【文徒】2017年(平成29)年5月31日(第5巻100号・通巻1029号)

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1)【記事】TBS出身のジャーナリスト山口敬之のスキャンダルについて
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】TBS出身のジャーナリスト山口敬之のスキャンダルについて

幻冬舎から刊行された「総理」や「暗闘」で知られるTBS出身の政治ジャーナリストである山口敬之の準強姦事件をスクープしたのは「週刊新潮」であったが、被害女性が司法記者クラブで記者会見を開いた。彼女は検察の不起訴処分を不服として検察審査会に審査を申し立てたそうだ。「弁護士ドットコム」によれば「記者会見には下の名前と顔を出して臨んだ」という。
https://www.bengo4.com/internet/n_6154/
山口はフェイスブックに【週刊新潮記事に関する会見について】と題する文章を投稿している。
週刊新潮の私に関する記事の情報提供者であった女性が記者会見を行ったとの事なので、見解を申し述べます。
まず、私は法に触れる事は一切していません。
ですから、一昨年の6月以降当局の調査に誠心誠意対応しました。当該女性が今回会見で主張した論点も含め、1年4ヶ月にわたる証拠に基づいた精密な調査が行われ、結果として不起訴という結論が出ました。よって私は容疑者でも被疑者でもありません。
もちろん、不起訴処分の当事者は皆、検察審査会に不服申立する権利を有していますから、申立が行われたのであれば、私は今まで通り誠心誠意対応します。
他方、不起訴処分はすでに昨年7月に全ての関係者に伝えられています。私はこの結論を得て、本格的な記者活動を開始しました。
当該女性がもし、純粋に不起訴という結論に不満だったなら時をおかず不服申立していたと考えます。なぜ私がメディアに露出するようになってから行動が起こされたのか、なぜ当該女性の主張を一方的に取り上げた週刊誌の報道が先行したのかなど、今後の対応を検討する為に全体状況を理解しようと努力しています」
https://www.facebook.com/noriyuki.yamaguchi/posts/1355261117886505
町山智弘が次のようにツイートしているが、私も同感である。
「山口敬之はTBS在職中にその地位を利用したのだからTBSは責任を持って調査報告すべきではないのか」
https://twitter.com/TomoMachi/status/869322821717024769
週刊新潮」もデスクがツイートしている。
「本誌が掲載した #山口敬之氏と被害女性とのやりとりのメールです。避妊具なしで行為に及んだことを〈精子の活動が著しく低調だという病気〉と弁明。行為後には『下着だけでもお土産で持って帰ってもいいかな。いつも強気なのに困った時は子供みたいでかわいいね』との発言も」
https://twitter.com/shukan_shincho/status/869050769491714048
有本香が2015年5月8日に投稿したツイートを見れば、山口が有本はもちろんのこと、青山繁晴、阿比留瑠比、「正論」元編集長の上島嘉郎、文藝評論家の小川榮太郎と親しいことがわかる。
https://twitter.com/arimoto_kaori/status/596744141951774721

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2)【本日の一行情報】]

◎「偽ニュースのメディアが『関係者によると』という言葉を使い匿名で報じている場合、関係者は存在せず偽ニュースの記者が作り上げた可能性がある。偽ニュースは敵だ!」というトランプ大統領の理屈は日本の安倍政治にも通じるものがある。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-05-28/OQOPXV6S972801
https://jp.reuters.com/article/usa-trump-russia-idJPKBN18P003
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170529/k10010998431000.html
これが問題のトランプ大統領のツイート。フォロワーが何と3090万人もいる!
https://twitter.com/realDonaldTrump/status/868807327130025984
ちなみに安倍晋三首相のツイッターのフォロワーは69万人。
https://twitter.com/AbeShinzo

◎大橋毅彦の600頁近い大著「昭和文学の上海体験」(勉誠出版)には魅了された。
http://bensei.jp/index.php?main_page=product_book_info&products_id=100693
今日は仕事を終えたなら内山書店に立ち寄ることにしよう!

