【文徒】2017年(平成29)年5月16日(第5巻89号・通巻1018号)

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1)【記事】産経「民族侮蔑表現」を転載したYahoo!ニュースに差別的なコメント殺到。ヤフーは一部を削除
2)【本日の一行情報】

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1)【記事】産経「民族侮蔑表現」を転載したYahoo!ニュースに差別的なコメント殺到。ヤフーは一部を削除(岩本太郎)

産経新聞編集委員野口裕之が5月8日付で同社のニュースサイトに「金正恩氏斬首後の『不統一国家』 度を超す自己主張+激高しやすい民族性+偏狭な民族&共産主義者が入り乱れ…」というタイトルの記事をウェブサイトの『産経ニュース』に掲載した(紙版には未掲載)。
http://www.sankei.com/premium/news/170508/prm1705080007-n1.html
この記事について、マスメディアの報道を検証するウェブサイト『GoHoo』の運営・管理を行う一般社団法人日本報道検証機構」の代表で弁護士の楊井人文が「民族侮蔑表現がある」との指摘を5月14日付で「Yahoo!ニュース」に掲載した記事の中で指摘した。
《見出しを含め、「偏狭な」「激高しやすい」といった形容詞を伴って「民族」を侮蔑的に評価した表現が6箇所、朝鮮人は統治能力が欠如しているという趣旨の表現も2箇所あった。》
https://news.yahoo.co.jp/byline/yanaihitofumi/20170514-00070940/
楊井はまた、日本報道検証機構で5月12日に調査した結果として、この産経の記事に対して《Yahoo!に722件のコメント(返信を含む)が投稿されていたが、少なくとも2割超の150件以上が削除(非表示処理)されていたことがわかった。》と指摘する。
ヤフーは2015年、差別を助長する内容のコメントが相次いでいるとの指摘を受けて対応策を強化しており、楊井の質問に対してヤフーの広報部は今回もそれに則して対応した旨を回答したという。一方で「激高しやすい民族性」「統治能力欠如」といった表現はガイドラインに抵触しないのかとの問いには「個別の配信記事に関する見解は差し控える」との回答だったとか。
Yahoo!ニュースの同記事コメント欄には今なお《読めば読むほど、「半島ごと消えちゃえばいいのに」と思っちゃう。》《韓国の完全なる消滅を期待します。》といったコメントが残されていることも楊井は問題視している。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170508-00000506-san-kr
産経論説委員の野口は軍事・防衛部門を専門に手掛けており、1999年には「北朝鮮テポドン発射を準備」のスクープで日本新聞協会賞を受賞。「日本文化チャンネル桜」などにも出演しており、そちらのプロフィール紹介によると《昭和33年生まれ。昭和59年産経新聞社入社。防衛庁、外務省、官邸記者クラブキャップなどを歴任。(中略)著書に『イラク自衛隊の真実』『武士道の国からきた自衛隊』『野口裕之の安全保障読本』など》とある。
http://www.ch-sakura.jp/sakimori/sakimori-election.html?id=1947
http://www.pressnet.or.jp/about/commendation/kyoukai/works.html
一方、批判する側の楊井ももともと2002年に産経新聞に記者職で入社。翌年には退職し、母校の慶應義塾大学で法学を学び直して司法試験に合格し、弁護士になったという経歴の人物だ。Yahoo!の記事でも「Gohoo」においても古巣の産経による報道を俎板に載せる機会が多い。
2012年の「GoHoo」開設前に私が取材のうえ尋ねたところ「現在の新聞に誤報が多くなっているのは新聞社の経営状況の悪化が背景にある。中でも産経はそれが顕著」というのが彼の回答だった。
http://gohoo.org/
https://www.vbest.jp/member/yanai_hirofumi

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2)【本日の一行情報】(岩本太郎)

講談社「じぶん書店」が昨15日より正式オープン。約130の作家・編集者による公式書店のほか、約4000の一般ユーザーによる書店が一斉オープンした。公式書店には「書店員 島耕作」(弘兼憲史)、「松浦だるま書店」「かわぐちかいじ書店」などのほか、講談社の各編集部や編集者の書店、さらには同社の金丸徳雄常務取締役による「tokuo's bookstore」も、初日夕刻にチェックしたところ「人気書店ランキング」で第80位に入っていた。
http://www.kodansha.co.jp/upload/pr.kodansha.co.jp/files/pdf/20170515jibunHP.pdf
https://www.jibunshoten.com/top
https://www.jibunshoten.com/bookstore/d4NULwMm

◎マガジンハウスが雑誌広告・ウェブ広告営業の経験者(正社員)を募集中。
http://magazineworld.jp/news/recruitment-201705/

