【文徒】2014年(平成26)8月18日(第2巻154号・通巻356号)

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1)【記事】8月15日前後のネットから
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】8月15日前後のネットから

「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」の加藤陽子が選んだ今年の夏に読んでほしい本10冊。全国の書店でもフェアを開催している。大型書店や大型チェーン書店に交じって、くすみ書房 大谷地店、はた書店(中野区)、BOOKS隆文堂(西国分寺)、芳林堂書店 高田馬場店、白樺書房(松戸市)、谷島屋 浜松本店などの名前もある。
http://asahi2nd.blogspot.jp/2014/08/book.html?utm_content=bufferdae8a&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer
リブロの「池袋本店T」がこの夏にオススメする三冊は
中島岳志アジア主義』(潮出版社)、加藤陽子『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(朝日出版社)日本の近代とそのボタンの掛け違いを、それぞれ違う側面から丁寧に描いた本。今日マチ子『いちご戦争』(河出書房新社)胸を刺す、現代の戦争のリアル」
https://twitter.com/libro_jp
「韓流ぴあ」9月30日号の表紙を飾るのはキム・ヒョンジュン
http://ure.pia.co.jp/articles/-/25174
かつて韓流ドラマの放映に熱心だったフジテレビが「ジャパンエキスポは日本文化を紹介するイベントであり本来、日本一色のはずが、一部のブースでは、『異様な光景』が見られた」と報道した。フジテレビは「ジャパンエキスポ」であるにもかかわらず、韓国関連商品が売られていたことを「異様な光景」としたわけだ。
これに対して軍事ジャーナリストの清谷信一が「東洋経済オンライン」でフジテレビの報道こそ「異様な光景」だと批判している。清谷によれば現地の民間企業が主催しているイベントであり、もともと日本文化一色のイベントではなかったという。
「日本政府が主催しているわけでもないイベントに韓国企業のパビリオンが入っているだけで、それを『異様な光景』と断じる今回のような報道は、偏狭な愛国主義を煽るもので、それこそが『異様な光景』だ」
http://toyokeizai.net/articles/-/45401
これも「異様な光景」なのだろうか。「嫌韓ブログ44のうち、3分の2近い28がlivedoorブログを利用」しているという。それは、こういうことになるらしい。
「韓国に対するヘイトスピーチを扇動するまとめブログの相当数が、韓国系企業のサービス上で嫌韓を煽り、その利益をブログ運営者と韓国系企業で分け合うという、大変グロテスクな光景が広がっています」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/dragoner/20140813-00038222/
ネトウヨ」ならぬ「ジジウヨ」の正体。駒澤大学の山口浩の指摘だが鋭い。
「彼らは、戦争を知らず、今後も知る必要はない。『戦争を知らない子どもたち』が発売されたのは1970年だが、当時戦争といえば日本が参加していないベトナム戦争だったわけで、ほとんどの人にとって戦争は既に身近なものではなかった。もっと上の世代でも、戦後生まれは既に60代のほとんどを占める。70代もほとんどが戦場を知らない。石原慎太郎だって終戦時には12歳だった。
そして彼らは、平和の配当としての高度成長やその後の繁栄を謳歌し、今に至った。年齢的にみてもう戦争に行くことはない。全面戦争が困難になった現代では、身近な場所が戦場になることもないだろう。どうせ今後の人生もそう長くはないし、何か言っても責任を問われる立場ではない。基本的に気楽なのだ」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamaguchihiroshi/20140816-00038287/
自民党議員連盟日本の前途と歴史教育を考える議員の会」の会合で、櫻井よしこは従来の「慰安婦」報道に関して、その一部を取り消した一件を踏まえ朝日新聞に対して次のように言い放ったそうだ。
「こんなメディアはメディアではない。プロパガンダ新聞というものだ。私は、朝日はまず1つ2つやるべきことをやった上で、廃刊にすべきだと考えている」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140815/stt14081520040015-n1.htm
東スポWeb」によれば、芸能レポーターとして活躍し、今は目黒区議をつとめる須藤甚一郎が「安倍内閣の全閣僚を相手取り、憲法違反及び閣議決定無効確認請求訴訟を起こした」そうだ。
http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/300445/
ちくま新書創刊20周年×丸善・丸の内本店オープン10周年企画として「日本劣化論」の笠井潔×白井聡トークイベントが9月9日に開催される。
http://www.junkudo.co.jp/mj/store/event_detail.php?fair_id=6402

