【文徒】2014年(平成26)7月23日(第2巻136号・通巻338号)

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1)【記事】日販の「祭」に異論あり
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】日販の「祭」に異論あり

日販は、書店店頭の客数・売上アップに向けた取り組みである販促企画「祭」の2014年度第一弾を、7月19日から8月31日まで、全国675書店で開催する。「祭」の企画内容は次の通り。
≪企画1≫「ほんらぶ祭」
(実施店舗:Honya Club加盟店、他ポイントカード導入店)
(1)ポイントアップラリー
税込500円以上の購入でスタンプ1個を押印。2回目の購入以降、スタンプの個数に応じて、ポイントの倍率がアップ。2回目は2倍、3回目は3倍、4回目は5倍の倍率でポイントを付与する。
(2) ポイントアップラリー完走者限定の抽選プレゼント
スタンプを4個全て集めると、抽選プレゼント企画に応募できる。雑貨ブランド「DULTON」商品から選べる4コースを用意し、抽選で各100名、合計400名にプレゼント。
≪企画2≫「本気祭」
(実施店舗:ポイントカードを使用しない販促キャンペーン申込店)
dancyu selection絶品お取り寄せ!プレゼント」キャンペーンとして、税込1,000円以上の購入につき1枚、または雑誌「dancyu」(プレジデント社)関連商品購入の場合、1冊につき1枚、応募券を配布。応募者の中から抽選で1,000名に、総額1,000万円相当のお取り寄せギフトをプレゼントする。なお、対象商品には売上インセンティブ(報奨金)を設定し、増売協力の契約書店に還元する。
≪企画3≫「コミックカバーセレクションキャンペーン」
コミックの購入に対して、「妖怪ウォッチ」(小学館)「弱虫ペダル」(秋田書店)、「宇宙兄弟」(講談社)「マギ シンドバッドの冒険」(小学館)の4種のオリジナルコミックカバーのうちいずれか1種をプレゼント(8月10日開始、カバーがなくなり次第終了)。
本キャンペーンには、全国およそ700店のTSUTAYA BOOKSも参加。なお、TSUTAYA BOOKSにおいては、別絵柄を配布する。
http://www.dreamnews.jp/press/0000096410/
http://www.honyaclub.com/shop/pages/natsumatsuri201401.aspx
http://www.honyaclub.com/shop/pages/natsumatsuri201402.aspx
取次が販促企画を立てて実施する。経営の苦しい書店の売上が伸びるのであれば、それはそれで良いことだと思う。こういう歯切れの悪い言い方になるのは、書店が売上を伸ばすには、ポイントとプレゼントで釣るしか他に手はないのだろうか、と思ってしまうのだ。
「本気祭」の場合は雑誌「dancyu」の増売をはかるという意味で、このプレゼント企画は評価できる。ならばいっそのこと、広告ビジネスを噛ませるなどして、もっと大かがりに展開できないものなのか。私がどうしても理解しがたいのは「ほんらぶ祭」である。ポイントとプレゼントだけの企画のどこに「本」に対する「Love」を見出せるのであろうか。せめて書物を集めてのフェアを実施したうえでポイントなり、プレゼントを連動させるべきではないのか。「ほんらぶ祭」の発想に欠如しているのは、編集力なのである。書店の編集力、取次の編集力を結集した「祭」を主にして、そこにポイントやプレゼントを連動させた企画でなければ、その場しのぎで終わってしまうと日版は考えなかったのだろうか。プレゼントにしてもそう。この雑貨を通じて「ほんらぶ」が高まるとは私には到底思えないのである。

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2)【本日の一行情報】

さいたまスーパーアリーナで8月29日〜31日に開催される「アニメロサマーライブ 2014 -ONENESS-」されるが、7月28日にその「公式ガイドブック」とでも言うべき「アニサマぴあ 2014」が刊行される。こうしたイベント(チケット)連動型の出版は、ぴあならではのものであろう。
http://www.ota-suke.jp/news/123284

◎動画配信サービス「hulu」を運営するHJホールディングスは、同サービスで日本テレビのバラエティ番組をテレビ放送に先駆け、オンデマンドサービスで先行配信する史上初の試みを始めた。バラエティ番組「ネリさまぁ〜ず」を、放送より1週間早く配信する。
http://japan.cnet.com/entertainment/35051110/
一方、「ひかりTV」は、テレビ東京での深夜ドラマ「アオイホノオ」をビデオサービス(VOD)で、各話の放送直後より順次、見放題対象作品として独占先行提供している。
http://www.hikaritv.net/info/2014/0718/

資生堂を再生するには「宣伝と店頭のプロモートが分離されている現状を変える」(横田由香)ことは必要最低条件であろう。そして、問われるのは、その方法論である。「お客さまインサイト起点」(魚谷雅彦社長)に改めつつも、資生堂の「歴史」を生かしたブランドマネジメントができるかどうかである。資生堂を再生させるということは、資生堂の「歴史」を再生させることに他ならないはずだ。このことに果たして魚谷が気づいているかどうかである。むろん「歴史」を生かすことと「歴史」に胡座をかくことは、質を全く異にしている。
http://biz.searchina.net/id/1538193
資生堂創業家レストランで起きた「ワイセツ事件」の顛末を報じていたのは「日刊ゲンダイ」!
http://nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/152004

