【文徒】2017年(平成29)年5月9日(第5巻84号・通巻1013号)

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1)【記事】アマゾン「バックオーダー発注」廃止は「正味戦争の宣戦布告」なのか!?(岩本太郎)
2)【本日の一行情報】

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1)【記事】アマゾン「バックオーダー発注」廃止は「正味戦争の宣戦布告」なのか!?(岩本太郎)

連休直前に明るみに出たアマゾンによる「バックオーダー発注」中止問題はなおも波紋を呼んでいる。Twitter上でも「バックオーダー発注」が、一時はキーワード検索で上位に表示されたほどの話題になりつつある。
https://twitter.com/i/moments/861439110640148480
しかも連休明け早々、今度は業界関係者によるものとみられる《アマゾンの「バックオーダー発注」廃止は、正味戦争の宣戦布告である》という、7日付で投稿された長文の匿名ブログ記事がネット上で話題となっている。
http://anond.hatelabo.jp/20170507191640
ブログ主は冒頭にまず「結論」として以下のようなスタンスを表明する。
《この戦争に敗北し、多くの出版社が個別直接取引(e託)に応じてアマゾンのみに特恵条件を与えることは、破壊的な状況をもたらす。
 また、直接取引をしたところで流通が改善するという保証はない。アマゾン依存度が上がるほどに、苛烈な「ご提案」に逆らえない状態となる。》
そのうえで、長年この業界で言われてきた取引正味の問題に関して、各出版社に対しての一見「平等な」提案に見えるアマゾンの直接取引(e託)の背景にはどんな目論見があるのか、なぜこのタイミングで言ってきたのか、というあたりから各論に入っている。ここ数年来指摘されてきたアマゾンで品切れが頻発する問題の背景や、過去の業界紙記事なども引用しながらの、かなり踏み込んだ分析が続いた後、最後に再び、以下のような「結論」が繰り返される。
《アマゾン1社を優遇するなら、出版社は縮小均衡の果てに「アマゾン制作部門の下請け」となる道を選ぶしかなくなるだろう。(略)折りに触れ現れ、「僕と契約してe託出版社になってよ」と囁くあの提案書を追いかけまわして、「そいつの言うことに耳を貸さないで!」と叫ぶ。
 あなたが、すべての絶望を希望に変える奇跡の道を見つけるまでは、契約してはいけない。》
これを受けて、ある出版社の雑誌販売担当が本業だという人物が以下のようにツイートしていた。
Amazonが出版社に直取引を持ちかけていることに対し「条件がいつ変わるかわからない」と出版社からの不安の声があるが、今後は取次だって自らの維持のために条件変更を版元につきつけてくることだろう。Amazonだけの話ではない。むしろ今まで条件交渉せずに済んでた現状が普通ではない。》
https://twitter.com/kajie/status/861343715763167233
ゲーム制作会社「シテイル」代表の尾野政樹もこんなツイートをしていた。
Amazonは公平じゃないけど、今までの卸が公平だったの?っていうとそうじゃない話いっぱいあったので何とも。再販制度は色々おかしいと思うし、Amazonの優位は電子書籍を前にして体制変更出来なかった側の責任でもあるし》
https://twitter.com/tail_y/status/861384730251374592
以下のような辛辣な読後評も上がっている。
《読んだけど「じゃあ敗戦して退場しろよ」以外の感想が出てこない。注文しても本が来るかわからない消費者の不便を長年放置してきた連中が何言ってるの?》
https://twitter.com/nalmaz/status/861490485344456704
《アマゾンだか取次だか版元が悪いんだか知らないが、この文章だと誰も著者や読者の利便など考えてない(むしろ筆者はそれに否定的に言及してる)ので出版業はひどい世界だと思った》
https://twitter.com/someru/status/861373180933316608
《「DRMのかかっていない電子書籍を販売する」という決断を早期に下せなかった出版社は基本的に詰んでいるし、Amazonごと沈んで欲しい》
https://twitter.com/YaSuYuKi/status/861492590100627456
《これ、従来型の再販制度を守るんじゃなくて、電子書籍を含めた法整備をきちんとして、配信サイトに縛られることなく購入者の権利が守られるようにしないと厳しいだろうなぁ。》
https://twitter.com/flipflop_jp/status/861499656890482688

