【文徒】2019年(平成31)4月24日(第7巻73号・通巻1493号)



Index------------------------------------------------------
1)【記事】山口真帆におっさんたちが泣いている!?
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2019.4.24 Shuppanjin

1)【記事】山口真帆におっさんたちが泣いている!?

新潟を拠点とするNGT48のチームGは4月21日、NGT48劇場で「逆上がり」千秋楽公演を迎え、暴行被害を受けたメンバー山口真帆が101日ぶりに公演に出演した。アンコールを終えると、グループからの卒業を発表するコメントを読み上げた。山口はしっかりと自分の足で立つことを選択したのである。「オリコンニュース」が紹介している。
「事件のことを発信した際、社長には『不起訴になったことで事件じゃないということだ』と言われ、そして今は会社を攻撃する加害者だとまで言われていますが、ただメンバーを守りたい、真面目に活動したい、健全なアイドル活動ができる場所であってほしかっただけで、何をしても不問なこのグループに、もうここには私がアイドルをできる居場所はなくなってしまいました」
https://www.oricon.co.jp/news/2134123/full/
社長から会社を攻撃する加害者だとまで言われては、卒業を発表せざるを得まい。スポーツニッポンの4月23日付「NGT山口真帆 3人だけの卒業公演濃厚 前代未聞の花道に」は、こう書いている。
「NGT48の山口真帆(23)ら3人が卒業を発表してから一夜明けた22日、5月の卒業公演の出演者がこの3人だけになる見通しであることが分かった。山口が21日の公演で自身の事件に絡み運営会社トップの“パワハラ”を告発するなど内情を暴露。この件も含め、一連の騒動で他のメンバーとの関係が悪化しており、送り出すメンバー不在の前代未聞の卒業公演が現実路線になっている」
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2019/04/23/kiji/20190423s00041000070000c.html
しかし、そうした情況に追い詰められながらも、山口が述べた次のようなコメントに私は年甲斐もなく感動してしまったのである。
「正しいことをしている人が報われない世の中でも、正しいことをしている人が損をしてしまう世の中ではあってはいけないと、私は思います」
上野千鶴子が東大の入学式で祝辞を述べ、そのなかで「あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています」と語っているが、上野千鶴子のこの発言に山口は呼応しているかのようである。
https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/president/b_message31_03.html
朝日新聞の小松隆次郎も現場に駆け付けたようだ。
「NGT48の山口真帆さん、長谷川玲奈さん、菅原りこさんの衝撃的な卒業発表。劇場が入っているビルの前では報道陣が集まっています。ビルからは劇場で公演を見終えたファンが次々と出てきています。発表の瞬間、ロビーでも嗚咽が漏れ、外からは怒号も聞こえました」
https://twitter.com/Kryujiro/status/1119926371264806918
こんなツイートを発見したが、私も同感である。
「NGT48山口真帆暴行事件にかかわる運営事務所AKSの件、報道ではよく『ファン』が怒っているかのように書かれているが、おれはとくにNGTのファンではないけれど怒っている。もはやこれはブラック企業パワハラと劣悪な労働環境の問題になっていることを、この期に及んでまだAKSは認識できていないのか?」
https://twitter.com/ray_fyk/status/1120163272362094592
田中秀臣が「iRONNA」で「NGT山口真帆卒業『秋元康よ、AKBを去れ』」を発表している。
「問われているのは、暴行事件を引き起こした運営のセキュリティの甘さだけではない。その不誠実で、また社会常識から逸脱した振る舞いによって、AKSはその在り方を厳しく追及されるべきだと筆者は考えている」
https://ironna.jp/article/12430?p=1
4月17日付毎日新聞夕刊の中森明夫の連載「ニッポンへの発言」は3月22日の運営会社による記者会見の最中、山口真帆が「なんで嘘ばかりつくんでしょうか」とツイートしたことに触れ次のように書いている。
「あなたのツイートを読んで私自身が震えた。アイドルが、自分を支配する運営に対して、公然と反旗をひるがえした。ただで済むとは思っていないだろう。命懸けだ。なぜ、そんな無理なことをやったのか?それは、あなたが『アイドルを愛している』からだ」
https://mainichi.jp/articles/20190417/dde/014/070/002000c
これは中森明夫のツイート。泣いたのはオレだけじゃない。
「アイドルは自分がどれほど辛かろうが、ステージに立ったら、最高の笑顔を見せるんだ。それがアイドルの使命なんだ。『使命』という言葉を思い知らされました。もちろん、その構造を批判する人もいるでしょう。それでも私は感動しました。山口真帆というアイドルに出会えて、よかった。泣きました」
https://twitter.com/a_i_jp/status/1119916828162007041
「新しい小説のために」(講談社)の佐々木敦も泣いている。
「ラーメン屋で山口真帆の卒業報告を肉声で聞いて、泣けて泣けて仕方ない。まだ若いあの子にあそこまで言わせることがどんなことがわかってんのか」
https://twitter.com/sasakiatsushi/status/1120243315373252608
今年3月までアイドルグループ「仮面女子」で「桜雪」として活動していた東大卒アイドルの橋本ゆきが渋谷区議選で初当選した。4月22日付日刊スポーツ「元仮面女子の橋本ゆき氏が渋谷区議選初当選」は書いている。
「挑戦のきっかけは昨年、同じグループの猪狩ともか(27)が、事故で車いすでの活動になったことだった。『障壁を乗り越えるまちづくりをしたい』と考える。『日本一、からみやすい政治家』という目標を踏まえて、街頭活動でも有権者の意見に、積極的に耳を傾けた」
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/201904220000013.html
山口真帆と専属モデル契約を結ぶ勇気ある女性ファッション誌はないものだろうか。雑誌はそういう自由さをひとつ捨てるごとに読者を失っていったように思えてならないのである。

