【文徒】2014年(平成26)11月10日(第2巻211号・通巻413号)

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1)【記事】セブン&アイ・ホールディングストーハン
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2014.11.10 Shuppanjin

1)【記事】セブン&アイ・ホールディングストーハン

 セブン&アイ・ホールディングスがネット戦略を重要視していることは周知の事実だが、「セブン―イレブン」店頭受け取り対象商品を11月から150万品目に拡充したそうだ。これに対応する「セブン―イレブン」は首都圏の約7000店舗となるが、注文後2〜4日かかっていたリードタイムについても翌々日に店頭で商品を受け取れるようになるそうだ。アマゾンを相当意識しているのだろう。
久喜市に開設したネット事業専用物流センターから「セブン―イレブン」各店舗への商品配送については、出版取次トーハンの物流網を活用するそうだ。
取次どうしの共同配送は、これで遠のくに違いない。大阪屋以下の取次にとって、共同配送は生き残りのために不可欠だが、この辺りをトーハンは一体どのように考えているのだろうか。
恐らくトーハンは実態的にはセブン&アイ・ホールディングスの関連会社という色彩を強めていくのだろう。出版社にとってセブン&アイ・ホールディングス批判は、ますますタブーとなる。
http://www.tsuhanshinbun.com/archive/2014/11/post-2014.html
アマゾンにあってセブン&アイ・ホールディングスにないものはあってはならないと鈴木敏文あたりは考えているのだろう。

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2)【本日の一行情報】

幻冬舎から共同通信記者の池谷孝司の「スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか」が刊行された。高校生の頃、担任教師に乱暴された過去を持つ女性が今も県立高校で教師を続けている、当時の担任教師と8年の歳月を経て対決する。「M教師」とは「問題教師」の隠語だという。
http://www.gentosha.jp/articles/-/2789

◎11月5日に発売された「花とゆめ」23号の附録は草凪みずほ暁のヨナ」の四龍とハローキティがコラボした下敷き。
http://www.hanayume40th.com/furoku.html

◎「ディズニーファン」からスピンアウトした「ディズニーベビー秋冬号」の附録はオンワードの「組曲」ブランドとコラボしたビッグサイズポーチ。縦16センチ×横22センチ×深さ7センチのサイズにポケットが2つあり、紙おむつ、お手拭き、ハンドタオルがセットで入る。
http://disneyfan.kodansha.co.jp/mook/38497.html

Twitterフォロワー数が13万人を超えるSNSの女王・根本弥生が主婦の友社から「ねもやよ!根本のナカミ」を刊行。ねもやよは「egg」を2014年1月号で卒業し、「S cawaii!」2014年2月号から「S Cawaii!」の専属モデルをつとめている。
http://mdpr.jp/gal/detail/1443813

文藝春秋は11月7日に発売の「CREA」12月号から、電子版の配信をスタート。また紀伊國屋書店三省堂書店の全店において、「CREA」すると、「CREA eats 恋するパンケーキ」電子版が無料でプレゼントされる。
http://crea.bunshun.jp/articles/-/6589

◎サイバードは、累計会員数1,000万人を誇る女性向け恋愛ゲーム「イケメンシリーズ」の人気タイトル「イケメン王宮◆真夜中のシンデレラ」を、完全オリジナルストーリー「イケメン王宮Another Side 放課後のシンデレラ」として、小学館の「Sho-Comi」でマンガ化し、11月20日(木)発売の24号より連載を開始する。「Sho-Comi」に掲載のシリアルコードをゲーム内で入力すると、梅澤麻里奈が描く扉イラスト、ストーリーチケット(5枚)などのアイテムや、コミック内で登場するドレスアバターアイテムをゲーム内でプレゼントされるそうだ。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000472.000001661.html
ネットと雑誌の連動ということでは、マンガ誌が一歩も二歩もリードしている。女性ファッション誌も本気でスマホを占拠する方法を模索すべきである。その際、参考になるのがマンガ誌である。

