【文徒】2015年(平成27)4月17日(第3巻73号・通巻518号)

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1)【記事】スタートトゥデイがアラタナを買収 その意味を考える
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】スタートトゥデイがアラタナを買収 その意味を考える

アラタナは、スタートトゥデイと株式交換を実施し、スタートトゥデイグループに加わった。
http://www.aratana.jp/news/detail.php?id=59
ファッションショッピングサイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイが宮崎に本拠を置くアラタナを買収したということである。アラタナからすれば「更なる拡大成長を実現するため」の売却であり、スタートトゥデイからすればアラタナの「ECに特化したテクノロジーとサポート力によるECソリューション」に魅力を感じての買収であった。
http://www.starttoday.jp/wp-content/uploads/2015/03/Release_ST_Aratana201503251.pdf
私が宮崎に本社を置くアラタナに注目したのは、ファッション関連のウエブマガジンを運営する「ハニカム」を買収したことによる。
http://d.hatena.ne.jp/teru0702/20140419/1397866094
http://www.honeyee.com/
アラタナからすれば「更なる拡大成長を実現」するにあたって、IPOという選択肢もあったはずである。しかし、アラタナの浜渦伸次代表取締役は「売却」を決断した。何故なのだろうか。「現代ビジネス」で浜渦は次のように語っている。
ベンチャーとしてのエグジットを考えたときに、IPOという選択肢ももちろんありました。『上場ゴール』とよく言われますが、僕らのやりたいことはもちろんIPOではなく、『宮崎に1,000人の雇用をつくること』です。昨年末に、改めて役員とその方向性について話をしていたときに、IPOと同時にM&Aという選択肢が挙がりました。
スタートトゥデイさんとは、業務提携という形でお仕事をさせていただく予定をしていたのですが、その流れでM&Aの話が出てきたんです。こちらからM&Aの形についていろいろご提案をさせていただくなかで、僕らが掲げる目標の達成に近づけると確信し、売却を決めました」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42920
こういう時代の流れが、ヴィジュアル系というか、ファッション誌系の雑誌のあり方を大きく変えてゆくに違いない。
周知のように「ZOZOTOWN」はファッション誌を中心に、 カルチャー誌やファッションに関連する洋書の販売を始めている。
http://zozo.jp/women-shop/zozomagazinestore/
更にファッション雑誌の記事からニュースやトレンド情報を提供する「マガジンニュース」も手がけている。
http://zozo.jp/magazinenews/
当然、次の構想があっても少しもおかしくはないのである。その「次の構想」が既存の雑誌業界を震撼せしめるようなものであっても、もはや少しも不思議ではないのである。

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2)【本日の一行情報】

◎「OurPlanet−TV」が首相官邸前デモに際して、国会記者会館屋上から撮影をさせないのは、報道の自由の侵害だと、国と国会記者会に損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京高裁も、一審同様に請求を棄却した。
新聞では、このニュースをイデオロギー的には、最も右に位置する産経ぐらいしか扱っていないのか。そういうところにこそ日本のマスメディアや日本のリベラルの構造的脆弱性が横たわっていると私は考えている。
http://www.sankei.com/affairs/news/150414/afr1504140022-n1.html
「弁護士ドットコム」は、「OurPlanet-TV」の白石草代表のコメントを紹介している。
控訴審で、国会記者会館が通常の記者室とは異なること、また、国会記者会に所属するメディアが日常的に屋上で撮影していることなどに関する様々な証拠を提出して、私たちに対する使用拒否が差別的な取り扱いであることを主張したのですが、まったく聞き入れられない判決で、非常に不当なものだと感じています。
国会記者会館は、政権からの便宜供与であり、マスコミと政権との癒着の構造を表すシンボルです。最高裁に上告するとともに、国会記者会館に常駐する大手メディアの政治部が抱える課題について、広く社会に問う声を広げていきたいと思います」
http://www.bengo4.com/topics/2964/

乃木坂46の女性ファッション誌進出が止まらない。
http://mdpr.jp/news/detail/1480686

資生堂がネットで公開している「ビノラボ」は、日常で気になる美容、肌のことで知りたいことを、資生堂の研究員が簡単にわかりやすく解説する「美のラボ」なのだそうだ。
http://www.shiseidogroup.jp/binolab/?rt_pr=tr304

朝日新聞に限らず、新聞社にとって、出版社にとって、テレビ局にとって、不動産は「次なる基幹ビジネス」にほかならない。マス4媒体の広告ビジネスは、もともと不動産ビジネスと似ていたしね。不動産ビジネスに似ていたからこそ、広告代理店は「利益」を確実に確保できたのである。
しかし、ネット広告において、広告代理店が「利益」を確保することは、そう簡単なことではない。現在までのところ、デジタル化とグローバル化の二つの課題に何とか応えているのは、私の見るところ電博だけである。
http://www.news-postseven.com/archives/20150415_316167.html

ツイッターアカウント「レモンジーナ公式」は、フォロワー数が50万を軽く超えているが、これ、サントリーとは全く関係ない。ツイートの内容がレモンジーナに肯定的であるから、サントリーに被害は及ばないとしても、こうした「なりすまし」には十分注意が必要だ。ユーザーのリテラシー能力が問われている。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1504/14/news160.html

大阪市大正区役所は、尻無川河川広場を中心とした周辺地域一帯をにぎわい創造拠点とするため、活性化プラン案策定の公募型プロポーザルを行い、事業者を博報堂に決めたそうだ。
http://www.kentsu.co.jp/webnews/html_top/150413700021.html

