【文徒】2015年(平成27)7月21日(第3巻135号・通巻580号)

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1)【記事】雑誌について書かれた記事を読みながら考えた
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】雑誌について書かれた記事を読みながら考えた

「ZUU online」の「なぜ電子雑誌は売れないのか?」。次のような指摘は頭に叩き込んでおこう。
「…インターネット上では、雑誌と遜色ない良質なコンテンツが数多く無料公開されており、生活者にとって雑誌以外から情報を得る機会は以前よりもはるかに多くなっている」
「…紙とウェブの違いにも関わらず、電子雑誌は紙媒体の慣習から抜け出せていない」
「現在の電子雑誌は、紙をPDFなどに電子化したフォーマットに過ぎず、読者に新たな価値を訴求できていない。雑誌ではレイアウトや文字装飾が重要な情報を占めているが、スマートフォンではかえって見づらく、読みやすいサイズのタブレットを持つ人間はまだまだ少数派だ」
http://zuuonline.com/archives/72515
紙の雑誌の電子版は、紙の雑誌の補完機能を果たすという意味では、もちろんないよりも、あった方が良いだろう。雑誌のデジタルシフトは、これとは全く別の課題であるということでもある。雑誌のデジタルシフトが何故、必要なのか。
日販が発表した6月の雑誌・書籍・コミック売上動向を見れば一目瞭然だろう。雑誌・書籍・コミック合計売上は前年同月比3.5%減。雑誌は6.9%減。雑誌は全ジャンルで売上増加率のマイナスが続いた。書籍は1.4%減。そうしたなか1年10か月ぶりに文芸書の売上増加率がプラスに転じた。コミックは2.2%減。
http://ryutsuu.biz/sales/h071507.html
雑誌のみならず出版は紙の商売だけでは成長戦略を描けなくなっている。もっとも落ち込みの激しい雑誌は、紙にこだわるだけでは生き残れないのである。
その点、ミツバチワークスのようなデジタルから雑誌に参入したプレイヤーの発想は柔軟だ。昨年、インフォレストから刊行されていた雑誌「i bought」(アイボウト)を同社が倒産後、譲渡を受け、刊行をつづけてきたが、WEBに移行することにしたそうだ。ただし、紙の雑誌は不定期で発行をつづける。これが旧来のプレイヤーであれば、スクラップ&ビルトとか何とか言いながら紙の雑誌を休刊して、それでジ・エンドだったはずである。こうした簡単に諦めない姿勢を旧来の雑誌プレイヤーは学ぶ必要があるはずだ。
http://www.fashionsnap.com/news/2015-07-17/ibought-web/

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2)【本日の一行情報】

林田岬優小学館の女性ファッション誌「Oggi」の専属モデルに決まった。「岬優」は「みゆ」と読む。
http://www.hochi.co.jp/entertainment/20150715-OHT1T50150.html
「Liberation Next」にも登場している。
http://ameblo.jp/miyu-hayashida/entry-12042592242.html

ソフトバンク コマース&サービスは、単行本が累計100万部を突破したパロディマンガ「北斗の拳 イチゴ味」(発行:ノース・スターズ・ピクチャーズ、発売:徳間書店)とコラボし、主役・聖帝サウザーを「SoftBank SELECTION」ブランドより発売中の耐衝撃ケース「EQUAL Air Shock」の「宣伝大使」に任命したそうだ。
http://prw.kyodonews.jp/opn/release/201507141923/

北条司のマンガ「エンジェル・ハート 2ndシーズン」は「月刊コミックゼノン」(徳間書店)で連載中だが、この「エンジェル・ハート」が日本テレビによって実写ドラマ化されることになった。
http://natalie.mu/comic/news/154013

