【文徒】2014年(平成26)11月27日(第2巻223号・通巻425号)

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1)【記事】百田ブームの終焉
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】百田ブームの終焉

百田尚樹やしきたかじんと妻さくらを描いたノンフィクションと触れ込みの「殉愛」。幻冬舎は初版25万部と明らかにミリオンセラーを狙って刊行したといってよいだろう。当初は幻冬舎の目論見通りのスタートダッシュを切ったが、ここへ来て明らかに局面が変わろうとしている。幻冬舎はスタートダッシュの勢いを踏まえて5万部を増刷し、「殉愛」は現在、市場に30万部ほど出回っているが、出版関係者によれば「半分も売れれば上出来ではないのか」と言われるほどに失速しているというのだ。百田本の終わりの始まりだと予想する声すら出て来ているという。たかじん未亡人が人妻であることが発覚したあたりから雲行きが怪しくなり、やしきたかじんの友人でもあり、たかじんの楽曲に詞を提供していた作詞家の及川眠子が「殉愛」 の中で資料として提示されているたかじんの自筆とされるメモの字の筆跡について、真贋を疑問視するツイートを投稿したあたりから、「殉愛」の化けの皮が剥がされてしまったのだ。まとめサイトでは「百田尚樹氏、ほぼ作家生命終了」とまで断定されている。
及川のツイートをいくつか紹介しておこう。
「『殉愛』に関して、フト疑問。百田さんは秋元さんには取材に行ってるようなのに、なぜ39曲(未発表を入れれば70曲以上)も詞を書いた及川のところには取材に来てくれなかったんだろう。百田作品ファンだから、いつでもどこでも会って何でも喋ったのに〜」
「『殉愛』の表紙に感じたすっごい違和感。なんでだろーと思っていたが、はたと気付いた。たかじんってあんな字を書いたっけ? もっと読みづらい変ちくりんな字だった記憶が・・・。病気になると筆跡まで変わっちゃうのかな?」
「男女間の真実なんて当人たちにしかわからない。私が怒っている理由はただ1つ。なぜウラも取らずに、1人の人間を犯罪者だと決めつける? ノンフィクション作家を名乗るのであれば、きちんと本人に取材すべき。あの本にはそういった『正当性』がまったくない」
http://togetter.com/li/746952
http://togetter.com/li/746961
加えて、たかじんの長女が幻冬舎に対して、出版差し止めと1100万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしたが、これに対して百田は「裁判は面白いことになると思う。虚偽と言われては、本には敢えて書かなかった資料その他を法廷に出すことになる。傍聴人がびっくりするやろうな」とツイートしたものの削除してしまった。とほほ。
http://dmm-news.com/article/899709/

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2)【記事】【本日の一行情報】

◎「東北ふるさとづくりパートナーズ」(佐藤柊平代表)は11月29日、12月21日、来年1月24日の計3回にわたって、一関市大手町の一関図書館で、ウエブマガジン「コロカル」及川卓也編集長、博報堂のテーマビジネス開発局の岡田正己局次長、同ブランドデザインディレクターの竹内慶を講師にして、地元価値創造モデルスクール「一関×はっぷん塾」を開講するそうだ。
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20141124_9

博報堂、大広、読売広告社の10月単体売上高。
http://www.nikkei.com/markets/ir/irftp/data/tdnr/tdnetg3/20141112/8z7rwg/140120141111078720.pdf

◎柳沢健の「1964年のジャイアント馬場」が双葉社から刊行された。「週刊大衆」連載時より愛読していたノンフィクションである。柳沢は「ぱふ」の編集者だった。むろん、文藝春秋の編集者でもあった。プロレスは万国の労働者に愛されたスポーツである。ブルーノ・サンマルチノを見よ!である。
http://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-30785-6.html?c=30900&o=date&

◎元「AneCan」モデルの鈴木サチが「mamagirl」(エムオン・エンタテインメント)冬号で黒髪をバッサリ切って復活。
http://www.asahi.com/and_w/interest/entertainment/CORI2044932.html

資生堂のモテメーク動画が話題になっている。
https://www.youtube.com/watch?v=ymOrHTM-fxQ&feature=youtu.be
http://news.aol.jp/2014/11/25/shiseido/

◎「FASHION HEADLINE」に吉本隆明に関する記事が出た。ただ、それだけのことである。
http://www.fashion-headline.com/article/2014/11/25/8581.html

◎ フジテレビの大晦日は「ワンピース」に賭けた。
http://yaraon.blog109.fc2.com/blog-entry-28416.html

アメリカの雑誌協会は「Magazine Media 360°」を毎月、発表して、ソーシャルメディアでのアクティビティが集計され、公表されているという。日本雑誌広告協会は、こうした取り組みを早急に検討すべきではないのか。
http://www.huffingtonpost.jp/zenichiro-tanaka/social-media_b_6215886.html

◎米グーグルが広告を非表示にするサービスのテストを行っているという。恐るべし!グーグル!!
http://japan.cnet.com/news/service/35056977/

楽天シンガポールの広告プラットフォーム「PocketMath」に1000万ドルの資金提供を行った。
http://markezine.jp/article/detail/21454

電通の海外子会社である電通スポーツアジアは、シンガポールにおける最大級の参加型イベント「シンガポールラソン(Standard Chartered Marathon Singapore: SCMS)」の2014年から2016年の3年間にわたるテレビ番組制作とその世界配給を独占的に行う放送権を、主催者であるシンガポール・スポーツ省およびSpectrum Worldwide(シンガポールのイベント・マネジメント会社)から獲得した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2014/1125-003881.html

博報堂DYメディアパートナーズ博報堂は、博報堂DYグループのTメモが運営する、スマートフォンのアプリ経由で配信されるCM視聴やアンケートへの回答等でポイントがもらえるサービス「FiLMiL」(フィルミル)でのCM掲載枠の販売を本格化する。
http://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2014/11/20141125.pdf

◎返品を増やして資金繰りをする書店は、間違いなく増えているはずだ。その結果、出版社の返品率は悪化する。
http://dot.asahi.com/business/economy/2014112500078.html

エイベックス・グループ・ホールディングスの100%子会社であるエイベックス・ピクチャーズAPI)と講談社集英社小学館の共同出資により、新会社「アニメタイムズ社」を設立することになった。スマホ向けなどの映像配信サービス事業者に対し、アニメタイムズ社が供給窓口になる。
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1198740
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/14/112502021/?top_tl1
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ25HK2_V21C14A1TI0000/?dg=1
私が「講談社集英社小学館」という順番で書いたのは、リリースがそうなっていたから。当然、この順番には意味があるのだろう。

◎「月刊群雛」も鈴木みそにインタビューしている。
http://www.allianceindependentauthors.jp/2014/11/GunSu-201412-promotion-Miso-Suzuki.html

◎チャイルド社と大日本印刷は共同で、幼児教育用のデジタル教材「チャッピーデジタル教室」を開発し、幼稚園、保育園向けに販売を開始した。「チャッピーデジタル教室」は、デジタル絵本、幼児用英会話、知育ゲームの3ジャンルのコンテンツを組み合わせて大型タブレットに搭載した、幼児の知的好奇心を育む教材である。電子書籍ネイティブは着実に増えていくことになる。安易な紙原理主義は、出版の未来にとって百害あって一利なしである。
http://www.dnp.co.jp/news/10105062_2482.html

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3)【深夜の誌人語録】

仕事は転んで覚えるものである。