【文徒】2019年(平成31)3月27日(第7巻55号・通巻1473号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】海外高級ブランド「差別」「炎上」事件
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2019.3.27 Shuppanjin

1)【記事】海外高級ブランド「差別」「炎上」事件

3月25日付毎日新聞が「海外高級ブランド次々『炎上』 多様性への意識欠く」を掲載している。最近、問題になったのは次の通り。
「伊ブランドのドルチェ&ガッバーナ(D&G)の、モデルが箸でピザなどを食べる中国向けの広告動画(昨年11月)▽伊ブランドのプラダの、茶色い肌と赤く分厚い唇が特徴的なキャラクターの製品(同12月)▽伊ブランドのグッチの、口まで覆える襟に大きな赤い唇の形がデザインされた黒色セーター(今年2月)▽英ブランド、バーバリーのフードのひもが首つりに使う縄のように結ばれたパーカ(同)=カッコ内は各ブランドが謝罪した時期」
https://mainichi.jp/articles/20190325/ddm/003/040/105000c
「ハフポスト日本版」が「グッチ 黒のセーターが黒人差別と指摘され販売中止」を発表している。
「イタリアの高級ブランド「グッチ」がネットで炎上した。
理由は、顔を黒く塗り黒人を真似る『ブラックフェイス』を想起させる黒のセーターの販売。その後グッチはTwitterで謝罪し、販売を中止した。
『グッチはこのセーターによって人々に不快な思いを与えたことを、心より謝罪します』と声明で語った」
https://www.huffingtonpost.jp/2019/02/07/gucci-blackface_a_23664380/
共同通信の「グッチのセーター『黒人差別』」は書いている。
タートルネックのセーターは口元まで引き上げられるようになっており、黒地に大きな赤い唇の形がデザインされている。これに対してネット上で黒人を差別しているとの批判が上がっていた」
https://this.kiji.is/466255544261772385?c=113147194022725109
「WWD」が「“黒人差別”と物議を醸した『グッチ』 CEOが釈明、独占インタビューを公開」を掲載している。マルコ・ビッザーリ社長兼CEOは次のように発言している。
「今回の件は、この問題への無知が引き起こしたもの。これは言い訳ではないが、断じて意図したものではない。われわれはミスを犯した。だが本件は人々に不快感を与えてしまったために、他のミスよりも深刻だ。過去4年間社内で行ってきた取り組みがあったにもかかわらず、ダイバーシティーへの理解が欠けており、そしてわれわれが期待していたレベルの理解が、社内全体で一定でなかった。正しいレベルまで意識を向上させ、プロセスがきちんと報告されるように可視化するべく、現在このプロセスを見直している。今回の件は、知識の欠如が原因だった」
https://www.wwdjapan.com/795090
「ハフポスト日本版」は「ケイティ・ペリーがデザインした靴 黒人差別で販売中止」を発表している。
アメリカのエンターテイメントニュースは、ケイティ・ペリーファッションブランド『ケイティ・ペリー・コレクション(Katy Perry Collections)』が、2種類の靴を米デパートのディラーズ(Dillard's)で販売中止にする作業中であることを報じた。問題の靴は、黒人差別を想起させる「ブラックフェイス」に似ているとネットで指摘を受けていた」
https://www.huffingtonpost.jp/2019/02/11/katy-perry-collections_a_23667252/?ncid=tweetlnkjphpmg00000001
「ハフポスト日本版」は「バーバリーの服に『首吊り縄が自殺を連想させる』 モデルが問題提起し、同社が謝罪」を発表している。
「イギリスの高級ブランド『バーバリー』が2月20日、ロンドンのファッションショーで発表したフード付きパーカーに対し、モデルから「自殺を連想させる」と問題提起があり、謝罪した」
https://www.huffingtonpost.jp/entry/burberry-2019-aw_jp_5c6e0015e4b0e37a1ed4aaff
「ハフポスト日本版」は「『黒人差別』との批判で、プラダが販売中止したキャラクターとは?」を発表している。
「イタリアの高級ブランド『プラダ』が発売していたキャラクター製品が「黒人を差別している」との批判を受けて、同社は販売を中止した」
「…『オット』というサルをイメージしたというキャラクターが、黒い顔に大きな赤い唇が描かれていたことが問題視された」
https://www.huffingtonpost.jp/2018/12/17/pradamalia-otto-news_a_23620994/
