【文徒】2016年(平成28)6月30日(第4巻121号・通巻808号)

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1)【記事】最新書店事情 読者から愛をこめて
2)【本日の一行情報】
3)【人事】祥伝社 7月1日付機構改革および人事
4)【人事】マガジンハウス6月29日付人事異動
5)【人事】徳間書店6月28日付人事
6)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2016.6.30.Shuppanjin

1)【記事】最新書店事情 読者から愛をこめて

耕文堂書店石橋店が6月をもって閉店。
石橋駅下車すぐの場所にある耕文堂書店さんが2016年6月末日をもって閉店されるようです」
http://www.channel-minoh.com/archives/4249966.html
2年前の8月17日には、こんなツイートがあった。
「そう言えば阪急池田駅の耕文堂書店がブックファーストに変わっていた。
池田石橋で本屋と言えば耕文堂だったのだがなあ。ブックファーストは阪急系だったんじゃ、とwikiを見ると昨年トーハンに経営譲渡したと知る。それに第1号店は川西能勢口の駅構内だったんだ。途端に生まれる親近感、ベンベン」
https://twitter.com/sampodow/status/500842413573689344
パルコブックセンター渋谷店が8月7日(日)をもって閉店。建て替えのための休業だというけれど。
http://www.parco.co.jp/pdf/jp/20160406_shibuya_1.pdf
「誰でも自由参加! 自由に書けるコメント帯」は良いアイデアだと思ったけれど、これは「パルコブックセンター渋谷店が最後にお送りするイベント」なのである。
http://www.libro.jp/blog/pbc-shibuya/event/komentoobi.php
こんなツイートを発見。
「昨年の『リブロ池袋本店』に続き、『パルコブックセンター渋谷店』も閉めなければならないなんて、弊社にとってあまりに大きな喪失です。知らなかったわけではありませんが、今日の正式リリースをみて、あらためて落胆してしまいました。(営業本部N)」
https://twitter.com/libro_jp/status/717690547960287232
島田一志のツイートも紹介しておこう。
「パルコブックセンター渋谷店が8月で閉店。ショックです。実はこのお店、若い頃に書店研修で一週間ほどお世話になった場所なのです。書店研修は2店行くうちの1店だけ自分で希望出来たのですが、私が希望し、そして受け入れてくれたのが、このパルコブックセンター渋谷店でした。洋書バーゲン行こ…」
https://twitter.com/kazzshi69/status/746717327702384641
治左衛門緑が丘店(大阪府高槻市)が6月30日(木)をもって閉店。
「いつもお店の待ち合いに置いている週刊誌を取り置きしてもらっている本屋の治左衛門さんに行くと今月末で閉店すると聞きました。長い間通っていたのでショックです。寂しくなります」
https://twitter.com/masao3883/status/740172264138629122?ref_src=twsrc%5Etfw
「おれんちの近くの本屋が閉店とか……
これからどこいけばいいねん!」
https://twitter.com/RNewmt/status/747421356757684225?ref_src=twsrc%5Etfw

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2)【本日の一行情報】

◎日経によれば「『本に付着した汚れや雑菌、においが気になる』といった利用者の声を受け、各地の図書館で『書籍消毒機』を設置する動きが広がっている」ということだが、いくら何でもやり過ぎじゃないの。無菌社会が精神にとって健康だとは限るまい。この手の清潔思想はファシズムスターリニズムと親和的であるとさえ私は考えている。
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO04151300Y6A620C1CC0000/

◎書店「Title」の実力は、永田和宏の「あの午後の椅子」(白水社)を「見晴らしの良い本」と喝破するところにある。
https://twitter.com/Title_books/status/747682532985016325
「Title」の店主である辻山良雄は「すぎなみLOVERS」のインタビューに答えている。
「−−次に、辻山さんご自身について伺います。「よりよく生きるために」大事にしていることは、どんなことですか?
辻山 いやな仕事をしないということです。生きていくためにはお金も大事ですけども、大切にしている心情などはなかったことにできないもの。わざわざ自分のお店を作ったのですから、やりたいようにやるのが楽だし、逆に楽じゃないと続かないですね」
http://suginami-lovers.asahi.com/title-interview/

中央公論新社が創刊した「小説BOC」が三刷とは驚きだ。高松紀仁編集長によれば「初版は1万5000部です。その後3000部、3000部と追加されて、3刷り2万1000部」となったとのことである。
http://biz-journal.jp/2016/06/post_15667.html
高松編集長は専大の出身である。
http://www.senshu-u.ac.jp/koho/ns-web/0506/0506-06-04.html

◎柴原明子の「家族無計画」(朝日出版社)の書き出しが素晴らしい。
「翌日、家を出た夫はその足で会場に赴き、都知事選出馬表明の記者会見に臨んだ。同日、私は区役所に離婚届を取りに行き、その翌々日に、私たちは晴れて離婚した」
https://www.buzzfeed.com/narumi/akiko-has-no-plan?utm_term=.mc9ednXe4B#.gmkd2MbdNl
柴原は人気が出るだろうな。
http://sololife.jp/
この文章も、オレ、好きなんだなあ。
http://sololife.jp/article/1155

