【文徒】2015年(平成27)4月24日(第3巻78号・通巻523号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】「連載完結記念 岸本斉史 NARUTO―ナルト―展」プレス内覧会
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2015.4.24 Shuppanjin

1)【記事】「連載完結記念 岸本斉史 NARUTO--ナルト--展」プレス内覧会

昨年11月に集英社週刊少年ジャンプ』での15年に及ぶ連載を完結させた『NARUTO--ナルト--』の「連載完結記念 岸本斉史 NARUTO--ナル--展」が、4月25日から6月28日まで森アーツセンターギャラリー(東京・六本木ヒルズ森タワー52階)で開催されるのを前に、メディア関係者を対象にしたプレス内覧会が23日午後に同ギャラリーにて開かれた。
展示会場の公開に先立ち「火影岩(ほかげいわ)」(高さ約3.6mの造形)の前で行われたフォトセッションには、熱烈な『NARUTO』ファンとして知られる生駒里奈乃木坂46)とお笑いタレントの小島よしお、元大関琴欧州の鳴門親方が出席。
ファン代表を自認する生駒が、
「入口から大号泣するくらい中身の濃い展示だなと思いました。今はどれがお薦めとかは言えないのですが、観に来られる方は厚手のタオルとかを持ってきてほしいです」
と愛嬌たっぷりに語る。
そして、海パン一丁で登場した小島も、
「僕も以前のグループでは『お前はグループのガンだ』とか言われたこともありましたけど、『NARUTO』のおかげでここまで芸能生活を続けてこれました」
「名場面もいっぱいありますし、3D化されたナルトもいるなど、見所が一杯です」と熱い調子で述べたうえで「会場で思いついた」というギャグ「螺旋丸パッピー!」(これは滑った)
スコーピオン!」(これはウケた)を全身で披露。
さらには、初々しいスーツ姿ではにかみながら「とても絵が綺麗です」と語る鳴門親方に立会いを挑んで担ぎ上げられるなどして報道陣の笑いを誘っていた。
前出の通り今は展示内容について詳しくは紹介できない(ネタバレになるので)が、さすが国民的な作品をテーマに森アーツセンターギャラリーで行われるだけあって、原画の他に映像・音響効果も取り混ぜた展示はボリューム感たっぷり。
原作者・岸本斉史へのインタビュー映像や、『NARUTO』のストーリーを構想したという故郷・岡山県奈義町立図書館の席を再現した区画も置かれるなど、作品の舞台裏をのぞかせる展示もあって興味深い。
熱心なファンはもとより、これまで『NARUTO』をほとんど読まなかったような向きにも「面白そうだから読んでみようか」と思わせるだけの迫力に満ちた「NARUTO展」、一見の価値ありだ。(岩本太郎)

                                                                                                                        • -

2)【本日の一行情報】

◎「女性セブン」編集長にはインタビューしなかったのだろうか。4月22日付毎日新聞夕刊の「怒る女性週刊誌 政権批判、読者に押され 原発再稼働、改憲…本当に必要? 家族の生活、命…守れるの」。
http://mainichi.jp/shimen/news/20150422dde012040006000c.html
なお、この記事のURLは会員登録(無料)しないと見られない。

New York Times の社説「安倍晋三と日本の歴史」を内田樹が翻訳している。内田の言うようにNew York Times、いやアメリカは安倍首相に「彼の右翼的同盟者たちとの絶縁」を迫っている。
http://blog.tatsuru.com/
読売新聞の4月22日付社説「戦後70年談話 首相は『侵略』を避けたいのか」にも「アメリカの影」が反映されていると私は考えている。
「…戦後日本が侵略の非を認めたところから出発した、という歴史認識を抜きにして、この70年を総括することはできまい」
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20150421-OYT1T50160.html

◎最近の編集者の頭の中はホストクラブの従業員とさほど変わらないようだ。
http://top.tsite.jp/news/o/23227020/

◎アマゾンと直取引を開始したという日経の記事でKADOKAWA・DWANGOの株価が上昇。ついこのあいだまで「打倒!アマゾン」を叫んでいたKADOKAWAの経営がうまくいっていれば、こんな決断はしなかったはず。それだけKADOKAWAの経営が追いつめられているという証拠であって、本来ならば、KADOKAWA・DWANGOの株価は急落しなければいけないはずだ。
http://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n201504220067

◎米ヤフーが低迷。ヤフーの時代は終わるに違いあるまい。ヤフーの時代とはデスクトップ型パソコンの時代でもある。
http://jp.wsj.com/articles/SB11350573174384774502804580595051340714066
なお、この記事全文は会員登録(有料)しないと見られない。

小学館は戦後70周年を記念して、ちばてつや松本零士新谷かおるの戦記漫画をコンビニエンスストア向けレーベル「マイファースト・ビッグ」から刊行する。発売が始まっているちばによる「紫電改のタカ」は名作だ。「週刊少年マガジン」に連載されていたんだよね。
主人公の母親と恋人が主人公の属する基地に面会にいくのだけれど、既に主人公は特攻に向かうというラストシーンは未だに脳裏にこびりついている。松本は「ザ・コクピット 日本編」、新谷は「戦場ロマン・シリーズ」が刊行される。
http://myfirstbig.jp/

