【文徒】2021年(令和3)3月19日(第9巻51号・通巻1948号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】「オリンピッグ」に右往左往した五輪、春の走狗となった大新聞
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
4)【お知らせ】 
----------------------------------------2021.3.19 Shuppanjin

1)【記事】「オリンピッグ」に右往左往した五輪、春の走狗となった大新聞

春オンライン」が「『渡辺直美をブタ=オリンピッグに』東京五輪開会式『責任者』が差別的演出プラン」を発表している。
《3月25日に聖火リレーのスタートを控える東京五輪。その開会式の責任者が、出演予定者の渡辺直美をブタとして演じさせるプランを提案し、関係者から批判を受けて撤回に追い込まれていたことが、「週刊春」の取材でわかった。一連のやり取りを示すLINEを入手した。》
https://bunshun.jp/articles/-/44102
かくして三大紙は完全に「春砲」の補完メディアへと変貌していくことになる。
朝日新聞デジタルは3月18日付で「『女性容姿侮辱の演出提案』 統括者退任へ 五輪開会式巡る報道」を掲載している。
《今夏に延期となった東京オリンピックパラリンピックの開閉会式の演出を統括するクリエーティブディレクターの佐々木宏氏(66)が、開会式に出演予定だった女性タレントの容姿を侮辱するようなメッセージをチーム内のLINEに送っていたと、春オンラインが17日報じた。佐々木氏は退任する方向で、大会組織委員会の橋本聖子会長が18日に記者会見し、問題の経緯や佐々木氏の処遇について説明する見込み。》
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14836892.html
讀賣新聞オンラインは3月18日付で「五輪と豚かけ『オリンピッグ』…開閉会式演出統括、女性タレントの容姿侮辱する案に批判続出」を掲載している。
東京五輪パラリンピック開閉会式の演出の統括役を務める佐々木宏氏(66)が、女性タレントの容姿を侮辱するような構想を演出チームに伝えていたと週刊春(電子版)が17日、報じた。大組織委員会は事実確認を進めており、橋本聖子会長が18日に記者会見を開いて結果を説明する方針だ。》
https://www.yomiuri.co.jp/olympic/2020/20210317-OYT1T50248/
朝日、讀賣は「匿名」で報道しているが、毎日は「実名」を選択している。毎日新聞は3月18日付で「五輪演出統括、辞任へ 開会式案 渡辺直美さん容姿侮辱」(浅妻博之)を掲載している。
東京オリンピックパラリンピックの開閉会式の演出の総合統括を務めるクリエーティブディレクター、佐々木宏氏(66)が、人気タレントの渡辺直美さん(33)の容姿を侮辱するようなプランを提案していたと週刊春電子版が17日報じた。大会関係者によると、佐々木氏の辞任は避けられない見通し。》
https://mainichi.jp/articles/20210318/ddp/001/050/001000c
このプランが演出チームに提案されたのは昨年3月のこと。オリパラの開閉会式の演出の総合統括に就任したのは昨年12月のことだ。武田砂鉄がツイートしている。
《昨年3月にこの件が内部で問題視されていたのに、昨年12月に、大会組織委員会が、佐々木氏を新たな開閉会式の演出総合統括に起用した事実。》
https://twitter.com/takedasatetsu/status/1372095824532934656
日刊スポーツは3月18日付で「渡辺直美に『おわびしてもしきれない』佐々木氏辞意」を掲載している。
《記事によると佐々木氏は演出チーム内のLINEに渡辺が豚に変身する演出案を送っていた。豚にかけて「オリンピッグ」などと書き、豚の絵字まで使っていたがチーム内の批判を浴び、撤回に追い込まれた。
組織委は17日深夜、佐々木氏の謝罪を公表。書には「あと数カ月に近づいた五輪パラの開閉会式を日々、死にものぐるいで準備するメンバーにも、本当に申し訳ない。先ほど、橋本会長にお電話で辞意をお伝えしました。渡辺さんにはおわびをしてもしきれないと思っています」と書かれていた。》
https://www.nikkansports.com/olympic/tokyo2020/news/202103180000016.html
片岡Kのツイート。
《佐々木宏さんの演出はある意味一貫してるからなあ。白戸家のお父さんを犬に、長男を黒人男性に設定すること。トミー・リー・ジョーンズには宇宙人を、ジャン・レノドラえもんを演じさせること。そして何よりあの、安倍マリオ渡辺直美でオリン”ピッグ”なんてまさに佐々木宏演出そのものだとしか。》
https://twitter.com/kataoka_k/status/1372312470858035201
一方で、例えば東浩紀春の記事に相当衝撃を受けている。
《有料部分、すごい記事だった。女性蔑視に限らず、開会式演出がいかに佐々木氏によって私物化され、壊されたかという告発記事。これは本当に五輪辞めたほうがいいんじゃないかな。日本は五輪やる資格ないよ。》