講談社は「マガジンSPECIAL」8月号で、真島ヒロFAIRY TAIL」の連載8周年突破を記念し、誌面に掲載されているQRコードを読み込み、ダウンロードページにアクセスすると総勢45キャラのTwitterアイコンをプレゼントしている。
http://natalie.mu/comic/news/121559

◎雑誌風コラージュ&フォトブック作成「Mags Inc.」のようなアプリは本来、出版社が開発し、提供すべきものではなかったろうか。このアプリを開発した「ひけしや」は「Mags Inc. for Bussiness」を企業向けサービスとして開始した。企業がテンプレートを作成し、そのテンプレートユーザーに対してアプリ内で任意の広告表示やマーケティングを行えるというもの。
http://www.atpress.ne.jp/view/48268

佐村河内守ゴーストライターを告白した新垣隆による「週刊文春」のテーマ曲「交響曲HARIKOMI」が「ニコニコ23時間テレビ」で初披露された。
http://www.j-cast.com/2014/07/20211018.html
週刊新潮」だと、こういう遊びができないというか、やらないんだろうな。良い意味でオンナ、コドモの「週刊文春」でもある。

主婦の友社ヒーロー文庫「魔力の使えない魔術師1」も投稿サイト「小説家になろう」から生まれたラノベである。
http://bukure.shufunotomo.co.jp/hero/
http://ncode.syosetu.com/n8785bm/

小学館の月刊マンガ誌「IKKI」が休刊。こういうマンガ誌は販売的に苦しいだろうと思っていたけれど、オレの好きなマンガ誌だった。出版に「美しき誤算」はつきものだ。会ったことはないけれど、編集長の江上英樹編集長のセンスに好感を持っていた。江上の仕事を遠くから支持したい。
http://www.tokyo-sports.co.jp/entame/anime/291987/
重松成美の「白い本の物語」なんて最高じゃないかっ!出版関係者であれば感動すること、間違いなしの一冊だ。何しろ製本職人を取り上げている。難を言えば、もっと製作に贅をつくした書籍として刊行してもらいたかった。
http://www.shogakukan.co.jp/comics/detail/_isbn_9784091886583

◎何をやっても話題になる光文社の「VERY」。「餃子の王将」が登場しただけで話題になっちゃう。「『VERY』編集長 今尾朝子の子育て日記」なんて企画したらベストセラーになるんじゃないの。
http://matome.naver.jp/odai/2140566151252121901/2140566800158510503

鴻上尚史がTBSの「新・情報7daysニュースキャスター」に出演し、ろくでなし子の逮捕にかかわる報道で彼女のことを「自称芸術家」と報じたことについて、次のように語ったのは正論である。
「警察が『自称』と言っても、マスコミが調べてみれば、自称でないのはわかるはずなんですよ。それが、インターネットの社会なんだから。でも、ほとんどの新聞もテレビもみんな、最初は『自称芸術家』という警察発表のままでやったんですね。それは、とても恥ずかしいことだと、マスコミの人は思ったほうがいいと思いますね」
新聞やテレビの世界には相も変わらず「自称ジャーナリスト」が闊歩しているということだ。
http://blogos.com/article/90863/

◎RAGEBLUEは、ダンスロックバンド「the telephones」と日之出出版のファッション誌「FINEBOYS」とのトリプルコラボTシャツとバケットハットを発売する。
http://cyclestyle.net/article/2014/07/19/11819.html
「ぴあ名駅食本」に500円ランチクーポンがついているというアイデアも悪くはない。ちなみに「名駅」は名古屋の「名駅」。ぴあの「食本」シリーズの一冊である。500円ランチクーポンと巻末のクーポンがセールスポイントとなっている。
http://piabook.com/shop/g/g9784835627076/

◎マガジンハウスから「大人のウルトラセブン大図鑑」が刊行された。
http://magazineworld.jp/books/paper/8929/
私にとって「ウルトラセブン」と言えば実相寺昭雄だし、金城哲夫上原正三佐々木守市川森一という三人の脚本家を思い出さずにはいられない。こんな本も刊行されている。
http://www.gendaishokan.co.jp/goods/ISBN978-4-7684-7667-3.htm

KADOKAWAの「MJ文庫J夏の学園祭」がラノベ文化の聖地たる秋葉原で開催された。こんな程度なんだけれど…だから良いのだろう。「学園祭 断固阻止」と書かれたポスターが欲しい。
http://blog.livedoor.jp/honya_akiba/archives/39905396.html

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3)【深夜の誌人語録】

怠惰でもなく、拙速でもなく、ゆっくりと急げ。