【文徒】2014年(平成26)7月9日(第2巻127号・通巻329号)

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1)【記事】大学生・小田明志がサッカー選手の一切出ないサッカー雑誌をW杯後に創刊
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】大学生・小田明志がサッカー選手の一切出ないサッカー雑誌をW杯後に創刊

サッカー選手が一切出ないサッカー雑誌が誕生する。「OFF THE BALL」というタイトルが示す通り、サッカーに関するファッションやカルチャーが取り上げられる。編集長の小田明志は現役大学生である。
http://www.fashionsnap.com/news/2014-07-06/offtheball/
小田は高校時代に「健康優良知的不良少年少女雑誌」を謳う「LIKTEN」を創刊している。今から4年前、「LIKTEN」の特集で「平和」を取り上げた際にインタビューで、こんなことを言っている。
「実は僕がやりたいと思ってた最初の構想では「絶対反戦、絶対平和」っていうスタンスだったんですよ。でも書いてる途中でなんか違うなと思って。戦争のない世界って、これジョン・レノンの歌詞じゃんと。彼がイマジンとか言っても何も変わらなかったのに、俺は何してんだろう? って」
http://www.excite.co.jp/News/reviewbook/20100819/E1282155339183.html
既存の雑誌が(プロの編集者が担う雑誌である)、読者ターゲットの年齢を上げる傾向にある。私は雑誌が若者たちを疎外することに危機感を抱いていたが、そうした発想は間違っているのかもしれない。むしろ、逆なのだ。若者たちからすると既存の雑誌に読者として囲い込まれるのが嫌なのではないのか。若者たちが既存の雑誌を疎外しはじめたと考えるべきなのかもしれないのである。彼らにとって雑誌は読むべきものではなく、自らが創造するものであるのかもしれない。
小田はブログでカッパブックスの一冊として刊行された長沼健の「チームプレイ」を発見し、そのなかの「地味な仕事にこそ、ロマンチストを起用せよ」という見出しに注目している。それが昨年のことである。
http://blog.honeyee.com/aoda/archives/2013/08/24/-12.html
私は小田を例外的な存在だと考えてはならないと思う。小田のような若者は世の中に無数に存在しているはずだ。そういう才能と結びつく方法を既存の出版社は考えるべきではないのか。小田のブログはウエブマガジン「honey.com」で発表されたものである。

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2)【本日の一行情報】

◎モデルで女優の本田翼が集英社の「少年ジャンプ」で編集者をつとめた!本田が担当したのは松井優往の「暗殺教室」。実は本田と松井は「ノンノ」6月号の「もしも翼がジャンプの新人漫画編集者だったら着回し」という企画で既に共演済み。今回の体験も8月20日売りの「ノンノ」10月号に掲載される。
http://www.47news.jp/topics/entertainment/oricon/culture/149122.html
女性誌とマンガ誌のコラボは何も集英社に限ったことではない。講談社の「フラウ」8月号の表紙を飾るのは「進撃の巨人」のリヴァイである。
http://frau-web.net/book/next.html
男性誌の表紙をレディースコミック誌や少女マンガ誌のキャラクターが飾っても少しもおかしいことはないのである。

小学館の女性向け情報誌「Suits」と三菱自動車とお笑い芸人のたけだバーベキューがコラボしたイベントが開催された。パエリアが美味そうだなあ。
http://takeda.citylife-new.com/e79614.html

◎黒田維理をご存知ですか。「SOMETHING COOL」(1958)で知られる詩人です。
http://kisaragibook.com/kurodairishousai.htm
驚くことなかれ、何とマガジンハウスの「&プレミアム」8月号で黒田維理が紹介されているではないか!私としては嬉しい限りである。
http://magazineworld.jp/premium/

東洋経済新報社を去り、NewsPicks編集長に就任した佐々木紀彦だが、NewsPicksを成功させることになるとは限らないが、「アスキークラウド」における次のような発言は、その通りだと私は思っている。
「既存メディアは自社育成にこだわり過ぎているがゆえに、強くなりません。平均点以上の人が多く生まれる育成システムは素晴らしいですが、60〜70点の人をたくさん量産するものであり、スターができるシステムではない。我々はスターを生むシステムとともに、スターの人が入ってきたくなるような土壌を作って、リクルートではないですが、卒業したければ全然大丈夫というようにしたいです」
http://ascii.jp/elem/000/000/911/911245/

◎「日刊埼玉西武ライオンズ」に集英社鳥嶋和彦専務の名前を発見した。
何と西武ライオンズは鳥嶋から学ぼうとしているのである。鳥嶋がテレビ番組で言った「編集者は先輩のいうことを聞かなくて良い」「編集者は空っぽがいい」は野球にも通じるというのだ。即ち「プロは先輩の言うことを聞き流して良い」「監督は空っぽがいい」と読み替えられるというわけだ。
http://daily-lions.com/2014/07/column20140706.php

電子書籍でしか読めない丸野裕行の小説「木屋町DARUMA」が何と映画化されることになった。
http://kiyamachi-daruma.com/

丸美屋は「週刊少年ジャンプ」(集英社)連載の「ワンピース」とコラボして「ワンピースふりかけミニパック」「ワンピースカレー」を発売する。
http://www.j-cast.com/mono/2014/07/07209368.html

◎宝島社はアニメ映画『劇場版 TIGER & BUNNY -The Rising-』のキャラクターがプリントされた扇子までも売ってしまう。この貪欲さは見習うべきだろう。
http://tkj.jp/book/?cd=62292601

学研教育出版のティーンズ向けファッション誌「ピチレモン」はコラボ商品の開拓に熱心だ。グレイス、ユニーとのコラボで水着を発売する。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000357.000002535.html

赤松健の「Jコミ」が7月11日より「絶版マンガ図書館」と名称を変え、大幅なバージョンアップを行う。
http://d.hatena.ne.jp/KenAkamatsu/20140707/p1

イースト・コミュニケーションズは「Free&Easy」6月号の安西水丸の追悼特集で赤瀬川原平南伸坊角田光代らの文章を勝手に捏造して掲載した件で、担当編集者を懲戒解雇し、小野里稔社長兼編集長を減給3ヶ月の懲戒処分にしたことを同誌8月号で発表した。
http://www.asahi.com/articles/ASG777RL5G77UCFI014.html

◎22歳の川端康成が15歳の少女に恋心をつづった未投函の書簡が発掘された。7月10日に発売される「文藝春秋」8月号が「歴史的発見を独占公開 川端康成『投函されなかった恋文』 『伊豆の踊子』の原点の女性がいた」を掲載し、岡山県立美術館は、この書簡を初公開する。
http://www.sanyonews.jp/article/38525/1/

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3)【深夜の誌人語録】

日々の生活にも小さな勇気が必要である。