【文徒】2016年(平成28)6月28日(第4巻119号・通巻806号)

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1)【記事】雑誌情況への提言  編集者は「越境者」たれ!
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】雑誌情況への提言  編集者は「越境者」たれ!

客 今日の文徒に君は、これからの編集者は「越境者」である必要があると書いているね。
主 一昔前だと、編集者は黒子だと言っていたけれど、それじゃ済まないと思うんだ。これだけソーシャルメディアが日常を侵食するようになると、オーディエンスは黒子を許さないと思うんだ。ましてや雑誌がデジタルシフトを遂げて「コミュニティ」の形成を目指すのであれば、編集者はオーディエンスの前に自らの姿を晒さなければならない。オーディエンスの地平まで降りていく必要があるということさ。
客 お座敷から声がかかれば、どこへでも出てゆく覚悟が必要なんだろうね。
主 編集者にしても、記者にしても、自らがメディアであり、ブランドであるということだよ。従来型のメディア論やコンテンツ論では太刀打ちできない情況が生まれつつあるわけさ。
客 イベントにしても、宣伝や販促のツールとして捉えるべきではないとも君は主張している。
主 イベントそれ自体がビジネスなんだよね。紙の雑誌の売行が減少するなか、無料のイベントをやってオーディエンスは増えるのかい。オレは増えないと思うね。イベントの意味が変わってきていると思うんだよ。
客 映像もマストなんだろ。
主 誰もが映像を配信できる時代だよ。活字によるサービスだけではなく、映像によるサービスを提供しないデジタルシフトは考えられないと思う。活字と映像を垣根で隔てる必然性なんて、どこにもないんじゃないの。そういう意味でも編集者は「越境者」でなければならないと思うんだよ。360度カメラをどう使いこなすのかをテーマにできないようでは編集者失格になると思う。

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2)【本日の一行情報】

◎宝島社の女性ファッション誌「InRed」の箕浦ちさ子編集長が6月24日、J-WAVE金曜の11時30分からの「PARADISO」の「SPARKLE YOUR LIFE」に出演し、肌見せコーディネートのコツをリスナーに伝授した。
http://www.j-wave.co.jp/blog/news/2016/06/inred.html
著者も編集者も雑誌の内側に引き籠っている時代は終わったのだと思う。「越境者」たることが求められているのだ。

◎人生を謳歌するラグジュアリーキャリアたちに向けて情報を発信する「cafeglobe」と自立した&自立したい女性に向けてさまざまな角度から情報を発信を続ける「DRESS」の両メディアがイベント「女を磨くパートナーシップの築き方〜恋愛・結婚・離婚・再婚〜」を2016年7月12日(火)にスマートニュース 2F イベントスペースで共催する。
ワンドリンク+軽食付きで無料というイベントだから、宣伝的な色彩が強いイベントなのだろうが、私がこの手のイベントを企画するのであれば、4000円〜5000円の価格設定で必ず有料にする。
http://www.cafeglobe.com/2016/06/055422cafeglobe_event.html
有料にすることで「コミュニティ」志向を明確にするのだ。

◎「週刊朝日」増刊として「朝日ジャーナル リベラルへの最終指令」が発売された。私には、どこが「朝日ジャーナル」なのか全くもって理解できない代物であった。これじゃあ「アカヒ」の名が泣くぜ。
http://www.rbbtoday.com/article/2016/06/24/143018.html
東京新聞の「こちら特報部」のメンバーに編集してもらったほうが、よほど「朝日ジャーナル」っぽくなるんじゃないのかな。花田紀凱編集長も登場しているが、この身軽さは見習いたい。

◎「JTBからの個人情報793万件流出で使われたウイルスは、中国語表記であり、中国からの攻撃であることが濃厚との分析が出ている」と読売新聞でITジャーナリストの三上洋が書いている。ファイア・アイのシニアアナリストの本城信輔が次のような提案をしている。
「…企業では、ウイルス感染が起きるという前提での対策が必要だという。具体的には『組織全体でウイルス感染した場合の手順を決めておく』『監視・検知・隔離など感染後の対応を強化』『感染の演習を行う』『ネットワークの分離(重要情報を保管するサーバーとメールを開く端末を分離)』という四つを企業が実施すべきだとした」
http://www.yomiuri.co.jp/science/goshinjyutsu/20160624-OYT8T50029.html

◎8月26日(金) から劇場公開される新海誠監督のアニメ映画 「君の名は。」は、映画公開に先駆け、監督自らが書き下ろした原作「小説 君の名は。」を発売したが、発売からわずか3日でスピード重版が決定し、10万部を突破した。
http://www.kadokawa.co.jp/company/release/detail.html?id=2016202462
http://www.kadokawa.co.jp/sp/kiminona/
連合試写会の招待企画では、「週刊ザテレビジョン」「ダ・ヴィンチ」「レタスクラブ」「電撃 Girl'sStyle」「電撃文庫 MAGAZINE」という五誌で、「全国合計 1,750 組 3,500 名様ご招待!」とすべきを「全国合計 1,700 組 1,400 名様ご招待!」としてしまった校正ミスも発覚していた。
http://www.kadokawa.co.jp/pdf/20160603_ad.pdf

サントリーの「C.C.レモン"修造おみくじ"付ボトル」!飲み進めていくと、少しずつボトルの中のおみくじの内容が見え始め、ラベルをはがして裏を見るとおみくじの全内容を楽しめるそうだ。
http://www.suntory.co.jp/softdrink/news/pr/article/SBF0425.html