https://twitter.com/hazuma/status/1372234813306900480
日刊スポーツの前出記事によれば「前演出チームだった振付家のMIKIKO氏から企画を乗っ取ったという趣旨が書かれていたが、佐々木氏はその点については『事実ではない』と否定」しているそうだ。
https://www.nikkansports.com/olympic/tokyo2020/news/202103180000016.html
中島岳志が呟く。
《残念ながら、いまの日本にオリンピックを開催する資格はない。
https://twitter.com/nakajima1975/status/1372193785099128836
「限界マスコミのアライさん」のツイート。
《猪瀬知事辞職→新国立競技場問題(神宮外苑都市計画緩和疑惑含む)→エンブレム問題→桜田五輪相「復興以上に大事」発言で辞任→裏金招致疑惑で竹田JOC会長辞任→女性蔑視発言で森組織委会長辞任→女性タレント容姿差別で佐々木式典統括辞意……内向きで不公正で衰退する日本しか感じられないのだ。》
https://twitter.com/arai3media/status/1372264800613404672
産経新聞の三枝玄太郎は、こんなことをツイートしている。
《この佐々木氏のトホホな提案の感性の是非は措くとして、この提案は周囲に反対されてひっこめたんでしょ? それと渡辺さんは何と言ってたの? 春は単にオリンピックを潰したいだけなんじゃないの?》
https://twitter.com/SaigusaGentaro/status/1372378092304359425
劇作家のケラリーノ・サンドロヴィッチのツイート。
《佐々木さん辞めたか。じゃあもう結局誰も残っていない。
擁護するわけではないが、オリパラに限らず、ブレスト会議では皆、思ったことをとりあえず言ってみる。言わずに引っ込めようとすると「一応言ってみて」と促される。必然的にゴミのような意見も多くなる。
それはともかく、もう無理だろう五輪。》
https://twitter.com/kerasand/status/1372396018394800132
福原伸治のツイート。福原はフジテレビ出身のBuzzFeed Japan 動画統括部長だ。
《オリンピックの開閉会式はその国の歴史や社会化とエンターテイメントを高いレベルで融合させる技術と知性が要求される。なのにマリオはともかくブタとは…。そういう方が演出のトップだったことに驚き。野村萬斎氏の降板もなにかあったんだろう。マス広告の時代の終わりをも象徴しているような案件。》
https://twitter.com/shinjifukuhara/status/1372315625104625664
「ねとらぼ」の3月18日付「『調子に乗って出したアイデア』 女性タレントをブタに見立てた五輪演出統括、謝罪を公開」が公開した佐々木の謝罪には、こうある。
《ふだんは、自分では、多様性、ジェンダー問題、そして、容姿などを揶揄して人を傷つけてはいけないと言うことには、気をつけているつもりでしたが、このようなことで、それがとんでもない勘違いで、自分の意識の低さ、無神経さにあらためて、気づいた次第です。今後は、自分の生活全般、仕事に対する姿勢、日常の言動などについて、猛反省し、意識改革をし、自らの思い込み、偏見、鈍感さ、などを見直し、あらためて、生まれ変わりたいと思います。》
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2103/18/news062.html
毎日新聞は3月18日付で「佐々木氏の辞意に関係者『もう嫌』 渡辺直美さんへの侮辱的提案」を掲載している。
《組織委は2月、森喜朗前会長が女性蔑視発言で引責辞任したばかり。橋本氏をトップとする新体制となった組織委は今月、女性12人を理事に選出して理事会の女性の比率を40%超に倍増。22日に予定される理事会で新たなスタートを切るはずだった。ある組織委関係者は「もう嫌になる。常識外れで情けない」とため息をついた。
今回も組織委の危機管理は粗さが目立った。佐々木氏は謝罪で「春さんから電話取材を受けた段階で、私の大失言が表に出て、渡辺直美さんにも伝わるときが来たら、責任を取って辞表を出すべきと考えてきました」としているが、組織委は事前に把握していなかった。》
https://mainichi.jp/articles/20210318/k00/00m/050/050000c
共同通信は3月18日付で「開閉会式『佐々木氏案を基本に進めるべき』」を配信している。
東京五輪パラリンピック組織委員会橋本聖子会長は、開閉会式の演出に関し「また一からつくり上げるのは困難」と述べ、佐々木氏の案を基本に準備を進めるべきだとの考えを示した。》
https://this.kiji.is/745128098068004864
清水潔が引用ツイートを発表している。
《五輪に差別的プランを提案した佐々木氏だが、間に合わないので開閉式を佐々木氏案で行うと橋本会長。よもや差別的演出がどこかに隠されているかもしれないが、どんな形であれとにかく開催って事らしい。会長が変わっても根っこは同じなんだな。》
https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1372406772896468994