ハースト婦人画報社のEC戦略がまとめられている。通販新聞の「ハースト婦人画報社 期間限定や服以外で新規獲得、雑誌の読者ターゲットに」。
「昨年は、同社発刊の雑誌「エル・ジャポン」の創刊25周年を記念して7〜8月に『ロンハーマン』や『イザベルマラン』など高級ブランドの期間限定店を『エル・ショップ』内に開設し、150点以上の商品を販売したが、そのほとんどを『エル・ジャポン』の誌面に掲載。"エル"ならではのスタイリングで見せてウェブ誘導したところ、多くの商品がすぐに売れたという」
「今年は、『エル・ア・ターブル』5月号で別冊付録の『キッチンツール・バイブル』と連携し、付録で紹介する商品の一部が『エル・ショップ』でも購入できることをアピールした」
「今年1月には通販サイトでメンズ商品の取り扱いにも本格着手。『エル・ショップ』の主要顧客層であるファッションを楽しむ大人の女性が、"パートナーや家族に着てほしいと思うメンズウエア"をコンセプトに、服からファッション雑貨までをそろえた」
「昨年10月には、男性ファッション誌『メンズクラブ』と全日空商事の通販サイト「エースタイル」とのコラボ企画が始動」
「今年2月には雑誌『ヴァンサンカン』の通販サイトを開設」
「最近では、着物専門誌の『美しいキモノ』夏号で掲載した高級浴衣や和小物の一部を『エル・ショップ』で販売する…」
http://www.tsuhanshinbun.com/archive/2015/07/post-2240.html

◎第26回香港ブック・フェアでKADOKAWAは90平方メートルに達する巨大ブースを開設していた。
http://www.hkpost.com.hk/index2.php?id=12294#.Vas2Svntmko

◎「リアルライブ」によれば、集英社のコミックス「キングダム」は「アメトーーク!」で取り上げられて以降、6月末までの約1か月間で電子版全巻累計100万ダウンロード以上を記録したそうだ。
http://npn.co.jp/article/detail/73901467/

◎改正児童ポルノ禁止法(昨年の7月15日に施行され、1年経過したため罰則適応が開始)絡みで、Amazonから、宮沢りえヘアヌード写真集「Santa Fe」(朝日出版社)が削除されたようだ。
http://otapol.jp/2015/07/post-3356.html
沢渡朔の「少女アリス」も同様のようだ。
http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&url=search-alias%3Daps&field-keywords=%E6%B2%A2%E6%B8%A1%E6%9C%94+%E5%B0%91%E5%A5%B3%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%B9
昨年10月に、東京・恵比寿のギャラリーFmで写真展「少女アリス」が開催されたけれど。
http://galleryfm.com/alice/
ちなみに、改正児童ポルノ禁止法では、「性的好奇心を満たす目的」であれば単純所持も禁じられている。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1407/14/news116.html
「少女アリス」の版元は河出書房新社。昨年10月に発行された「少女アリス スペシャル・エディション」(73年の写真集に未収録のアナザーカット写真で構成。むろんアリス役である少女サマンサのヌードも収載)の在庫はまだあるようだ。
同書は商業目的による発行(頒布)だから、改正前から摘発・罰則の対象になりうるが、同法には「学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由を不当に侵害しないように留意」ともあり、これまでのところ当局は動きを見せていない。河出側が昨年に発行したのは、あえて試金石とするためだったのかもしれない。
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309275222/
http://www.kawade.co.jp/np/search_result.html?writer_id=02403

文藝春秋芥川賞の受賞を決定した「火花」を増刷。累計発行部数が104万部となる。40万部の増刷である。
http://www.yomiuri.co.jp/culture/20150717-OYT1T50080.html
大型書店は張り切っている。
http://www.asahi.com/articles/ASH7J7WC1H7JUCVL02B.html
http://mainichi.jp/feature/news/20150717k0000e040249000c.html
http://www.sankei.com/west/news/150717/wst1507170060-n1.html
「火花」の担当編集者は「文學界」編集部の浅井茉莉子。
http://www.hochi.co.jp/topics/20150717-OHT1T50046.html
夫婦そろって文藝春秋勤務である。

◎「月刊コロコロコミック」(小学館)初の公式ショップが 7月15日に「ららぽーと富士見」にオープンした。
http://corocorobase.jp/
http://animeanime.jp/article/2015/07/15/24134.html

◎1997年1月5日のアマゾンが紹介されている。ベゾス曰く「われわれは、The New York Timesのブックレビューに掲載された本を毎週、30%割引している」。
http://japan.cnet.com/news/business/35067474/

