【文徒】2016年(平成28)7月21日(第4巻135号・通巻822号)

ひとり出版社を立ち上げました。第一弾は「知られざる出版『裏面』史 元木昌彦インタヴューズ」です。刊行にあたりクラウドファンディングを立ち上げ、広くパトロンになってくれる方々を募集しています。何とぞ宜しくお願い申し上げます。
https://camp-fire.jp/projects/view/9683

Index--------------------------------------------------------
1)【記事】将棋の世界もネット化を加速している
2)【本日の一行情報】
3)【訂正とお詫び・人事】小学館 7月14日付組織改編と人事
4)【深夜の誌人語録】

                                                                            • 2016.7.21.Shuppanjin

1)【記事】将棋の世界もネット化を加速している

日本将棋連盟はシンクロとデジタルマーケティング領域におけるメディアの開発・運営において業務提携することで合意した。各棋戦の対局予定・結果や将棋界における様々なニュースをタイムリーに発信するとともに、将棋界の歴史や棋士の情報、将棋を楽しむためのノウハウなど、様々な情報を楽しめるWebメディアを開発し、Web会員制度の構築や広告スペースの設置なども実施するそうだ。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000020188.html
シンクロが設立されたのは2016年2月25日。
http://thinqlo.co.jp/
シンクロの西井敏恭社長はドクターシーラボのマーケター出身である。
https://www.hands-lab.com/contents/?p=925
西井はwarmthの代表取締役であった。
「私個人としては、株式会社warmth(ウォームス)の代表取締役を務め、オイシックス株式会社のCMOを兼任し、その他8社程度の会社のマーケティングのアドバイザーや実行支援をしています」
https://bn-journal.com/2015/12/warmth.html
しかし、現在はwarmthの代表取締役ではないようだ。
http://warmth24.co.jp/
この手合いが増えるのだろうな。出版業界では考えられないことだ。
男性向けトレンド発信メディア「JION」 は、サントリーが業態開発をしたWHISKY BOTTLE BARの新店舗「BAR JION TOKYO」を、7月22日(金)に銀座でオープンする。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000019323.html
「JION」を見てみよう。
http://jion.tokyo/
「JIONは、女性が届ける大人の男の1分マガジン」と銘打つ「JION」のライターは全員が女性だそうだ。
http://jion.tokyo/corporate
代表取締役の成井五久実は、2010年にDeNAに新卒で入社し、3年間、広告ビジネス部に所属し、モバゲーをはじめとするメディアの広告販売営業を担当。その後トレンダーズに転職し、今年の3月3日にJIONを設立している。
http://quest.job-q.me/1197
http://myfurisode.com/interview/vol6
出版社に欠けているのは「速度」であるとはいえる。
今年4月に創業したスタートアップ企業Thousand Japanは、新感覚ソーシャルファッションメディアアプリ「FUKROO(フクロー)」iOS版(iPhoneのみ対応)を8月1日に、Android版、iPadiPod対応を今秋までにサービスの提供を開始する。
http://thousandjapan.com/wp-content/uploads/2016/07/d20353-4-pdf-0.pdf
Thousand Japanの真部大河代表取締役CEOは弱冠21歳である。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000020353.html
出版社も、もっともっと「若さ」を武器にするべきではないのか。

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2)【本日の一行情報】

紀伊國屋書店は、新宿南店において、著者を招いてのトークイベント・セミナー・サイン会等を8月7日(日)まで連日開催することになった。佳山知未、ニコラ・ド・クレシー、クリスティアン・デュリユー、出口治明駒崎弘樹、柳原孝敦、都甲幸治、塚口直史、横田真由子といった顔ぶれだ。
周知のように新宿南店は洋書部門のみを「Books Kinokuniya Tokyo」として残して撤退するが、新宿南店が続けて来たトークライブ「ふらっとすぽっと」も「ふらっとすぽっとファイナルステージ」となるわけだ。
また、同店3階では「キノミナの本棚スペシャル オールスタッフ全力POPバトル」と題した、店員が選んだ本をコメント付きで紹介するブックフェアも8月7日まで開催中である。
https://www.kinokuniya.co.jp/c/company/pressrelease/20160719120713.html

KADOKAWAMF文庫Jノーゲーム・ノーライフ」は、榎宮祐が作品もイラストも手がけるライトノベル。テレビアニメ化もされ、8巻で累計発行部数は約200万部に及ぶというが、劇場版アニメが製作されることになった。
http://mantan-web.jp/2016/07/18/20160718dog00m200003000c.html

