【文徒】2016年(平成28)1月29日(第4巻18号・通巻705)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】「少年サンデー編集部」のツイートについて
2)【記事】書泉グランデが「はすみとしこさんトーク&サイン会」を中止
3)【本日の一行情報】
4)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2016.1.29 Shuppanjin

1)【記事】「少年サンデー編集部」のツイートについて

「少年サンデー編集部」が次のようにツイートしている。
「先日『ムシブギョー』の新キャラが、福田宏先生がタイトルすら聞いたことがない海外ゲームのキャラに似ているとの指摘を受けました。長年応援して下さっているファンの皆様に無用の誤解を与えてしまうのは作者、編集部共に本意ではないので第9号よりキャラデザインを変更させて頂きます」
https://twitter.com/shonen_sunday/status/691863877382991872
福田宏先生がタイトルすら聞いたことがない海外ゲームのキャラに似ているとの指摘」について「ねとらぼ」は次のように書いている。
「これは先日、中国初のスマホゲーム『少女前線』に登場するキャラクター『モーゼルKar98K』に壱与のデザインが酷似しているとして、同ゲームの公式アカウントや開発を手伝っているという人物(@phantania)がツイートしたことが始まり。比較画像が作られるなど、一部で話題となっていた」
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1601/26/news149.html
「一部で話題となっていた」、その「一部」を紹介しておこう。
http://matome.naver.jp/odai/2145380023729707501
「少年サンデー編集部」によるツイートだが、「広報」的な見地に立てば、「福田宏先生がタイトルすら聞いたことがない海外ゲームのキャラ」という表現に引っ掛かりを覚えざるを得ない。「少年サンデー編集部」からすれば「中国初のスマホゲーム『少女前線』に登場するキャラクター『モーゼルKar98K』に壱与のデザインが酷似している」ことが偶然であることを強調するために、こうした表現を選択したのであろうが、「中国初のスマホゲーム『少女前線』」の立場で想像力を働かせれば、このような表現は選択しまい。
「中国初のスマホゲーム『少女前線』」からすれば、「少年サンデー編集部」に無名に等しいと評価されていると受け取られかねない、充分に挑発的な表現である。案の定、「公式『少女前線』」のアカウントは次のようにツイートしている。
「私達は日本のアニメ・マンガ・ゲームに憧れて、日本の素晴らしいクリエイターたちを目標とし、真摯にコンテンツ制作に取り込んで、面白いコンテンツをこの世に出したいと考えています。作品が無名であろうが、面白かったら評価すべきと思っています」
https://twitter.com/GirlsFrontline/status/692215609006936064
「サンデー編集部の発言について、非常に残念に思います。本作に参加している日本のイラストレーターさんや声優さんなどのクリエイターに対しても非常に失礼と思います。言葉を訂正して、クリエイターさんたちに敬意を払って、謝罪してほしいです」
https://twitter.com/GirlsFrontline/status/692215671845974016
「少年サンデー編集部」のツイートは問題を解決するのではなく、残念ながら問題を拡大してしまったのである。「少年サンデー編集部」が次のようにツイートしていれば、こうした新たな事態を招かなかったはずである。
「先日『ムシブギョー』の新キャラが、海外ゲームのキャラに似ているとの指摘を受けました。長年応援して下さっているファンの皆様に無用の誤解を与えてしまうのは作者である福田宏先生にとっても、編集部にとっても本意ではありませんので第9号よりキャラデザインを変更させて頂きます」
小学館は広報体制のあり方を再検証したほうが良いのではあるまいか。

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2)【記事】書泉グランデが「はすみとしこさんトーク&サイン会」を中止

