【文徒】2017年(平成29)年7月21日(第5巻136号・通巻1065号)

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1)【記事】芥川賞が沼田真佑「影裏」、直木賞佐藤正午「月の満ち欠け」
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】芥川賞が沼田真佑「影裏」、直木賞佐藤正午「月の満ち欠け」

芥川賞は、沼田真佑の「影裏」(「文學界」5月号)。沼田は「影裏」で「文學界」新人賞を獲得している。「3・11」を踏まえた作品だ。選考委員の高樹のぶ子が「選考においては大変な対立がありました。ほとんどケンカ状態」と述べている。河北新報によれば「JR盛岡駅ビル内にある『さわや書店ORIORI(オリオリ)』は19日、受賞作が掲載されている文学界5月号を平積み台に並べた」そうだ。単行本は7月28日に文藝春秋より刊行される。
http://www.sankei.com/life/news/170719/lif1707190044-n1.html
https://mainichi.jp/articles/20170720/ddm/008/070/112000c
直木賞佐藤正午の「月の満ち欠け」(岩波書店)。私など佐藤と言えば30年以上前に発表された「永遠の1/2」である。
http://www.asahi.com/articles/ASK7D0DB6K7CTIPE06B.html
http://www.sankei.com/life/news/170720/lif1707200001-n1.html
岩波書店にとっては初の直木賞となる。言うまでもなく岩波書店は、返品を受け付ける委託制度ではなく、返本を受け付けない買い切り制度を採用している出版社である。どうするんだろ?まあ注文は原則として買い切りだけどね。
http://kai-you.net/article/43467
長崎新聞によれば長崎県関係の直木賞受賞者は、穂積驚(ほづみみはる)、白石一郎に次いで30年ぶり、3人目だそうだ。
http://www.nagasaki-np.co.jp/news/kennaitopix/2017/07/20091126051935.shtml
そうそう文藝春秋は、日本文学振興会(いうまでもなく文藝春秋社内に事務所)とともに「人生に、文学を」プロジェクト第二期をスタートさせた。協賛企業は次の通り。
旭化成ホームズ、伊藤忠商事、太田胃散、オーディブルキリンビール資生堂ソニー・ミュージックエンタテインメント第一三共ヘルスケア大日本印刷竹中工務店、帝国ホテル、東海旅客鉄道東急不動産凸版印刷日本たばこ産業乃村工藝社野村ホールディングスパイロットコーポレーションパナソニック東日本旅客鉄道三菱地所

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2)【本日の一行情報】

◎「週刊少年サンデー」(小学館)とサイバードは、マンガやスタンプ、ゲームなど「名探偵コナン」の全ての情報が詰まった「名探偵コナン公式アプリ」で、最新コミックス「名探偵コナン93巻」と「まじっく快斗5巻」を、書籍発売日である7月18日(火)と同時に配信開始した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001120.000001661.html

双葉社の「漫画アクション」が主催する「ミスアクション2017」グランプリ。前期が金子智美で、後期は山本成美
http://missaction.jp/gp.html
http://top.tsite.jp/news/geinou01/i/36281381/?sc_int=tcore_news_recent

◎新潮社の特設サイトで、作家「宿野かほる」のデビュー作「ルビンの壺が割れた」を二週間限定で無料公開し、キャッチコピーを募集しているが、担当編集者は文芸第二編集部の西山奈々子
https://withnews.jp/article/f0170719003qq000000000000000W00o10101qq000015596A
「文庫X」や「ボクたちはみんな大人になれなかった」につづいて成功するかどうか。「裏側」が少しでも垣間見えた途端に神通力が消えるということもあるのでご用心を!

◎「ポケモンぴあ 〜Pokemon The Movie 20th Titles Anniversary Book〜」が発売される。付録は「キミといっしょ! リュック」。セブンネットショッピングで予約すると、「特製クリアファイル」が貰えるそうだ。
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1071199.html
セブンイレブンがアマゾンと組むなんていう事態を阻止すべく、例えば楽天セブンイレブンとの同盟関係を模索すべきだ。「小売り」におけるリアルとネットの勝ち組同士の融合は歴史の必然と考えるべきだろう。

◎「『LINE』と『Instagram』が勢いを増している一方で、『Facebook』と『ニコニコ動画』の勢いに陰りがちらついてきた」(田中善一郎)という背景には、やはり日本的特殊性が横たわっているように思う。特に重要なのは「LINE」が勢いを増し、「Facebook」が頭打ちだという点である。ヤフーの隆盛も含めて、これは日本的特殊性と理解すべきである。
http://www.huffingtonpost.jp/zenichiro-tanaka/japan-sns-investigation_b_17522172.html