次のようなツイートを発見した。差別から逃げるのではなく、差別に正面から向き合おうとしているプラダの対応は見習いたい。
ヤマンバギャルメイクは日本独特のカルチャーであり、人種差別の概念を持ったものではありませんが、近年の海外ではこういった表現は非常にセンシティブなものに当たります。去年末プラダが店頭に設置したキャラクターがブラックフェイス表現だと指摘を受け謝罪、撤去をしたことも記憶に新しいです」
プラダは意図的なものではなかったが不快な思いを与えたとして謝罪を掲載し、自社内で多様性に関するトレーニングを行うと共に多様性や化への取り組みを指導する諮問委員会を設立し、商品が市場に出るまでのプロセスを検証。該当商品が撤去されるまでに得た収益は反人種差別団体に寄付すると発表」
https://twitter.com/staytune24h/status/1108233050591236096
https://twitter.com/staytune24h/status/1108233051757268994
AFPは「ドルガバが上海でのショー中止 インスタ投稿への差別批判広がる」で、次のように書いている。
「伊ファッションブランド「ドルチェ&ガッバーナDolce & Gabbana)」は21日、同社のソーシャルメディアへの投稿が人種差別的だとする抗議の広がりを受け、かねて計画していた中国・上海でのファッションショーを中止した。同社にとって、世界で最も重要なぜいたく品市場での大きなつまずきとなる」
「怒りっぽい性格で知られる同社の看板デザイナー、ステファノ・ガッバーナ(Stefano Gabbana)氏は、この動画をめぐるインスタグラム利用者とのチャットの最中、中国のことを汚物の絵字五つで表現するなど、中国や中国の人々を繰り返し侮辱。このチャットの様子を記録しスクリーンショットが拡散し、怒りの嵐が起こった」
https://www.afpbb.com/articles/-/3198722
「ハフポスト日本版」は「ドルガバ炎上動画の中国人モデル『キャリアがほぼ終わってしまった』 謝罪と心境つづる」を掲載している。
「イタリアのファッションブランド『ドルチェ&ガッバーナ』がSNSに投稿した広告動画が『人種差別だ』と中国国内で批判された問題で、動画に出演していた中国人モデルの女性が騒動後、初めて口を開いた。
1月21日に中国のSNS「Weibo」に投稿した声明の中で謝罪し、『モデルとしてのキャリアがほぼ終わってしまうとは予想していなかった』と心境をつづった」
https://www.huffingtonpost.jp/2019/01/23/dolce-and-gabbana-model_a_23650419/
これも「ハフポスト日本版」。「ドルチェ&ガッバーナ、創立者2人が動画で謝罪『世界中の中国人の方に謝りたい』」。
「イタリアのファッションブランド『ドルチェ&ガッバーナ』は11月23日、告知動画やデザイナーのステファノ・ガッバーナ氏の『発言』が中国国内で批判を浴びたことを受け、中国のSNSWeibo』やTwitterなどに謝罪動画を投稿した」
https://www.huffingtonpost.jp/2018/11/23/dolce-gabbana-appology_a_23597857/
冒頭に紹介した毎日新聞の記事で、京都精華大講師で、ファッション批評家の蘆田裕史が次のように指摘している。
SNSが浸透し、消費者の意見が表面化しやすくなったにもかかわらず、ブランドの体制やファッション教育はユーザー視点がなおざりだ」
「NewSphere」は「グッチやプラダも……なぜファッションブランドへの『人種差別』批判が起きているのか」を公開している。
「グッチがアレッサンドロ・ミケーレ氏のもとでジェンダーにこだわらない装いを追求してきたように、ファッション業界はこれまで、先頭に立って性規範について取り組んできた。しかし一方で、人種間の寛容さや気候変動、女性の地位向上などといった社会問題への対応については、他の業界に遅れをとってきた」
https://newsphere.jp/culture/20190219-1/
日本のブランドやメディアにとっても他人事では済まされまい。日本はブランドもメディアも本質的には「差別」に鈍感だと思う。「差別」について過剰に意識しながらも本質的には鈍感だからタチが悪いのだ。

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2)【本日の一行情報】

◎宅配収納サービスを提供するトランク(以下、トランク)は、ライトハウスメディアと提携し、3月25日(月)より男性ファッション誌「OCEANS」デジタル版定期購読6ヶ月と「TRUNK」1箱6ヶ月利用(2ヶ月無料+3ヶ月目以降150円)を特別価格で提供している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000018924.html

