【文徒】2014年(平成26)11月25日(第2巻221号・通巻423号)

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1)【記事】MANGA議連が発足
2)【記事】「いちえふ」の竜田一人と朝日新聞記者・関根和弘
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2014.11.25 Shuppanjin

1)【記事】MANGA議連が発足

「マンガ・アニメ・ゲーム議連」が発足。会長は古屋圭司。事務局長代行に参院議員の山田太郎が就任。
http://www.inside-games.jp/article/2014/11/19/82708.html
赤松健のツイートが興味深い。
「本日、『マンガ・アニメ・ゲームに関する議員連盟(MANGA議連)』の設立総会に出席してきました。私はこの議連の初期には関わっておらず、9月に初めて参加メンバーを知った時は『こ、これは”マンガアニメゲームを規制する議連”とネットで揶揄されても仕方がない・・』と思わず唸ったものです」
「そこで漫画家協会のちばてつや理事長の了承を得た上で、軌道修正のロビイングを開始。協会に馴染みの深い知財系の福田峰之議員(※児ポ法改正案で漫画を規制対象外にして下さった実務者ご本人)など3先生を推薦させて頂き、更に規制派議員と入れ替えで山田太郎議員にも入って頂きました」
「そして、今回の議連の中心的な存在であり、青少年健全育成基本法にも関わっておられる馳浩議員から『この議連で表現規制は行わない』旨の発言をいただき、ネット生放送でも重ねて念押し。 youtube.com/watch?v=GaYcut… これでようやく一安心です」
http://togetter.com/li/746963
山田太郎は自らのウエブサイトで次のように書いている。
「マンガ・アニメ・ゲーム議連には、今のところ私以外に『表現の自由』を訴えている議員はおりません。いずれの活動にせよ、誤った方向へ進むことがないように、議連の中からしっかりとした舵取りをしていきたいと思います」
http://taroyamada.jp/?p=6048
「マンガ・アニメ・ゲーム議連」に「表現の自由」を訴えているのが山田ひとりだとは意外である。この議連の中心的な存在は、幹事長をつとめる馳浩。プロレスラー出身で、森喜郎あたりに可愛がられていた代議士である。最高顧問が麻生太郎、特別顧問が河村健夫、顧問が小坂憲次、会長が古屋圭司、会長代行が中川正春。古屋は安倍晋三の大学の後輩にして、もちろん安倍の子分である。馳や古屋はブログで次のように書いている。
民主党政権で、事業仕訳のやり玉にあがり、国際メディアセンターのことを『国営マンガ喫茶』と揶揄されて、拠点整備ができませんでした。
今回は、バージョンアップしまして、議連として、政府を動かそうという意味です」(馳浩
http://ameblo.jp/hase-hiroshi/entry-11954337527.html
「かつて、麻生政権の際に、メディア芸術総合センターは非難の的となり、政権交代による「事業仕分け」でお蔵入りに。5年前の失敗を教訓に、このたび超党派による議員連盟を設立。5年前に私が自民党広報本部長としてこのテーマに取り組んできたこともあり、私が会長に就任」(古屋圭司
http://www.furuya-keiji.jp/blog/
海外からの観光客誘致を狙って、今度こそ民主党政権で頓挫したハコモノを復活させようという意識の議員が大半なのである。それだけに赤松の機転の良さが光っている。赤松は作家にならなくても、優秀な編集者になっていたことだろう。

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2)【記事】「いちえふ」の竜田一人と朝日新聞記者・関根和弘

