【文徒】2016年(平成28)5月12日(第4巻86号・通巻773号)

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1)【記事】読売新聞が「パナマ文書」報道で「おことわり」を掲載し炎上
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】読売新聞が「パナマ文書」報道で「おことわり」を掲載し炎上

読売新聞は「パナマ文書」の報道に際して、つぎのような文章を「おことわり」と称して5月10日付で掲載した。
「読売新聞は、『パナマ文書』に記載されている日本の企業や一般個人を、現時点では匿名で報道します(自ら公表した分を除く)。
各国の税制は異なり、日本の企業や一般個人がタックスヘイブンを利用していても、国内で適正に納税していれば、税法上、問題視することはできません。ただ、タックスヘイブンを悪用した租税回避は国際的に問題化しており、政治家や官僚など公職に関わる個人、公共団体の利用については道義的観点から実名を原則とします。企業や一般個人についても、今後の取材によって、悪質な課税逃れや、脱税などの違法行為が判明した場合は実名で報じます」
http://www.yomiuri.co.jp/world/20160510-OYT1T50007.html
こうした読売新聞の報道姿勢に対して、ネットでは批判的な声が相次いでいる。
「報道機関やめろ」「もうマスメディアである必要性がないな」「もう新聞って要らないよね
文春だけでいいんじゃ?」「スポンサーに気を使いたいので掲載を控えさせてもらいます」
http://blog.livedoor.jp/itsoku/archives/48569777.html
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-11438.html
パナマ文書」報道に取り組んだのは約80カ国のジャーナリスト約400人だが、日本から参加したのは朝日新聞共同通信の記者だった。
http://www.asahi.com/articles/ASJ5767BPJ57ULZU007.html

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2)【本日の一行情報】

中央公論新社は、「婦人公論」創刊100周年を記念して、同誌の定期購読申込者から抽選で100人にホームベーカリーをはじめとした家電などをプレゼントする特別企画を実施している。
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/20160510-OYT8T50089.html

◎新潮社のマンガ誌「月刊コミック@バンチ」で連載中の井上淳哉による「BTOOOM!」が、アソビモによってスマホ向けオンライン対戦ゲーム化されることになった。
http://asobimo.com/corporate/?p=10710

産経新聞は、日本会議が扶桑社に菅野完「日本会議の研究」の出版停止を求める文書を送ったことについて報じた。
http://www.sankei.com/entertainments/news/160510/ent1605100007-n1.html
この件について「BuzzFeed」や「やや日刊カルト新聞」は報じているが、全国紙は一切報道していない。
https://www.buzzfeed.com/satoruishido/nipponkaigi?utm_term=.vqrljN5Gxe#.loMW0JRp5e
http://dailycult.blogspot.jp/2016/05/blog-post.html
全国紙が報じないのは、著者の菅野完を軽くみているからなのだろうか。

◎「WiLL」6月号の総特集「崖っぷちの皇位継承」で対談「いま再び皇太子さまに諫言申し上げます」を行った西尾幹二加地伸行に対して日本国体学会が断筆を勧告している。
http://www.kokutaigakkai.com/danpitsu2806/
日本国体学会は「天皇とプロレタリア」の里見岸雄が創立している。三島由紀夫の「文化概念としての天皇」に里見の影響を読み取ったのは竹中労であった。里見の父親は、国柱会の田中智学。石原莞爾宮沢賢治国柱会の会員であった。

アサヒグループホールディングスが欧州のビール会社4社を買収したが、この4社の販路を通じて、「スーパードライ」を売り伸ばすなど、画餅に過ぎないことは誰の目にも明らかだろう。それでも買収に必然性があるとすれば、「週刊ダイヤモンド」が書くように自らが買収されないための防衛策という側面が強いに違いない。
http://diamond.jp/articles/-/90790

小学館の「サライ」6月号が「住宅特集 建築家の自邸から考えるサライ世代の住まい」を掲載している。ここに掲載されている企業の資料を請求するとともにアンケートに答えると、抽選で15名様に、「サライの贈り物×RING BELL」のカタログギフト「翡翠コース」(1万1448円相当)がプレゼントされる。
http://serai.jp/premiumclub/55596
ネットで応募できないのが残念である。

フジテレビジョンとグリーは、5月10日(火)、VR(ヴァーチャルリアリティ:仮想現実)に関するコンテンツ制作・配信・プラットフォーム構築を含む、サービスおよび事業開発に向け業務提携に合意し、「F×G VR WORKS(仮)」というVRコンテンツ創出プロジェクトを発足させた。
http://corp.gree.net/jp/ja/news/press/2016/0510-01.html
グリーとフジテレビジョンソーシャルメディア事業でも2012年に業務提携している。

◎インターネットによってテレビ視聴のあり方が変化しそうだ。その先鞭をつけたのが、スタートから1週間で1日の総視聴数1,000万を突破した「AbemaTV」がつけたということになるのかもしれない。
http://av.watch.impress.co.jp/docs/review/minireview/20160510_755895.html

