【文徒】2014年(平成26)10月22日(第2巻199号・通巻401号)

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1)【記事】アプリ「WEAR」と女性ファッション誌
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】アプリ「WEAR」と女性ファッション誌

これが300万ダウンロードを突破したファッションコーディネイトアプリ「WEAR」。
http://wear.jp/first/
そんな「WEAR」から自撮りアイテム「Pachil WEAR LIMITED」が発売された。これを1980円で購入すれば誰もがモデルになれるし、カメラマンにもなれる。
http://wear.jp/news/pachil/
「WEAR」が人気なのは、次のような部分で女性ファッション誌の盲点を突いているをからであろう。
「オシャレになりたい!と思った時に、多くの人はファッション雑誌を買いますよね。でも雑誌って、意外と全身コーディネートが載っているページが少なくて、「かわいい」と思う商品があったとしても着こなしのアイディアが浮かびません。
そんな、コーディネートに悩むオシャレ初心者さんにオススメなのが本アプリ。_アパレルブランドのスタッフさんやモデルさん、そして一般のオシャレなお兄さんお姉さんが、毎日のようにファッションコーディネートを投稿してくれるアプリです」
雑誌の盲点を突くことで、雑誌を凌駕してしまったアプリなのである。
http://app-liv.jp/725208930/
「WEAR」にはモデルや芸能人など181名が結集していることも忘れてはなるまい。女性ファッション誌を震撼させるに相応しい陣容である。
http://matome.naver.jp/odai/2140217045942313901
周知のように「WEAR」を運営しているのはファッション通販サイトZOZOTOWNを運営しているスタートトゥデイである。すなわち、誰かが投稿したコーティネート写真で気に入ったアイテムがあれば、ZOZOTOWNで購入できてしまうのである。一時は、バーコードスキャン機能も装備していた。
「WEARがあまりにも革新的すぎて、ルミネや三越伊勢丹などの大手は『館内写真撮影禁止』を発表しています。(WEARのバーコード機能を利用させないためです)」
さすがに、この機能は停止されたそうだ。
http://www.belka.co.jp/entry-1397/
私は雑誌の側にこう問いたい。「WEAR」の成功に指を銜えたままで良いのかと。雑誌は「WEAR」の成功に学びつつ、スマホに戦線を拡大し、「WEAR」に対抗していくべきではないのか。雑誌も「WEAR」のような仕組を立ち上げてしまえば良いのだ。雑誌はスマホを「戦場」に加えない限り、簡単には生き残れないと私は考えている。

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2)【本日の一行情報】

主婦と生活社が刊行した「宮本算数教室の算数脳 かけ算 上級」第1刷の問題文に間違いがあった。小学生相手の「商材」(同社のお偉いさんは、出版物をこう呼んでいる)で問題文に2ヶ所の間違いがあったわけだが、学参出版ではあってはならないことである。
http://www.shufu.co.jp/topics/detail/808954/
http://www.shufu.co.jp/contents/miyamotosansu_pazzle/index.html

◎「渋谷に一極集中していたギャルファッションは郊外に分散し、ギャルママたちの間で受け継がれている」という指摘は頷ける。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO77857030S4A001C1000000/

小学館のマンガ誌「ゲッサン」に連載中の「信長協奏曲」を原作にしたフジテレビの月9ドラマが初回視聴率15.8%と好調だ。コミックスの売上に結びつくのは間違いあるまい。
http://www.excite.co.jp/News/reviewmov/20141020/E1413764861587.html

バンダイナムコグループのVIBEは、小学館Sho-Comi」の連載マンガ「小林が可愛いすぎてツラいっ!!」の主人公・真田蒼と電話でいちゃいちゃデート体験できるサービスを毎号連続で開始している。10月24日発売の単行本第8巻でも、主人公の蒼を自宅に招いてきゅんきゅんできる電話サービスが開始される。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000008664.html

◎電車内において少なくなったのは「新聞のある風景」ばかりではない。「雑誌のある風景」も少なくなった。上杉隆は「日本の新聞は変化を拒否し、自己改革に踏み出すことを怠ってきたのだ」と書いているが、出版社に国有地払い下げという恩恵はなかったものの、雑誌だって変化を拒否し、自己改革を怠ってきたと言えよう。
http://gekkan.bunshun.jp/articles/-/1146

集英社の「SPUR」12月号に「少年ジャンプ」の「磯部磯兵衛物語〜浮世はつらいよ〜」が乗り込んだ。「SPUR丁稚奉公編〜東京ご利益めぐりで候〜」としてオールカラー4頁で掲載される。
http://mantan-web.jp/2014/10/20/20141019dog00m200031000c.html
集英社はマンガと女性誌のコラボに熱心である。私は、この路線を支持している。