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2)【本日の一行情報】

◎4月22日付千葉日報が「まちの魅力積極発信へ 市川市電通が協定」を掲載している。
市川市は、まちの魅力を広く発信するため、電通と連携協定を結んだ。既にある地域資源や、あまり知られていない魅力を電通と組んで積極的に発信することで、移住者や企業を誘致する狙いだ」
https://www.chibanippo.co.jp/news/local/588640

徳間書店 は、WEB小説家やゲームライター、アニメライターなど様々なジャンルのクリエイターを集めたB6判ソフトカバーの新エンターテインメント小説レーベル「アークライトノベルス」を5月17日に創刊する。創刊ラインナップは、「獣医ミステリカ 狛村風香の研究課題」「Les Heros d‘Avenir アヴニール・エローズ」「こどもの国」の3作。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000185.000016935.html

◎「デイリー新潮」が4月22日に公開した「伊藤詩織さんを逆提訴で1億円請求、『安倍首相ベッタリ記者』のメンタリティ」は「週刊新潮」4月18日号が掲載した特集「『小林よしのりも呆れた! 『伊藤詩織さん』に1億円払えと訴えた『安倍総理』ベッタリ記者」を再編集したものである。
「山口記者がかつて本誌に回答したように、『法に触れることは一切していない』と言うのなら、こぞって起用していたテレビメディアがソッポを向くことはなかったはずだ」
https://www.dailyshincho.jp/article/2019/04220801/?all=1&page=1

集英社講談社は、「週刊少年ジャンプ」(集英社)と「週刊少年マガジン」(講談社)が合体し、「週刊少年ジャンプ」「週刊少年マガジン」の連載作品44タイトルの第1話、計2,264ページを収録した紙版の「少年ジャンマガ」特別記念号を制作した。2誌の史上初共同プロジェクトであるWEBサイト『少年ジャンマガ学園』で展開している企画「読書感想コンクール」「中間・期末テスト」の賞品となる。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000043688.html

集英社サントリーホールディングスとのコラボレーションで、昨年のスペシャル動画「限界を超えろ 挑戦するすべての人のために」に続き、チャレンジド・アスリートたちの果敢でひたむきな挑戦にエールを送り、彼らの無限の可能性をサポートしていきたい、という想いから、車いすバスケットボール日本代表候補選手である豊島英選手、藤井郁美選手と「メンズノンノ」モデル、俳優として活躍する成田凌を起用したスペシャル動画第二弾「その応援が、この世界を変えていく」を「MEN’S NON-NO WEB」、集英社パラスポーツ応援サイト 「パラスポ+!」、「サントリー チャレンジド・スポーツ プロジェクト」にて公開する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000069.000011454.html