KADOKAWAのブランドカンパニー制廃止の記事が漸く日経に出た。アスキー・メディアワークスエンターブレインの名前は「局」として残り、メディアファクトリー中経出版角川書店富士見書房の名前が消える。
角川書店の場合はKADOKAWAの名前は残るから良いとして、買収されてKADOKAWAの社員になった中経出版メディアファクトリーの連中からすれば、やり切れまい。特にメディアファクトリーの連中は、リクルートが売却先を小学館ではなくKADOKAWAに決めたことを恨んでいることだろう。もっとも西友から買収したSSコミュニケーションズなど、労働組合を別にすれば、とうの昔になくなってしまっている!
まあ、KADOKAWAの社内はバラバラになるだろうことは想像に難くない。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO85739190W5A410C1TJ1000/
結局、オーバーラップの判断は正しかったということだ。オーバーラップはKADOKAWAに売却されることを嫌ったメディアファクトリーの社員が小学館からの4〜6億円と推測される資金援助を得て創立した会社である。
それにしても労働組合ってのは、何をやっているのだろう?ダラ幹揃いか!
さて、KADOKAWAの名前が消えるのは、いつの日か。そうならないと収拾がつかないのかもしれない。アマゾンにKADOKAWA・DWANGOを売却するというのは、どうだろうか?経営的に言えば、悪い一手ではないはずである。

◎オレも飲んでみた。「サントリー 南アルプスの天然水&ヨーグリーナ」。これ当たるよ、売れるよ。
http://getnews.jp/archives/906761

主婦と生活社が「嵐、ブレイク前夜」を刊行。「DMMニュース」は次のように書いている。
「…ファンならば、あっと驚くようなエピソード満載の嵐本になっている模様で、いまから『ベストセラー間違いなし』との声も。いわば絶対にリスクのない利権のようなものだ。出版の経緯に興味を覚えざるを得ない」
主婦と生活社=「週刊女性」とジャニーズ事務所との和解なくしては、あり得ない企画であろう。こうした和解(=ボス交)を示唆するような企画が畢竟読者の「週刊女性」に対する信頼度を著しく毀損することを主婦と生活社は理解していないようだ。ソーシャルメディアの時代を理解していないということだ。
http://dmm-news.com/article/944287/

電通イージス・ネットワークは、ニューロサイエンス領域に強みを持つ米国のマーケットリサーチ会社「フォーブス・コンサルティング社」)の株式100%を取得するで、同社株主と合意した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0416-004028.html

ミロスラヴ・スラボシュピツキー監督の「ザ・トライブ」は絶対に見なきゃ。ウクライナ映画なんだって。
http://openers.jp/article/957073

◎草創期の「週刊ポスト」にあって「鬼軍曹」の異名をほしいままにした(そう思っているのはオレひとりかな?)山了吉が、出版メディアパルから「表現の自由と出版規制」を上梓した。
http://www.murapal.com/sangyodoko/175-2015-03-31-10-28-25.html

◎私が10代だった頃、影響を受けた一人がルイ・アルチュセールだった。「政治と歴史
エコール・ノルマル講義 1955-1972」が平凡社より刊行された。先ほど立ち読みで「ルソー講義」のくだりを読んでいて、買わなければと思ったが、「7200円+税」という表示を見て今日のところは撤退することにした(泣)。
http://www.heibonsha.co.jp/book/b194014.html
私は「認識論的切断」とか「国家のイデオロギー装置」という言い方を好んで使うが、これは総てアルチュセールの影響である。ちなみにアルチュセールはカミさんを絞殺したんだよね。

河出書房新社の「総特集 三原順」。白泉社の社員は上から下まで読むべし。
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309275796/

AKB48選抜総選挙では内山奈月に一票を投じたい。
https://plus.google.com/u/0/115831229731310759845/posts/XKdh6CTGJAf

◎NHKの大越キャスターが更迭されたのは在日韓国人をめぐっての発言にあると「ジャパンフォーカス」は書いているんだけど…。
http://japanfocus.org/events/view/251

◎川崎の金山神社のお祭りは大いに盛り上がる一方で、ろくでなし子がわいせつ電磁的記録送信の罪に問われるというのは、どういうことなのだろうか?
金山神社の祭りに参加した外国人にちゃんと説明できるのだろうか。ろくでなし子の作品を金山神社の神輿にこすりつけている写真をネットにアップしたら、これも何らかの罪に問われる!?
http://nihonguide.net/maturi/1410.html
http://www.kt.rim.or.jp/~sokohaka/chin-man/kanamara_m.html
http://www.bengo4.com/topics/2967/

上杉隆事務所が「ダイヤモンドオンライン」に要望書を提出した。
「…池田被告の情報を真に受けて『休載』という対応をした御社につきましては、『結果が判明した次第、対応する』と明言されていましたが(2012年10月23日における細川氏および辻広氏との電話やメールとのやりとりで確認)、一向に対処される様子がありません。当方からの問い合わせについても、返信すらなく極めて遺憾です。
早急の対応とご連絡をお待ちしております」
http://uesugitakashi.com/?p=10594

◎「JRおおいたシティ」に紀伊國屋書店がオープン。
http://oita.keizai.biz/headline/386/

◎写真共有ソーシャルメディア「Snapeee」(スナッピー)は、小学館CanCam」とのコンテンツ提携を開始した。「Snapeee」は既に講談社と資本、業務提携している。
https://www.value-press.com/pressrelease/140482

電通は、欧米・アジアなどの海外企業を主な対象にベンチャー投資を行う、総額50億円のファンド「電通ベンチャーズ1号グローバルファンド」を組成した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0415-004027.html
広告会社は「体力」が問われている。

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3)【深夜の誌人語録】

他人の痛みは共有できない。想像するしかできないのだ。想像力が大切な所以である。