◎「ブルータス」、お前もか!マガジンハウスの「ブルータス」が11月15日発売号で諫山創の「進撃の巨人」(講談社)を特集する。ラカン派の斎藤環が諌山を精神分析するそうだ。私は、こうした雑誌ならではの知的遊戯が好きだ。
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1411/05/news023.html
日経エンタテインメント!」12月号の表紙を飾っているのも「進撃の巨人」だ。
http://ent.nikkeibp.co.jp/ent/monthly/2014/12/index.shtml
映画「劇場版『進撃の巨人』前編〜紅蓮の弓矢〜」の公開を記念したイベント「進撃の巨人 in ナンジャタウン」が来年の1月18日まで開催されている。
http://www.j-cast.com/trend/2014/11/07219822.html
ニコニコ生放送では、2014年11月16日より、テレビアニメ「進撃の巨人」前半13話の一挙放送を行う。
http://www.famitsu.com/news/201411/07065285.html
映画の公開は11月22日(土)から。

◎小峯隆生の「若者のすべて 1980〜86『週刊プレイボーイ』風雲録」が集英社ではなく、講談社から刊行された。私など「若者のすべて」というと、プロレタリアートの本質を描いたヴィスコンティの映画を想起するけれど。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40923
ライバル社(誌)からオマージュを捧げられたり、エールを送られたりする雑誌に未来はあるのだろうか。かつて「週刊プレイボーイ」が 「ぐわんばれ!平凡パンチ 」とエールを送ってどうなったか。「平凡パンチ」は休刊してしまった。ちなみに私は「平凡パンチ」派であった。

京都造形芸術大学のマンガ学科で「集英社出張編集部」が実施された。「りぼん」「別冊マーガレット」「マーガレットチャンネル」「YOU」「ヤングジャンプ」の5誌が参加した。
「授業を受講している1回生をメインに、マンガ学科の他の学年や他学科の学生たちが
編集さんにネームや完成原稿を見ていただき、様々なアドバイスを貰いました」
http://www.kyoto-art.ac.jp/production/?p=33360

KADOKAWAは「MF文庫J ライトノベル新人賞」の第10回という節目を記念して10大企画を実施。歌手でありアニメミライ広報大使でもある西川貴教が応援するというのも、その一つ。ライトノベルは「小説」よりも「マンガ」や「アニメ」に近い。ライトノベルで育った読者は大人になっても、恐らくライトノベル的な世界観に共感を覚えるのではないだろうか。ライトノベル的時代小説やライトノベル的恋愛小説が求められ始めているのは間違いあるまい。
http://bc.mediafactory.jp/bunkoj/rookie10th-project/

◎「読売中高生新聞」が創刊された。小学館は読売新聞と組み、集英社朝日新聞講談社日本経済新聞と組む。全国紙と大手出版社のコラボがつづく。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20141106-OYT1T50024.html
http://www.yomiuri.co.jp/kodomo/jyuken/information/CO007789/20141103-OYT8T50020.html?from=ytop_ymag
少し修正が必要か。小学館朝日新聞とも組んでいる。朝日新聞社とVOYAGE GROUPが運営する無料事典サイト「コトバンク」は、新たに小学館の百科事典「日本大百科全書(ニッポニカ)」を収録した。
http://japan.cnet.com/release/30085607/
私は、ここで地方紙と出版社がどう組めるかという問いを発しておくことにしようか。

◎トンデモ雑誌の雄「月刊ムー」(学研パブリッシング)が、創刊35周年を記念しオリジナルグッズの販売を開始。これ売れそうだな。35周年記念特大号「知られざる京都遷都計画と出雲王朝の復活!」の見出しをプリントしたiPhoneケース(税込2700円)って凄い発想だよね。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1411/05/news106.html

