【文徒】2016年(平成28)9月8日(第4巻169号・通巻856号)

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1)【記事】楽天が「フリル」のファブリックを買収
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】楽天が「フリル」のファブリックを買収

楽天は5日、スマートフォンを使い、個人間でものを売買できるフリーマーケットアプリ「フリル」を提供するファブリックを買収した。プレスリリースには、こうある。
「近年、個人間売買(C2C)市場は、スマートフォンを利用した、より手軽に売買ができるサービスへとシフトしてきています。また、オークション(入札)型と異なり、決まった価格でスピーディーに売買ができるフリマ型取引が人気を集めています。『フリル』は、2012年7月に日本初のフリマアプリとしてサービスを開始して以来、順調にユーザー数を伸ばしており、現在アプリのダウンロード数は累計500万を超えています。楽天も、2014年11月よりスマートフォンでの利用を中心としたフリマアプリ『ラクマ』を提供しており、流通総額を急拡大させています。
こうした中、楽天は、EコマースにおけるC2C事業のさらなる拡大を目指し、このたび楽天グループにFablic社を加えました。これにより、両社それぞれの顧客基盤や各サービスの強みを生かした様々な連携ができるようになります」
https://fablic.co.jp/news/news-1501
http://corp.rakuten.co.jp/news/press/2016/0905_01.html
「フリル」と「ラクマ」は、それぞれ独立したまま運営をつづける。
「ECのミカタ」の「楽天、フリマアプリ『フリル』のFablic買収。狙いは?」は次のように書いている。
「その理由として、ユーザー数が『メルカリ』に次いで多いということが挙げられると思う。株式会社ADDIXが発表した『フリマアプリについての意識調査』によると、フリマアプリの利用について『使っている』と回答した人が23.3%、約4人に1人が利用している結果に。その中で利用しているフリマアプリは最も多いのが『メルカリ』で78.2%。2位は『フリル』、25.5%であった」
https://www.ecnomikata.com/ecnews/10887/
「TechCrunch Japan」は、「キーワードは“決済”──フリマアプリ『フリル』が楽天傘下での成長を選んだワケ」の見方はこうだ。
「国内フリマ市場を見ると、後発サービスである『メルカリ』が月間流通総額100億円以上という数字を発表しており、事実上の独走状態が続いている。これに対して楽天では、若い女性に強いフリル、そして30〜40代男性や主婦層中心で、家電やガジェットなど高単価商品が多い(手数料無料であることが影響しているようだ)ラクマという2つの特化型のサービスをぶつけていく(日経新聞などの報道では2サービス合計での月間流通総額は30億円程度とのこと)」
http://jp.techcrunch.com/2016/09/06/fablic-horii/
「ITpro」の「フリマアプリに再編の波、楽天がフリマアプリ『フリル』買収」もこう指摘している。
楽天は『CtoC』と呼ぶ消費者間取引に注力する方針を表明済み。自前のフリマアプリ『ラクマ』とフリルとの相互送客やポイント連携によって、同事業を伸ばす考えだ。一方のFablicは、『決済』を軸にフリマアプリと幅広いサービスを連携させる構想を推進。両社の連合で最大手『メルカリ』に挑む」
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/346926/090500623/
「TechCrunch Japan」の記事でFablicの創業者の堀井翔太代表取締役CEOは、こう語っている。
楽天はECの会社であると同時にFinTechの会社。資金移動業者であり、銀行も証券も持っている。ECはこの先、物流や決済と繋がっていく。そのとき(楽天は)強力な後ろ盾になってくれる」
こうした動きは雑誌ビジネスにかかわる者にとって決して他人事ではないはずだ。

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2)【本日の一行情報】

ゲームクリエイター水口哲也と「Casa BRUTUS」編集長の松原亨のトークセッションが9月18日15:00〜16:30、銀座のソニービルで行われるそうだ。
http://svrinfo.jp/detail?p=168566

◎「DIGIDAY」に集英社小林桂取締役が登場。集英社のことを語っているにとどまらず、雑誌のデジタルシフトにとって重要な発言をしている。小林のような才能がゴロゴロしていれば、雑誌のデジタルシフトはもっと加速していたはずだ。
そもそも私が雑誌のデジタルシフトについて真剣に考え始めたのは、4〜5年前であったか、当時はまだ専務であった堀内丸恵社長と小林の三人で渋谷の行きつけのバーで酒精を傾けあったことが契機となっている。小林の発言を拾ってみる。
「ECやWebメディアのノウハウや知見は、そもそも出版社にないものばかりで、これまで編集や営業をやってきた人間がいきなりできるものではありません。
その点、別会社化し、人材を外部から獲得することにより、実働スキルが飛躍的に高まりました。Webサイトやサービスの開発、制作はProject8で『内製化』していくことをめざしています。自社構築できるスキルがなければ、仮に外注しても、きちんと自分たちでコントロールできず、質やコスト、スピードが担保できないからです」
「デジタル広告の売上は、単価とインベントリーの積算です。広告売上を上げるには、メディアの質と量を上げることが欠かせません。我々のメディアサイトは、ニュースやキュレーションメディアとは違って、オリジナルコンテンツを時間をかけて作って、読者もセグメントされています。そうしたメディアとしての質の高さを単価に反映させることが必要です」
「我々は『オーディエンス』という指標でWebの影響力を評価しています。これは、サイトのUUとSNSの数値を合わせたものですが、『SPUR』は約160万オーディエンスを擁しています。限られたセグメントでこれだけのオーディエンスを持っているということは、ある程度、質と量を担保できる素地はあるのではないかと考えます」
「広告の質を高めるためには、メディアの価値を高め、質の高いユーザーを取り込むことと、広告メニューにリッチアドや動画といった高単価なメニューを取り入れることが大事です」
「ブランド事業部の方針に限っていえば、まずWebサイトで読者を獲得し、次の段階でアプリによる囲い込みを考えています。アプリはユーザーを囲い込みやすい性質がある一方、膨大なタイトルのなかでよほど話題性がないとダウンロードされずに埋もれてしまいます。
「まずはWebサイトを通じてエンゲージメントを高め、アプリに移行して、ユーザーに毎日来てもらうサイクルを確立していきたいです」
http://digiday.jp/publishers/syueisya-kei-kobayashi/
小林が出版業界で突出した存在でなくなる日が一日でも早く来ることを私は心から願っている。小林もたぶんそう思っているのではないだろうか。