リクルートが2017年3月期決算を発表。連結決算(日本基準)での売上高は前期比16%増の1兆8399億円。営業利益は12%増の1272億円と過去最高益を達成。来年3月期の営業利益は1855億円を見込むという。不動産情報「SUUMO」や美容予約サイト「ホットペッパービューティー」をはじめとしてメディア事業も好調。買収した人材派遣事業を営む海外企業の業績が寄与したことなどにより、連結売上高に占める海外比率は昨年度の35%から40%に上昇したそうだ。
http://www.recruit.jp/ir/library/upload/report_201704_pm_jp.pdf
http://logmi.jp/203711
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO16329370S7A510C1DTB000/

◎大広がベトナムのデジタル広告会社MEKONG COMMUNICATIONSとの合弁会社「DAIKO MEKONG COMMUNICATIONS」を設立。昨15日から営業を開始した。
https://www.daiko.co.jp/daiko-topics/2017/0515110005.html
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO16372050U7A510C1TJC000/

ADKの運営による大学生マーケッター集団「ワカスタ」とプランニングの専門会社「アクシバル」が、18〜29歳男女の情報収集スタイルをクラスターごとに分析する新しいマーケティングツール「ワカナビセブン」を共同開発。クライアントの課題解決や新製品開発等に今後活用していくそうだ。
https://www.adk.jp/12513.html

◎90年代に「伝染(うつ)るんです。」で一世を風靡した漫画家・吉田戦車は、今は絵本に新境地を見出している。自身2作目の絵本『走れ!みかんのかわ』を3月に河出書房新社から上梓した。
http://web.kawade.co.jp/bungei/1179/
http://ryukyushimpo.jp/mainichi/entry-495082.html

◎『ねこのきもち』(ベネッセ)や『猫びより』(辰巳出版)といった“猫雑誌”の企画から取材・執筆・編集へと至る一連のプロセスを、実際に上記2誌で仕事をしているという編集者兼ライターが『ガジェット通信』で詳しく説明している。
http://getnews.jp/archives/1735700

横浜市西区ランドマークプラザ1階に、動画編集や配信などができるスタジオ「ドーガドーダ」がオープン。同市金沢区でパンフレットやポスターのほかに動画の制作も行ってきた「山陽印刷㈱」が開設したもので、主に中小企業を対象に、動画制作のための機材やスタジオの時間貸しなどの支援事業を展開。インターネットでの生放送も可能な設備も備えているそうだ。
http://doga-doda.jp/
https://mainichi.jp/articles/20170513/ddl/k14/040/080000c

阪神・淡路大震災からの復興再開発ビルとして、神戸市・新長田駅前の繁華街に建てられた「アスタくにづか3番街」に市の誘致で入っていた商業施設「神戸アニメストリート」が6月末で閉鎖されることが表面化。オープン当初は話題を集めたもののイベント以外の集客が伸び悩み、複数の企画制作会社へ未払いがあるなど資金繰りが悪化していた。
https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201705/sp/0010185118.shtml

◎都内・練馬区の地元出版社を紹介する巡回展示会「ねりまで本をつくる、本をつなぐ〜練馬区出版社展示会」が同区内の区立図書館を会場に開催中だ。出版社のスタッフらによるギャラリートークも予定されており、6月11日に大泉学園町の大泉図書館で開催されるトークには「旅行人」の蔵前仁一も登壇するそうだ。
https://nerima.keizai.biz/headline/1275/

◎愛知県豊橋市が、豊橋駅東口の再開発事業で2020年に開館予定の「まちなか図書館(仮称)」に関連して、中心街の市民や店主らの本を通じた交流を促進する「まちじゅう図書館」プロジェクトを開始。そのキックオフイベントとして、東京・荻窪のブックカフェ「6次元」店主のナカムラクニオらをゲストに招いたトークライブなどを6月11日に開催するとのこと。
http://www.higashiaichi.co.jp/news/detail/1001

地方自治法により自治体には「議会図書室」の設置が義務付けられ、公立図書館には議会図書館を「図書館奉仕」として支援することが図書館法により努力義務とされているのだそうだ。都内の武蔵野市議会議員であり、フリーライターでもある川名ゆうじのレポート。
http://blog.livedoor.jp/go_wild/archives/52491806.html

元朝日新聞記者で『AERA』の編集者などを務め、早期退職後にフリージャーナリストとして独立してからはオリコンによるSLAPP訴訟の件などで注目を浴びた烏賀陽弘道の新刊『フェイクニュースの見分け方』が6月16日に新潮新書から出るそうだ。
https://twitter.com/hirougaya/status/863815156890914816
https://honto.jp/netstore/pd-book_28484771.html

インフォバーンが「編集」をキーワードとしたトークイベント「X-editors FES <エックスエディターズ フェス>」を6月8日に千代田区Yahoo! JAPAN コワーキングスペース「LODGE」で開催する。インフォバーングループ 創設者の小林弘人、『ライフハッカー』日本版編集長の米田智彦らが登壇の予定。
https://www.businessinsider.jp/post-33492
http://peatix.com/event/263802