NHKの「あさイチ」に天狼院書店が昼寝の出来る書店として紹介されたそうだ。
http://tenro-in.com/media/8572

◎創刊30周年を迎えた講談社の写真週刊誌「フライデー」が元AKB48米沢瑠美ヘアヌードを掲載。
http://lite-ra.com/2014/11/post-606.html
話題にならないよりは話題になったほうが良いのだろうが、雑誌のあり方を根本的に変えてしまう創刊30周年という選択肢もあったのではないだろうか。いずれにしても、元メンバーのヘアヌードにAKBサイドが神経質になるのは、AKB48内閣府大臣官房政府広報室のウェブサイト「政府広報オンライン」に登場していることも関係があるのではないだろうか。
http://www.rbbtoday.com/article/2014/11/06/125162.html

資生堂のPR誌「花椿」12月号のテーマは"あいする"。巻頭特集は現在、資生堂ギャラリーで個展「荒木経惟 往生写集―東ノ空・PARADISE」を開催中の写真家、荒木経惟による「愛はこわい。」である。黒田エイミが美しい。こういう資生堂は好きなんだよね。社長がパフォーマンスで店頭にしゃしゃり出て来る資生堂は嫌いだ。
http://www.shiseido.co.jp/hanatsubaki/special/spc072.html

◎宝島社は、11月9日(日)、40代女性誌「GLOW」の読者イベント「GLOWプレミアム サロン」を渋谷ヒカリエにて開催した。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000101.000005069.html

◎「ウォール・ストリート・ジャーナル」によれば、アメリカでは「広告主が投資をテレビからデジタル媒体へとシフトさせるなか、ケーブルを中心にテレビ広告市場が不安定になっている」という。
http://jp.wsj.com/news/articles/SB12377912224764574491004580259910980244790

◎第10回日本放送文化大賞のテレビ部門グランプリに「マザーズ特別養子縁組と真実告知」(中京テレビ)が選ばれた。ラジオ部門グランプリは「ラブ&ピース!お好み焼き」(中国放送)。こうしたグランプリ作品をネットで配信すれば良いのに。
http://www.j-ba.or.jp/category/awards/jba101407

関西テレビの情報番組「よ〜いドン!」(月〜金曜午前9時50分、関西ローカル)は4日放送分の視聴占拠率で53・0%を記録した。
http://www.sankei.com/west/news/141105/wst1411050061-n1.html

◎IBC岩手放送の現役アナウンサーでもある菊池幸見のマラソン小説「走れ、健次郎」(祥伝社)が地元で爆走中のようだ。岩手の書店チェーン東山堂では三週連続文芸書ランキングで一位を獲得したというが、果たして全国区ではどうなるのか。販売の腕の見せ所でもある。
http://bunkoblog.shodensha.co.jp/article/408360827.html

朝日新聞社で常務取締役をつとめた青山昌史が死去。
http://www.asahi.com/articles/ASGC55Q48GC5ULZU00J.html
広報担当をつとめた人物であると同時に2007年に「正論」に登場し、「どうして朝日新聞で不祥事が多発するのか」を語った人物として、私は記憶している。
http://blogs.yahoo.co.jp/bmb2mbf413/12364834.html

◎ヤフーは、Twitterのタイムラインや検索結果に広告を掲載できるサービス「Twitterプロモ商品」を11月19日から提供するそうだ。
http://promotionalads.yahoo.co.jp/twitter/

ホノルルマラソンでフルマラソンに初挑戦する森絵里香が「AneCan」12月号の表紙を初めて飾った。
http://www.sanspo.com/geino/news/20141106/oth14110605030006-n1.html

◎ゼブラは、角川春樹事務所の「ポップティーン」の読者モデルと共同開発したカスタマイズペン「プレフィール×ポップティーン」を全国の文具取扱店にて数量限定で発売している。
http://www.zebra.co.jp/press/news/2014/1106_1.html

◎11月8日に発売された「レタスクラブ創刊27周年記念特大号」(KADOKAWA)の附録は「SNOOPYのキャンバストートバッグ」だ。 このトーシバッグが450円(税込み)と考えると安い。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001051.000007006.html
私は附録を否定しない。附録は日本の雑誌お家芸と言ってもよいだろう。ただし、購入者が雑誌のターゲット読者とは限らないことは要注意だ。