◎日販は、BLコミック「ひだまりが聴こえる」(プランタン出版)を実写映画化した。
http://www.nippan.co.jp/news/hidamari_movie/

◎日販は小学館、学研プラス、徳間書店世界文化社マキノ出版ワールドフォトプレスという出版社6社による協力のもと、時限再販を活用した「モノ情報誌 いま得キャンペーン」を6月1日(木)より取引書店1024店で実施する。
http://goo.gl/EKwAQX

東海ラジオ放送が19年ぶり増収となった。つまり18年連続の減収だったわけである。
http://www.sankei.com/west/news/170529/wst1705290048-n1.html

◎HAKUHODO THE DAY、ニューピースが企画し、データセクション、ビットエーが開発協力を行う形で、「AI記者」によるアイドルのtwitterアカウント投稿代行の実証実験が実施されたそうである。
http://www.datasection.co.jp/news/pressrelease-2017052601
HAKUHODO THE DAYは新潮文庫の仕事もしている。

トーハンのほんをうえるプロジェクトは、歌舞伎好きに人気のイラストシリーズ「かぶきねこづくし」の世界を表現した絵本「どこじゃ?かぶきねこさがし かぶきがわかるさがしもの絵本」(講談社)について、オリジナル拡材を作成して書店展開をバックアップする。4月下旬からは「かぶきねこづくし」ポストカード(ヨシダデザイン)の取り扱いを開始して絵本との併売も提案している。
http://www.tohan.jp/news/20170524_980.html

新潟日報社原発問題特別取材班による「崩れた原発『経済神話』」が明石書店から刊行された。
http://www.akashi.co.jp/book/b287693.html

◎国連人権理事会の特別報告者デービッド・ケイが人権理事会へ提出する訪日報告書の草案全文が明らかになったと「産経ニュース」が伝えている。
「草案は自民党憲法改正案について、思想および良心の自由に関する19条、集会、結社、表現の自由の21条に言及して『日本社会に懸念を引き起こしている』などと指摘した。基本的人権を『永久の権利』と定めた97条の削除に関しては、『日本の人権保護を弱体化しうる』と主張した。
メディアの独立をめぐり政治的公平性を欠く放送を繰り返した放送局に対し、電波停止を命じる可能性を否定しない政府答弁に関して、『メディアを制限する脅迫として受け取ることができる』と記した」
http://www.sankei.com/politics/news/170530/plt1705300011-n1.html
http://www.sankei.com/politics/news/170530/plt1705300012-n1.html

◎「J-CASTニュース」が「池田勇人マンガ『疾風の勇人』突如終了 『圧力』憶測をモーニング編集部に聞く」を掲載している。
「連載終了自体は事実で、再開の予定もないという。詳しい理由については語らなかったが、『去年くらいから、このタイミングで終わるということで決まっていました』という。単行本は、全7巻での完結となる」
https://www.j-cast.com/2017/05/30299180.html?p=all

ADKは、連結子会社であるアニメ制作会社ゴンゾの不適切な会計処理について、旧筆頭株主である「いわかぜファンド」との間で和解が成立したそうだ。
https://www.adk.jp/wp/wp-content/uploads/2017/05/bf3ce431807dd233c3ad29e0c70b1fcc.pdf

◎遠藤正敬の「戸籍と無戸籍 『日本人』の輪郭」(人文書院)は次のような問題意識に支えられた大変な力作である。
「つまり無戸籍問題に対する政治の認識と実践の変遷を描き出すことで、日本における戸籍の存在意義とは何かを浮き彫りにできるのではないか。そして、これらの作業は『日本人』とは何かという本質的課題への答えを導くものとなるはずである」
http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b281579.html

ケンコー・トキナーは、学研プラスが発行する「学研の図鑑LIVE」を「図鑑で調べて知識を得たのち、実際に本物を見てさらに理解を深めよう」というコンセプトのもとケンコー版に再編集し、ケンコーの光学製品にセットしたシリーズとして4種類を発売する。
http://www.kenko-tokina.co.jp/newproducts/gakken_201705.html

◎日刊スポーツ系列の出版社である日刊スポーツ出版社の「プロ野球ai」と「輝け甲子園の星」が休刊を発表した。
http://goo.gl/fRDaNj
https://goo.gl/0u6B5Y

◎「福田恆存 思想の〈かたち〉 イロニー・演戯・言葉」(新曜社)で強烈な印象を残した浜崎洋介がメジャー出版社の文藝春秋から「反戦後論」を刊行した。「私が描きたかったのは、人間の可能性ではなく必然性であり、人間の自由ではなく事実だった」なんて言い方が柄谷行人っぽくて恰好良いね。
http://www.shin-yo-sha.co.jp/mokuroku/books/978-4-7885-1263-4.htm
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163906485
政治の文学化がもたらすのは最低最悪の政治であり、文学の政治化がもたらすのは最低最悪の文学であると私は認識している。

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3)【深夜の誌人語録】

知性に欠かせないのは体力である。