BBCによれば「英広告基準協議会は18日、性別にもとづくステレオタイプ(世間的固定概念)を助長する表現の広告を禁止すると発表した」そうだ。
若い女性が不健康なほどやせていることを美化したり、『女性の役割は家の掃除』、『女の子とはこういうもので男の子とはこういうもの』、『男性に家事や育児は無理』など性別にもとづき役割を固定するなどの内容の広告は規制対象となる」
http://www.bbc.com/japanese/video-40651950
他人事では済まされまい。

凸版印刷は、イオレの一部株式を取得し、凸版印刷とイオレは、電子チラシサービス「Shufoo!」とイオレの連絡網サービス「らくらく連絡網」のビッグデータを基盤とした、インターネット広告サービスを共同で開発・販売することに基本合意した。10月のサービス開始を予定している。
http://www.toppan.co.jp/news/2017/07/newsrelease1707191.html

サザビーリーグが運営するアフタヌーンティー・ティールームは、昨年好評だった夏の夜を“本”と楽しむ「BOOK a TABLE! by Afternoon Tea」の第2弾を、今年はマガジンハウスの「ku:nel」とコラボし8月2日(水)〜8月30日(水)の期間、数量限定で実施する。
目玉は「ku:nel」の淀川美代子編集長の特別編集のもと、いま女性のライフスタイルに欠かすことができない“ハーブ”にスポットをあて、イタリア在住のアンジョレッタ・グレースが描く美しい挿絵が添えられたハーブ図鑑を中心に、ハーブを愛する6名のエッセイ、アフタヌーンティーが提案するハーブメニューのコラムなど、様々なコンテンツを盛り込んだミニブック「暮らしに役立つハーブ手帖」である。
http://www.sazaby-league.co.jp/news/detail/20170714_afternoonteatearoom/

◎「ティーン・ヴォーグ」6月号が「アナルセックス」を特集している。アメリカでさえ物議を呼んでいるようだが、これは決して興味本位の特集ではない。
http://www.huffingtonpost.jp/2017/07/18/story_n_17520990.html

◎宝島社の女性ファッション誌「sweet」は、インスタグラム投稿コンテスト「私の街のフォトジェニスポットはココ!」を7月12日(水)から8月9日(水)の期間で実施している。
http://www.jiji.com/jc/article?k=000000547.000005069&g=prt

◎山田敏弘は「だから世界的に『メディア不信』が広がっている」で次のように指摘している。マスメディアはソーシャルメディアによって検証されるということだ。
「よくネットを使えば無料で情報が得られるために、新聞などの既存メディアは厳しい立場に追いやられているという話を聞く。もっともな意見だが、それ以上に、ネットの普及で、新聞社が掲載する記事の問題点が浮き彫りになり、その情報が広く知られるようになっている事実のほうが重大ではないだろうか」
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1707/20/news016.html

◎18日に105歳で死去した日野原重明の「生きかた上手」が増刷される。版元はハルメク。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201707/CK2017071902000246.html

◎6月まで靖国神社祢宜で、広報から総務部長までつとめた国学院大講師の宮沢佳広による「靖国神社が消える日」が小学館から刊行される。
https://mainichi.jp/articles/20170720/k00/00m/040/063000c

◎花伝社は良い仕事をしている。長崎新聞の森永玲の「反戦主義者なる事通告申上げます 反軍を唱えて消えた結核医・末永敏事」を刊行した。日中戦争中に軍務を拒んで検挙され、行方知れずとなった「結核医・末永敏事」の足跡を辿る。森永は長崎新聞の編集局長だ。私たちの発掘を待っている忘れられた「歴史」は多い。
http://kadensha.net/books/2017/201707hansenshugishanarukoto.html
http://goo.gl/QV5BAM

◎台湾の誠品書店の創業者である呉清友が7月18日に亡くなった。
http://japan.cna.com.tw/news/asoc/201707190007.aspx

JR東海文藝春秋は「旅と文学」をテーマに第一弾として安部龍太郎とともに、井伊直虎が活躍した遠州井伊谷周辺を訪ねる宿泊ツアーを企画したことは6月30日付文徒で既に報じたが、「トライシー」は次のように書いている。
文藝春秋8月号には、井伊直虎をテーマとした安部龍太郎氏の寄稿記事を掲載し、JR東海の50歳からの旅クラブ『50+』でも、寄稿記事を掲載した特別版の冊子も発行する。さらに、クラブツーリズムの旅行情報誌『旅の友』でも特集記事を掲載し、『50+』と『旅の友』では、ジェイアール東海ツアーズクラブツーリズムが販売する作品の舞台を巡るツアーも紹介する」
https://www.traicy.com/20170720-jrtokai

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3)【深夜の誌人語録】

痴あるいは血を欠いた「知」は何の役にも立たない。