【文徒】2015年(平成27)5月20日(第3巻92号・通巻537号)

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1)【記事】雑誌情況への提言 2014年7〜12月のABC公査について
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】雑誌情況への提言 2014年7〜12月のABC公査について

客 2014年7〜12月のABC公査が発表されたけれど、宝島社の女性誌が岐路に立っていると話題になっているね。
主 何しろ物凄い勢いで部数を減らしているからね。
客「sweet」が前期比84.01%、前年同期比82.24%で19万9492部。「InRed」なんか悲惨だよね。前期比75.93%、前年同期比65.62%で17万668部。「リンネル」が前期比96.54%、前年同期比81.55%で16万2938部。「GLOW」が前期比81.77%、前年同期比67.06%で12万867部。「steady」が前期比75.45%、前年同期比47.28%で6万8442部かあ。「steady」は前年の半減以下!「SPRING」に至っては、前期比39.01%、前年同期比33.7%で、3万3231部だぜ。「SPRING」は休刊近しなんじゃないの。
主 結局、宝島社の女性ファッション誌って付録だったんだよな。付録がなくなれば完全にソッポを向かれるし、付録があっても、さすがにバッグはもう飽きたということなんだろうね。宝島社としては「大人のおしゃれ手帳」や「otonaMUSE」をもって、読者ターゲットのシフトを図ろうとしているんだけど、この二誌にしても創刊時の勢いが今やない。
宝島社が女性誌を牽引した時代が終わろうとしているのかもしれない。宝島社は見切りの早い出版社だから、採算割れした女性誌は惜しむことなくスクラップしてしまうのではないだろうか。心配なのは、もうABC公査に入っているメリットはないとばかりに、思い切って撤退してしまうことだよ。あそこはアウトサイダー、ゲリラを身上とする出版社だから、あり得る話だと思うよ。
客 大手の出版社が中途採用を実施すると宝島社の女性ファッション誌の編集者がどっと応募してくるというよね。
主 結局、女性ファッション誌のトップに君臨するのは光文社の「VERY」ということになる。光文社は「CLASSY」も快進撃をつづけている。「JJ」も復活の傾向が顕著だ。光文社は付録の力に頼らず、部数を伸ばしている。これは尊敬に値する。
小学館の女性ファッション誌が元気ないのは心配だな。一番、売れている「Oggi」が、ABCランキングでは48位だものな。何とか10万部を維持しているという状態だ。集英社が健闘しているね。「バイラ」「エクラ」「マキア」「シュプール」の四誌で前期比、前年同期比ともに100%超えを果たしている。「少年ジャンプ」系のコミックスで儲けたカネを投資できるのが強みだね。

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2)【本日の一行情報】

◎5月18日が「ことばの日」で、10月16日が「辞書の日」だとは初めて知ったが、「小学館大辞泉 あなたの言葉を辞書に載せよう。2015 キャンペーン」がその間、展開される。
http://kotoba.daijisen.jp/
http://dot.asahi.com/business/pressrelease/2015051800004.html

◎埼玉・三井ショッピングパークららぽーと富士見の「小学館キャラパーク」に、6月28日までの期間限定で「名探偵コナン スペシャルコーナー」が登場する。
http://natalie.mu/comic/news/147555
小学館キャラパーク」は週刊少年サンデーコロコロコミック、ちゃお(いずれも小学館)の人気タイトルのグッズや展示コーナー、記念撮影スポットなどが設けられたショップである。
http://www.lalaport-fujimi.com/shopguide/10268731_24546.html
ららぽーと富士見にはBOWLが出店している。ここは126.68坪という広さで、本・雑貨・カフェの複合店であり、日本紙パルプ商事が設立したリーディングポートJPが経営し、運営は大阪屋が担っている。
http://www.lalaport-fujimi.com/shopguide/10257968_24546.html
http://www.kamipa.co.jp/news/release/352

◎「@DIME」が二子多摩川蔦屋家電をレポートしている。
http://dime.jp/genre/188805/1/
家電に限らず、出版物はどんな商品とも相性が良いのである。出版物は販促ツールに使えるということだ。蔦屋モードも、ユニクロ書店もあり得よう。

◎日販は、書籍情報サイト「ほんのひきだし」を開設した。このサイトは、日販がかねてより作成していた、販売促進や読書推進の広報誌のコンテンツから厳選したトピックスを中心に情報発信する。
http://www.dreamnews.jp/press/0000112534/
し、しかし、この程度のものか!残念ながら日販に本の目利きはいないようだ。
http://hon-hikidashi.jp/
「人と本や本屋さんとをつなぐWEBメディア」を謳っているが、オレとはつながらない。

ボイジャー社長の鎌田純子が「電通報」に登場し、次のように語っているが、「異議なし!」である。
「これからの電子書籍にとって必要なキーワードは、『eBooks』のローマ字を頭文字にして、Eternity(永続性)、Borderless(国際性)、Open(オープン)、Originality(オリジナリティー)、Knowledge(知識・情報)、Social(ソーシャル)だと考えています」
http://dentsu-ho.com/articles/2534

荒木飛呂彦の短編集「死刑執行中脱獄進行中」(集英社)が舞台化されることになった。
http://www.famitsu.com/news/201505/18078826.html

