【文徒】2014年(平成26)7月30日(第2巻141号・通巻343号)

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1)【記事】出版社が持つ様々な能力は孤立している
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】出版社が持つ様々な能力は孤立している

出版社は実に様々な能力を持っていると言って良いだろう。編集力ひとつをとっても、小説やマンガなどを生み出す力もあれば、新聞に対抗するジャーナリズム力もあれば、ファッションの尖端と切り結ぶような編集力もある。眼を営業に向ければ、販売力もあるし、宣伝力もあれば、広告力もあるし、デジタルにかかわる能力も捨てたものではない。
恐らく出版社が自覚する以上の能力を秘めているはずだ。その多様な能力は他産業からすれば羨ましい限りのものではあるまいか。しかし、残念ながら出版社の持つ様々な能力は同じ社内にあるにもかかわらず、それぞれが孤立して存在しているように見える(バラバラだということだ)。その結果、せっかくの能力を小さくしか展開できないのである。
それぞれの能力をもっと連関させて発信するのであれば1+1が3にも、4にもなり得るのに、そうしたとり組みに意外と臆病なのである。もっと意識的に横串を刺していくならば、潜在能力を覚醒させることができるはずなのにそうはしてこなかった。セクショナリズムと前例踏襲主義しか判断の基準にないような「小官僚」が跋扈する土壌は伝統でも何でもあるまい。単なる反動である。何よりも宝の持ち腐れである。
バラバラに存在している能力を横串に刺して統合していくことが可能であるような経営が出版社には求められているのである。

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2)【本日の一行情報】

KADOKAWAは「Walker47」のスマホアプリ(iOSおよびAndroid)を配信開始した。やり方次第では化けるんだけれどもなあ。現状ではダメだと思う。
https://itunes.apple.com/jp/app/walker47/id890379923?l=ja&ls=1&mt=8

◎スマップは相変わらず強いコンテンツということなのだろう。フジテレビの特別番組「武器はテレビ。SMAP×FNS 27時間テレビ」の全平均視聴率が13.1パーセント、瞬間最高視聴率は23.8パーセント!
http://www.cinematoday.jp/page/N0064941?utm_source=gunosy&utm_medium=feed&utm_campaign=xchg
キムタクが出演している、これまたフジテレビの月9ドラマ「HERO」初回も視聴率26.5%だし。
http://diamond.jp/articles/-/56632#gunosy

羽海野チカの「3月のライオン」のオフィシャルファンブック「3月のライオン おさらい読本 初級編」が白泉社から9月29日に刊行される。通常版は「648円+税」だが、「ブンちゃんがまぐち」付きの限定版は「1900円+税」である。
http://3lion.younganimal.com/osarai/

◎全国のローソン店舗でコミックス第14巻の発売と上野の森美術館で開催される「進撃の巨人展」のチケット発売を記念して、「進撃の巨人」キャンペーンが8月5日〜25日まで開催される。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1407/29/news031.html
ちなみに14巻で単行本累計発行部数が4000万部を突破するそうだ。
http://natalie.mu/comic/news/122243
文化出版局の「装苑」9月号では作者の諫山創が登場、インタビューに答えるとともに「『進撃の巨人をつくる道具』と題されたページでは、諫山が愛用する道具や仕事場の卓上、普段ネーム作業する様子を再現した写真などを公開。また別冊少年マガジン8月号(講談社)に収録された『進撃の巨人』第59話1ページ目の生原稿とネームが比較掲載されている」(コミックナタリー)。
http://natalie.mu/comic/news/122221

「WiLL」9月号は総力特集「朝日を読むとバカになる!」。もっと表紙にデッカク載せたほうが迫力あるのに。でも、これが「讀賣を読むとバカになる!」だとシャレにもならないし、「サンケイ」や「東京」ではマイナー過ぎてしまう。やはり、ここは「朝日」しかあるまい。「日経を読む経済オンチ」というタイトルは「あり」か。実際は朝日を読もうと読むまいとバカはバカなんだけどさ。
http://web-wac.co.jp/magazine/will/
http://getnews.jp/archives/632294

