【文徒】2015年(平成27)7月14日(第3巻131号・通巻576号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】小学館の7月10日付人事異動と組織変更
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2015.7.14 Shuppanjin

1)【記事】小学館の7月10日付人事異動と組織変更

小学館は7月10日付で人事異動と組織変更を行った。組織変更は、次の通り。
・制作局内に「制作マネジメント課」を新設。
・デジタル事業局内に「メディア営業室」を新設。
マーケティング局「宣伝プロモーション・SOL室」を「ネットプロモーション・SOL室」に改称。
・児童・学習編集局の「幼児誌企画開発室」・「絵本企画室」を統合し、「幼児誌企画開発室」とする。また、「学校教育図書」を廃止。
・第一コミック局内に「ちゃお企画室」を新設。また、「flowers」を「flowers編集室」に、「モバフラ・文庫編集室」を「デジタル・モバフラ編集室」に改称。第二コミック局内に「コロコロ企画室」を新設。
・出版局「電子本企画室」を「ブックピープル編集室」に改称。また、「文芸」・「新書編集室」を統合し、「文芸」とする。
人事異動でいえば、まず目についたのは飯田昌宏プロデューサーが「週刊ボスト」編集長に復帰したことである。週刊誌ジャーナリズムを取り巻く環境がますます厳しくなるなかでの選択であったのだろう。飯田編集長のもと「週刊ポスト」には、週刊誌らしい週刊誌を志向してもらいたいものだ。
私が今回の組織変更と人事異動で驚かざるを得なかったのは女性誌局に何の動きもなかったことである。広告集めで、最も忙しい時期を迎えていることもあって、手をつけなかったのだろう。現場に対するヒアリングを丁寧に行ったうえで、手を打つというアプローチであるのかもしれない。
そうした判断も理解できないわけではないが、女性誌ラインの再編、女性誌のデジタルシフトという課題の大きさと難しさを考えるのであれば、役員の担務変更も含めてメスを入れるのが早ければ早いほど、中期的には出血を少なくできるという考え方はなかったのであろうか。
ここは山岸博専務のリーダーシップが問われる局面ではなかったのだろうか。私には、その点が気がかりで仕方ないのである。ちなみに現経営陣を見渡してみるならば女性誌の出身者は山岸専務を筆頭に桶田哲男常務、大西豊取締役、藤田基予取締役と4人いる。三人集まれば文殊の知恵というくらいなのだから、4人いれば文殊以上の知恵を期待できるはずだ。

                                                                                                                        • -

2)【本日の一行情報】

◎「集英社」をキイワードにアラート検索をしてみると、次のようなURLがズラリと引っかかって来る。これらは総て通販の「russet」のホームページに行き当たる。
http://www.shifthub.com/rlstgu/yyyyyy-II-374-ity.html
http://www.uspon4x4.hr/zrvw/yyyyyy-II-130-lsi.html
http://beyondtranslating.com/gkado/UUUU-666-675-guk.html
http://warvills.com/zxf/YYYY-RR-926-puw.html
http://www.marialindberg.net/kua/EEEE-YYYY-177-scj.html
http://warvills.com/zpgsk/UUU-666-436-bta.html
http://www.frankieshairshop.de/wehq/EEEE-YYYY-376-wrx.html
ちなみに「集英社 russet」で検索すると、集英社の「FLAG SHOP」の「russet」のページがトップに出て来る。
http://flagshop.jp/fs/shop/r/r20515/
ECに本格的に取り組むとは、こういうことなのである。

ローマ法王が南米を植民地化したカトリック教徒が先住民に対して行った「犯罪」について謝罪したうえで、「第三次世界大戦」という言葉を使った!
https://gunosy.com/articles/aPtRC