書泉グランデは、「紀元節」にあたる2月11日に、「そうだ難民しよう!」の著者であるはすみとしこを招いてトーク&サイン会を開催する予定であった。書泉グランデの告知ツイートやホームページにおけるイベント情報の文言は既に削除されているので青林堂のツイートを紹介しておこう。
「2月11日開催!【はすみとしこさんトーク&サイン会】(書泉グランデ(神保町) 7F)
今や伝説となった”ぱよぱよちーん事件”についてもオフレコ話が飛び出すかも!?」
https://twitter.com/seirindo_book
書泉グランデによる告知が削除されたのは、このトーク&サイン会が中止になったからである。書泉グランデが「はすみとしこさんトーク&サイン会」の告知をしたのは1月26日のことだったが、これが告知されるとネットでは「書店が差別に加担するのか」と議論になり、書泉グランデには多くの抗議電話が寄せられたようである。そうした事態を踏まえ、書泉グランデ青林堂と協議し、中止を決断する。
http://www.asahi.com/articles/ASJ1W6D21J1WULZU00M.html
http://matome.naver.jp/odai/2145386619476019001
作家の中沢けいは次のようにツイートしている。
「取次のルート配本で入ってきた本を並べるだけなら「本屋は場所貸しに過ぎない」と言えるけれども、本屋でイベントをやるのは、本屋の「価値判断」。書泉グランデのはすみとしこ本イベントは書泉グランデの積極的な価値判断での開催。この判断に抗議します」
https://twitter.com/kei_nakazawa/status/692162705994731521
青林堂は次のようにツイートしている。
「昨日告知したばかりの下記イベントですが、都合により中止となりました。理由はみなさまご想像のとおりです。尚『そうだ難民しよう!はすみとしのこ世界』書籍は引き続き販売中ですのでみなさま是非、神保町書泉グランデさんへお出かけ下さい!」
https://twitter.com/seirindo_book/status/692278873334095872
作家の盛田隆二ツイッターでイベントの開催が告知された際には次のように怒っていた。
書泉グランデは、とても好きな書店でしたが、はすみとしこさんのトーク&サイン会ですか…。ここまでやってしまったら、もうおしまいです。本当に残念ですが、そちらで本を買うことは二度とないでしょう。さようなら」
https://twitter.com/product1954/status/692176516499771392
書泉グランデがイベントの中止を決めると、盛田は落ち着いて次のようにツイートしている。
書泉グランデが『はすみとしこのトーク&サイン会』を中止した。まずは速やかな決定を評価したい。今後は『人種差別を助長する催しは不可とする』など、店内スペースの貸出基準を明文化することで、本を愛する顧客の信頼回復に努めて頂けたらと思う」
https://twitter.com/product1954/status/692350449144303617
在特会」を立ち上げ、青林堂から「大嫌韓時代」を上梓している桜井誠のツイートも紹介しておこうか。
「はすみとしこ女史のサイン会が中止に追い込まれたことを受けネット上では自由の敵であるファシスト組織、極左しばき隊に対する怒りと非難の声が広がっています。既存メディアの論調と実際の世論の乖離が著しい実例となりました。しばき隊構成員が逮捕された場合、既存メディアは何と伝えるのでしょう?」
https://twitter.com/Doronpa01/status/692527537478635527
有田芳生の次のようなツイートも紹介しておこう。
「昨日の午後、神保町の書泉グランデに入った。近くに事務所があったとき毎日顔を出していたのは、当時の店長がユニークな人だったからだ。いつしか東京堂書店しか行かなくなった。書棚の品揃えに思想があるからだ。そして書泉のいま。差別問題とは別に愕然とした。書店員はぜひ足を運んで見て欲しい」
https://twitter.com/aritayoshifu/status/692494885157539844

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3)【本日の一行情報】

小学館の「月刊スピリッツ」によれば、松田奈緒子重版出来! 」の連続ドラマ化が決まったそうだ。
http://mantan-web.jp/2016/01/27/20160126dog00m200037000c.html

幻冬舎の「ウェブゲーテ」がブランジスタの岩本恵了代表取締役を絶賛している。こりゃ演歌の世界だな。ま、幻冬舎ブランジスタに出資しているし、見城徹が取締役としてブランジスタの経営に一枚噛んでいるから、こういう書き方になるのだろう。それでも岩本のキャリアの一端を知ることができた。
「高校時代はバレーボールひと筋。長崎県の高校選抜メンバーに選ばれ、キャプテンを務めたスポーツマンだ。その後、就職先で先輩営業マンの影響を受け、以来、営業畑ひと筋に歩いてきた。そして97年、当時テレマーケティングによる販促支援で急拡大していたネクシィーズに入社。法人営業部の長としてチームを率い、辣腕を振るった」
http://goethe.nikkei.co.jp/human/160126/index.html

◎「ブルームバーグ」によれば米メレディスメディア・ゼネラルと進めていた合併手続きを解消する模様だ。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O1KMK9SYF03801.html