電通総研が次世代人材育成のための方法論の体系化と全国の教育機関サポートなどのために立ち上げた「アクティブラーニングこんなのどうだろう研究所」(2015年10月設立、http://dii.dentsu.jp/activelearning/)は、東京学芸大学の小林正幸研究室と連携し、6つの学校で共同研究・実践授業を順次行っていくことになった。
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/20160711-0719.pdf


NHKの朝ドラ「とと姉ちゃん」が初週から15週連続で視聴率20%の大台超えを達成した。これを出版業界は風としなければならないはずなのだが…。
http://mainichi.jp/articles/20160719/dyo/00m/200/004000c
そうそう菊池寛をドラマ化するのは、ありだよね。

◎日販は、「読書メーター×ダ・ヴィンチ レビュアー大賞」との連動企画「レビュアー大賞課題図書フェア」を、7月19日(火)より全国約850書店で展開する。
http://www.nippan.co.jp/news/reviewergrandprix_2016/
吉田修一の「怒り」が売れてくれれば良いなあ。ま、単なるオレの願望だけれどね。

◎「TechCrunch Japan」に「今日の決算報告は、Yahooの上場企業としての歴史に終わりを告げる感嘆符(‘!’)のようだ」とまで書かれてしまう米Yahooは、中核事業を売却するしか選択肢はあるまい。
http://jp.techcrunch.com/2016/07/19/20160718yahoos-latest-disappointing-quarter-pretty-much-sums-up-the-past-few-years/
不思議なのは日本のヤフー。経営危機とは無縁だもの。日本でガラパゴス化したのが良かったのだろう。

芥川賞村田沙耶香の「コンビニ人間」(文学界6月号)。直木賞荻原浩の「海の見える理髪店」(集英社)。産経ニュースが村田、荻原の受賞会見の模様を余すところなく伝えてくれている。
http://www.sankei.com/life/news/160719/lif1607190016-n1.html
http://www.sankei.com/life/news/160720/lif1607200005-n1.html
私が推していた崔実の「ジニのパズル」は落選。

文藝春秋は、芥川賞直木賞を運営する公益財団法人日本文学振興会とともに、「人生に、文学を。」というメッセージのもと、あらためて「本を読むこと」、「文学に親しむこと」の素晴らしさを、広く世に訴えるプロジェクトをスタートさせた。
そのキックオフとして、日本文学振興会は「第155回芥川賞直木賞選考会」の翌日、7月20日(水)の朝刊6紙(朝日新聞、読売新聞、毎日新聞産経新聞日経新聞中日新聞)に全面広告を掲載した。今後、「文藝春秋」週刊文春」に同様の広告を掲載し、また全国の主要書店にポスターを配布し、このメッセージを浸透させてゆく。
文藝春秋は、文学の現在を、かつてほど良好なものではなく、将来も決して明るいと言える状況にはないと認識している。そうかといって、ただ手をこまねいているわけにはいかないという問題意識がこのプロジェクトに結実したようだ。
その第1弾として作家や評論家、文化人によるティーチイン・イベントを実施するそうだ。このイベントは文学部を有する日本全国の大学で、小学生から大学生、主婦、シニア層までさまざまな参加者とともに「本を読むこと」について語り合うもので、年4回程度の開催を予定する。その模様は、WEBサイトやSNSで拡散するそうだ。
協賛企業は次の39社である。
旭化成ホームズ、朝日新聞社伊藤忠商事王子製紙、太田胃散、オーディブルカシオ計算機、ギリアド・サイエンシズ、キリンビール産経新聞社、サントリーホールディングス資生堂、シャルマン、全日本空輸ソニー・ミュージックエンタテインメント第一三共ヘルスケア大日本印刷竹中工務店中日新聞社、帝国ホテル、東海旅客鉄道東急不動産凸版印刷日本経済新聞社日本製紙日本生命日本たばこ産業乃村工藝社野村ホールディングスパイロットコーポレーションパナソニック東日本旅客鉄道ボルボ・カー・ジャパン、毎日新聞社三井不動産三菱地所、明治、メットライフ生命、読売新聞社
http://www.jinsei-bungaku.jp/

◎「NIKKEI STYLE」が「作家や編集者・雑誌記者を描く小説、続々」で、早見和真の「小説王」(小学館)や大崎梢の「スクープのたまご」(文藝春秋)を取り上げている。
http://style.nikkei.com/article/DGXKZO04954320W6A710C1BE0P01