地域活性化・まちづくりを支援するコンサルティング会社である合同会社フォーティR&Cの代表社員・水津陽子は3月28日(木)実業之日本社より新刊本「トラブル解消、上手に運営!自治会・町内会お悩み解決実践ブック」を出版する。
https://www.value-press.com/pressrelease/218046
本を出したい人は間違いなく増え続けている。

◎訪日外国人向けのショッピングサポートアプリ「Payke」(ペイク)を展開するPaykeは、講談社、サツドラホールディングスのグループ企業であるサッポロドラッグストアーの3社で、日系企業の台湾進出におけるマーケティングプラットフォーム構築を目的とした共同プロジェクトを発足し、その第一弾として10代から20代をターゲットにした女性ファッション誌「ViVi」のリアルファッションイベント「ViVi Night in Taipei」を11月16日に開催する。海外での「ViVi Night」の開催は、今回が初めてだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000022289.html

◎担当希望オファーの中から自分の担当編集者を「逆指名」できるマッチング型マンガ投稿サイト「DAYS NEO」に講談社の全マンガ媒体の編集部員が参加することになった。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002108.000001719.html

◎「Business Journal」の「新聞紙面に滲み始めた、新聞社のコスト削減と『働き方改革』の苦労」。
「深夜まで紙面をなんどもつくり直して版を重ねることは、はたして合理的なのか。人件費だけではなく、何度も刷版をつくるのにもコストがかかる。そのコストもばかにはならない。そういった場合、早い時間で校了してそれを最終版としても、よいのではないだろうか」
https://biz-journal.jp/2019/03/post_27195.html
ちなみに私が「」で重視しているのは、情報を発信する速度ではなく、発信された情報を読み解く速度である。

◎日販は4月30日(火)から5月2日(木)の3日間については、各流通センターを稼働させると同時に、王子流通センターへの注品の搬入受付・出荷を実施する。
https://www.nippan.co.jp/news/butsuryu_gw_2019/
https://www.nippan.co.jp/wp-content/uploads/2019/03/gw_butsuryu_2019.pdf

radikoは4月1日(月)より、NHKが実験として実施してきたラジオ番組の配信を
正式なサービスとして実施する。配信エリアは全国47都道府県で、配信コンテンツは、
NHKラジオ第1(全国を8エリアに分けた8コンテンツ)およびNHK-FM(東京1コンテンツ)。
http://radiko.jp/#!/info/2377

人工知能を用いた特許審査シミュレーションシステム「IP Samurai」を開発・販売するAI Samuraiは、学研プラス次世代教育創造事業部STEAM事業室と鳥取大学医学部附属病院新規医療推進センター 植木賢教授と発明を通じてクリエイティブ思考を育てるコンテンツの開発・提供を目的に三者間で連携することになった。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000053.000021559.html

◎「劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~」の中国での興行収入が、1億元(約16憶円)を突破した。
http://spice.eplus.jp/articles/232124

◎「週刊実話」の「視聴率下位でも高笑いフジテレビ黒字化経営の謎」は次のように書いている。
字通りテレビ界下位の同局だが、開局60周年の記念に先頃、金一封が全局員に配布されたという。
『千円札で60枚。1万円札だったら言うことはないのですが、贅沢は言えません』(フジ関係者)
ちなみに、日テレが開局60周年を迎えた時は…。
『1万円がやっと。6万円なんて、とてもとても…の金額です』(日テレ関係者)
実に驚きなのだが、同局の決算は増収増益、黒字化する見通しなのだという」
https://news.nifty.com/article/entame/jitsuwa/12151-229079/
3月25日にはフジテレビは東京新聞を丸ごと包み込んでしまうラッピング広告を掲載した。
こういうツイートもあれば…
「3/25東京新聞の朝刊、なんだこれは。広告局はこんな新聞の一面を売り渡すような広告はやめろよ。フジテレビなんか普段見もしないし興味ない。
優秀な記者さんたちには悪いがページをめくる気もなくなる」
https://twitter.com/ogawabfp/status/1109942041385943041
「今日の東京新聞を見た瞬間、産経新聞はお終いだと感じた!」をエントリしたブロガーもいた。
https://blogs.yahoo.co.jp/zudonosan/38932543.html