◎「アサジョ」の「『絶対に許さない!』泥沼不貞騒動のベッキーにLINE幹部が烈火のごとく激怒」は広告代理店社員の次のようなコメントを根拠にしている。LINEは初テレビCMにベッキーを起用していたんだね。
「そんなベッキーがLINEの信用をガタ落ちさせるような騒動を起こしてしまった。LINEのとある幹部は『絶対に許すことはできない』と本気でベッキーに怒っていましたよ。同社は今春にも上場するのではといわれているんですが『ベッキーのせいで仕切り直しだ』と真顔で語っていましたよ」
http://asajo.jp/excerpt/6155
LINEの幹部中の幹部である舛田淳取締役 CSMO(最高戦略・マーケティング責任者)がフェイスブックで、この記事を否定している。
「ん、、、違う。個別のスキャンダルにコメントする立場ではありませんが、、、今回のことで、LINEがベッキーさんに激怒しているなんてことはあるわけがない。
ベッキーさんは、まだ何者でもなかったLINEの最初のCMに出てくださり、まさに、LINEからすれば、多大なる恩義を感じている功労者です。私たちは、そんな功労者に対して、感謝し続けても、砂をかけるなんてことはありません。
ベッキーさんのあのCMを企画し、今もLINEの最高マーケティング責任者であり、最高戦略責任者である私がこの見解なのに、他のだれが激怒するの?」
https://www.facebook.com/jun.masu/posts/10205683102818155
ベッキーは休養したが、かつて栗山千明と一緒に電通が主導したインターネット博覧会(2001年・インパク)のキャンペーンで活躍したのを覚えている人はいるだろうか。

幸福の科学学園が新潮社とフリーライター藤倉善郎を訴えていた裁判で、最高裁判所は、幸福の科学学園の上告を不受理とした。新潮社と藤倉の勝訴である。藤倉はやや日刊カルト新聞社創始者兼総裁でもある。
http://dailycult.blogspot.jp/2016/01/blog-post_27.html

TBSラジオは2016年のナイター中継を、TBSラジオを中心とするJRNナイター・ネットワークのJRN各局に加え、「ラジオ日本」と制作協力して中継することになった。「ラジオ日本」は、読売ジャイアンツの主催試合およそ20試合を制作しJRN各局に送出する。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000187.000003392.html

◎学研プラスはCD付書籍「心が整い、日々生まれ変わる はじめての瞑想CDブック」を、インセンスミュージックワークスより「瞑想の音楽」としてiTunesで配信している。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000302.000007512.html

◎働く人をひきつける「エンプロイヤーブランド(企業魅力度)」を世界共通基準で調査する「ランスタッドアワード2016」の1位はサントリー、2位キリン、3位Meijiであった。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000004185.html

◎「変わった本屋6選!」として取り上げられたのは「HMV&BOOKS TOKYO」(渋谷)、「Brooklyn Parlor」(新宿)、「B&B」(下北沢)、「京都岡崎 蔦屋書店」、「WIRED TOKYO 1999」(渋谷)、「森の図書室」(渋谷)。
http://play-life.jp/articles/750

加藤典洋の「人類が永遠に続くのではないとしたら」が依拠していた思想家の一人であるジョルジョ・アガンベンの「身体の使用 脱構成的可能態の理論のために」がみすず書房から刊行される。
http://www.msz.co.jp/book/detail/07964.html

◎マガジンハウスはWEB MAGAZINE「anan総研」でライター&ディレクターを募集しているぞ。条件に「20-35歳くらいの“恋愛現役世代”の方」とあるから、私は応募できない。
http://anansoken.magazineworld.jp/topics/soken-news/21470/

◎「ゲームの電撃 感謝祭2016 & 電撃文庫 春の祭典2016 &電撃コミック祭2016」が3月13日(日)にベルサール秋葉原秋葉原UDXで開催される。昨年の入場者数は7万人を超えている。
http://animeanime.jp/article/2016/01/27/26706.html

◎「フィナンシャル・タイムズ」はデジタル・ファーストの更にその先を行っている。オーディエンス・ファーストだ。
「オーディエンス・ファーストは、新聞社がニュースなどの情報を通して、オーディエンスとの関わり(エンゲージメント)を、いかに深めていくかを第一に考える方針。フェイスブックなどソーシャルメディアも活用、オーディエンスのいるところに読みたい情報を伝えていくという戦略が重要となる」
http://mainichi.jp/articles/20160128/k00/00m/020/070000c

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4)【深夜の誌人語録】

言葉にも姿勢がある。その姿勢は生き方によって決まるのだ。