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2)【本日の一行情報】

◎LINEスタンプなどで人気のキャラクター「クソハムちゃん」小学館のコミックアプリ「マンガワン」に連載されているギャグ漫画「生き抜け!爆走!クソハムちゃん」で大活躍だが、3月17日は「クソハムちゃん」のLINEスタンプが初リリースされた記念すべき、いわばお誕生日だ。これを記念して「マンガワン」は24時間限定で全話を無料公開する「クソハム生誕祭」を3月17日(水)に開催した。また、YouTube公式チャンネル「クソハムちゃんねる」も開設した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001059.000013640.html

◎有本香のリツイート。なるほど。
朝日新聞らしからぬ、鋭く深く、かつ私たちの益に直結する秀記事と思って感心していたら、やはり峯村さんだったか。》
https://twitter.com/arimoto_kaori/status/1371950898507771907

◎e-Storyサービス「peep」を運営するtaskeyは、同じくe-Storyアプリ「TanZak」を運営する集英社と共同で、次世代のクリエイターの創造を目的に「e-Story大賞20201」を開催する。「peep」や「TanZak」はリリース当初、「チャット小説」「チャットノベル」と通称されるサービスを提供してきたが、運営を続ける中で、小説のように字で物語を紡ぐことができ、漫画のように広がりやスピード感のある展開を描ける、小説と漫画の双方の良さを兼ね備えたアートフォームへと進化を遂げていったそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000066.000012747.html

◎「日経クロストレンド」は3月17日付で「『SPY×FAMILY』の快進撃 ウェブ発で累計発行部数800万部突破」を発表している。次の点は「SPY×FAMILY」が短期間にコミックスの売上を伸ばすことのできた理由のひとつである。
少年ジャンプ+にはそうして流入してきた読者をつなぎ留める施策もある。それが、初めて少年ジャンプ+アプリをダウンロードしたユーザーは同媒体のオリジナル連載作品、全作全話を初回に限り無料で読めるというものだ。
当初は1~3話と最新の3話のみを無料としていたが、初回の閲覧に限り、対象を公開済みの全話に広げたことで、受賞やメディアでの紹介をきっかけに少年ジャンプ+の連載作品に興味を持った読者が、いきなり最新話まで追い付けるようになった。結果的に新規読者の定着率が大きく向上したという。》
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/casestudy/00012/00551/

おやつカンパニーは、TVアニメ『呪術廻戦』とベビースターコラボ商品「呪術廻戦×ベビースターラーメン(チキン味)」を5月17日(月)より企画限定商品として全国発売する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000172.000021119.html
ベビースターラーメンは酒の肴としてもgoodだ。

毎日新聞は3月17日付で「BTS、アジアから世界へ 英米メディアは『21世紀のビートルズ』」(広瀬登)を掲載している。
《また20年6月には、BLMに関連付け、「我々は人種差別に反対します。我々は暴力を非難します。あなた(たち)と私と私たちは、尊敬を受ける権利を持っています。我々は団結するのです」とツイッターで表明。運動に100万ドルを寄付した。
これらの活動も相まって、BTSは一部のファンコミュニティー間だけで完結することなく、若者たちにとって言語や国を超えた普遍的な存在となった。金准教授によると、英米メディアはBTSのことを「21世紀のビートルズ」と呼んでいるという。》
https://mainichi.jp/articles/20210317/k00/00m/040/056000c

実業之日本社は、4月8日(木)に実業之日本社庫の新たなシリーズとして「実業之日本社庫GROW」の刊行を開始する。「実業之日本社庫GROW」は、ライト芸ジャンルの小説を提供する。
https://www.atpress.ne.jp/news/251181

◎エディアの子会社である一二三書房は、新たなコミックレーベル「コミックノヴァ」を立ち上げた。一二三書房の小説レーベルであるサーガフォレスト・ブレイブ庫・一二三庫や「小説家になろう」などから厳選されたウェブ小説のコミカライズや、オリジナルコミックの提供を行うため設立したコミックレーベルだそうだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000347.000021592.html