◎宝島社は、シリーズ累計29万部を突破した「素敵なあの人」第5弾となる「大人のおしゃれ手帖特別編集 素敵なあの人春号」を3月25日(月)に発売した。結城アンナ修・北欧のテキスタイルブランド「kippis(キッピス)」のショルダーバッグがシリーズとして初の付録となる。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000836.000005069.html

◎「鹿の王」シリーズは累計190万部を突破しているが、上橋菜穂子は作家生活30周年記念作品として「鹿の王 水底の橋」をKADOKAWAから上梓する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000005678.000007006.html
アニメ映画化も決まった。
http://hon-hikidashi.jp/enjoy/79314/

◎ぴあは、シリーズ累計28万部の恋愛エッセイのコミックス版を3月30日に発売することになった。 Twitterフォロワー25万人を突破している 0号室の「勇気は、一瞬 後悔は、一生COMICS版 」がそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001162.000011710.html

渡辺直美はデザイナーのとんだ林蘭と中学時代の同級生だそうだ。「装苑」(化出版局)の撮影でタッグを組んだという。
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1903/24/news026.html
https://news.merumo.ne.jp/article/genre/8501763

◎3月7日に発売した光社の女性ファッション誌「VERY」4月号の別冊付録「ばーばVERY」の評判が良いようだ。「ばーばVERY」の表紙を飾ったのは、24年前に「VERY」創刊の表紙を飾った黒田知永子である。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000170.000021468.html

◎「『涙が止まらない』講談社エリート編集長“妻殺し”裁判 夫に送られた15通のラストメッセージ」は「週刊春デジタル」のオリジナル記事である。
「事件前日の8月8日。朴被告が出社すると、妻から15通ものメールが相次いで届いた。
〈息切れ状態です〉〈一日一日過ごすのが精一杯〉〈ご飯が決まらない〉〈涙が止まらない〉〈全部楽しくない〉……。面から、妻が追い込まれ、不安定になっている様子が窺える。〈(朴被告が)電話できないなら、送ったメール全て返信してほしい〉。仕事の合間にメールを閲覧したであろう朴被告は、何を思ったのか」
https://bunshun.jp/articles/-/11148

紀伊國屋書店弘前店が5月6日で閉店すると東奥日報が伝えている。
https://www.toonippo.co.jp/articles/-/170152

小学館集英社プロダクションは、世界中で人気のコンテンツである「ポケモン」から初の公式ベビーブランド「monpoke(モンポケ)」を発表した。
https://www.oricon.co.jp/news/2132271/full/

乃木坂46と光庫がコラボして、乃木坂46全メンバーが撮り下ろしによるスペシャルカバーで、44冊の人気作品のカバーとして書店にずらりと並ぶ「乃木坂庫 2019夏 青春&ミステリー」フェアが7月1日(月)より開催される。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000171.000021468.html

◎日本最大のレシピ動画サービス「kurashiru」(クラシル )」を運営するdelyは、国内No.1の女性向けメディア「TRILL」の株式の51%をヤフーより取得し、連結子会社化した。クラシルとトリルのウェブとアプリそれぞれの月間利用者数は、合計すると3,500万人を超える。
https://www.fashionsnap.com/article/2019-03-25/dely-trill/

宮田昇が死去。90歳。冨田健太郎のツイート。
「まさかの宮田昇さんの訃報。先日も戦時加算の計算をしていて、宮田さんに聞くべきことがまだ数々あるなと思ったが、そのときはすでに亡くなられていたのか。いつまでもお元気だと信じこんでいた。日本ユニ著作権センターの月報に『昭和の翻訳出版事件簿』書評の指名を受けたのは身にあまる光栄でした」
https://twitter.com/TomitaKentaro/status/1109426757294120960
滝季山影一のツイート。
「『著作権コンサルタント宮田昇さん(90)』の訃報を新聞で読み、内田庶先生はこの人だったのか!と驚いた。今はなき鶴書房から、時をかける少女夕ばえ作戦と並んでジュブナイル作品を刊行されていて、SF作家ではないこの人は何者?と思ってたのである。元早川書房編集者と聞いて43年目にして納得」
https://twitter.com/ETakiyam/status/1110314069418926080

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3)【深夜の誌人語録】

正解よりも工夫が大切である。