l50

◎月曜あたりから話題になっていたけれど、「小悪魔ageha」の版元として知られるインフォレストが倒産。負債総額30億円。
「…親会社が変更されてからは、代表者の交代や本社不動産の売却、従業員の削減などリストラを進める一方、組織再編を進め経営の効率化を図っていた。しかし、その後も売り上げの減少が続き2012年3月期は年売上高約43億7900万円にダウン、資金繰りも厳しさを増していたことで信用が低下。ここにきて資金繰りが限界となり、今回の事態となった」
http://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/3901.html

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4)【深夜の誌人語録】

心で見たからといって愛が見えるわけではない。