白泉社の少女マンガ誌「LaLa」で活躍している林みかせが画業20周年を迎える。これを記念して白泉社がが運営するアプリ「マンガPark」では、林みかせの「うそカノ」など合計161チャプターが無料で読めるキャンペーンを3月17日(水)~3月23日(火)の期間限定で実施している。また、アプリストアページで該当する単行本を1冊買うと248コインをプレゼントするコインバックキャンペーンも同時に実施している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000460.000046848.html

◎学研プラスは、6月30日まで中学生応援のため、対象となる辞典2冊を購入すると図書カード500円を謹呈するキャンペーンを実施している。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003235.000002535.html

新型コロナウイルスの影響で甲子園が中止となった2020年、愛媛県済美高校と石川県の星稜高校、2校の野球部のひと夏に密着した早見和真のノンフィクション「あの夏の正解」が新潮社より発売された。早見和真は、桐蔭学園出身(元巨人・高橋由伸さんの2学年後輩)の元球児で、「店長がバカすぎて」本屋大賞ノミネート、「ザ・ロイヤルファミリー」でJRA賞化賞と山本周五郎賞を史上初・ダブル受賞した作家だ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000165.000047877.html
帯に章を寄せている宮下奈都がツイートしている。
《3月17日発売『あの夏の正解』。甲子園が中止になった夏の高校球児たちを、元高校球児だった早見和真さんが追うノンフィクション。高校生って、やわらかくて、強い。それが希望だと思った。
終盤、高校野球に対する恨みが解けていったという早見さんの正直さにも驚かされる》
https://twitter.com/NatsMiya/status/1371661520229126145
毎日新聞は3月17日付で「コロナ禍で甲子園中止 強豪校の球児追う あの夏、プレー楽しんだ 作家・早見和真さん」(葛西大博)を掲載している。
《甲子園への道は閉ざされているのに、なぜ野球を続け、楽しいと感じたのか。「彼らは、野球を始めた頃の『打つのが投げるのが楽しい』という本当にシンプルな気持ちにたどり着いたと思うんです。これくらいの名門校の選手たちは、親の期待や地元の期待、チームの指導者の期待とか、一個一個背負っていく。さらに自分自身が甲子園で活躍したいという思いも、ある意味背負っているもの。
でも、20年の夏に関しては、それらの重圧が全部取り払われた。残ったのはシンプルに野球が楽しいという思いだけ。『こんな気持ちは小学生以来です』と言う子が本当に多かった」
「本音を言わないはず」の高校球児。でも、この言葉こそは本心から発せられたものだと、早見さんは感じたという。世間が抱きがちな「甲子園がなくなり、可哀そうな球児たち」という視点では解けない答えが、そこには存在したというのだ。》
https://mainichi.jp/articles/20210317/dde/012/040/017000c

朝日新聞デジタルは3月16日付で「ロエベが『衝撃』の新作を発表 朝日新聞に冊子折り込み」(高橋牧子)を掲載している。
ロエベは、2021年秋冬の新作を新聞に冊子を折り込む形式で発表した。冊子も新聞形式。その一面には「特報・ロエベ、ファッションショーを中止」とのニュースが取り上げられ、新作の写真や小説なども載せられた。》
https://digital.asahi.com/articles/ASP3J2H83P36UCVL00S.html

◎これも春。「春オンライン」は3月17日付で「武田総務相とNTT澤田社長が会食していた」を発表している。
武田良太総務大臣が、大臣就任後の昨年11月11日に、NTT澤田純社長と会食していたことが、「週刊春」の取材で分かった。場所は、東京・パレスホテル内にある日本料理店「和田倉」。澤田社長とNTTドコモ独立社外取締役の遠藤典子氏、武田大臣とJR東海葛西敬之名誉会長が同席していた。》
https://bunshun.jp/articles/-/44106
総務相は、国会答弁で「国民の疑念を招くような会食や会合に応じることはない」と繰り返し、NTT側との会食の有無については解答してこなかったのは、こういう事実があったからなのだろう。

◎「北村肇さんを偲ぶ会」が4月4日(日)午後2時より「ツイキャス」を使ったオンライン配信で開催される。
http://www.kinyobi.co.jp/news/?p=4465

講談社の女性ファッション誌「with」5月号の付録は「進撃の巨人」のビジュアルを使用した“お祝い袋(ご祝儀袋)”。
https://www.oricon.co.jp/news/2187584/full/

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3)【深夜の誌人語録】

燃え尽きることは簡単だ。難しいのは温度を保つことだ。

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4)【お知らせ】 

」2000号まで、あと52号。