◎「ノンノ」のレギュラーモデルとして活躍していた岸本セシルが「モア」のレギュラーモデルとして正式加入した。集英社の「社内異動」なのだろう。
http://mdpr.jp/news/detail/1395356
私が注目しているのが「LARME」の菅野結以
http://mdpr.jp/beauty/detail/1395426

講談社の「with」9月号は付録ありの通常版690円と付録なし版550円の二種類で発売された。付録は人気ブランド「ポール&ジョー」のハードカバーノートとペンケース型のマルチポーチ。その差額は140円。付録なし版がどの程度売れるかが一番気になるところだ。取り敢えずは通常版を売るための付録なし版と理解しておこうか。
http://kirei.mainichi.jp/kireinews/news/20140728dog00m100019000c.html

◎「週刊少年ジャンプ」(集英社)に連載が開始されて15年になる「NARUTO」だが、劇場版アニメが製作され、「NARUTO展」が開催されることになった。
http://otapol.jp/2014/07/post-1332.html

スマホ小説投稿サイト「E エブリスタ」を運営するエブリスタは、電子書籍大賞2012「角川書店賞(ミステリー部門)」受賞作品、小説「秘密屋」(永堀大介)の実写映像化を発表した。TSUTAYA発のドラマ製作 プライベートブランドメT-Dramaモレーベル立ち上げに伴い、レーベル第2弾作品として映像化が決まった。DVDレンタル開始は12月3日。
http://everystar.jp/news/492/

集英社の「マキア」10周年SPECIALイベント企画。六本木ヒルズで「マキアカフェ」と「ビューティアカデミー」を開催するが、協賛スポンサーを募っている。こういう仕掛けは集英社の得意とするところだ。
http://adnavi.shueisha.co.jp/topics/pdf/maquia08.pdf
「マリソル」は10月号、11月号の2号連続でテレビCMを実施。付録も充実させる。
http://adnavi.shueisha.co.jp/topics/pdf/marisol21.pdf

◎1992年に創刊された18禁エロゲー雑誌「BugBug」が編集部ごと版元をマガジン・マガジンから富士美出版に移籍。富士美出版辰巳出版グループ
http://otapol.jp/2014/07/post-1278.html

◎「つかしん」(兵庫県尼崎市)にある大型書店「ふたば書房」の一角に雑貨コーナーがオープンした。
http://www.tsukashin.com/campaign/futaba_1407/
出版物が売れていれば雑貨コーナーを設ける必要はなかったとも言えよう。

小山宙哉自身によるオリジナル脚本で描く劇場アニメーション「宇宙兄弟#0」が8月9日より公開されるが、この公開を記念して、「宇宙兄弟」のオールカラー版を講談社、コルク、BookLiveの三社が共同で制作し、第1・2巻を電子書籍ストア「BookLive!」からリリースした。
http://www.cinematopics.com/cinema/news/output.php?news_seq=21250

渡辺謙主演のテレビドラマ「白銀ジャック」(テレビ朝日系)が電車、書店、劇場をジャックした。関東近郊の文教堂77店舗、アシーネ38店舗、未来屋書店65店舗、計180店舗では、文庫本購入時に掛けられるブックカバーが「白銀ジャック」仕様だ。
http://news.mynavi.jp/news/2014/07/29/010/

ハースト婦人画報社が運営する女性ファッション誌「ELLE JAPON(エル・ジャポン)」のオンラインストア「ELLE SHOP(エル・ショップ)」は、人気セレクトショップロンハーマン」とインテリアブランド「レイチェル アシュウェル シャビーシック クチュール」の期間限定ショップをオープンした。
http://kirei.mainichi.jp/kireinews/news/20140728dog00m100030000c.html

小学館は、広告会社のターゲッティングと共同で、働く女性を対象としたウエブサイト「BizLady」をオープンした。「美しく働く女性の興味にレスポンス!」をテーマに、仕事も生活もよくばりたい、美しく働く女性のための新しいウェブマガジンを標榜している。小学館ではデジタル事業局が担当する。
http://japan.cnet.com/release/30076928/

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3)【深夜の誌人語録】

歩くことは学ぶことである。デスクの前に陣取っているだけで何が学べるというのだろうか。