◎昨年10周年を迎えたブックオカのイベントのとして開催された「車座トーク 〜本と本屋の未来を語ろう」が「本屋がなくなったら、困るじゃないか 11時間ぐびぐび会議」(西日本新聞社)としてまとめられた。
http://www.nagasakishoten.jp/e992146.html

サイバーエージェントは、動画広告クリエイティブ制作におけるキャスティングサービス「Tre Cast」(トレ キャスト)」の提供を開始した。
https://www.cyberagent.co.jp/newsinfo/press/detail/id=12286

大橋巨泉が亡くなった。パイロット万年筆のテレビCMの台詞として大流行した「みじかびの きゃぷりてぃとれば すぎちょびれ すぎかきすらの はっぱふみふみ」は昭和万葉集に収録されている。
http://www.nikkansports.com/entertainment/news/1681363.html
昭和一桁リベラルが次々に亡くなっていく。

◎マガジンハウスの「アンド プレミアム」を母胎にして、CMでお馴染のオランジーナ先生の絵本「おいしいフランス A to Z 絵本。」が誕生した。
https://www.atpress.ne.jp/news/107709

集英社のブランド事業部 ダイレクトマーケティング室の川島 園子室長による次の発言は重要だ。
「出版社というのは、 B to C の事業のように見えますが、最終消費者との接点はほとんどない業態です。そうした状況下にあって、EC 事業という B to C ビジネスに着手したことで、これまでの B to B ビジネスでは決して持ち得なかった顧客データを独自に持つことができるようになりました。それらのデータをサイト、雑誌それぞれに活用するべく、取り組んでいます」
http://goo.gl/77BaCh
雑誌のデジタルシフトはメディアやコンテンツという考え方に重心を置くのではなく、サービスという考え方に重心を置くべきだと、私は主張してきたがそれは雑誌のB to C ビジネス化にほかならない。つまり、EC 事業だけが雑誌のB to C ビジネス化ではないということである。

KADOKAWAは、デザイナー、エンジニア、マーケターなど、Web/デジタル業界で働くプロフェッショナルを対象としたオンラインメディア「WPJ」(ダブリューピージェイ)を、7月20日(水)にローンチ。一定以上のコンテンツを有料でご提供する月額課金制を導入している。
http://ir.kadokawa.co.jp/topics/20160720_h2n8i.pdf

ジェットスター・ジャパンKADOKAWAおよび角川アップリンクは、本日 7 月 20 日(水)よりジェットスター・ジャパンが運航する国際線のうち日本到着便の機内において、訪日旅行客へリチャージモデル SIMカードを提供している。
機内で提供するリチャージモデル SIM カードは、初期費用が無料(50MB 通信量付・3 日間有効)に加え、クレジットカード番号の登録で容量追加購入(リチャージ)が可能となり、日本国内で即時利用が可能になる。
http://www.jetstar.com/_/media/files/japan-and-korea/japan/news/2016/20160720.pdf?la=ja-jp

集英社の「週刊少年ジャンプ」から新増刊「ジャンプ GIGA」が生まれた。総908頁は圧巻である。
http://mainichi.jp/articles/20160720/dyo/00m/200/000000c

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3)【訂正とお詫び・人事】小学館 7月14日付組織改編と人事

昨日の「【人事】小学館 7月14日付組織改編と人事」で、誤解を招きかねない記述がありました。ここに訂正するとともにお詫び申し上げます。

奥山豊彦
旧:出版局 担当取締役
新:出版局 担当取締役 チーフプロデューサーを委嘱する

大西豊
旧:デジタル事業局 担当取締役
  マーケティング局 担当取締役
  マーケティング局 ゼネラルマネージャー
新:デジタル事業局 担当取締役
  マーケティング局 担当取締役
  マーケティング局 ゼネラルマネージャー委嘱を解き
  デジタル事業局 ゼネラルマネージャーを委嘱する
  (兼)デジタル事業局 Webメディア推進室 室長

花塚久美子
旧:女性誌編集局 担当取締役
  女性誌編集局 チーフプロデューサー
新:女性メディア局 担当取締役
  チーフプロデューサー委嘱を解く

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4)【深夜の誌人語録】

挨拶は単なる習慣や礼儀ではない。挨拶は表現にほかならないのである。