【文徒】2014年(平成26)10月28日(第2巻203号・通巻405号)

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1)【記事】加藤貞顕川上量生の気になる発言
2)【記事】「昭和天皇実録」の版元は東京書籍に決定か!
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】加藤貞顕川上量生の気になる発言

「cakes」や「note」は加藤貞顕にとっての出版なのである。加藤は「CINRA.NET」で次のように発言している。
「まず2012年にcakesというサービスを始めたんですけど、理由はすごく単純で、電車の中でみんなこうやって(スマホの画面を覗く仕草)過ごすようになってきたんですよね。特に、ここ数年でそれが顕著になって、それに伴って出版物の売れ行きが減って行き、「ここ(スマートフォンの画面の中)で売るようにしないと、未来はないな」って思ったんです。実は出版業界は、音楽業界より10年遅れてて、スマートフォンとかiPadが普及し始めたのが2010年くらいからなんですけど、最初のiPodが発表されたのが2001年なので、音楽の方が10年早くいろんな目に遭ってるんですね(笑)。で、遂に出版業界でも似たようなことが起こり始めてるんです。でも、これはある意味大きなチャンスで、みんなが同じ画面を見てるんだから、そこでコンテンツを売るビジネスを構築すれば、新しいクリエイティブの市場が生まれるわけですよね」
出版を紙の世界に限定して考える必要は全くないということだろう。
http://www.cinra.net/interview/201410-qurulinote
角川歴彦とともに「アカマイデジタルメディアカンファレンス2014」に出席した川上量生が次のように語っている。これも出版の未来を考えるうえで重要な指摘だと思う。
「欧米感覚では混ぜちゃいけないものを混ぜてしまうのが日本。プラットホームとコンテンツ、欧米の価値観だと混ぜてはいけないものを混ぜるのが大事なのでは」
私が「少年ジャンプ+」に期待しているのも、プラットホームとコンテンツを混ぜようとしているからだ。川上の次のような発言にも私は肯きたい。
「ラジオがこのままでは死んでしまうというので『radiko』が出来たが、インターネット(同時配信)にも関わらず、該当地域だけでしか聞けないというバカな状況になっていた。テレビでは、これだけの多チャンネル時代にも関わらず、地上波と衛星放送では別会社で、別の免許を取得するという形になっている。『海外対日本』という枠組みで考えたら、競争なんて出来るわけがない」
http://ascii.jp/elem/000/000/946/946531/
既存メディアに問われているのは「柔軟性」である。「柔軟性」とは「既得権益」から自由になることである。

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2)【記事】「昭和天皇実録」の版元は東京書籍に決定か!

宮内庁が編纂し、政府公認の「昭和天皇実録」を一般向けに刊行する出版社が入札によって決まったそうだ。「意外にも」と言っては失礼にあたるかもしれないが、一般には教科書出版社として知られている東京書籍が選ばれたという。
http://www.tokyo-shoseki.co.jp/
入札に加わった版元の関係者によれば「東京書籍さんの提案された条件が一番良かったのは間違いありません」とのことである。東京書籍の経営基盤もしっかりしている。周知のように東京書籍およびリーブルテック(東京書籍印刷から社名変更)は凸版印刷のグループ企業である。
しかも、凸版印刷の歴史を振り返ってみればわかるように終戦後、日本銀行券や郵便切手、宝くじの印刷を手がけてきたという経緯からすれば、凸版印刷とすれば何としても「昭和天皇実録」を手がけたかったのではあるまいか。出版社が東京書籍に決まれば、印刷は当然のことながらリーブルテックもしくは凸版印刷系になるということである。
http://www.toppan.co.jp/corporateinfo/history/1940.html
もっとも東京書籍の歴史や地理、公民の教科書を偏向していると批判しつづけてきた勢力からすれば、東京書籍が「昭和天皇実録」を刊行するとすれば、決して面白い話ではあるまい。
http://banmakoto.air-nifty.com/blues/2011/06/post-6802.html
http://kyoukasho.blogspot.jp/2011/06/blog-post_2576.html
http://hosyusokuhou.jp/archives/38175978.html
八重山教科書採択問題も記憶に新しいところである。
http://www.moo-azumino.com/main/Diary/2011.9/yaeyama.html