◎「週刊ビッグコミックスピリッツ」7月4日発売が44ページに及ぶ「日本国憲法」ブックを付録にするそうだ。連載陣13人がオール書き下ろしで参加するという。
http://news.livedoor.com/article/detail/11696171/

◎オレも蓮實重彦の「伯爵夫人」(新潮社)を読んだけれど、映画なしには存在しえなかった小説であり、蓮實的な言い方をすれば映画に対する偏愛に満ちている作品ということになるのだろう。もちろん、偏愛を「倒錯」と言い換えても良いのだろうけれど。ダニエル・シュミットの映画のような小説であった。
http://www.shinchosha.co.jp/book/304353/

◎「LINEアカウントメディア プラットフォーム」に新たに次の30メディアが参画した。
「Forbes JAPAN」「リンネル クラリネ」「GDOゴルフニュース」「sorae.jp」「神戸新聞NEXT」「上毛新聞」「MANTANWEB」「コーデスナップ」「暮らしニスタ」「ママリ-mamari-」「わんちゃんホンポ」「乗りものニュース」「ダ・ヴィンチニュース」「アゴラ」「ニュースイッチ(日刊工業新聞)」「Billboard JAPAN NEWS」「RUNNET(ランネット)」「電撃オンライン」「MonoMax Web」「埼玉新聞」「枚方つーしん」「tennis365.net-テニス365」「HAIR」「RoomClip mag」「クックパッド ベビー」「Japaaan」「MTV NEWS」「Stereosound」「弁護士ドットコム」「senken trend news」
http://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2016/1410
日本ではオーディエンスファーストを実現するプラットフォームは、フェイスブックよりもLINEなんだろうなあ。

◎LINE Payは、「ローソン」の国内全店舗12,462店のレジで、プリペイドカード「LINE Pay カード」を提示し現金でチャージ(入金)できる「LAWSONレジチャージ」サービスを開始した。
http://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2016/1401

◎「りぼん60周年記念 250万乙女カフェ in アニ ON STATION」が渋谷店と、なんばパークス店@大阪で7月12日まで開催されている。
https://baila.hpplus.jp/lifestyle/l_editors_eye/4802

◎今年5月8日にオープンした「MAGASINN KYOTO」は、1日1組限定で、京町家一棟を貸切で、「編集できるホテル」「宿泊できる雑誌」を売りにしている。「TABI LABO」によれば「記念すべき創館特集は『本を体験する』と題し、本好きによる本好きのための体験を提供。東京・駒沢の書店『スノウショベリングブックス』とコラボレーションした企画展を開催しています」とのことだ。
http://tabi-labo.com/267573/magasinn-kyoto/

◎「VOGUE JAPAN」8月号はディオールイブニングドレスやシャネルのカーディガンスーツなど4作品の「ヴォーグのファッションぬり絵」が綴込付録となる。加えてインスタグラムで「VOGUE JAPAN」のアカウント(voguejapan)をフォローし、自分のぬり絵をハッシュタグ #coloringvogue に投稿すると、エディターが選んだ優秀者3名には「VOGUE JAPAN」定期購読1年分をプレゼントするというキャンペーンを実施する。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000276.000000930.html

◎3月30日にリリースされたSTYLICTIONが運営するガールズファッション・アプリ「itSnap」の出演者のInstagram総フォロワー数が100万人を突破したしたのを機にInstagramプロモーション・サービスを開始する。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000017612.html

◎「Kindle Unlimited」は55000冊を超えるタイトルとオーディオブックへの無制限なアクセスが月額980円で楽しめることを「電子書籍Koboでいいのだ。」が6月25日にツイートしていた!
https://twitter.com/kobo_iinoda/status/746607574846341120?ref_src=twsrc%5Etfw
しかし、アマゾンのサイトは現在、削除されている。

◎日経によればアマゾンジャパンの「2015年度の売上高はほぼ1兆円に達し、日本経済新聞社がまとめた小売業調査の売上高ランキングで8位に入った」そうだ。
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO04192010Z20C16A6TI5000/

◎「AbemaTV」は2000年代のヒット作を24時間配信する「アニメ24チャンネル」、深夜に放送された人気アニメを一日中見られる「深夜アニメチャンネル」、子どもの頃に見ていたアニメの感動、興奮がよみがえる「なつかしアニメチャンネル」、世代を問わず一人でも、家族でも楽しめる「家族アニメチャンネル」というアニメ4チャンネルを配信中だが、これに加え新しいチャンネル「新作TVアニメチャンネル」を開設することになった。
「新作TVアニメチャンネル」では、TV放送と同時ライブ配信を行う「ラブライブ!サンシャイン!!」や、ウェブ最速配信による「NEW GAME!」など、「AbemaTV」独自の編成を行うほか、「クオリディア・コード」、「ツキウタ。THE ANIMATION」、「甘々と稲妻」などの放送が決定している。
https://www.cyberagent.co.jp/newsinfo/info/detail/id=12205
ニコニコ動画の「ニコニコチャンネル」は危機感を抱くことだろう。