小学館は電子雑誌における読者の閲覧傾向を分析するためデータ解析ソリューション「Adobe Analytics」を採用した。これにより、記事や広告の閲覧状況、平均滞在時間、アプリのダウンロード数などをリアルタイムで収集・解析・効果測定することが可能となり、記事コンテンツや広告のより正確な最適化ができるようになった。複数の電子雑誌を横断してコンテンツを分析することもできるそうだ。リリースにはデジタル事業局 コンテンツ営業室 小沢清人課長のコメントが紹介されている。
Adobe Analyticsはオーディエンスデータの収集・統合、分析、広告配信といった一連の機能の連携があらかじめ取れているため、余計な開発や投資をすることなく、広告運用の効率化を図り、顧客と最適なコミュニケーションがとれるようにするという我々のビジョンの実現が可能になると判断しました」
http://www.adobe.com/jp/news-room/news/201507/20150709_shogakukan.html

明治大学法科大学院専任教授である瀬木比呂志の「政治が歪ませたマスコミ名誉毀損裁判」は、是非読んでおきたい。もともとは『プレジデント』に掲載された記事であるようだ。
「有名週刊誌の記事を大手新聞社が名誉毀損で訴えた裁判を例に取ると、実におかしな点が2つあった。
1つは、原告のいう『社長の知人』を特定しないまま審理が進められたこと。「新聞社の社長が借りているマンションに同紙の女性デスクが頻繁に宿泊している。社内では、彼女が社長の愛人だから人事にも情実が絡んでいるのではないか、との疑いが持たれている」のが記事の趣旨だった。新聞社側は陳述書で、『女性デスクが宿泊した部屋は、同マンションにある別の知人宅である』としたが、ただ知人というだけで特定しないのだ。これでは女性デスクが泊まった部屋の住人がどこの誰かがわからず、当然尋問もできない。
もう1つは、原告である社長と女性デスクに対する『本人尋問』が認められなかったことだ。これでは、いくら『真実性の抗弁』といっても、被告には争いようがない。
このように、原告側の陳述書だけで裁判をされては『手続的正義』が失われる。近代の民事訴訟法や刑事訴訟法は、手続保障、手続的正義がその根幹にある。それを裁判所が蔑ろにしている」
http://president.jp/articles/-/15654

朝日新聞出版のベビー雑誌「AERA with Baby」8月号の付録は子どもたちに人気のキャラクター「きかんしゃトーマス」のオリジナル身長計。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000004702.html
それにしても最近の「AERA」本体は酷いと思いませんか?
http://publications.asahi.com/aera/nakazuri/image/20150720.jpg

◎日販は、「本と遊ぼうこどもワールド 2015 第37回優良児童図書展示会」を山形、名古屋の2会場で開催する。
http://www.dreamnews.jp/press/0000115640/

◎読売新聞西部本社総務局管理部社員がスナックで下半身を露出したとして公然わいせつの疑いで現行犯逮捕された。朝日と毎日は実名報道。産経は何故か匿名だ。
http://mainichi.jp/select/news/20150710k0000e040180000c.html
http://www.asahi.com/articles/ASH7B36D2H7BTIPE011.html
http://www.sankei.com/west/news/150710/wst1507100046-n1.html

Facebookがニュースフィードに表示されるコンテンツをユーザー自らがカスタマイズできるようになる。
http://japan.cnet.com/news/service/35067103/

◎「LINE MUSIC」は、Android版アプリのアップデートを行い、通信制限を気にせずに音楽を楽しめるオフライン再生機能の提供を開始した。それにしてもサービス公開1ヶ月で、ダウンロード数が430万件、累計楽曲再生数が4億回とは凄い数字である。
http://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2015/1030