◎常見陽一が「しらべぇ」で本屋大賞について、まっとうなことを書いている。
「一般的には認知度が低いが、書店員が「この本を売りたい」と思って発掘してくれて、その本がスポットを浴びるというのなら、意味があると思うのだが、もともと売れている本を紹介するのなら、それはどうなのだろうと思ってしまうのである」
http://sirabee.com/2015/04/22/27422/

コミックハイ!双葉社)が5月22日に発売される6月号をもって休刊となる。
http://natalie.mu/comic/news/145011

籾井勝人NHKの会長に相応しいとは、やはり言い難いようだ。4月23日付毎日新聞「揺らぐNHKの組織統治」で東京学芸部の望月麻紀は次のように書いている。
「籾井会長はこの1年、人事権をたくみに使い、組織の掌握に努めている。ハイヤー問題をきっかけに、私は会長就任直後にもあった私的ゴルフをめぐる出来事に行き当たった。関係者によると、籾井会長はその時、会長車を使おうとして周囲に何度も止められた。
前任の秘書室長は止めた一人だが、まもなく異動になり、後任がハイヤーを手配した現秘書室長だ。4月14日に決定した役員人事でも、会長に近い専務理事・理事計3人に主要な業務を集中させた。自らの判断に異論を挟ませない組織づくりが進む」
http://mainichi.jp/journalism/listening/news/20150423org00m040006000c.html
NHK出身の池田信夫ツイッターで「前秘書室長は元同僚。組合の系列委員長もやった正義漢で、こういう仕事には向いてなかった。新秘書室長は元経済部。上司に忠実なサラリーマン」と述べている。
https://twitter.com/ikedanob

◎米アマゾンがホテル予約サービス「Amazon Destinations」をスタートさせた。
http://japan.cnet.com/news/service/35063539/

◎私は加藤周一の決して良い読者ではないのだが、成田龍一の「加藤周一を記憶する」(講談社現代新書)は興味深く読んだ。成田の「『68年』の状況に接しつつ、状況からは切断された地点に、加藤は身をおいた」という指摘には納得できた。
http://gendai-shinsho.jp/

◎映像配信サービス「U-NEXT」は、4月22日より、月額1,990円(税抜)のビデオ見放題の会員向けの、追加料金なしで電子雑誌を提供するサービスに「BAILA」、「MAQUIA」、「UOMO」など、集英社の雑誌の電子版全11誌を加えた。これにより全61誌となった。
http://p.unext.jp/pdf/news_magazine0422.pdf

電通におけるダイバーシティ(多様性)課題対応専門組織「電通ダイバーシティ・ラボ」は、この4月に全国69,989名を対象に、LGBTを含む性的少数者=セクシュアル・マイノリティ(=LGBT層)に関する広範な調査を実施した。その結果、LGBT層に該当する人は7.6%、LGBT層の商品・サービス市場規模は5.94兆円となった。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2015/0423-004032.html

國分功一郎ちくま新書「近代政治哲学」は、「来るべき民主主義 小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題」(幻冬舎新書)と対にして読まれるべきだろう。
「近代の政治哲学は、行政に対する鋭敏な感覚をもちつつも、やはりそこでは立法権中心主義とでも言うべき視座が支配的であった。それゆえに、主権を立法権として定義することの問題点は十分には考察されてこなかった。だが、実際の統治においては、行政が強大な権限を有している。
ならば、主権はいかにして行政と関わりうるか、主権はいかにして執行権力をコントロールできるか、これが考察されねばならない」
http://www.chikumashobo.co.jp/special/kokubunkoichiro/
間接民主主義は絶えず途上の政治システムなのであろう。

ピース又吉の「花火」が三島由紀夫賞の候補となり、ピースが5月7日発売の「アンアン」で表紙を飾る。お笑い芸人としては、初の快挙だそうだ。
http://www.cinemacafe.net/article/2015/04/23/30775.html

内外出版社のメンズヘア&ファッション誌「CHOKICHOKI」は、5月24日発売の7月号をもって休刊が決まった。
http://www.wwdjapan.com/business/2015/04/22/00016222.html

◎ハイブリッド書店サービス「honto」を運営する大日本印刷大日本印刷グループの書店およびトゥ・ディファクトは共同で、講談社「進撃の講談社文庫100冊!」フェアをhonto提携書店、honto電子書籍ストアで開催している。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000037.000009424.html

◎小林敏明の「柄谷行人論」(筑摩選書)で、私は柄谷行人が東大生時代に書いた「社学同再建のアピール」を初めて読んだ。柄谷の原点となるような文章なんだな、これが。
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480016171/

◎「俺のフレンチ」とか何とか、俺の何とかという言い方が流行っているが、小谷野敦もそれに倣って「俺の日本史」を新潮新書から刊行した。古代から幕末までを確かに一気呵成に論じてしまう馬力が小谷野にはあるようだ。まあ歴史の楽屋落ちを楽しむ一冊だろうけれど。
https://www.shinchosha.co.jp/book/610615/

                                                                                                                        • -

3)【深夜の誌人語録】

常に他人よりも速く歩くことをこころがけたい。そうして時間を創造するのだ。