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

◎連休中の話題をさらった愛媛県今治市での殺傷事件では、警察から参考人として事情聴取されていた女性が自殺に及んだことについて「テレビが殺したのでは?」との声があがっていると『ガジェット通信』が伝えている(ちなみにタイトルには「容疑者自殺」とあるが、逮捕されていないのだからあくまで参考人である)。
http://getnews.jp/archives/1728987
発端となったのは、あるユーザーによる6日付の以下のツイートで、ジャーナリストの江川紹子がこれを引用しながら自分の意見を述べたことから拡散したらしい。
今治市の容疑者自殺、テレビが殺したのでは?5月5日の朝5時30分のめざましテレビで容疑者の自宅の詳細な位置から自転車からマンションまで全部全国放送して「この容疑者の女を容疑が固まり次第逮捕する方針です」って言ってる。そして9時に迎えに行ったら首吊ってたらしい。当たり前だろ…。》
https://twitter.com/i_love_tokio/status/860534053589483521

◎ニュースサイトの『ウートピ』が《広告まみれの女性誌にうんざりの貴女へ 『VERY』部数に迫る注目のテスト誌》《ネットも雑誌も信じられない貴女へ》などと題して、女性誌LDK』の急成長ぶりを2回連続で紹介。
http://wotopi.jp/archives/55284
http://wotopi.jp/archives/55323
しかし『LDK』が晋遊舎発行の雑誌であることにはまるで触れていない。晋遊舎といえば『嫌韓流』の版元というイメージが私などには依然強いのだけど。
http://www.shinyusha.co.jp/media/ldk-201607/

秋田書店の『ヤングチャンピオン』(毎月第2・第4火曜日発売)と双葉社の『漫画アクション』(同第1・第3火曜日発売)が、「グラゼニ」などで知られる森高夕次原作(作画は荒木光)の新作「あしたのジロー」を交互に載せる形での「週刊連載」を始める。初回は9日発売号の『ヤングチャンピオン』に掲載。
http://www.hochi.co.jp/topics/20170506-OHT1T50117.html

週刊住宅新聞社が5月1日付で事業停止。『週刊住宅』の購読者数が減少するなどして赤字が続いていたほか、3月に代表が死去していたという。
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1705/01/news094.html
https://www.shukan-jutaku.com/

◎6日に発売された『Como』の最終号は、人気美容家・神崎恵への1万字を超えるロングインタビューを掲載。
http://kurashinista.jp/user_page/detail/1945
http://actresspress.com/megumi_kanzaki-como2017/

三栄書房がレースや自動車関連のクルマ電子書籍についての会員制定期配信サービス「ASBデジタルライブラリ<β版>」を開始。『オートスポーツ』『F1速報』『ライディングスポーツ』など25誌が参加し、6月30日までの試用期間中は各媒体を随時無料で開放。
http://3a.as-books.jp/
https://response.jp/article/2017/05/06/294332.html

村上春樹が4月27日に新宿のサザンシアターで行われたトークイベントに登場。2時間に渡るトーク内容を、ウェブメディアでは単独取材したという『ダ・ヴィンチニュース』が紹介している。
https://ddnavi.com/news/372921/

名古屋市天白区の書店「らむぶっくす」は店長の村瀬義夫が自分で目利きして選んだ本を中心に並べており、約4000冊の販売書籍のうち取次からの新刊配本は「ほとんどない」という。店の奥には村瀬自身の蔵書約4000冊を置き、用意した机と椅子で自由に読書が楽しめるほか、そこで客から購入したいとの申し出があった本についてはできるだけ取り寄せで対応しているそうだ。
http://www.asahi.com/articles/ASK466WMPK46OQIP00F.html
https://www.facebook.com/pages/%E3%82%89%E3%82%80%E3%81%B6%E3%81%A3%E3%81%8F%E3%81%99/538401069520927

Twitter台頭期だった2010年に行われたトークイベント「Twitterは何を反映し、何を生み出したのか?」の7年ぶりの第2弾が、5月14日にネオローグ六本木事務所で開催される。フリーライター渋井哲也の呼びかけで、他に津田大介赤木智弘仲俣暁生が登壇する予定。
https://twitter.com/shibutetu/status/861408635930288130
https://www.facebook.com/events/1726366277378387/

◎あの「パクリ疑惑」で袋叩きにあった佐野研二郎は、今やすっかり復活してあちこちで活躍しているらしい。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51606

クラウドソーシングサイトでは「書評」の作成依頼があったりするのをよく見かける。ここでは「あらすじ」を300字で、そして「編集者より」をやはり300字目安で構成してほしいとの依頼の下、以下のような注文が載っている。
《「編集者より」については、苦労して書かれたライターさんにまず敬意を払い、その上で一読者として共感した部分に触れたり、読んで見て気付いた新たな発見や続く作品への期待など、たぶんに主観を織り交ぜた文章をしたためて頂きます。》
https://www.shufti.jp/jobs/view/230725