【文徒】2015年(平成27)2月3日(第3巻21号・通巻466号)

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1)【記事】出版業界団体の再編を真剣に考えよう
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】出版業界団体の再編を真剣に考えよう

紙の出版市場が縮小傾向にあるのは間違いない。もちろん、デジタルパブリッシングと合わせて考えるのであれば出版は成長産業ともいえるだろう。しかし、出版業界に林立している業界団体は、殆どが紙の出版を前提にして結成されている。主だった団体をあげてみても日本書籍出版協会日本雑誌協会、日本雑誌広告協会、日本電子書籍出版社協会日本電子出版協会、日本出版インフラセンター、日本出版取次協会日本書店商業組合連合会などがある。多過ぎるとは思いませんか?業界団体が!
まず雑誌にかかわる団体が二つあるが、アメリカなどの場合、一つである。またデジタルにかかわる団体も二つある。それなりの歴史的な経緯があって、業界団体は設立されたのだろうが、日本雑誌協会と日本雑誌広告協会は一本化しても良いのではないだろうか。日本電子書籍出版社協会日本電子出版協会も一本化されたほうがわかりやすいのではないか。
誤解を恐れずにもっと言ってしまえば、日本書籍出版協会日本出版取次協会も一本化できなくはないし、日本電子書籍出版社協会日本電子出版協会の二団体を日本出版インフラセンターに一本化してしまうことも考え方としては、あり得ると私は思っている。日本出版協会という考え方をすれば、日本書籍出版協会日本雑誌協会、日本雑誌広告協会、日本出版取次協会の四団体を統合することも決して不可能ではあるまい。
出版業界が業界自体をもっと筋肉質化すべきであることは間違いないのではあるまいか。

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2)【本日の一行情報】

◎旅雑誌「TRUNK」(ネコ・パブリッシング)の里見有美編集長って講談社女性誌VoCE」編集部を経て、フリーライターに転身しているのか。雑誌はおもちゃ箱という認識には賛成できる。
「雑誌は、おもちゃ箱のようなもの。旅だけじゃなくて、食べ物、ファッション、建物、歴史、インタビュー…いろんなものが詰まっている、覗くだけでもワクワクしてくるおもちゃ箱。私は、ずっと女性誌畑でお仕事させて頂いてきましたが、ファッションや流行というラベリングがされたおもちゃ箱に、徐々に心が躍らなくなってきていたのかもしれません」
http://top.tsite.jp/news/i/21589183/

◎「Magzter」は世界50ヶ国・トータルで2000タイトル以上のオンラインマガジンが読み放題になるサービスだ。
http://techable.jp/archives/21634

◎オーディション情報誌「月刊デ☆ビュー」(オリコン・エンタテインメント)が休刊。創刊が1983年創刊だという。31年もの長きにわたり刊行しつづけていたわけだ。版元の椎葉克宏は次のように語っている。
スマートフォンが普及したことで、オーディションを受ける若い世代の情報の受け取り方が変わって来ました。『月刊デ☆ビュー』も、ここ数年Webサイト『デビュー』に登録する人が急激に増えています。またYouTubeなどの動画サイトから有名人が誕生しているように、芸能人になる方法が多様化しており、雑誌では十分に表現できなくなっておりました」
今後はデジタルに特化するというが、これは多くの雑誌にとって他人事ではあるまい。リクルートなんかとっくの昔にデジタルに特化しているものな。情報を生命線とした雑誌は、その発想を根本的に変える必要がある。
http://www.asahi.com/and_w/interest/entertainment/CORI2047960.html

雁屋哲が「美味しんぼ『鼻血問題』に答える」(遊幻舎)を上梓した。
http://kariyatetsu.com/blog/1717.php
http://yuugensha.com/

論創社から吉本隆明の「『反原発』異論」が刊行されたが、冒頭に掲げられた副島隆彦の文章が熱く、激しい。
吉本隆明は、敗北し続けた日本の民衆の敗北を一身に引き受けて死んでいった悲劇の革命家だ。いくら説得しても理解してもらえることが少ない民衆の側の恐怖心と愚かさに起因する敗北の責任を一身に引き受けて、吉本隆明は死んでいった。
ヨーロッパ民衆(労働者)のために闘い続けて、敗北していった、社会主義思想の大成者、カール・マルクスの思想を全身で受け継いだ、偉大なる日本の革命家だった」
http://www.ronso.co.jp/

◎私も花田紀凱同様に「イスラム国」人質事件では「週刊朝日」や「サンデー毎日」という新聞社系週刊誌に期待していたのだが、「ほとんど既に新聞やテレビで報じられているような話ばっかり」で呆れてしまった。
http://www.sankei.com/premium/news/150201/prm1502010018-n1.html

◎日本人って本当にセックス好きなんだよなあ。平凡社新書の「春画に見る江戸老人の色事」は白倉敬彦の遺作。「週刊ポスト」で「春画」特集を監修していた人だ。
http://www.heibonsha.co.jp/book/b190647.html

集英社に内定の決まった5人のトーク。「私も、ずっと呪文のように『自分は何者でもないんだ』って言い聞かせてました。その上で、熱意を伝えられたらベスト」という発言があった。自分は何者でもないという気持ちを大切にしてもらいたいなあ。
http://www.shueisha.co.jp/saiyo/discussion/