こうした取材の裏側もソーシャルメディアによって開かれてしまう。朝日新聞が「プロメテウスの罠」で「いちえふ〜福島第一原子力発電所労働記〜」の作者である竜田一人を取り上げているが、竜田は次のような事情をツイッターで明かした。
「今日の『プロメテウスの罠』第13回に関しましては、私も再三にわたり「低線量被曝による鼻血の可能性は、専門家の一致した見解として否定されている」という意味の文言を、本文中に入れていただけるようお願いしておりました。この連載には、今こそ、それを明言する責任があると考えたからです」
「その要望につき、関根記者にもご苦労をかけ、ご尽力いただきましたが、文章構成の都合上、また朝日新聞上層部の見解として『鼻血の可能性を否定できないとする意見もある』との事で、今回掲載の本文のような表現となりました。私の力及ばず、風評や不安に苦しんだ皆様には申し訳なく思っております」
「ちなみに朝日新聞上層部が「専門家」の反対意見として挙げていたのが、以下のまとめに登場する『神戸の医師』をはじめとする方々でした。 福島の鼻血「内部被ばくか」-神戸新聞の記事に疑問を持つ人たち - Togetterまとめ http://togetter.com/li/692706 あり得ない」
「私の要求も、被取材者としての分を超えたものであり、その板挟みとなってご苦労おかけした関根記者には、感謝の念こそあれ、不満は少しもありませんが、この上まだ、著しくバランスの偏った両論併記で風評払拭の機会を逃す朝日新聞には、失望を禁じえませんでした」
http://togetter.com/li/746815
このツイートに即座に反応したのが「J CASTニュース」だった。「J CASTニュース」は竜田のツイートを踏まえて朝日新聞に上層部からの指示は本当にあったのだろうか質問状を送った。そうしたところ、朝日新聞広報部は「上層部の見解というのは事実ではありません」と否定し、竜田の求める文を掲載しなかった理由については「取材、出稿の詳しい経緯についてはお答えいたしかねます」と答えたというが、朝日新聞の広報部はどんな質問にも「取材、出稿の詳しい経緯についてはお答えいたしかねます」と答えれば良いと思っているのだろうか。だとしたらソーシャルメディアの時代の読者に朝日新聞は見捨てられるだろう。
http://www.j-cast.com/2014/11/19221292.html
その点、竜田を取材した朝日新聞の関根和弘記者のほうが、よほど真摯である。関根は次のようにツイートしている。
「その中で、13回目の鼻血のエピソードについては多くのネガティブなご意見を頂きました。広報部が出した見解通り、取材上のやりとりについては、報道機関としては、取材先との関係上、原則、明らかにできませんが、少しだけ私の方から言わせていただきます」
「(この点は竜田さんにご迷惑をかけるものではないと思いますので)。竜田さんから連載の中で、低線量被曝と鼻血についての朝日新聞の見解を入れて欲しい、と私に要望があったのは確かです。ただ、それについては、そもそも連載が、竜田さんや、担当編集者の皆さんが様々な局面で」
「どう行動し、感じ、考えたかを再現するといのがこの内容です。そこに朝日新聞がこう考える、という形で、一登場人物として入るというのはおかしい、というのが一番の理由です。登場人物である竜田さんや編集者の方が低線量被曝と鼻血についての考えは記事で記しています」
「鼻血の回については、福島を思う竜田さんがこのエピソードを描きたい、と思うものの、それでも編集者と話し合った結果、より表現に慎重になろう、さらに材料を集めよう、など何度も議論し、悩み、判断していくという、お二人の表現に対する謙虚さを書こうとしたものです」
「うまく伝わらなかったのは私の力不足です。ですが、こうした趣旨をわかっていただけると本望です。最後になりましたが、竜田さん、担当編集者さん、バー・クイーンさん、AP通信の影山記者、その他取材に応じて下さった皆さんに改めて御礼申し上げます。ありがとうございました」
http://togetter.com/li/747972
朝日新聞で「プロメテウスの罠」を読んだ総ての読者が竜田と関根のツイートに接することができる回路をどのようにして創出するのか。この点がネット時代の「報道」に問われているのではないだろうか。

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3)【本日の一行情報】

◎実写版「進撃の巨人」のキャストが決まった。映画の公開は2015年夏。ミカサが水原希子だ。桜庭ななみとか石原さとみにも注目したい。
http://eiga.com/news/20141120/3/

NHKラジオ第1で1月1日よりスタートする「蜷川幸雄のクロスオーバートーク」の第一回目のゲストがジャニー喜多川に決定。
http://www.asahi.com/and_w/interest/entertainment/CORI2044786.html?iref=comtop_list_andw_f02

