【文徒】2014年(平成26)5月30日(第2巻99号・通巻301号)

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1)【記事】「ヤマダイーブック」閉鎖でヤマダ電機に非難囂々
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】「ヤマダイーブック」閉鎖でヤマダ電機に非難囂々

ヤマダ電機電子書籍サービス「ヤマダイーブック」が7月31日に閉鎖される。当然、購入した書籍は、7月31日以後閲覧できなくなる。「ITmediaニュース」は次のように書いている。
ヤマダ電機電子書籍サービス『ヤマダイーブック』が7月31日に閉鎖され、購入した書籍が同日以降、閲覧できなくなる。システムを刷新し、新規に電子書籍サイトを立ち上げるためとしているが、過去に購入した電子書籍は新サービスでは閲覧できず、電子書籍閲覧のために購入したポイントの返金も行わないとしており、ユーザーから不満の声が上がっている」
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1405/29/news089.html
ローソンやNTTソルマーレは電子書籍ストアから撤退するに際してポイント返金したし、Rabooは他の電子書店で読める措置を取るなどして、ユーザーに損がないよう便宜を図ったが、ヤマダ電機はそうした措置を取らないという。
ヤマダ電機はシステムを刷新し、新規に電子書籍サイトを立ち上げるというが、そこでは、これまでのサービスを引き継がないという。つまり、購入した電子書籍は読めなくなるのだ。
ヤマダ電機としては「ヤマダイーブックス」の利用者が少ないことから、こうした判断に至ったのだろうが、国産電子書籍サイトはユーザーにとって「危険がいっぱい」であることを多くのユーザーに印象づけられたのではあるまいか。こんな調子では電子書籍キンドルが圧勝することになるに違いない。
次のような一般ユーザーの指摘はその通りだと思う。
「これはマジでひどい_。電子書籍から撤退してどうにもならないというのならまだしも_、新サービスにデータが移行できないとか_絶対にあってはならないことだろ」
「完全に詐欺だろ」
「撤退ならともかく、新サービスやるならフォローはすべきだよなあ」
「こういう搾取しか考えてないから電子書籍が売れねぇんだよ_全てのジャンルを網羅した尼に勝てないのも利益優先で利便性を捨ててるからだ」
http://blog.esuteru.com/archives/7702353.html

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2)【本日の一行情報】

学研教育出版スヌーピー大親友の黄色い鳥ウッドストックのコンプリートブックを発売。目玉は附録の2WAYビッグキャンバストートである。
http://www.snoopy.co.jp/newsdesk/2014/05/love_woodstock.html

学研パブリッシングは、ママ向けのモノNAVIマガジン「aene」7月号を5月28日に創刊。電子版も同時創刊し、価格は印刷版が640円(税込)、電子版が500円(税別)。創刊号では郊外型ショッピングモールを大特集している。
http://gakken-publishing.co.jp/news/201405/20140528.html
同誌が実施した「主婦が幸せに暮らせる街」ランキングを発表した。第1位は藤沢市(神奈川県)、2位は稲城市(東京都)、3位は西宮市(兵庫県)。

◎予想されていたとはいえアマゾンは強気である。
「米ネット通販大手アマゾン・ドット・コムは、アシェット・ブック・グループとの契約紛争で早期の解決は見込んでいないことを明らかにした」
http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702304817704579589653913282132

◎中国のアリババがアメリカに進出してアマゾンと一騎打ち?アリババは中国国内でeコマースの8割を占めている。
「アリババが持つ通販サイト『淘宝網タオバオワン)』は既に世界一の取扱高を誇っている。ちなみに同社の2013年の取扱額は2480億ドル(約25兆円)で、アマゾンと米イーベイの合計よりも多い」
そう孫正義は「カリフォルニア州ランチョパロスベルデスで開かれている会議」で語っている。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140527/265550/?n_cid=nbpnbo_top_updt&rt=nocnt
孫正義ソフトバンクはアリババに34%出資している。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N6B0FB6K50Y201.html

