【文徒】2017年(平成29)9月25日(第5巻180号・通巻1109号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】「東西南北地図」と安室奈美恵の引退
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】「東西南北地図」と安室奈美恵の引退

この映像は格好良いね。「自由と平和を愛し、武器は、アイデアと愛嬌。」ってフレーズも気に入ったよ。元SMAP稲垣吾郎草磲剛香取慎吾の3人が公式ファンサイトを立ち上げた。
新しい地図」は「NEW MAP」。「東西南北」は「NEWS」。つまり、「NEW SMAP」と読めるわけか。このクリエイティブで新聞広告も打った。9月22日付の朝日新聞東京新聞を使った見開き30段広告。読売新聞と産経新聞の組み合わせではなかったところも「NEW」なのかしら。
https://atarashiichizu.com/
アエラ」は、こう書いている。
SMAPファン1万3千人がクラウドファンディングに応じ、8面にわたる全面広告という形でSMAPへの応援メッセージを掲載したのが昨年12月の朝日新聞東京新聞でも昨年9月と11月に、伝言板コーナーをSMAPファンのメッセージで埋め尽くす企画があった」
https://dot.asahi.com/aera/2017092300002.html?page=1
恐らく、平成という時代はSMAPの解散と安室奈美恵の引退によって幕を閉じたと語られせることになるのだろう。こんなツイートも発見。
「安室ちゃん最後の1年のドキュメンタリーがHulu、稲垣草磲香取初番組がAbema。新しいメディアが意欲的というより、週刊誌やスポーツ新聞のソースをたれ流してきたテレビの地上波がいかに信用を失ってきたかということなんだろうな(でも、Huluは日テレ、Abemaはテレ朝という矛盾も)」
https://twitter.com/uno_kore/status/911769245490352128
私が驚いたのは琉球新報安室奈美恵引退を一面で報じるのみならず、社説で取り上げていたことだ。
「引退までの残り1年、沖縄が誇る歌姫の生き方をしっかりと記憶に刻みたい」
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-580851.html
朝日新聞の仲村和代が次のようにツイートしている。
安室奈美恵さんが一世を風靡したのが私が高校の頃。思い出すのはぽつんと母がつぶやいたひとこと。『あなたたちは普通に沖縄っていえるようになったね』と。母の世代は、沖縄出身と堂々といえない世代だった。個人的には、その後の孤高な歩み方が印象的だ」
https://twitter.com/coccodesho/status/910831534575321089
これは佐々木敦のツイート。
「僕が安室奈美恵の決意にいたく感銘を受けたのは、昔から言ってることだけど、人間にとって最も重要なことは、やめる権利、自分でやめる権利だと思っているからだ。やめない権利ではない。いつでもやめられるが、やめない、ということ。やめたくなったら、やめる。やめる権利は、やめない権利でもある」
https://twitter.com/sasakiatsushi/status/910799094599245824
鈴木涼美のツイート。
「安室ちゃんがいなかったら渋谷ギャル的基準で高校を選ばなかっただろうし、欲しいものもないからパンツ売る必要もなくてパンツ売る教養がなければキャバもAVもやらなかっただろうけど、もう一回選び直すとしても安室ちゃんがいない立派な人生じゃなくて安室ちゃんがいるアホみたいな人生を繰り返す」
https://twitter.com/Suzumixxx/status/910520391189196800
松尾貴史の突っ込みが鋭い。
官房長官の記者会見で安室奈美恵さん引退について聞かれて原稿を読みながら答えているのはなぜだか。なぜ疑惑に関係のない質問ならお門違いの件でも準備までして答えるのか。ワイドショーで繰り返しこの部分が流れて親しみが保たれる事を計算して印象を改善したいのか。近く選挙があるのか?あるのね」
https://twitter.com/Kitsch_Matsuo/status/911619649820749826
これ質問したのは、どの社だったっけ?フジテレビだったような気がするなあ。谷垣禎一の引退については、官房長官に誰も聞かなかったのだろうか。