幻冬舎plus×リブロ池袋本店presentsのトークイベント「鈴木涼美とは何者か?」が12月18日午後7時より開催される。鈴木の素顔に迫るのは二村ヒトシ、関沼博だ。「身体を売ったらサヨウナラ」は11月27日の発売である。
http://www.libro.jp/blog/ikebukuro/event/pluspresentsplusetcav_1127_121898100003-5949-2910_pluspluswebwebhttpwwwgentoshajp_19832009av201330_1.php

白泉社は2015年に電子配信事業が10周年を迎えるにあたり、電子書籍売上ベスト10(2013年7月1日〜2014年6月30日の販売金額で集計)を表彰する「白泉社電子書籍大賞」を創設した。最優秀賞に輝いたのは林久美子の「イシャコイ/新イシャコイ」。
http://www.hakusensha.co.jp/electronicbook/

◎学研グループのブックビヨンドは、実用コラムを掲載するウエブサイト「フムフム」をオープンした。取り扱うテーマは「グルメ」「お金」「恋愛」「健康」「仕事」「遊び」「学び」「暮らし」の8つだ。本質は電子書籍への誘導サイトである。
http://fum2.jp/
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000107.000009949.html

文革後に中国で初めて公開された外国映画が高倉健の「君よ憤怒の河を渉れ」であったこともあり、健さんは中国でも大人気だが、その影に徳間康快あり!と映画評論家の佐藤忠夫が語っている。
「この映画は徳間書店の初代社長を務められた徳間康快(とくま・やすよし)氏が、中国で『日本映画祭』を自費で開いたことがきっかけとなったのです。時期はちょうど文化大革命が終わり、中国でも娯楽の提供に熱が入り始めた時代です」
「…『日本映画祭』が終わったとき、徳間氏に説得され、多くの映画制作会社が出品した映画をほとんどタダ当然の価格で中国側に提供したからです。それ以降、中国全土、津々浦々で日本映画が何十回、何百回も繰り返し上映されました」
http://diamond.jp/articles/-/62538
ホテルオークラの「オーキッドバー」に徳間はウイスキーのボトルをキープしていた。徳間は「800番なんだよ」と言った。私が「何故なのですか」と聞いたところ「ウソ800だよ」と言ってニコリとした。私にとって忘れられない想い出である。

◎HONZの成毛眞編著で「ノンフィクションはこれを読め! 2014」(中央公論新社)が刊行された。第1位に選ばれたのはウィリアム・ブロード、ニコラス・ウェイド「背信の科学者たち」(講談社)である。
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20141110-OYT8T50082.html

◎「このライトノベルがすごい!2015」(宝島社)で、小学館ガガガ文庫から刊行されている「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」(通称:俺ガイル 著:渡航 イラスト:ぽんかん8)が、2013年度に引き続き1位を獲得した。男性キャラクター部門でも、女性キャラクター部門でも1位だ。
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1411/20/news098.html

ダイヤモンド社から刊行された「ファーストペンギンの会社」は、ツイッターやカカクコムで知られるデジタルガレージの創業20周年を記念しての一冊だが、日本のインターネット史を知るうえで貴重な記録となっている。
http://www.diamond.co.jp/book/9784478083581.html
http://www.garage.co.jp/ja/20thbook/

青山商事は、20代〜30代をターゲットにしたメンズ&レディースウェアのトータルファッションブランド「ザ・スーツカンパニー」で、世界文化社の雑誌「Begin」とのコラボ企画第二弾を実施。ウール100%の最新機能生地「コールドガード」を使用したコートを別製注文し、全国の「ザ・スーツカンパニー」および 「ザ・スーツカンパニーオンラインショップ」で発売している。
http://prw.kyodonews.jp/opn/release/201411215768/

◎電子貸本サービス「Renta!」は、「週刊漫画ゴラク」(日本文芸社)の創刊50周年を記念して、同誌の人気10作品の1〜5巻、計50冊の電子書籍が無料で読めるキャンペーンを11月26日まで実施している。
http://news.mynavi.jp/news/2014/11/21/531/