集英社のマンガ誌「ウルトラジャンプ」の創刊20周年を記念したフェアが、8月8日から31日まで全国のJUMP SHOPで開催される。
http://www.oricon.co.jp/news/2056131/full/
http://ultra.shueisha.co.jp/

文藝春秋は「電子書籍で『戦後』を読む 70年の70冊」キャンペーンをスタートさせた。
http://hon.bunshun.jp/articles/-/3824
文藝春秋らしい企画である。

直木賞を受賞した東山彰良は「NARUTO」のノベライズも担当している。8月4日に発売される「NARUTO-ナルトー ド純情忍伝」も東山による。「NARUTO ド根性忍伝」「NARUTO -ナルト- 迅雷伝 狼の狼の哭く日」「NARUTO -ナルト- カカシ秘伝」もそうだ。
http://j-books.shueisha.co.jp/news_newrelease/naruto_dojunjoninden

オレンジページは、味の素とともに、全国の中学・高校生を対象とする料理大会「オレンジページ×味の素KKジュニア料理選手権」を開催する。今年で4回目だそうだ。
https://www.atpress.ne.jp/news/67907

◎単行本累計発行部数が1850万部を超える大ヒットとなった高屋奈月の少女マンガ「フルーツバスケット」の九年ぶりの新シリーズが、白泉社の無料漫画サイト「花LaLa online」で9月4日より連載される。
http://www.oricon.co.jp/news/2056068/full/

◎日販は、ディズニー/ピクサー映画最新作「インサイド・ヘッド」公開を記念し、日販オリジナル企画としてイラストコンクールを実施するとともに「インサイド・ヘッド」関連書籍の書店店頭フェアを全国600店舗にて展開する。
http://www.nippan.co.jp/news/fair_insidehead/
また書店店頭の客数・売上アップに向けた取り組みである「祭」の2015年度第一弾企画「進撃の書店祭」キャンペーンも8月31日(月)まで、全国の取引書店540店舗で実施する。
http://www.nippan.co.jp/news/2015matsuri_shingeki/

◎「いちご新聞」に掲載されている「いちごの王さま」の「非戦」メッセージが話題になっている。「いちごの王さま」はサンリオの辻信太郎社長だそうだ。
「争いからは何も生まれない。国と国、民族と民族、人と人は如何なることがあってもお互いに争うことなく、仲良く助け合って行くことが本当に大切なことだ」「王さまはこのことをたくさんの人に伝えたくて、今から55年前の8月10日にこのサンリオを設立しました」
http://withnews.jp/article/f0150717000qq000000000000000G0010401qq000012268A

ニコニコ動画が「ニコニコドキュメンタリー」の配信を開始するが、「レコードチャイナ」も取り上げている。
http://www.recordchina.co.jp/a114206.html
http://www.nicovideo.jp/watch/sm26710025?ref=search_tag_video

◎「嫌われる勇気」が韓国で40万部のベストセラーとなっている。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2015/07/18/2015071800549.html

白井聡の「永続敗戦論」がマンガ化された。版元は朝日新聞出版。
http://jbpress.ismedia.jp/ud/pressrelease/55a8ab81b31ac92151000001
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=17217

双葉社が広告局メディアプロデュース部をメディア事業局メディアプロデュース部とする組織変更を行った。メディア事業局は、メディアプロデュース部、コンテンツ事業部、ライツ事業部の3部体制となる。

百田尚樹のツイートによれば、国会前に集まった5000人の大半がアルバイトなんだそうだ。何を根拠にしているのだろうか。
https://twitter.com/hyakutanaoki/status/621995424614739968

久米宏TBSラジオ久米宏 ラジオなんですけど」で安倍首相を一刀両断したそうだ。確かに衆議院をせめて解散すべきだよね。ところが野党も解散を求めていない。これほど野党が臆病になったのは戦後初めてなのではないだろうか。
http://lite-ra.com/2015/07/post-1302.html

◎宝島社の女性ファッション誌「GLOW」8月号の附録「DEAN&DELUCA保冷バッグ」が今年も人気である。附録はデジタル化できないという意味において、紙の雑誌ならではのコンテンツだと言えよう。
http://ddnavi.com/news/248974/

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3)【深夜の誌人語録】

すべての行動は欲望を原動力としている。