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3)【本日の一行情報】

◎「ほぼ日刊イトイ新聞」と「AERA」(朝日新聞出版)が、共同サイト「40歳は、惑う。」を開設した。
http://aera.1101.com/

朝日新聞社木村伊量社長と友人だったという元時事通信の加藤清隆が木村に「訣別状」。次のようなところが印象に残った。
「私は若宮啓文氏や植村隆氏を早期退職させたり、先輩の吉田慎一氏をテレビ朝日の社長に転出させる朝日の人事を見ていて、木村君が『過去の慰安婦誤報清算する』環境を密かに整えているのではないかと思っていました」
http://ironna.jp/article/492
木村には大英帝国勲章を授与されたそうだ。

ドワンゴが、LINE の「livedoor Reader」に係る資産を譲り受けることになった。
http://pdf.irpocket.com/C9468/XN1V/cpre/lR8H.pdf
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/266/266969/

◎私にしても「老後破産」は他人事ではない。
http://www.j-cast.com/tv/2014/10/24219232.html

◎マガジンハウスは川村元気の「億男」でベストセラーを狙う。このタイトルは良い。
http://getnews.jp/archives/687716

◎「花とゆめ」創刊40周年記念スペシャルフィナーレを飾るのは、「別冊花とゆめ」12月号の附録「別花×花ゆめトリビュートコミックwith魔夜峰央」。「花とゆめ」の若手作家による「ガラスの仮面」「ぼくの地球を守って」再録トリビュートマンガに加え、魔夜峰央先生のスペシャル描き下ろしからなる。
http://natalie.mu/comic/news/129533

◎ミシマ社という版元の出版物は、どこか抹香臭くて苦手だが、三島邦弘の次のような考え方には共感を覚える。
「…『寺子屋ミシマ社』で編集過程も公開している。その面白さは編集の人間が独占してきた。文章だけを目で追うのが読者なら、電子書籍でもいいではないかとなるが、文章は本の体系のほんの一部でしかない。こうして目次が作られ、見出しも直前まで違っていたと、そのイベントで見ていただく。そうすると、読書の楽しみが深まる。そういうことで、本好きが一人でも増えてくれればいいなと思っている」(「東洋経済オンライン」)
http://toyokeizai.net/articles/-/51267

コロプラが提供するスマホ専用の冒険ファンタジーRPGクイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ」はKADOKAWAコミック誌「月刊少年エース」「ヤングエース」とのコラボ企画を2014年11月12日より実施する。
http://colopl.co.jp/news/pressrelease/2014102301.php
位置ゲー」はコロプラが商標登録している。

◎「別冊フレンド」の「L・DK」(・はハートマーク、エルディーケー)が流行させた「壁ドン」ブームである。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1410/24/news165.html
http://dmm-news.com/article/895013/
http://dmm-news.com/article/894956/

毎日新聞の「第68回読書世論調査」によれば「嫌韓・嫌中」本やその記事を読んだことがある人は1割超いるとのことだが、そんなに少ないのかなあ。「嫌韓・嫌中」だとは思わずに、その手の本や記事を読んだ人が多いということかもしれない。
http://mainichi.jp/select/news/20141025k0000e040248000c.html

サイゾーウーマンは柚木麻子が直木賞絡みで文藝春秋に対して激怒していると報じている。次のような出版関係者の発言は、本当なのだろうか。
「通常運営局は、マスコミに受賞作を発表する前に、候補者それぞれに当落を電話で伝えます。全員と連絡が取れるまで、公表することは決してない。それが今回、柚木のところに電話が来ないまま、他候補者の受賞がニュース速報で流れたそうです。あ然とする柚木の横で、編集者らが青ざめながら確認を取ったところ、運営局が柚木にだけ連絡を忘れるという前代未聞の大失態を犯したことが発覚したといいます」
http://www.cyzowoman.com/2014/10/post_13729.html

◎「それにしても、こんな新自由主義丸出しの記事を書く記者のいる朝日新聞のどこがサヨクなのか」という問いに、朝日新聞サヨクでも、リベラルでもないと私は答えたい。
http://blogos.com/article/97250/

全日空商事とハースト婦人画報社の男性ファッション誌「メンズクラブ」がコラボして、編集部の目利き力を生かしたコラボグッズを全日空商事の通販サイト「ANAショッピング エースタイル」で販売を開始した。
http://www.tsuhanshinbun.com/archive/2014/10/post-1997.html

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4)【深夜の誌人語録】

決めたならば実行しない限り、検証のしようもあるまい。しかし、検証が目的ではない。検証も過程なのである。