【文徒】2019年(平成31)4月23日(第7巻72号・通巻1492号)


Index------------------------------------------------------
1)【記事】どうなる「GAFA規制」!必要なのは「楽天規制」
2)【記事】「ハフポスト日本版」+Discover21=ハフポストブックス
3)【本日の一行情報】
4)【月刊「出版人・広告人」次号予告】
5)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2019.4.23 Shuppanjin

1)【記事】どうなる「GAFA規制」!必要なのは「楽天規制」

産経ニュースが4月17日付で「GAFA規制へ新法 自民が提言案」を掲載している。
「巨大IT事業者をめぐっては個人情報などのデータ独占や不公正取引が問題視されている。新法『デジタル・プラットフォーマー引透明化法』(仮称)は、重要な契約条件の明確化などを求め、独占禁止法違反を防ぐ狙いがある。独禁法を企業同士の取引だけでなく消費者との関係にも適用するほか、国内外の事業者間で適用に差がある電気通信事業法なども見直す」
https://www.sankei.com/politics/news/190417/plt1904170040-n1.html
日経は4月20付で「巨大ITへ定期調査 政府規制案、取引条件開示で新法も」を掲載している。
「巨大IT(情報技術)企業への規制に関する政府案の内容が20日、わかった。独占禁止法に基づいて強制力をもつ実態調査を定期的に実施し、IT大手に取引先との契約条件の開示を義務付ける新しい法律も検討する。ITの技術革新を重視しながら、立場の弱い取引先が不利益を被らない競争環境の整備をめざす」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44008410Q9A420C1MM8000/
日経の中西豊紀が呟く。
「ITへのスタンスでは欧州に寄っていく感じの日本。しかしこれGAFA規制というかR(楽天)A(アマゾン)Y(ヤフー)規制のようですが、果たしてRAYはどう反応するのか」
https://twitter.com/TNakanishiNY/status/1119624191861354498
弁護士の山口利昭が自らのブログに「GAFAは『規制』を『チャンス』に変えてしまい、日本企業は『リスク』に直面する(その1)」をエントリしている。
「…GAFAを規制するための立法事実を集めようとしたら、日本の大手ITのほうがヤバイ状況であることが露呈されてしまいました。つまり、GAFAと同じ土俵のうえで日本企業が規制対象となってしまうと、競争格差は広がるばかりということです」
http://yamaguchi-law-office.way-nifty.com/weblog/2019/04/post-36fe59.html
ジョイキャリアの代表をつとめる竹田周はツイッターで次のように指摘している。
「日本で規制を強化しても回避策はいくらでもある。むしろ日本法人を撤退され、人材も国外へ流出なんて事になりかねない。政府は難しいところだが、ユーザーとしてはGAFAレベルのサービスが国内から出てこないビジネス環境に疑問がある」
https://twitter.com/lucyswalk/status/1119929058203037696
三崎尚人のツイートは示唆的である。
GAFA規制と書いてあるのだが、契約内容を一方的に変更された、そのうち手数料の引き上げや契約の打ち切りなど不利益な内容があったと、取引先が回答したのが一番多いのは実は楽天という…
https://twitter.com/nmisaki/status/1118686558209490944
NHK NEWS WEB」によればネット通販の取り引きで、契約内容を「一方的に変更された」と回答した企業は、「楽天」の取引先が93.2%と最も多く、「アマゾン」が72.8%、「ヤフー」が49.9%、「その他」が44.5%となった。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190417/k10011887181000.html
テクノロジーに関する視点を明らかにしないと社会を変えることはできない時代なのである。

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2)【記事】「ハフポスト日本版」+Discover21=ハフポストブックス