◎料理愛好家の平野レミツイッターでつぶやいた「140文字レシピ」に未公開のオリジナルレシピ加えた123レシピを紹介する宝島社の「平野レミのつぶやきごはん」が、発売から2年を経て累計4万部を達成した。レシピ本はロングセラーを狙える。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000161.000005069.html

◎LINEは曜日ごとにテーマを決めて毎日1万点以上商品を追加し、1週間限定で販売するフラッシュセールサービス「LINE FLASH SALE」を開始した。
http://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2015/995

◎LINEは、ユーザーがLINEスタンプを制作・販売できるプラットフォーム「LINE Creators Market」で、トップクリエイターのスタンプ作品の商品化・ライツマネジメント支援を行う「LINE Creators Management」を開始した。
http://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2015/996
クリエイターズスタンプ販売総額は89.4億円に達しているそうだ。

◎「SNSのフォロワー数が1000を超えたらフルヌードになってもいい」という申し出が「週刊プレイボーイ」(集英社)にあったんだってさ。オレもフェイスブックで友達申請しちゃった。
http://news.aol.jp/2015/05/17/sexymion/

◎「週刊朝日」におけるマンガ家いしかわじゅんの発言。
「それまでは漫画家は出版社の専属で囲われていたんだけど、ツイッターなどで連絡とりあうようになって垣根がなくなった」
http://dot.asahi.com/wa/2015051500060.html?page=1

So-net会員向けのコンテンツサービスにZITTOが提供する電子書籍配信サービス「いつでも書店」を追加した。eBookJapan、電子書店パピレス、電子貸本Renta!などが既に加わっている。
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1505/18/news116.html

凸版印刷は、子供たちがタブレット端末で、学校の単元に沿った学習を行いながら、努力する力を高めることができる、小学校向けの新しい学習支援サービスの実証研究を慶應義塾大学総合政策学部の中室牧子准教授、茨城県古河市および東京都福生市のそれぞれと、5月より開始。実証研究の結果を踏まえ、学習支援サービス「やるKey」として2015年11月からサービス提供をする予定だ。
http://www.toppan.co.jp/news/2015/05/newsrelease150518_1.html

大日本印刷も、教育関連事業に本格的に参入する。。ICT(情報通信技術)などを活用し、有識者・研究者・学校と共同で複数の実証研究を行いながら、今後求められる新たな学習環境の整備、学習方法・学習管理手法の開発のほか、ICTを活用した教育で求められる教材の開発を行うそうだ。
http://www.dnp.co.jp/news/10111021_2482.html

◎木村俊介の「漫画編集者」(フィルムアート社)が刊行されるのが待ち遠しい。木村といえば「奇抜の人--埴谷雄高のことを27人はこう語った」(文庫化に際し、「変人 埴谷雄高の肖像」と改題)が即座に思い起こされるが、これは「コミックリュウ」の猪飼幹太、「ヤングマガジン」の三浦敏宏、「ビッグコミックスピリッツ」の山内菜緒子、「Gファンタジー」の熊剛、元「IKKI」の江上英樹という5人のインタビュー集だ。
http://filmart.co.jp/books/manga_anime/manhen/

◎「九月、東京の路上で」で私を驚かせた赤羽の出版社「ころから」から「さらば、ヘイト本! 嫌韓反中本ブームの裏側」が刊行される。著者は大泉実成木村元彦、梶田陽介、加藤直樹という4人。
http://korocolor.com/book/noh8book.html
刊行記念イベントが5月23日(土)にネイキッドロフトで開催される。

車谷長吉が亡くなった。車谷は「現代の眼」の編集者だった。
http://www.sankei.com/life/news/150518/lif1505180036-n1.html
「現代の眼」は木島力也が社長をつとめる現代評論社から刊行されていた。木島は、こういう人物である。
http://blog.livedoor.jp/santama55/archives/65993432.html

◎神戸市のNPOがRIZAP(ライザップ)に広告に誇大表現があるとして、削除を申し入れた。
http://www.asahi.com/articles/ASH5L6GS2H5LPIHB037.html

◎この「マガジンハウス歴史トリビア」は面白い。オレ、六問目を間違えた。
http://70anniversary.magazineworld.jp/trivia/index.html

◎「白石勝さんお別れの会」が7月3日午後1時半からホテルニューオータニ「芙蓉の間」で執り行われる。
http://www.jiji.com/jc/c?g=obt_30&k=2015051900309

◎LINEの田端信太郎が「ダイヤモンドオンライン」で、ちきりんと対談し、次のように発言している。
Googleは顕在化された需要を刈り取ってるだけで、種まきしてないんですよね。ただ、よくできた雑誌は、種まきができるし、できてたんです。消費者本人も気づいていなかったような需要を顕在化することができる。これって、ゼロから1に付加価値をつくりだしてるってことなんです。それが、メディアの本来やるべきことですよね」
http://diamond.jp/articles/-/71033

主婦と生活社に抗議を呼びかける「なでしこりん」のブログだが、社長が替わったことを知らないようだ。
http://ameblo.jp/fuuko-protector/entry-12028328828.html

◎「テラフォーマーズ」(集英社)のコミックス13巻の発売を記念し、資生堂とのコラボレーションが展開されることになった。
http://www.asahi.com/and_w/interest/entertainment/CORI2052985.html

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3)【深夜の誌人語録】

誰もが信じて疑わないのであれば、疑ってみる価値があるということだ。