小学館のマンガ誌「サンデーS(スーパー)」10月号が完売し、入手困難に! 劇場版アニメ「名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)」の名場面を原作者の青山剛昌が描き下ろしたミニ複製原画(縦約34センチ、横約26センチ)を2200円で販売する企画を実施した号だ。
そこで小学館は「当該号に掲載されている全漫画作品(読切作品含む)を、無料まんがWEBサイト「サンデーうぇぶり(www.sunday-webry.com)」で今月16日0時から24日24時まで全話無料公開する」という太っ腹な施策で対応した。
http://mainichi.jp/articles/20160905/dyo/00m/200/030000c
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2016/09/05/kiji/K20160905013301230.html

◎「広文館金座街本店」(広島市中区)はマツダスタジアムで広島カープの試合があるときにはスタッフ全員がユニホーム姿で接客するんだって!
http://www.nikkansports.com/general/news/nikkan/1705727.html

小学館が「ゲッサン」で連載しているする「信長協奏曲」(石井あゆみ)は、コーエーテクモゲームスMobage/Yahoo! Mobageでサービス中のソーシャル・シミュレーションゲーム「100万人の信長の野望」とコラボ・イベントを展開する。「ゲッサン」の9月12日発売号には今回のコラボレーションを記念した「特別シリアルコード」が付録となる。
http://www.4gamer.net/games/128/G012801/20160906065/

◎最終巻となる「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(集英社)の単行本200巻(今月17日発売)は何と400頁のボリュームになる。
http://woman.infoseek.co.jp/news/entertainment/sponichin_20160905_0137
集英社がどのような販売力を発揮するか見ものである。

◎日販の発表した書店店頭売上は前年同月比10.1%減。雑誌7.8%減、書籍9.2%減、コミック16.0%減、開発品16.7%増。
http://ryutsuu.biz/sales/i090603.html

◎これは面白いですよ。ヤフーが公開した「アーティストクラスタリングチャート」。16万曲分の歌詞データをもとに国内アーティストの類似性を可視化している。これにより、例えば「TOKIO」と「Mr.Children」、「徳永英明」と「クリス・ハート」、「モーニング娘。」と「Berryz工房」などに類似性が見られることがわかった。
http://docs.yahoo.co.jp/info/bigdata/special/2016/05/

◎「まいじつ」が「低迷フジテレビの社員が暴露した日枝会長の恥ずかしい経費不正使用」を掲載している。
高畑淳子の記者会見で「息子さんの性癖がおかしい、性欲が強いと思ったことはありませんか?」と質問したのはフジテレビの情報番組であったようだ。
〈「うち(フジテレビ)は会社の同僚、同期、家族でも、領収書のもらえる外食は“打合せ・立替”という経費で飲食できる。舛添前都知事のことを非難できる立場じゃありません(笑)。ちなみに、この飲食の際に厳守しなければいけないルールがあって、みんなで手を合わせて『日枝会長、きょうもありがとう!』と言ってからでないと箸をつけてはいけないって先輩から教えられ、結構ちゃんと守っているんです。周りから見たら気持ち悪い集団でしょうけど」
真偽のほどは定かではないが、この“告発”にある日枝会長とは、フジ・メディア・ホールディングス日枝久会長のことだ。日枝会長を巡っては、今年の6月28日に行われた株主総会でも、さまざまな悪行が出席していた株主によって暴露されている。
なかでも本人を最も怒らせたのが“洋物ポルノ”の一件だ。日枝会長は、海外出張の際に見た有料ポルノ放送の使用料を、会社の経費で賄っていたというのである。その情報は社員からの内部告発らしい〉
http://myjitsu.jp/archives/9283

ファミリーマート躍進の原動力となっているのは商品本部長 取締役専務執行役員 本多利範であり、本多はセブンイレブンの出身である。
http://president.jp/articles/-/20052

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3)【深夜の誌人語録】

仕事は難しければ難しいほど面白いと思えるようになりたい。