【文徒】2015年(平成27)1月8日(第3巻4号・通巻449号)

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1)【記事】講談社の全マンガ誌が電子版を配信することになったけれど
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】講談社の全マンガ誌が電子版を配信することになったけれど

私たちも既に報じたように講談社が1月5日に「ヤングマガジン」、6日に「月刊少年マガジン」、7日に「週刊少年マガジン」のサイマル配信を開始したことは、やはり話題となっている。ネットメディアも、全国紙も、スポーツ新聞も取り上げている。昨年末に思わせぶりなティザーサイトを立ち上げ、新年のしょっぱなに発表するという段取りは、広報戦略としても正しい。年明けって話題が少ないからね。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1501/05/news036.html
http://www.asahi.com/articles/ASGDW4T7ZGDWUCVL00D.html
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2015/01/05/kiji/K20150105009576840.html
講談社は既に「モーニング・ツー」「アフタヌーン」「ITAN」「別冊少年マガジン」「イブニング」「ハツキス」「ヤングマガジン サード」「good!アフタヌーン」「月刊少年シリウス」の電子版も配信しているし、6月までには「ヤングマガジン」「月刊少年マガジン」「週刊少年マガジン」「マガジンSPECIAL」「月刊ヤングマガジン」「デザート」「モーニング」「Kiss」「ネメシス」「BE・LOVE」「ARIA」「別冊フレンド」「なかよし」の13誌の電子版の配信を開始する。全マンガ誌がデジタル版を配信することになるわけだ。
http://animeanime.jp/article/2015/01/05/21464.html
週刊少年マガジン」の電子版には「はじめの一歩」が掲載されていないことも話題になっている。作家によっては電子版を嫌うということもあるのだろう。それは致し方ないことである。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1501/06/news112.html
私が残念でならないのは、+αがなかったことである。プラットフォームの要素がなかったということである。私であれば「プロジェクトアマテラス」との連携を考える。単に電子版のマンガが読めるというだけではなく、新たな才能を発見する場として、マガジンブランドの結集を図ると言えば良いだろう。昨日も「文徒」に書いたことだが、ユーザー=読者に開かれた広場を提供するということだ。そのことによってマンガに限らず、小説に至るまで、新しい才能に門戸を開くのである。そんなことを考えながら、「プロジェクトアマテラス」を久しぶりに閲覧したところ、1月31日をもって「プロジェクトアマテラス」が閉鎖されることを知った。
http://p-amateras.com/
デジタル領域においては、プラットフォームのような統合メディアが求められていると私は考えている。声を大にして言っておくが「プロジェクトアマテラス」の考え方は基本的には正しいのである。
さて、小学館はどう出るのだろうか?

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2)【本日の一行情報】

◎売上高でサントリーの、純利益でアサヒの後塵を拝してしまった、かつての名門キリンが復活するには「家庭用」ではなく、「業務用」ビールに営業力を全面的に投下することである。「業務用」においてブランド力が醸成されるということを理解することが大切だと私などは思ってしまう。
http://biz-journal.jp/2015/01/post_8454.html

◎私も何度も行ったがサントリーの山崎蒸留所は美しい。ウイスキーづくりは「工業」というよりも「農業」だと思う。1月4日付京都新聞は、次のように書いている。
「工程の途中までは、ビールや焼酎とさほど変わらない。その後の熟成の長さで、酒としての個性は大きく違ってくる。味を深め、琥珀(こはく)に色づくその変化は人の力を超えているようで、天使のおかげだと思えるのは分かる気がする」
http://www.kyoto-np.co.jp/economy/article/20150104000031

KADOKAWAエイベックス・ピクチャーズ、グリー、サミー、ピクシブとの5社共同で開催している「ミライショウセツ大賞」第3期の募集を開始した。第1期4600件以上、第2期でも6000件以上の投稿があったという。
http://www.famitsu.com/news/201501/05068986.html

百田尚樹は、作家として相当おっちょこちょいのようである。「週刊文春」に連載を開始した「幻庵」に誤りがあったことをツイッターで指摘され、本人も誤りを認めた。
「現在、発売中の週刊文春連載の『幻庵』の中に「(算砂は)大橋宗桂と平手で対局し、これに勝っている。つまり算砂は碁も将棋も日本一であった」と書いたが、詳しい人から『現存する棋譜では算砂が勝ったのは一局で、七局は負けている』という指摘があった。算砂が将棋も日本一と書いたのは誤りでした」
編集者もチェックできなかった!
http://news.livedoor.com/article/detail/9642090/

◎1月1日にセブンイレブン限定で発売された「週刊文春 お正月スペシャル号 丸ごと1冊タンマ君!」。「タンマ君」というマンガの秀逸さは、確かにまとめて読むと理解できる。加えて「奥付」を見るとわかるのだが、「文春ムック」の一冊なのである。編集人も何と西川清史常務であることもわかる。「週刊文春」デジタルを仕掛けたのも西川常務であった。
http://dmm-news.com/article/907032/

朝日新聞社が「信頼回復と再生のための行動計画」を発表したが、評価できるのは訂正記事をまとめて掲載するコーナーを新設することぐらいなんだよなあ。
http://mainichi.jp/select/news/20150106k0000m040093000c.html

電通の石井直社長が年頭の所信を述べたが、私は次のような文言に着目している。
「私たちの顧客も、事業の拡大、新たな市場の創造に向けた挑戦を重ねている。顧客が進めるこうした変革の一翼を担う存在となり得るのか、それとも、ただそばで眺めているだけの傍観者にとどまるのか。電通グループは今、そうした岐路に立っている」
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0105-003912.html
電通イージス・ネットワークの役割が更に重みを増すことになるのではないだろうか。

◎2014年パリコレデビューをしたファッションブランド・アンリアレイジが「進撃の巨人」とコラボしたTシャツが登場。
http://ism.excite.co.jp/design/rid_E1419487866004/

熊本県の公式キャラクター「くまモン」がマガジンハウスの「ターザン」の表紙を飾った。1月6日付日本経済新聞は次のように書いている。
熊本県蒲島郁夫知事は5日、人気キャラクターのくまモンがダイエットに挑戦すると発表した。くまモン減量作戦でトマトや馬刺しなど熊本産食材を全国にPRする」
http://www.nikkei.com/article/DGXLASJC05H50_V00C15A1ACYZ00/
政治学者の蒲島は政治家としても有能だよなあ。「戦後政治の軌跡 自民党システムの形成と変容」(岩波書店)は計量政治学を代表する一冊だ。

◎日販は「長州幕末歴史検定」を、9月6日(日)に、山口・東京・大阪でFM東京との共催で実施する。安倍首相も大喜びするんじゃないの?
http://www.dreamnews.jp/press/0000105458/

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3)【深夜の誌人語録】

みんなで喜びを共有しようと思うのであれば、自分自身に厳しくなければならないはずだ。