手塚治虫化賞の大賞は有間しのぶの「その女、ジルバ」(小学館)に決まった。新生賞は山田参助あれよ星屑」(KADOKAWA)。短編賞は小山健「生理ちゃん」(KADOKAWA)。特別賞は「ゴルゴ13」の連載50年を達成した、さいとう・たかを。
https://book.asahi.com/article/12302977?cid=asadigi_culture_book

東京ニュース通信社は、地上波TV+BS+CS+4Kオールイン月刊テレビ誌「デジタルTVガイドGW(ゴールデンウイーク)超特大号!!」を4月24日(水)に発売する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000713.000006568.html
10連休と言ったって大半は家でテレビ派だろう。私は絶滅危惧種の家で読書派。

講談社の女性ファッション誌「ViVi」6月号は、音楽原作キラクターラッププロジェクト「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」を特集する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002159.000001719.html

◎扶桑社の運営する30~40代女性向けWebメディア「女子SPA!」の3月の月間アクセス数が3,600万PV(ページビュー)、月間訪問者数が810万となった。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000258.000026633.html

大日本印刷DNP)は、ソネット・メディア・ネットワークス(SMN)が提供する、広告主の要望に合わせて最適な広告枠の買付とプランニングを支援するサービス「Logicad(ロジカド)for Publishers」に関するパートナー契約を2019年4月に締結した。これにより、出版社が運営する優良な雑誌のWebサイトを広告枠として提供する「DNP BookAD for Publishers」のサービスを2019年4月22日に開始した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000127.000013903.html
https://www.dnp.co.jp/news/detail/1191268_1587.html
https://www.so-netmedia.jp/topics/news-2019-pr_release_20190422/

NHKと民放ラジオ101局は、NHK・民放ラジオ特別番組「今日は一日“民放ラジオ番組”三昧 #このラジオがヤバい」を5月6日に放送する。
http://www.allnightnippon.com/news/20190422-40768/

◎いよいよ横浜に展示会×写真集 「俺 矢沢永吉」が上陸する。みなとみらい線を運行する、横浜高速鉄道とのコラボ企画として、オリジナルデザインのみなとみらい線一日乗車券が発売される。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001202.000011710.html
オレの「不発の青春」を励ましてくれたのは矢沢永吉の「援歌」であった。

◎ヤフーは、アドフラウド(不正広告)撲滅に向けて、2018年10月25日に広告配信ガイドラインを改定し、厳格化したが、3月31日までの期間において、改定後のガイドラインに抵触する約5,900件の広告配信を停止した。
https://about.yahoo.co.jp/pr/release/2019/04/19m/
BuzzFeed News」の「まとめサイト、ゲーム攻略サイトなどへの広告配信を停止。ヤフー『実体不明なメディアを排除』」は次のように書いている。
「例えば『保守速報』は昨年、その差別的な内容によって名誉を毀損されたとして在日朝鮮人の女性に訴えられ、損害賠償の支払いを命じる確定判決を受けた。
保守速報についての判決は、ネット上の書き込みを『まとめる』行為は独立した表現であると指摘し、それによる不法行為が成り立つという判断を下した。
こうした判例を受け、エプソンなどの企業が『保守速報』への広告出稿を取りやめたり、アフィリエイトサービスの提携を解除したりする動きも出ている」
https://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/matome-kokoku
日経の4月19日付「ヤフー、5900件の広告配信停止 不正の対策強化で」によれば、今回の措置が20億円超の減収要因となったそうだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43954390Z10C19A4TJC000/

◎フジテレビの月9ドラマ「ラジエーションハウス 放射線科の診断レポート」は「グランドジャンプ」(集英社)で連載中の同名コミックが原作となっている。
https://realsound.jp/movie/2019/04/post-351022.html

◎フジテレビは、博報堂DYメディアパートナーズと連携し、ドラマやバラエティの最新話が無料で視聴できる「FOD見逃し配信」において、ユーザーの地域データを活用し天気や気温等の気象情報に合わせて広告を配信する「お天気ターゲティング」の提供を4月22日(月)より開始した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000873.000000084.html