「ハフポスト日本版」と出版社のディスカヴァー・トゥエンティワンが4月20日、「ハフポストブックス」を立ち上げた。「ハフポスト日本版」が発表した「『本なんて売れないよ』と何度も言われた。それでもネットメディアが書籍を作る理由。」で編集長の竹下隆一郎は次のように書いている。
「では、なぜ敢えてネットメディアが紙の本を作るのか。政治や社会の中で『分断』が進んでいると言われている時代。インターネットのスピードが速すぎて、ウソも悪口もすぐ拡散してしまう時代。
そんなときに、じっくり読む『遅いメディア』の代表である本を通して読者とつながり、会話をしたいと思っているからです。意見が合わなくても、納得がいかなくても、内容が詰まった本についてなら、おしゃべりが続く。そんな時間をつくっていくための挑戦です」
https://www.huffingtonpost.jp/entry/huffpost-books_jp_5cb7fc11e4b081fd1693105f
次の三点が刊行された。
「内向的な人のためのスタンフォード流ピンポイント人脈術」(竹下隆一郎)
「裏・読書術」(手塚マキ)
「ママは身長100cm」(伊是名夏子)
https://d21.co.jp/feature/huffpostbooks/#
三人のプロフィールも載せておこうか。
竹下隆一郎 1979 年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。2002 年朝日新聞社入社。経済部記者、スタンフォード大学客員研究員を経て2016 年より世界最大級のニュースメディア「ハフポスト日本版」編集長。「会話が生まれる」メディアをめざす。2017 年、創刊5 年目でネットメディアとしては画期的な黒字化を達成。2018 年に月間約2200 万UU 到達。夜の宴席をやめようと呼びかけた「# 飲み会やめる」、それぞれの人に合った100通りの育児を考える「子どものじかん」、毎日の時間の使い方を見直す「#アタラシイ時間」など身近な問題意識を元に数々のキャンペーンを展開してきた。現在はネットの生放送番組「ハフトーク」の事業拡大をめざしている。

手塚マキ 歌舞伎町でホストクラブ、BAR、飲食店、美容室など10数軒を構える「Smappa!Group」の会長。歌舞伎町商店街振興組合常任理事。JSA認定ソムリエ。1977年、埼玉県生まれ。埼玉県立川越高校卒業、中央大学中退後、歌舞伎町で働き始め、NO.1ホストを経て、独立。ホストのボランティア団体「夜鳥の界」を立ち上げ、街頭清掃活動をおこなう一方、NPO法人グリーンバードでも理事を務める。2017年には歌舞伎町初の書店「歌舞伎町ブックセンター」をオープンし、話題に。2018年12月には接客業で培った“おもてなし”精神を軸に介護事業もスタート。近著に、『自分をあきらめるにはまだ早い[改訂版]』(ディスカヴァー)がある。

伊是名夏子 コラムニスト、1982年生。沖縄生まれ・育ち、神奈川県在住。東京新聞中日新聞、ハフポスト、琉球新報で連載中。骨の弱い障害「骨形成不全症」で電動車いすを使用。身長100cm、体調20kgとコンパクト。右耳が聞こえない。ハイリスクな妊娠・出産を乗り越え、5歳と3歳の子育てを、総勢10人のヘルパーに支えられながらこなす。早稲田大学卒業、香川大学大学院修了。アメリカ、デンマークに留学。那覇市小学校英語指導員を経て結婚。「障害者は助けてもらうのではなく、お互いに助け合う存在」をテーマに全国で講演。ファッションショーや舞台でも活躍中。好きなことは、パンダ、体と環境にいいこと、性教育
https://d21.co.jp/feature/huffpostbooks/author/takeshita.html
https://d21.co.jp/feature/huffpostbooks/author/tezuka.html
https://d21.co.jp/feature/huffpostbooks/author/izena.html
手塚マキがツイートしている。手塚はツイートに熱心である。
ジュンク堂書店池袋本店@junkudo_ike さんが、凄い良いところで扱ってくれています。予備校時代を過ごした南池袋。ラグビーから解放されて、1番はっちゃけた思い出の街。予備校時代お世話になったジュンク堂でこんな扱いされることに感動です!!ありがとーです!」
https://twitter.com/smappatekka/status/1119248284264984576
未来屋書店 レイクタウン店のオススメは「内向的な人のためのスタンフォード流ピンポイント人脈術」だ。
「ちょっとしたご縁があって発売前に読ませていただいたのですが、かなりオススメです。1人でも多くの人に読んでほしいし、"人と人の繋がり方"について考えてほしいと思います」
https://twitter.com/ms_laketown/status/1119166680641359872
発売前重版が決まったと竹下本人がツイートしている。
https://twitter.com/ryuichirot/status/1113764692617351168
なかなか、考えられた、強力なラインナップである。「ハフポスト日本版」が書籍を立ち上げるにあたってディスカヴァー・トゥエンティワンをパートナーに選んだのは大正解であったのではないか。

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3)【本日の一行情報】

KADOKAWA横浜市は「横浜の魅力づくりと魅力発信に関する連携協定」を締結した。
具体的な取り組みとしては
(1)月例企画会議の開催
KADOKAWAが発行する「横浜ウォーカ―」やWEB等の媒体を活かした発信や企画立案を行うため、市の様々な部局と「横浜ウォーカー」編集部による月例企画会議を開催し、密な情報交換を行う。
(2)ラグビーワールドカップ2019における連携
ラグビーワールドカップ2019の機運醸成やラグビー観戦者等の周遊や滞在を促進させるプロモーションに取り組む。
ア )「横浜ウォーカー」編集部によるラグビー記事の掲載(5月20日発売号より連載予定)。
イ )ラグビーワールドカップ2019の開催中に、試合会場、ファンゾーン及び市内各所の回遊性を高めるプロモーションの実施。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000005756.000007006.html