魔夜峰央のギャグ漫画「パタリロ!」(白泉社)が、舞台化され、今冬、紀伊國屋ホールで上演されることになった。
http://www.oricon.co.jp/news/2074040/full/

◎「銀魂」の実写映画化について集英社に電話で聞いたみたというツイートもデマだった。というわけで YouTuberが集英社電凸している。
http://blog.esuteru.com/archives/8616580.html
「誰でもメディア」の時代であることを痛感する。

◎土曜日に北千住まで出かけて白崎映美&東北6県ろ〜るショー!!のコンサートを聴いたのだが、これが圧巻。私は白崎の歌う「ハーダーゼイカム」にイチコロとなってしまった。白崎映美は亜紀書房から「鬼うたひ」を上梓した。
http://www.akishobo.com/book/detail.html?id=756&kw=%E7%99%BD%E5%B4%8E%E6%98%A0%E7%BE%8E

◎1年半前にYouTubeを辞め、ひとり出版社エピローグを立ち上げたクリス・ローリツェンが最初に手がけたのは、エドウィン・A・アボットの古典「フラットランド 多次元の冒険」だった。パブリックドメインの作品である。「WIRED」は、次のように書いている。
「ローリツェンは昨年4月に『Kickstarter』でのキャンペーンを立ち上げ、これがこの愛すべき古典にふさわしい改訂版を出版する機会となることを最大のセールスポイントとして出資を募った。目標は2万4,000ドルだったが、結果は実に3倍以上の額に達した(8万1,777ドル)」
http://wired.jp/2016/06/25/epilogue/

◎ノンアルコールのビールテイスト飲料「オールフリー」(サントリービール)と人気アニメ「おそ松さん」のコラボキャンペーン「オールフリーと楽しむ、この夏イチオシ物語」の告知動画が話題になっている。
https://www.youtube.com/watch?v=wTyrEnEVTN8
https://www.youtube.com/watch?v=lZx3-_39mtI
http://mantan-web.jp/2016/06/25/20160624dog00m200042000c.html

東京管理職ユニオンは不当労働行為を繰り返す青林堂に全面的な解決を求める申入れをしたそうだ。それにしても青林堂東京管理職ユニオンに対応していたのは在特会の広報局長であったとは!
http://togetter.com/li/991356

◎学研プラスの「ボカロPV付き」中学生向け参考書が13万部の大ヒットとなった。「1年で1万部ほどが通常という中学参考書業界で異例の大ヒット」(「ITmediaニュース」)だそうだ。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1606/27/news062.html

武田徹は、古市憲寿小沢一郎の対立は、価値観の違いによるものだとしているが、それほど立派なものであったのだろうか。小沢一郎の怒りは、三島由紀夫賞決定に際して蓮實重彦が報道陣に向けた怒りと同じであったと思う。
http://mainichi.jp/articles/20160627/org/00m/070/003000c

ブックスキューブリック箱崎店2F(福岡市東区)で、誠光社の堀部篤史によるトークショー「独立系新刊書店の立ち上げ方」が7月1日に開催される。
http://bookskubrick.jp/event/7-1

◎「週刊現代」7月9日号で大橋巨泉が1994年から続けてきたコラムの連載を終えた。
http://this.kiji.is/120002282493363709

三省堂書店池袋本店イベントスペースで「orange原画展〜高野苺の世界〜」が7月15日〜21日まで開催する。
http://ikebukuro.books-sanseido.co.jp/events/1234

◎動画配信サービス「フジテレビオンデマンド」は、8月1日より定額制動画配信「FODプレミアム」を新設する。月額888円(税抜)で、過去にフジテレビが制作したドラマや、バラエティ番組はもちろんのこと、アニメや映画など、数多くの対象作品が見放題で楽しめ、50誌以上を取り扱う雑誌読み放題サービスも定額料金内で利用できる。
http://fod.fujitv.co.jp/s/info_premium
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000579.000000084.html

◎「再編劇の引き金となるのは、読売新聞による時事通信の吸収合併」の可能性を「週刊ポスト」が指摘している。元全国紙記者の幸田泉からコメントを取っている。
「…もし読売が時事を傘下に収めれば、読売新聞に掲載している記事を時事のネットワークに乗せることで、配信記事としておカネを生む“商品”に変えることができる。通信社機能を取り込むことで、読売は新たな販路を獲得できるのです」
http://getnews.jp/archives/1482237
時事通信社の最大の得意先は、創価学会であることも付記しておこう。

電通および電通イージス・ネットワークを中心とする電通グループは、2015 年 9月 25 日の第 70 回国連総会で採択の「我々の世界を変革する:持続可能な開発のため2030アジェンダ」に基づき設定された「持続可能な開発目標」(SDGs:Sustainable Development Goals)について、潘 基文 国連事務総長からの呼びかけに応じて、世界の大手広告5グループと連携し、特定テーマの達成に向けて協力していくことで合意した。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2016079-0627.pdf

YouTubeスマホアプリによるライブ配信機能を提供することになった。
http://www.appps.jp/232781/
誰でも映像を配信できるという情況において、雑誌のデジタルシフトに際しても映像は欠かせまい。

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3)【深夜の誌人語録】

これまでの経験を生かすためにこれまでの方法を壊すのだ。