トーハンは出版社との間で共有している在庫情報を活用し、取引書店に提供する「出版社連携在庫サービス」を導入すると発表した。開始時期は5月15日。連携対象は出版社が33社、在庫は11万5000点に及ぶ。この導入により、トーハンが書店に提供するシステムであるTONETS Vの発注画面上にて、桶川SCMセンター在庫の有無だけでなく出版社の倉庫から出庫対応可能な冊数も確認できるようになる。在庫情報の可視化が進むことで、書店では仕入計画が立てやすくなり、より積極的に読者へ働きかけることが可能となる。連携出版社においても稼動商品のアピールにつながり、マーケットへのアプローチを強化することができる。
https://www.tohan.jp/news/20190422_1391.html
マーケットイン型の流通モデルを構築しようというわけである。

トーハングループの明屋書店は、伊予銀行が主催する「いよぎん金融教育教室 春のキッズセミナー」に協力し、地域の小学生を対象にした講義と体験学習の場を提供した。
https://www.tohan.jp/news/20190423_1394.html

◎北陸・金沢の老舗百貨店であり、現在は東証2部上場企業である大和の連結子会社勁草書房なのである。羽仁五郎の「都市の論理」も、廣松渉の「マルクス主義の理路」も、「吉本隆明全著作集」も、浅田彰の「構造と力」も、上野千鶴子の「女という快楽」も、宮台真司の「権力の予期理論」も、橋爪大三郎の「仏教の言説戦略」も、勁草書房が版元である。
https://maonline.jp/articles/keisou

◎「論座」が公開した「入場料を払う本屋『喫』で、本は売れるのか?」。それが売れているのである。
「…伊藤店長によれば『本の売れ行きは想定の3倍、客単価も通常の本屋の2~3倍です。おそらく図書館に来ている感覚で滞在しているうちにほしい本が増えるのでしょう』という。ふつう書店に入っても実際に本を買う客は通常1割未満だが、ここでは3~4割が買うそうだ」
https://webronza.asahi.com/culture/articles/2019042200007.html?page=1

◎熊谷経済新聞によれば「熊谷堂書店」は「地元作家の作品や児童書・定番の絵本、話題の本など厳選した新刊のほか、本の本と言われる『本を紹介する本』や読書や本にまつわる本を中心に、古本も扱」っている。土曜限定だが、30キロの本棚を背負って市内を歩いて回る「行商販売」も行っているそうだ。
https://kumagaya.keizai.biz/headline/527/

KADOKAWAの令和商法はつづく。KADOKAWAは、新元号「令和」の典拠となった「万葉集」において、奥付に「令和元年5月1日発行」と明記した重版出来分を出荷。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000005776.000007006.html
オレは繰り返し言うけれど新古今派。短歌では塚本邦雄だし、俳句では高柳重信なの。

白泉社の絵本「ノラネコぐんだん」が4月21日(日)から5月5日(日)までの2週間、東京メトロ銀座線、丸ノ内線を広告ジャックし、ゴールデンウィークを盛り上げてくれているぞ。5月6日(月)まで「工藤ノリコ 絵本作家20周年記念 ノラネコぐんだん展」が松屋銀座にて開催されている。
https://p-prom.com/feature/?p=33971
「ノラネコぐんだんコミック」も発売された。
https://www.hakusensha.co.jp/booklist/54122/

京都新聞社岡本晃明/Yahoo!ニュース 特集編集部による「部落差別に抵抗した人々 その歴史が刻まれた京都のまちを行く」は読んでおきたい。
「メディアが被差別部落の地名を特定し報じると、『○○さんは部落の人』といった差別を助長し、再生産する恐れがある。逆に報じないと、今もある差別や同和対策事業終了後の課題が、解決済みの過去として忘れさられてしまう」
https://news.yahoo.co.jp/feature/1307?fbclid=IwAR2cGg63yuDurCwB1lsKOMyp4rmH3003nWt3qQnNTJ1OV0QZieXK5WhXE4k

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3)【深夜の誌人語録】

広報が物事を的確に判断するためには、広報は組織内野党である必要がある。広報が与党の役割しか果たさないのであれば、その組織は社会常識から乖離していくことになる。