【文徒】2014年(平成26)7月15日(第2巻131号・通巻333号)

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1)【記事】「電子図書館」は増えつづける
2)【記事】ビートたけしと言えば…この文章!
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】「電子図書館」は増えつづける

兵庫県三田市立図書館は8月からインターネット端末で本が読める「電子図書館」を導入する。
http://mainichi.jp/area/hyogo/news/m20140712ddlk28040375000c.html
電子図書館」は勢いを更に増してくるだろう。むろん、次のような意見があることを承知のうえだ。すなわち、「電子図書館」先進国のアメリカでさえ、大手出版社6社のうち、半分が電子書籍の図書館による貸出に同意していないという現状もあるし、日本の公立図書館に関していえば市民ニーズが低いではないかと。
http://blogos.com/article/90408/
しかし、学術論文に関しては今やデジタル版が常識であるし、図書館にとっても電子書籍は扱いが便利なはずである。更にスマホの普及も追い風になるだろう。どこからどう考えても、時代の必然性からすれば否が応でも「電子図書館」は増え続けるはずである。

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2)【記事】ビートたけしと言えば…この文章!

今や女性週刊誌を圧倒する芸能スクープを連発中の「週刊文春」がビートたけしの離婚危機を報じたが、スポーツニッポンによれば12日にTBS「新・情報7daysニュースキャスター」に生出演したビートたけしは「週刊誌見たら、『たけし、かみさんに100億円払って離婚』だって?100億円あったらそんなことしているわけないじゃないか、冗談じゃないよ」と発言したそうだ。
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2014/07/12/kiji/K20140712008552970.html
私は「週刊文春」のスクープ記事を読んでいて次のような講談社のウエブサイトに掲げられている文章を思い出した。
「昭和56年秋に講談社から出たたけしの自著『たけし!』は、表紙がぼろぼろになるまで読みました。いま読み返せばなんということはない、いわゆるネタ本でしたが、やさぐれていたころの私には、強烈なインパクトがありました」
「あわよくば、たけしに会えるかもしれないと、ラジオ局の玄関に足を運んでいたのは私だけではありません。このころ、目をキラキラ輝かせて局の玄関で『出待ち』をしていた女性に私が注意を払うことはありませんでした――」
ニッポン放送玄関でたけしの『出待ち』をしていた女性は、襲撃事件の後、愛人の座を磐石のものとし、彼の娘を生み、育てあげました。私の手元には日に灼けた『たけし!』が残っているだけです」
http://konoichi.kodansha.co.jp/1207/01.html
全文を読んでもらうとわかるけれど、彼の青春の痛みも伝わってくる良い文章なんだよね、これが。

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3)【本日の一行情報】

◎渋谷にオープンした「森の図書室」は日本のクラウドファンディング史上最多となる1737人の支援者を集め、953万円を集めたという。
http://www.huffingtonpost.jp/2014/07/11/moritosyo_n_5577492.html
「森の図書室」は渋谷駅から徒歩7分道玄坂にオープンした、お酒が飲めて、音楽が楽しめて、蔵書1万冊を誇り、この本を読めて、借りられる、深夜1時まで営業している、大人の隠れ家である。
http://morinotosyoshitsu.com/
http://matome.naver.jp/odai/2139962144699667901

◎7月12日から韓国ソウルの戦争記念館で開催が予定されていた「ワンピース」の特別企画展「メモリアルログ:頂上決戦完結版」は急遽中止が決まった。原作のなかに旭日既が描かれていたからだという。7月10日付朝鮮日報は次のように書いている。
「同記念館は『原作に日本の旭日旗が登場するワンピースを戦争記念館で開催するのは問題があるとの指摘が多数あった』と説明。『展示品にはないが、原作に旭日旗と見られるイメージが多数登場することが確認され、やむを得ず(展示室の)貸館を取り消す』と明らかにした。『日本の植民地時代など、対外抗争の歴史を教訓として伝える戦争記念館でワンピースの企画展を強行するのは、不必要な騒ぎを招きかねないと判断した』という」
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/07/10/2014071003993.html?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter

◎「高橋一清著『百冊百話』の集い」が7月1日に開催された。島根県知事も駆けつけた。高橋は文藝春秋出身の編集者。
http://blogs.yahoo.co.jp/andymako2005/33705018.html?from=relatedCat

◎第12回開高健ノンフィクション賞は中日新聞東京本社(東京新聞)特別報道部デスク田原牧の「ジャスミンの残り香−『アラブの春』が変えたもの」に決定。田原はトランスジェンダーとしてカミングアウトしていることでも知られている。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2014071200264
受賞作の刊行は11月だというが、これを読んでおこう。
http://www.magazine9.jp/article/other/8793/

NHK出身の池田信夫は「フライデー」が「クローズアップ現代」について書いた記事は誤りだとしたうえで、次のように書いている。
「世の中には、政府とNHKの関係について誤解があるようだ。NHKが権力に弱いことは事実で、私も政治番組をやっていたときは、副調に理事が来るのには違和感があった。しかし秘書官に何かいわれたぐらいで、会長が謝罪することはありえない。そんなことをしたら、政治家になめられるからだ」
http://blogos.com/article/90356/

◎NewsCafeが実施した「信用できる新聞ランキング」。第1位「地方紙」、2位「新聞読まない」、3位「読売新聞」、4位「朝日新聞」、5位「産経新聞」。
http://okmusic.jp/#!/news/46034
産経新聞」が大健闘しているが、部数には余り反映していないはずだ。「産経新聞」を信用できると答えたユーザーは、恐らくインターネットで「産経新聞」を読んでいるのだ。

◎「フラウ」8月号の表紙を「進撃の巨人」のリヴァイが飾ったことは何度も報じてきたが、リヴァイの足下には「失恋ショコラティエ」(小学館)も置かれているのか!
http://otapol.jp/2014/07/post-1229.html

◎戦前、大ヒットし、「ドラえもん」の原点がここにあるとも言われている、阪本牙城のロボット漫画「タンクタンクロー」が電子書籍化され、イーブックジャパンからリリースされた。「タンクタンクロー」は講談社の「幼年倶楽部」に連載されていた作品である。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014071302000130.html

毎日新聞によれば「東京都文京区で3日に開かれた日中の出版関係者の交流会には、中国政府の出版部門や出版社の幹部、日本の大手出版関係者ら100人余が出席した」そうだ。トーハンの「天皇」と言われた上瀧博は次のように語ったということだ。
「相手の批判を繰り返すだけでなく、時間をかけてでも双方納得のいく打開策を見いだす必要がある。攻撃する本が増えているのは作る側の問題だ。互いに誠意と英知を結集して取り組めば前進が可能だと信じている。日中には共通の価値観もあり、歴史や伝統を自覚したうえで、発展に向けて実行することが(出版業界に)望まれている」
http://mainichi.jp/journalism/listening/news/20140714org00m010004000c.html

◎ベネッセが子ども向けイベントを中止へ。ベネッセにとってイベントは「個人情報」を取得する場であっただけに通信教育などの事業に与える影響は甚大である。
http://www.j-cast.com/2014/07/13210351.html

◎名古屋の瑞穂区にある七五書店はカフェを併設している。コミックスの品揃えが凄いことに加え、文芸、絵本も充実しているそうだ。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140713-10005719-creaweb-life&p=1

講談社のサッカー専門のウエブメディア「ゲキサカ」はサッカーW杯ブラジル大会の開催期間中に、スマホタブレット、パソコンなどトータルで1億PVを突破した。
http://news.livedoor.com/article/detail/9039809/

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4)【深夜の誌人語録】

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