◎報堂DYメディアパートナーズによる「第30回 アスリートイメージ評価調査」。
■「アスリートイメージ総合ランキング」
1位:イチロー(野球)
2位:錦織圭(テニス)
3位:浅田真央フィギュアスケート
4位:澤穂希(サッカー)
5位:吉田沙保里レスリング)
6位:本田圭佑(サッカー)
7位:内村航平(体操)
8位:田中将大(野球)
9位:高梨沙羅(スキー・ジャンプ)
10位:長谷部誠(サッカー)
■「リーダーシップがある」アスリート
1位:佐々木則夫(サッカー)
2位:長谷部誠(サッカー)
3位:澤穂希(サッカー)
4位:古田敦也(野球)
5位:ヴァヒド・ハリルホジッチ(サッカー)
■「明るい」アスリート
1位:中畑清(野球)
2位:吉田沙保里レスリング)
3位:宮間あや(サッカー)
4位:浅田真央フィギュアスケート
5位:川澄奈穂美(サッカー)
■「パワフルな」アスリート
1位:吉田沙保里レスリング)
2位:白鵬(大相撲)
3位:照ノ富士(大相撲)
4位:筒香嘉智(野球)
5位:森友哉(野球)
http://www.hakuhodody-media.co.jp/newsrelease/report/20150709_10398.html
巨人の選手が一人もいないのである。

浜崎あゆみは8月5日に発売するニューアルバム「sixxxxxx」のファッション誌「Numero TOKYO」(扶桑社)とコラボしたアートワークを公開した。
http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/29836/2

◎『日経ウーマンオンライン』が紹介している次のような「働く女性のファッション事情に関する調査結果」をどう考えるかである。
「毎月ファッション誌を購入しているか聞くと、50.3%が『購入しない』と答え、『以前は購入していたが現在は購入していない』という13.7%を合わせると、6割以上がファッション誌を買っていない。毎月購入する人は16.0%、毎月ではないが購入する人は20.0%だった。
ファッション誌を購入しない人に理由を尋ねると、『価格が高いから』と『必要としていないから』が同率(41.1%)で1位に並んだ。20歳代が『価格』を一番の理由に挙げているのに対し、30歳代は『必要としていない』『かさばる』が『価格』を上回っている」
http://wol.nikkeibp.co.jp/article/trend/20150709/209861/?rt=nocnt

石田衣良のメルマガ「小説家と過ごす日曜日」は既に紹介しているが、石田は『東洋経済オンライン』のインタビューで次のように語っている。
「…毎年、売り上げが悪い悪いと言いながら、意外と出版社の中では危機感がないんです。ひとつはもともと高給取りだというのもありますし、『自分たちにできる仕事はこれだ』という守備範囲が決まっているんです。だから、スマートフォンの市場やネットにいる読者を取り込むかとか、誰も考えていない。だったら自分でやろう、と。メルマガというよりは『ウェブメディア』とか、『ブックトーク』と新しく定義づけたいと思っています」
http://toyokeizai.net/articles/-/76490

◎「泊まれる本屋」がコンセプトの新感覚ホステル「BOOK AND BED TOKYO」が9月末、東京・池袋にオープンする。
http://www.47news.jp/topics/entertainment/oricon/economy_trend/176542.html
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1507/10/news144.html
行ってみたい!

◎出版社で販売の仕事にかかわっているのであれば、必ず足を運ばなければならない書店のひとつが往来堂書店であることは間違いあるまい。笈入建志店長の考え方は一貫している。
「どこでも売れる本は取次にお任せした方が楽ではあります。ただ、任せっきりにしてしまうと、どの書店に行っても変わらなくなってしまう。それは、お店にもお客さまにももったいない。もっとお店のカラーを出して一軒一軒が違う品揃えにすれば、隣の書店とも差別化できます。そうやってお客さまに目的に応じてお店を選んでいただきたいです」
http://news.mynavi.jp/series/kinbura/002/

◎「栄和堂ブログ」にこんな一文を見つけた。
「僕が思う本屋の再発明は、場所性、(歴史も含めた)時間性、そして偶然性を最大限活かすことです。 インターネットは時空を超えますが、リアルな場所は時空を超えません。ただその限定性ゆえの魅力(言うなればダウンロード出来ない価値)は必ずあるはずです。その魅力を人々は絶対に認めている。その魅力を『再発明』する取り組みです。
だから『本を売る書店』ではなく、『ブックスペース』であり、『1人でモクモク』ではなく、『みんなでワイワイ』であり、『建て替える』のではなく、『栄和堂という場所や名前、そして本棚を残す』というコンセプトなのです」
http://blog.eiwado.space/post/123704790640