ジャニーズ事務所のタレントが表紙を飾る雑誌は、ネット上では「シルエット」処理されるが、集英社の男性ファッション誌「メンズノンノ」6月号の表紙を飾った嵐の場合、「全身シルエットではなく、なぜか髪の毛だけが本人のもの(?)が使用されている」ことがネットで話題になっているそうだ。「ガジェット通信」が編集部を直撃している。
「今日発売の表紙が嵐なんですが、どうして髪の毛だけ本物みたいな感じなんですか?いつも全身シルエットですよね?」
メンズノンノスタッフ「ああー。理由についてはちょっとわからないですね(上司だったらわかるかも)・・・」と。
http://getnews.jp/archives/1457447

◎TBSラジオで放送されている永六輔の「六輔七転八倒九十分」が6月27日で終了することになった。
http://mainichi.jp/articles/20160510/k00/00m/040/035000c

◎マガジンハウスの「POPEYE」40周年記念号は、創刊号と同様に「アメリカ西海岸」を特集する。この制作過程を活写したドキュメンタリー「2016年のシティボーイ -POPEYE創刊40年」が、WOWOWプライムで6月17日23時から放送される。
http://www.fashionsnap.com/news/2016-05-10/wowow-popeye40th/
1976年6月に「POPEYE」が創刊され、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の連載が「週刊少年ジャンプ」で始まる。私が「POPEYE」創刊号を買ったのは、本八幡くまざわ書店だったと記憶している。

クックパッドは、衣類やキッチン用品などのEC事業を手掛けるセレクチュアーの売却を検討していると日経が報じている。子会社の売却は、この一社にとどまらないようだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ10HOW_Q6A510C1000000/
子会社の売却ばかりではない。特売と健康情報を扱うサービス部門を7月に分社化するという。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ10I65_Q6A510C1TI5000/
2016年1〜3月期(第1四半期)の連結決算は、売上収益が前年同期比52.2%増の43.89億円、営業利益は同73.2%増の20.71億円と数字上は好調だが、クックパッドの雲行が怪しくなってきたと感じるのは、私だけだろうか。

◎小説「崖っぷち社員たちの逆 お金と客を引き寄せる革命──『セレンディップ思考』」(WAVE出版)の舞台は書店だ。著者は明屋書店の小島俊一社長、トーハン出身である。小島を「週刊ダイヤモンド」がインタビューしている。
「本にも書きましたが、明屋書店には日々、書籍を買うためにレジを通過するお客さんが平均2万5000人います。ですが、実際はその3倍の7万5000人のお客さんが書店を訪れている。つまり毎日5万人ものお客さんを見逃している計算になるのです」
http://diamond.jp/articles/-/90821

◎米アマゾン・ドット・コムは、ユーザーが動画を投稿し、収益を得ることを可能にする「ビデオディレクト」サービスを開始する。ロイターは、こう書いている。
「ビデオディレクトに投稿された動画は、レンタル・購入が可能なほか、広告付きであれば無料で視聴できる。コンテンツ制作者は、動画のレンタル・販売で得る収益の50%、広告付きの場合は広告純収入の半分を獲得できるという。
同サービスは、米国、日本、ドイツ、オーストリア、英国で利用できる」
http://jp.reuters.com/article/amazon-com-video-idJPKCN0Y201M

ベネッセホールディングス原田泳幸代表取締役会長兼社長が6月25日付で退任することになった。こんな御仁をトップに据えてしまった福武總一郎の経営責任こそ本来であれば問われるべきだ。通信教育「進研ゼミ」の会員が1年で約28万人も減ってしまった。
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1605/11/news127.html

◎日販グループ会社のアイエムエーは、女性向けデジタルコミック月刊誌「Colorful!」(カラフル)を創刊した。5月1日(日)より、順次主要電子書籍ストアで配信されている。価格は 200円(税別)。無料ではない。
http://www.nippan.co.jp/news/ima_colorful/

◎日販による「2016 年 ゴールデンウィーク書店売上動向調査」。前年比で雑誌が94.6%、書籍が100.0%、コミックが120.2%、開発品が94.2%、期間合計が102.7%。コミックが好調だったのは、ジャンプコミックス新刊が売上を牽引したからだ。
http://www.nippan.co.jp/wp-content/uploads/2016/05/GW_20160511.pdf

◎「妖怪ウォッチ」と「名探偵コナン」がコラボした新キャラクター「名探偵コニャン」がスマホ向けアプリ「妖怪ウォッチ ぷにぷに」に登場することになった。11日発売の「週刊少年サンデー」(小学館)24号にアンドロイドとiOS向けで使えるアイテムコード「ひみつのワード」が付いている。
http://mantan-web.jp/2016/05/11/20160510dog00m200032000c.html

◎5月11日発売の「週刊少年マガジン」24号(講談社)は荒川弘諫山創寺嶋裕二鈴木央らが描き下ろした暑中見舞いの応募者全員サービスを実施している。
http://natalie.mu/comic/news/186732

アサツー ディ・ケイの4月度単体売上高。雑誌が悪い。
https://www.adk.jp/wp/wp-content/uploads/2016/05/release_Billing201604j1.pdf

電通の4月度単体売上高。前年比95.6%。新聞よりもOOHメディアのほうが売上が大きい。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2016055-0511.pdf

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3)【深夜の誌人語録】

創造力において頑迷であることと柔軟であることは矛盾しない。