岩波文庫の創刊当時の表紙をデザイン化した「オルネ ポケットリブレポーチ(岩波文庫)」が2900円という価格にもかかわらず売れている。腐っても鯛だったりして。
http://shop.concierge-net.com/eshopdo/refer/vid14048-2.html

◎「進撃の巨人」が落語にもなっちゃった。フジテレビの「噺家が闇夜にコソコソ」で放映される。
http://natalie.mu/comic/news/117662

◎佐々木紀彦は東洋経済新報社を去ることになったわけだから、これが最後の仕事になるのだろうか。ビジネス書の世界で宿命のライバルたるダイヤモンド社の書籍ばかりが何故売れるのかを井上直営業部長と和田史子編集長に直撃している。和田編集長の発言から紹介しよう。
「井上をはじめ、うちの営業の人たちは本当によくゲラを読んでくれます。この業界でいちばんゲラを読んでいる営業部隊だと思います。もし弊社がうまくいっているとすれば、それは営業のみんながちゃんとゲラを読んで内容を把握してくれるからですよ」
井上は出版プロバーではなく、元証券会社の営業マンだそうだ。以下は井上の発言である。
「うちのベストセラーの特徴は、2刷(最初の重版)の刷り部数が多いことです。弊社は毎週木曜日が新刊の配本(発売日)と決まっていて、発売後の最初の重版の判断を、翌週の月曜日にすることになっている。つまり木、金、土、日の売れ行きデータを基に2刷の部数を決めるわけです。ここでどれだけ思い切った部数を刷って、事前に書店さんに案内できるか。その案内をするときに、『こういう広告を打ちます。こういうパブが入ります』とタイミングよく言えるか言えないかで、10万部の壁が超えられるかどうかが決まると思っています」
http://toyokeizai.net/articles/-/38681

◎宝島社が「CUTiE」と「SPRING」で附録から撤退するらしい。「CUTiE」は休刊を視野に入れてのことだろうし、「SPRING」では附録なしで、どの程度の部数を弾き出すのか様子を見ようということなのだろう。もし、附録なしでも、そこそこの部数を弾き出せば、両誌とも休刊は免れることになるのだろうが、その決断はスピーディになされるはずだ。そこが宝島社流である。
http://www.cyzo.com/2014/05/post_17294.html

花田紀凱さんによる文藝春秋社長就任が決まった松井清人さんに対するエールだね、これは。花田さんとすりゃあ、松井さんが社長に就任するのは嬉しいことだろうし、そうなりゃ、木俣さんだって来年あたり常務に昇任するだろうしさ。
「新しく松井清人氏が社長に就任するという。文藝春秋の看板『文藝春秋』の立て直しこそ最大の仕事だろう。『文藝春秋』が元気でなくては雑誌界全体、元気が出ない」
花田さんは「文藝春秋」の編集長をやりたかったんだろうなあ。違います?
http://bylines.news.yahoo.co.jp/hanadakazuyoshi/20140528-00035773/

講談社ノンフィクションの最終候補作が決定した。私は青木理の「誘蛾灯」が◎で、清武英利の「しんがり」が○、佐々木健一の「辞書になった男」が△だけれど。
http://g2.kodansha.co.jp/279/280/35708/35709.html

電通イージス・ネットワークは、傘下の米国Aegis Lifestyle, Inc.(イージス・ライフスタイル社)を通して、世界最大の広告市場である米国で顧客による関心が高まっているエクスペリエンシャル・マーケティング(消費者のブランド体験、経験価値にフォーカスしたマーケティング活動)に強みを持つ総合マーケティング会社、「MKTG」の取締役会と、同社株式100%取得に向けた買収手続きを開始することで合意した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2014/0528-003741.html
電通グローバル化とは、デジタル・エージェンシー化でもある。

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3)【深夜の誌人語録】

「大きなもの」ではなく、「小さきもの」を大切にする深さを持ちたいものである。人間的に弱いからではなく(人間は誰だって弱いものだ)、人間的に浅いから「小さきもの」に目が行き届かないしだし、「長いもの」に巻かれてしまうのだ。