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2)【本日の一行情報】

◎さわや書店の栗澤順一の発言。「現代ビジネス」から。同感である。
「…マーケティングをちゃんとやって、狙いを定めてやる分にはかまわないと思います。しかし、売上げが厳しいから棚を変えよう、店のコンセプトを変えよう、おしゃれなセレクトショップにすれば人も集まるだろう、というよう考えなんて、実際の店舗経営では通用しませんよね」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40146

◎「無印良品ネットストア」において2万件を超える不正ログインが発生した。ECに取り組まなければならない雑誌社にとっては他人事ではあるまい。
http://ryohin-keikaku.jp/news/2014_0813.html

イーストウッドゴダールに駄作は一本もない。映画業界の常識である。
http://ticket-news.pia.jp/pia/news.do?newsCd=201408140003

アメリカのメディア産業が新聞を別会社にする理由は?元読売新聞記者である島田範正の指摘は、こうである。
「広告収入の減少が続き、収益の足かせになっている新聞部門を切り離し、ネット時代だとはいえ、まだまだ収益が堅実なテレビ部門を『本社』に残し、生き残りを図るということでしょう」
加えて、新聞を別会社にすればクロスオーナーシップ規制の頸木からも自由になれる。
「本社維持のためにローカルテレビ局獲得競争に走っているかに見える大手新聞発行会社にとって、新聞が別会社であれば、全米、どこででもテレビ局が買収出来る自由を得るわけです」
http://blogos.com/article/92369/

◎「ぼくの地球を守って」は良かったよね。納得できる「これだけは読んでおきたい『花とゆめ』名作マンガ5選」。むろん、こうではない5選も可能である。そのくらい「花とゆめ」は厚みのある歴史を刻んできた。同じ資本系列なのだが、読者としての私は集英社よりも白泉社の少女マンガが好きだった。
http://matome.naver.jp/odai/2140791055486260801

◎Huluの日本事業を買収した日本テレビ経営判断は正しいに違いない。今は亡き氏家斉一郎の「改革」が生きているのだと思う。
「…日本テレビの動画配信事業へのチャレンジの奥底には、「近い将来、現在地上波で流している番組を、いつでもどこでも見られる時代が必ずくる」という確信があるように思えます。1970年代にテレビ番組をビデオに録画して楽しむことが当たり前になっていったように、2014年後半には動画配信サービスがより身近になるはずです」
http://japan.cnet.com/marketers/sp_videoad/35052358/

◎「LINE マンガ」において、無料で閲覧できる「LINE マンガ連載」を開始した。提供作品は、「進撃の巨人」(諫山創講談社)や「Sエス−最後の警官−」(藤堂裕小森陽一小学館)、「東京喰種トーキョーグール」(石田スイ集英社)など人気作品から、「週刊少年ジャンプ」で連載がスタートしたばかりの「火ノ丸相撲」(川田/集英社)など、大手出版社から提供を受けた作品の連載を中心に毎週100作品以上をラインナップする。
http://linecorp.com/press/2014/0813797
日本における電子書籍の時代とは、電子マンガの時代に他ならない。

指原莉乃の「逆転力〜ピンチを待て〜」(講談社)が発売4日で増刷を含み発行7万部を記録したそうだ。決して資源の無駄遣いとは言うまい。指原は「講談社AKB48新書」の第二弾に峯岸みなみを推薦している。
http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2014/08/14/0007236952.shtml

「文藝春秋」9月号。判型はそのままにしつつ活字を大きくし、表紙の紙質を変えたそうだ。
http://gekkan.bunshun.jp/articles/-/1089

◎中目黒ブックセンターが中心となって「ホラー好き書店員のホラーまつり2014なるフェアを企画。参加書店は伊野尾書店、三省堂書店(神保町本店)、書泉グランデ書泉ブックタワー書泉ブックマート、ときわ書房(本店)、戸田書店(山形店)、中目黒ブックセンター、文教堂書店(三軒茶屋店)、山下書店(渋谷南口店)。
http://news.nicovideo.jp/watch/nw1193143

LGエレクトロニクス製のauスマートフォン「isai FL」は電子書籍を読むにはうってつけのスマホだと「@DIME」で一条真人がイチオシしている。「@DIME」は役に立つのだが、肝心の「DIME」はとなると…「@DIME」ほど切れていないんだよね。
http://dime.jp/genre/153496/