KADOKAWA崎陽軒は、4月27日(土)、28日(日)の2日間、 コラボ企画として、幕張メッセで開催されるニコニコ超会議2019に初出展する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000005768.000007006.html

◎「BuzzFeed News」が「NHKが『皇室の祖先は天照大神』と報道→『現人神宣言か』と疑問の声」で書いている。
「皇室と天照大神の関係について説明する際、報道では『皇室の祖先とされる』『皇室の祖先神』などと表記し、天照大神はあくまで宗教上の存在であることを示すのが通例だ。
こうした表記がされる背景には、神格化した天皇を中心に構築された戦前の国家体制への反省がある」
https://www.buzzfeed.com/jp/keiyoshikawa/nhk

◎メキシカン・ギャングと「兄弟分」となった元ヤクザの半生を描ドキュメンタリー映画「HOMIE KEI~チカーノになった日本人~」が公開される。「別冊ヤングチャンピオン」で連載されたマンガ「チカーノKEI」(秋田書店)の単行本は、4巻合わせて発行部数40万部を突破しているそうだ。
https://news.merumo.ne.jp/article/genre/8578923

◎and factoryは、白泉社と共同で開発・運用しているアプリ「マンガPark」で白泉社の少女マンガ誌「花とゆめ」の創刊45周年を記念して、4月20日から日替わりで45作品を全話無料で公開している。6月3日まで。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000134.000014185.html
花とゆめ」は4月20日発売号で創刊45周年となった。付録の花とゆめ」を代表する52作品が登場する「花とゆめ45周年記念トランプ」はオレも欲しい。
https://natalie.mu/comic/news/328723

トキハインダストリーあけのアクロスタウンの紀伊国屋書店大分店が閉店したが、くまざわ書店が同じ場所にオープンすることになった。
https://www.oita-press.co.jp/1010000000/2019/04/20/JD0057999302

西日本新聞の4月20日付「ルフィの仲間像、県と集英社が覚書 益城など4市町に先行設置 新加入なら像追加も [熊本県]」は書いている。
熊本県は19日、人気漫画『ONE PIECE(ワンピース)』の主人公ルフィの仲間8キャラクターの像について、本年度中に熊本市阿蘇市益城町、御船町に4体を先行して設置すると発表した。県と発行元の集英社は同日、像設置の覚書を締結し、作中で新たにルフィの仲間が増えた場合は像を追加設置することなどを取り決めた」
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/kumamoto/article/504099/

渡瀬夏彦が「週刊金曜日」に「どうなる衆議院・沖縄補選 『オール沖縄』優位も自公は組織票固め」を掲載している。
https://blogos.com/article/372097/?p=1
「出版人・広告人」5月号の編集後記を乞うご期待。

三島由紀夫賞山本周五郎賞の候補作が決まった。
三島由紀夫賞】倉数茂「名もなき王国」(ポプラ社)▽三国美千子「いかれころ」(「新潮」平成30年11月号)▽岸政彦「図書室」(「新潮」30年12月号)▽金子薫「壺中に天あり獣あり」(講談社)▽宮下遼「青痣」(「群像」31年3月号)
山本周五郎賞】芦沢央「火のないところに煙は」(新潮社)▽赤松利市「鯖」(徳間書店)▽朝倉かすみ「平場の月」(光社)▽木皿泉「カゲロボ」(新潮社)▽澤田瞳子「落花」(中央公論新社
https://www.sankei.com/life/news/190419/lif1904190040-n1.html

◎LINEは、「LINE」および「LINE」関連サービスを活用した各種法人向けサービス「LINE Biz-Solutions」において、「LINE公式アカウント」の新プラットフォームの提供を開始した。また「LINE公式アカウント」と「LINE@」の完全統合を開始した。
https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2019/2677

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4)【月刊「出版人・広告人」次号予告】

◎【特集】二十一世紀の出版
高須次郎 緑風出版代表取締役社長 インタビュー
アマゾン〈帝国〉の暴走に抵抗するために

◎【著者に会いたい】
『沖縄アンダーグラウンド 売春街に生きた者たち』(講談社
著者・藤井誠二氏に聞く

◎【真相追及】当事者を直撃!
講談社『美しい顔』刊行に至る「協議と交渉」の内実
新曜社編集部・小田亜佐子 営業部部長・中山修一
              (次号=5月号は25日発送予定!)