◎日本出版者協議会に加盟する緑風出版晩成書房水声社の中小出版3社は、アマゾンに対する出荷停止を3カ月間延長することになった。
http://www.asahi.com/articles/ASGC662H1GC6UCVL00X.html
日本出版者協議会の副会長をつとめる彩流社の竹内淳夫は次のように書いている。
「小社の書籍もたまに新刊にも関わらず、「3〜5週間以内に発送」表示が行われる。確かに目下自社では売れ筋本にも関わらず、アマゾンでの表記が「3〜5週間」となるといらつくのは確かである。
だが、一方では『アマゾンで買えなければ、他で買う手間を惜しまない読者を味方にできる書籍を作る』と考えるようにしている。
なぜなら、いずれアマゾンは日本の出版界を結果として牛耳るか、食いつぶすかの妖怪になりつつあるからである。
かつてベトナム戦争で、コンピュータ戦争の先駆けマクナマラ戦略がボー・グエン・ザップとベトコンのゲリラ戦争に負けたように、われわれ小出版は柔軟な戦略で負けない出版活動を展開したいと考えている」
日本出版者協議会自身がプラットフォームを立ち上げれば良いのだが、それだけの資金的な余裕が加盟各社にあるかどうかであろう。
http://shuppankyo.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-5282.html

リクルートの原点は東京大学新聞にある。より正確に言えば東京大学新聞の1958年6月18日号に載った、丸紅飯田株式会社の就職説明会の広告が原点であった。江副にとって「唯一の上司」であった東京大学新聞OBの天野勝文の次のような証言はとても重要である。
「卒業時には、後にリクルート創業メンバーのひとりとなる東大新聞職員だった鶴岡公氏らも加え、教育学部の先輩だった森稔氏から森ビルの屋上の物置小屋を借り、事業を本格的に開始します。1960年10月には株式会社大学広告を設立しました。
転機になったのは、やはり教育学部の先輩である芝祐順さんが、留学先のアメリカから就職情報ガイドブック『キャリア』誌を送ってきたことでしょう。本一冊まるまる、就職情報で埋めてしてしまう。広告だけで情報誌が作れるということに気づいた瞬間だったと思います」
http://www.utnp.org/special/amano1102.html

◎大日本新政會のホームページにアップされた「バーニンググループによる淫行犯罪の実態」が生々しい。
http://www.dainipponshinseikai.co.jp/burning_1028.html
矢口真理は「婦人公論」12月号に登場し、インタビューに答えている。
http://www.hochi.co.jp/entertainment/20141107-OHT1T50083.html
日本新政會のホームページを読んでしまうと、物足りなく感じてしまうのは致し方ないか。

島本和彦が「小学館の新人漫画家の登竜門である『新人コミック大賞』ですが、なぜか今回は凄く応募作が少なくって、史上最低の応募数だったそうだ」とツイートして話題になっている。
http://matome.naver.jp/odai/2141524922455311601

◎プレジデント社が「PRESIDENT WOMAN」を発行。何だかなあという内容。ビジネス誌は無理に女性版を考えない方が良いのでは?
http://woman.mynavi.jp/tu/141106-president/?gaibu=/4006800/45/
今井道子編集長によればコアな読者層は30代女性を想定しているそうだ。
http://news.ameba.jp/20141106-670/

◎警視庁は、日本経済新聞社文化事業部次長の佐藤孝之容疑者を覚醒剤取締法違反と麻薬特例法違反の疑いで逮捕した。
http://www.asahi.com/articles/ASGC731DGGC7UTIL002.html
朝日新聞でも2012年に東京本社文化くらし報道部記者の 新谷祐一容疑者が覚醒剤取締法違反で逮捕されている。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2201R_S2A220C1CC0000/?at=ALL
ともに「文化」のつく名刺を持っていた新聞人である。

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3)【深夜の誌人語録】

自分の立場は自分の意志で決められるものではない。