◎生きていれば社長になっていたのだろう。電通の阿部忠夫。典型的な電通マンだった。
「ある時、新しい営業局が誕生することになり、彼は初めて局長として就任することになった。まだ、局長以下、一切の人事は公表されていなかったが、あまり芳しからぬ噂が流されていた。いわく、各営業局の札付きの営業部を寄せ集めて、吹き溜め営業局を作るらしい、と。その噂を、ある営業部長が当時新聞局次長であった阿部のところに伝えに来た。
ところが阿部は、既に自分がその当該局長になることを知っていた上に、その噂を伝えに来た営業部長がその営業局に移ってくることも知っていた。本人にそのことを教えてやるわけにもいかず閉口したよと、筆者に述懐したことがあった」
第11営業局のことである。品川グループを獲得したんだよなあ。部長は向井真作。私が出会ったのは、確か銀座の電通に四っつの営業局があった時代である。何度か葡萄屋でご馳走になり、貴重な話を聞かせてもらった。
http://dentsu-ho.com/articles/2131
http://dentsu-ho.com/articles/2134
http://dentsu-ho.com/articles/2156
http://dentsu-ho.com/articles/2159

◎マンガ「トリガー」(実業之日本社)の原作はインパルスの板倉俊之。板倉が執筆したハードボイルド小説のマンガ版である。爆笑問題太田光が小説をテレビで絶賛したことがきっかけとなって生まれたそうである。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150131-00000237-sph-ent
お笑いの世界は多士済々である。

池上彰は「ハフィントンポスト」で次のように述べている。
「今回、朝日新聞記者が、外務省の勧告を無視してシリアに取材に入ったと、読売新聞と産経新聞が批判的に報じています。大新聞の記者が、『危険だから取材に入らない』という態度であったなら、誰が報じるのでしょう。だからこそ、後藤さんの不存在は、日本のジャーナリズム界にとっても損失なのです」
http://www.huffingtonpost.jp/2015/02/01/ikegami-goto_n_6588486.html
産経新聞は、こう書いている。
朝日新聞イスタンブール支局長が、シリア国内で取材していることが31日、分かった。イスラムスンニ派過激組織『イスラム国』による日本人殺害脅迫事件を受け、外務省は1月21日、報道各社にシリアへの渡航について『いかなる理由であっても』見合わせるよう求めている。外務省幹部は『記者も当事者意識を持ってほしい。非常に危険で、いつ拘束されてもおかしくない』と強い懸念を示した」
http://www.sankei.com/world/news/150131/wor1501310045-n1.html

別冊宝島「日本刀」が、昨年の第1弾と合わせて累計23万部となったそうだ。何が売れれるかわからないものだよね。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1501/31/news015.html

幸福の科学大川隆法による大スクープ!何と大川は1月31日に「イスラム国」の最高指導者アブバクル・バクダディの守護霊霊言を行ったそうだ。
「冒頭、バグダディ氏守護霊は、『まだ死んでいない』と語り、米軍が主導する空爆の際に、たびたび流れる死亡説を否定。オバマ米大統領に対しては、『イスラム教徒だ、あいつは』『キリスト教徒の皮をかぶったイスラム教徒だ。本心は、地獄に堕ちるのが恐くてしょうがないだろう』と語気を強めた」
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9146

紀伊國屋書店は、大分県大分市要町に開業する大型商業施設「アミュプラザおおいた」に床面積450坪で出店する。グランドオープンは4月16日だ。
http://www.kyodo.co.jp/pr/2015-02-02_1470524/

フジテレビジョンの公式動画配信サービス「フジテレビオンデマンド」で、電子コミックの配信サービスを開始した。サービス開始時の配信タイトルは、約1万タイトル、約4万冊。電子コミックの配信は民放で初の取り組みである。
http://mantan-web.jp/2015/02/02/20150201dog00m200061000c.html

講談社の役員人事。三専務体制が二専務体制となりそうだ。常務への昇任が一人、新任はなしの模様。

酒井啓子が「ニューズウィーク日本版」のサイトで重要な指摘をしている。
「犯人が海外だから、日本国内で交わされる議論は聞こえないとでも思っているのかもしれない。だが、ネットに掲載される情報は日本語でも簡単に自動翻訳にかけられるし、テレビ画像でもYouTubeなどに乗れば、世界各地で見られる。日本語で行われる議論は日本国内でしか消費されない、と思い込んでいるとすれば、大きな間違いだ。日本のメディアの間で、その発言が英語やアラビア語に翻訳されたら犯人にどのように伝わるか、自覚した上でなされた報道は、はたしてどれだけあっただろうか」
http://www.newsweekjapan.jp/column/sakai/2015/02/post-904.php

バクシーシ山下による伝説のAV「ボディコン労働者階級」が復刻されていた!
http://www.dmm.co.jp/mono/dvd/-/detail/=/cid=42vrxm022/

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3)【深夜の誌人語録】

組織において「股肱の臣」がまさに「股肱」を虎の威とした「君側の奸」であることは、ままあるものだ。