電通は、ロンドンに本社を置く、イノベーション リサーチ アンド アドバイザリー ファームのスタイラス・メディア・グループ社が主催し、10月11日(火)に東京アメリカンクラブで開催する「Decoded Fashion Tokyo Summit 2016」に、昨年に引き続きプロジェクト・パートナーとして参画する。
またストラテジック・パートナーとしてコンデナスト・ジャパンも参画するそうだ。電通は、ビジネスマッチングの観点から、ファッション業界とテクノロジー業界のトップが集う場をプロデュースし、コンデナスト・ジャパンは、「VOGUE JAPAN」「GQ JAPAN」「WIRED」を発刊している取材力、ファッション業界やテック業界とのネットワーク力をこのイベントに活用するそうだ。
VIPチケットは70,000円!
http://dentsu-ho.com/articles/4194
グローバル化とは、こういうことなのである!

◎「Business Journal」の追求がつづく。カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が運営し、3月21日にリニューアルオープンした宮城県多賀城市立図書館だが、選書リスト約3万5000冊のうち1万3000冊が「中古」と明記されていたことも驚きだが、「中古」の内訳をみてみると、「料理」が2620冊(20.1%)、「美容・健康」が2146冊(16.5%)、「旅行」が1218冊(9.4%)、「住まいと暮らし」が1091(8.4%)となっていて、この上位4分野だけで、全体(古本)の半数以上を占めていたが、今回の「ツタヤ図書館、選書の半分が料理本…10年前の旅行本も大量、併設の蔦屋書店では売れ筋販売」によれば、それらの本がことごとく刊行年が古いものを含んでいることが判明したとしている。
「これら分野別に刊行年を調べたところ、この手の分野としては、ほかの図書館なら、すでに除籍(廃棄)処分にされていてもおかしくないほど古い、5年超を経過した本を大量に含んでいる」
http://biz-journal.jp/2016/06/post_15686.html
河北新報は、こうした問題にダンマリをつづけるのだろうか。ジャーナリズムとしての信頼性が問われよう。

◎7月30日に東京・池袋の新文芸坐でオールナイト上映イベント「ジャン=リュック・ゴダールの60年代」が開催される。「女は女である」、「彼女について私が知っている二、三の事柄」「女と男のいる舗道」「男性・女性」が上映される。ゴダールより他に神はなし!である。
http://www.cinra.net/news/20160627-jeanlucgodard

河出書房新社の文藝別冊シリーズ「山上たつひこ 漫画家生活50周年記念号」が発売された。買うべし。
http://natalie.mu/music/news/192541

集英社の漫画投稿・公開サービス「少年ジャンプルーキー」で新たな漫画賞「矢吹健太朗賞」が創設された。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1606/28/news125.html

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3)【人事】祥伝社 7月1日付機構改革および人事

《機構改革》
1.「雑誌・コミック出版部」を「雑誌編集部」と「コミック出版部」に分割する。
「コミック出版部」は「FEEL YOUNG・FEEL COMIC編集」「onBLUE編集」「webコミック編集」の3部門で構成する。
2.「雑誌編集部」と「広告部」を統合し、「雑誌ビジネス部」とする。
「広告部」の「広告企画課」を廃する。「雑誌ビジネス部」は「雑誌編集」「広告営業課」「コンテンツビジネス推進室」の3部門で構成し、「雑誌編集」の傘下に「季刊Zipper編集」「nina’s編集」を置く。

《人事》
小野琢己
[前]広告部 部長
[新]雑誌ビジネス部 部長

津田里美
[前]雑誌・コミック出版部 部長
 「FEEL YOUNG・FEEL COMIC」編集長、「onBLUE」編集長
[新]コミック出版部 部長
 「webコミック」編集長、「nina’s」編集長
(「FEEL YOUNG・FEEL COMIC」編集長、「onBLUE」編集長を解く)

富樫真由美
[前]雑誌・コミック出版部 副課長
 「webコミック」編集長
[新]コミック出版部 副課長
 「FEEL YOUNG・FEEL COMIC」編集長、「onBLUE」編集長
(「webコミック」編集長を解く)

小倉直美
[前]雑誌・コミック出版部 副課長
 「nina’s」編集長
[新]雑誌ビジネス部 副課長
コンテンツビジネス推進室
(「nina’s」編集長を解く)

澤井陽子
[前]雑誌・コミック出版部 主任
 「季刊Zipper」編集長、「nina’s」編集
[新]雑誌ビジネス部 主任
「季刊Zipper」編集長
(「nina’s」編集を解く)

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4)【人事】マガジンハウス6月29日付人事異動

田島郎
新:ハナコ編集部編集長
旧:ブルータス編集部副編集長

神谷幸世
新:ブルータス編集部
旧:ハナコ編集部編集長

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5)【人事】徳間書店6月28日付人事

小宮英行
新:執行役員(メディア・ソリューション局局長)
旧:メディア・ソリューション局局長

岩渕徹
新:相談役
旧:取締役会長

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6)【深夜の誌人語録】

常識を疑え!小さな世界の常識は、大きな世界では非常識であるということはままあることである。