◎ワタベウェディングは、ハースト婦人画報社、ラガルデール アクティブ エンタープライズ ジャパンと共同してプレ花嫁のためのプレミアムイベント「ELLE mariageおしゃれ花嫁の結婚準備講座」を8月6日に開催する。
http://www.kon-katsu-news.com/news_cVbxiODvWu.html

◎イギリスの老舗音楽メディア「NME」が「NME Japan」として日本に上陸を果たした。
「本サイトは、60年以上の歴史を誇るイギリスの音楽紙『NME(ニュー・ミュージカル・エクスプレス)』が運営する音楽サイト『NME.com』の日本版です。「NME JAPAN」では「NME.com」が毎日配信する音楽ニュースやレビュー、ブログといったコンテンツをリアルタイムで翻訳し、現地のエッセンスを失うことなくダイレクトに発信しています」
http://nme-jp.com/
こういう読み応えのあるサイトを何故に日本の出版社は立ち上げられないのだろうか?

電通報の「電通がオムニチャネルについて考える。」は良記事。
「マルチチャネルは、お店はお店、通販は通販、EコマースはEコマースノと、それぞれのチャネルが連携していません。会員データもそれぞれのチャネルで個別に管理されたりして、消費者はその都度、情報を提供しなければいけないこともありました。
オムニチャネルとは、消費者がモノを買う時に、すべて(オムニ)の接点(チャネル)を継ぎ目なく(シームレスに)買えるようになるための環境のことです。モノはお店でもネットでも買えて、受け取りはお店でも自宅でも可能。消費者はいつでもどこでも気になった時にクリップし、欲しいときに買って、受け取りたいときに受け取れるようになります。究極のカスタマーリレーションシップマネジメント(CRM)といえるでしょう」
http://dentsu-ho.com/articles/2710

◎有料サービスである「radiko.jp プレミアム(エリアフリー聴取)」の会員数が今年6月に20万人を突破したそうだ。ラジオがradikoで蘇るかもしれない。
http://diamond.jp/articles/-/73188

◎シモダアサミ「中学性日記」の最終4巻が双葉社より、「こんな私はだめですか?」が祥伝社より同時発売された。オレ、シモダのファンなんだよね。
http://natalie.mu/comic/news/153440

◎プロスタイリストによるコーディネート提案アプリ「PRIMODE」はアイテム数が三倍になるなどバージョンアップした。
http://solairo.co.jp/news/2015/07/09/167

安田浩一が文春新書「ヘイトスピーチ愛国者』たちの憎悪と暴力」につづき、扶桑社新書から「ネット私刑(リンチ)」を刊行。
http://www.news-postseven.com/archives/20150712_335637.html

幻冬舎が『絶歌』の出版を取りやめるに際して、東野圭吾の抗議があったことも原因のひとつだと「リテラ」も書いている。
〈じつは今年初めの段階で、幻冬舎元少年Aの手記を出す計画をもっていることを、「週刊新潮」(新潮社)がすっぱ抜いているが、これを東野氏が読んで反応したのだという。
「『新潮』が出た後に東野さんから幻冬舎の担当に連絡が入り、『そんなものを出したら今後、幻冬舎との付き合いを考える』と言われたらしいんです。しかも、自身の版権引き上げについてもほのめかしたようで、その事実は幻冬舎の幹部にも報告されたようです」(大手文芸編集者)〉
http://lite-ra.com/2015/07/post-1274.html

                                                                                                                        • -

3)【深夜の誌人語録】

無駄な時間は大切にしなければならないが、だからこそ時間を無駄にしてはならないのだということを肝に銘じておきたい。