集英社は新しいライトノベルレーベル「ダッシュエックス文庫」の告知も兼ねてコミケで瞬間冷却剤を3万個限定で無料配布した。
http://animeanime.jp/article/2014/08/15/19816.html

◎マガジンハウスの「Casa BRUTUS」に高野文子が登場する!
http://dormitory-tomokins.tumblr.com/post/94777287444
高野にとって「黄色い犬」以来12年ぶりとなる「ドミトリーともきんす」が9月に中央公論新社から刊行される。朝永振一郎牧野富太郎中谷宇吉郎湯川秀樹など科学者の言葉がテーマだ。早く読みたい。
http://www.chuko.co.jp/news/92182.html

◎イギリスでは日本の着物をイメージしたKIMONOスタイルが流行しているそうだ。日本にも上陸するんだろうな。
http://www.crank-in.net/kininaru/news/32294

◎ミディアムは9月12日に「GRIND」の増刊として女性ファッション誌「PERK」を刊行する。
http://www.wwdjapan.com/fashion/2014/08/14/00013341.html

トーハンは、暦の定番商品「高島暦」を発行する神宮館と共同で、暦とパワーストーンブレスレットをセットにした「神宮館開運セット」を開発し、書店限定の完全受注生産のMVPブランド商品として販売する。希望小売価格1万円の非再販商品である。
http://www.dreamnews.jp/press/0000097824/

◎「妖怪ウォッチ」が社会現象になった証拠だろう。女子高生が「ようかい体操第一」を実演している動画が話題になっている。
http://curazy.com/archives/26620
トーハンも、バンダイと共同開発して、MVPブランド商品として「妖怪ウォッチ ともだちラバースイング4種セット」を販売している。
http://www.tohan.jp/whatsnew/news/post_344/

◎「ビッグコミックオリジナル」(小学館)に連載中の安倍夜郎深夜食堂」のドラマ第3弾が10月からTBS系で放映されるが、ドラマも担当した松岡錠司監督によって映画化され、2015年1月31日から公開されることになった。
http://eiga.com/news/20140815/3/
テレビドラマの監督陣が凄いんだよね。松岡に加えと山下敦弘、熊切和嘉という顔ぶれである。

◎連載2日前にWeb漫画サイト「コミックぜにょん」編集部から掲載中止を告げられた「あいこのまーちゃん」だが、作者のやまもとありさ電子書籍化を目指して、クラウドファンディングサイト「FUNDIY」で資金を募集している。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1408/15/news078.html

◎万引き犯が盗んだ商品を返却しなかったならば、モザイクなしの顔写真を公開するとネットでやって大いに話題となった「まんだらけ」。日刊ゲンダイによれば「テレビCMに換算すると5億円の価値があった」という指摘もあるそうだ。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/152614/1

トーハンは、「2014こどもの本ブックフェア」(岡山・京都・福岡・札幌の4会場)を同社の取引書店と共催で開催し、4会場で合計約19,700人、約580校を動員した。
http://www.tohan.jp/whatsnew/news/2014_15/

◎映画「STAND BY ME ドラえもん」は、こんな60秒コマーシャルも制作していた。演出は誰だか知らないが、撮影は今井哲郎。
https://www.youtube.com/watch?v=nn0K2kR4P8M

電通イージス・ネットワークは、エクスペリエンシャル・マーケティング領域で市場をリードする南アフリカの広告会社「Crimson Room Communications Proprietary Limited」(クリムゾン・ルーム社)の株式60%を同社株主から取得することで合意した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2014/0815-003801.html

◎「恋する台湾移住〜94カ国旅した32歳女子が人生をリセットしてみた〜」(朝日新聞出版)の歩りえこは「94か国旅した“Fカップ旅作家”」なんだそうだ。新作DVD「フルール」を発売イベントで大胆水着を披露!?
http://www.narinari.com/Nd/20140827482.html
こういう「才能」である。
http://ameblo.jp/riekojpacker/

池澤夏樹が一人で編者をつとめた「日本文学全集」(全三十巻)が河出書房新社から刊行されるが、文学史に残る全集となりそうだ。東京新聞が「もはや一つの『作品』ともいえる収録作のリストと書いているが、その通りである。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/culture/doyou/CK2014081602000226.html

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3)【深夜の誌人語録】

慎重であることと臆病であることは全く違う。臆病を隠すために慎重という言葉を使うべきではないし、慎重であることを臆病だと言ってばかにしてはなるまい。