ニューヨーク・タイムズ東京支局長のマーティン・ファクラーが次のように言ったという。
「日本の大手ジャーナリストはエリート組織の一部のような感じがします。早稲田や東大という同じ大学、同じシステムを出て、東京海上朝日新聞に就職する。同じような試験を受けて、同じような意識を持ち、同じソースで記事を書いている」
同感!
http://blogos.com/article/99330/
橋下徹に質問はできても、橋下徹から質問されると答えられない新聞記者もまたエリート組織に特有の「病理」というべきだろう。
http://logmi.jp/28807

やしきたかじんの長女が百田尚樹「殉愛」の出版差し止めと損害賠償を求め提訴。
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20141122-1399297.html
こうした負の話題を背負っても「殉愛」は売れている。

安倍晋三首相は「ニュースウオッチ9」(NHK)、「NEWS ZERO」(日本テレビ系)、「NEWS23」(TBS系)に出演したが、「報道ステーション」には出演しなかった。キャスターの古舘伊知郎が拒否したと「リテラ」は伝えている。
http://lite-ra.com/2014/11/post-642.html

◎いよいよワシントン・ポストがアマゾンのタブレット端末「キンドル・ファイア」向けに電子版を配信する。最初の6ヵ月間は無料、次の6ヵ月間が1ドル(約120円)、その後は月単位での購読料を支払うことになるが、こちらは未定だそうだ。3〜5ドルであれば魅力的だ。
http://www.gizmodo.jp/2014/11/kindle_fire_4.html
日本の全国紙でもアマゾンと組むところが出て来ても不思議ではない。

◎アマゾンがローソン、ファミリーマートヤマト運輸営業所に加えて、全国のミニストップ2127店で「店頭受取」サービスを開始する。
http://ryutsuu.biz/store/g112016.html
こうしたアマゾンに対抗すべく、楽天は大阪屋を介した書店サービスの充実を図らなければなるまい。アマゾンがブツの「店頭取引」ならば、楽天は書店を通じて、それ以上のサービスを提供すべきだろう。例えば高齢者向けにデジタルコンテンツの提供を書店で始めれば良い。

◎ 凸版印刷が総選挙に参入。凸版印刷が運営する電子チラシサービス「Shufoo!」は、政党や選挙管理委員会が電子チラシを活用して実施できる2つのサービス「Shufoo!政党・政治のチラシ」「Shufoo!自治体プラン」を開始した。
http://www.pjl.co.jp/news/major/2014/11/7052.html
また「Shufoo!」は、入門者用チラシアプリ「シュフー食品のチラシ(iPhone対応)」をリリース、スマホ初心者やシニアの利用に対応する。
http://www.toppan.co.jp/news/2014/11/newsrelease141121.html
こういうサービスに本来であれば「オレンジページ」や「レタスクラブ」が凸版印刷よりも先に辿り着いているべきだった。それができなかったところに雑誌の悲劇がある。

盛田隆二が「小説宝石」に「蜜と唾」の連載を開始。タイトルからして挑発的だ。「罪と罰」を転倒させている。「罪」は「蜜」、「罰」は「唾」というわけだ。盛田にとって初の犯罪ミステリーになる。こういう連載は「ゲイナー」でやったらどうなのだろうか。ちなみに盛田は、ぴあ出身である。
http://www.kobunsha.com/shelf/magazine/current?seriesid=104001

◎アイプレスジャパンは、今月7日に亡くなった徳大寺有恒の遺作「指さして言うTOYOTAへ 誰のためのクルマづくりか」を、電子書籍ストアである「コンテン堂」からリリースした。
http://response.jp/article/2014/11/22/238012.html

◎元特捜検事でありながら裏社会を生きた田中森一が死去。双葉社から9月に刊行した「遺言 闇社会の守護神と呼ばれた男、その懺悔と雪辱」が本当の遺言になってしまった。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20141122-OYT1T50045.html?from=ycont_top_txt
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20140930/Taishu_11262.html

ウォール・ストリート・ジャーナルは、LINEに日本語及び、英語による2つの公式アカウントを開設。LINEを通じて日本語でニュース提供を行うのは、国際メディアとしては初だそうだ。
http://otakei.otakuma.net/archives/2014112103.html

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4)【深夜の誌人語録】

感情を劣化させてはならない。喜怒哀楽はアイデアの宝庫なのだから。