◎こんなことがあるんだよなあ!ヘーゲル自身による書き込みのある、ヘーゲル最初の著作「フィヒテシェリング」が東京の古書店で見つかった。私は長谷川宏の翻訳による「精神現象学」を買ったものの、途中で挫折してしまった記憶が蘇る。
http://www.47news.jp/CN/201410/CN2014102001001451.html

◎19日夜、緊急地震速報のテロップを誤って1分間表示してしまったKBC九州朝日放送が発表した「訂正とお詫び」。
「10月19日(日)午後8時49分44秒から1分間、KBCテレビ緊急地震速報が出ました。画面上部に『緊急地震速報 福岡北西沖で地震。強い揺れのおそれ福岡県・佐賀県』という文字が出ましたが、これは誤報でした。原因はKBC緊急地震速報の送出機器の交換時の作業ミスです。KBCと気象情報の提供契約をしているウェザーニューズ社は10月19日(日)に緊急地震速報の送出機器の交換作業を行いました。そして、交換後の動作確認中にサーバーの中にあったテスト用の情報を誤って送出してしまいました。誤った緊急地震速報が出されたのは福岡県・佐賀県などKBCの放送エリアです。多くの皆様に多大なご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます」
http://www.kbc.co.jp/osirase05.html

◎ベネッセが子ども向け英会話教室「ミネルヴァ」を買収。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201410/2014102000597

大阪市役所で橋下徹市長と在特会桜井誠会長が激突。「昭和のプロレス」という比喩は正しい。
http://matome.naver.jp/odai/2141378940387794101

博報堂グループと博報堂DYメディアパートナーズは、2014年度の「ACC CMフェスティバル」でグランプリ1作品、シルバー11作品、ブロンズ8作品、マーケティング・エフェクティブネス部門のメダリスト1作品、テレビCM部門の地域賞として1作品が受賞した。
http://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2014/10/20141020_2.pdf
テレビCM部門のグランプリは読売広告社である。
http://www.acc-cm.or.jp/festival/14fes_result/tv.html

◎新聞広告賞の大賞は「ONE PIECE」のコミックス3億冊突破記念キャンペーン「ニッポン縦断!OPJ47クルーズ」を手掛けた集英社に贈られた。
http://www.47news.jp/CN/201410/CN2014102001001735.html

◎何故、総合月刊誌の論調は総じて保守なのかといえば、「世界」(岩波書店)に象徴されるように論調がリベラルな総合月刊誌は売れないからである。
http://mainichi.jp/journalism/listening/news/20141020org00m040004000c.html
リベラル系の人たちって、「志」優先だから、「志」と「商売」のバランスの取り方が下手なんだよね。「志」を優先し、「商売」を軽視していると、民衆の生活リアリズムから乖離した、真面目な言論しか展開できなくなるということに無自覚なのである。

◎日本エンタープライズが運営する電子書店「BOOKSMART」は書店で本を購入すると、同作品の電子版も手に入る新サービスの試験運用を開始した。試験運用の第1弾は双葉社モンスター文庫」のライトノベルを対象に首都圏11書店で実施している。東京都書店商業組合が力を入れている。
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1410/20/news023.html

◎「東京カレンダー」が12月号よりリニューアル。東京のラグジュアリーなライフスタイルを「食」を通じて紹介するというけれど、私には全く無縁な世界だなあ。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000084.000004374.html

◎気鋭の画家・絵本作家の自選作品集「けだらけ」が筑摩書房から刊行されるのを記念し、「ミロコマチコが紀伊國屋書店新宿本店全フロアをジャックする」というコンセプトのもとイベントが開催される。
http://prw.kyodonews.jp/prs/release/201410204756/

KADOKAWAニンテンドー3DS用オリジナルゲームが毎号、付録となる小学生男児向け新ゲーム総合誌「デンゲキバズーカ!!」を10月21日に創刊した。定価880円。
http://ir.kadokawa.co.jp/topics/20141021_y54s3.pdf

電子図書館の普及は加速しそうだ。札幌市中央図書館や苫小牧市立中央図書館がインターネットを使った電子書籍の貸し出しサービスを始めた。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/topic/569591.html
http://www.tomamin.co.jp/20141018108

◎私が好きな書店のひとつである。大阪のスタンダードブックストアのキャッチフレーズは「本屋ですが、ベストセラーはおいてません。」である。中川和彦代表取締役は次のように語っている。
「自分たちが行きたくなるような店をやりたいと思って始めたので、基本的に自分たちがいいと思った商品を自分たちがいいと思ったように分類して陳列し、従来の本屋にありがちなスチール什器、タイルの床材、蛍光灯の照明はやめ、木製の什器、カーペットや木の床、ペンダントライトで空間を演出した。カフェのメニューも自分たちが食べたくないものは、提供しないようにしている」
http://www.advertimes.com/20141021/article172704/

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3)【深夜の誌人語録】

右手に「真剣」、左手に「遊び」が私の仕事の基本中の基本である。