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2)【本日の一行情報】

◎日販は、全国各地の日販支社・支店と地元書店との連携のもと、地域ごとの「書店祭」を今年もスタートさせる。第1弾として、9月15日(金)より広島県の書店を中心に11月12日(日)に開催される広島東洋カープ球団公認「中国新聞カープ検定」とのコラボ企画「中国新聞カープ検定開催記念キャンペーン」を実施する。
http://www.nippan.co.jp/news/matsuri2017_carp/

◎累計21万6000部に達した「マップス」(徳間書店)のヒット以来、「大判絵本」「大判図鑑」の刊行が相次いでいる。しかも国際共同出版というケースが目立つ。
「インターネットを使ってファイルで新刊の見本を送り、印刷データの入稿が簡単にできるようになった時代だ。グローバル化が絵本の世界でも楽しい潮流を生み出している」(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/life/book/news/20170912-OYT8T50081.html

◎産経によれば「東京新聞社会部の望月衣塑子記者が菅義偉官房長官の記者会見で産経新聞の報道を『官邸のリーク』と発言した問題で、東京新聞編集局は『事実ではありませんでした。抗議を真摯に受け止め、発言を撤回いたします』と文書で回答した」そうだ。
http://www.sankei.com/politics/news/170920/plt1709200031-n1.html

◎KLabは、KADOKAWAとメディアミックスプロジェクト「Project PARALLEL」を「東京ゲームショウ2017で発表した。
http://www.klab.com/jp/press/detail/id=5649?date=2017

電通山本敏博社長が東京簡裁に出廷した。毎日新聞によれば「起訴内容を認め、被告人質問で『尊い命が失われたことを心より申し訳なく思う』などと謝罪した」という。検察は罰金50万円を求刑した。
「被告人質問で山本社長は、職場環境について『仕事に時間をかけることがサービス品質の向上につながり、顧客の要望に応えることだと思い込んでいた』と述べた上で、現在は業務の縮小や機械化などで労働時間を減らす努力をしているとした」
https://mainichi.jp/articles/20170922/k00/00e/040/279000c?fm=mnm
「検察が電通を略式起訴したのは前例を踏襲したためだが、東京簡裁はあえて公開の正式裁判を選んだ。違法な労働環境の放置は許されないという警鐘も含んでいると見ていいだろう」
https://mainichi.jp/articles/20170922/k00/00e/040/280000c?fm=mnm
フェイスブック電通OBが魂を込めて書いた文章を発見した。その一部をここに引用しておこう。
「私の在籍していた会社は、今世間から長期間に渡り指弾をされています。
今まで当の会社の社風は、自由で、ちょっと変わった社員が沢山いて、生き生きと仕事をするのが自慢でした。ちょっと変わった風を認める寛容な、懐の深い社風を大事にしてきました。
自主を重んじる風には、ややルーズで、標準からすれば少し危うい風も感じるところがありましたが、一人一人は、働くことへ十分の動機を持って、誇りをもって働いてきたのではないでしょうか。
当然私も含めて、今回の刑事事件は、言い訳が出来ません。
今までの社風の一部を改革しなければならない面もあると思います。でも悪いところ探しをやっていても、社風は変えられないのではないでしょうか。変えなければいけない部分は徹底的に検証改善してみる。同時に変えてはいけない、さらに伸ばすべきところも徹底的に拾い出してみることが、今必要ではないでしょううか。両方のことを同時にやってこそ、企業風土の本質をつかむことにつながるのではないかと思います。私は、今必要なことは、自分の生き方を見直すことを先ず始めるべきだと思います。それは、自分の働く時間への考え方を見直すことに繋がる大事な道筋だと思います。様々な人々の生き方を考える仕事開発のトップを走ってきた会社です。今こそ、自分の生き方に深く思いを致し、自分以外の人への想像力を十分に広げられる生き方を模索すべき時なのではないかと思います。
一人一人の生き方を考える道程に寄り添い、新しい、自由で闊達な社風を再構築するように応援をすることが、社の使命だと考えます。社風は、働く社員が創るのです 」
変えてはいけない、さらに伸ばすべきところを切り捨てては絶対にならないはずだ。

◎「VOCE」(講談社)11月号の付録はSK-Ⅱの新美容乳液「R.N.A.パワー エアリー ミルキー ローション」のサンプル(2.5g)。
http://www.entameplex.com/archives/39063

◎「ViVi 」(講談社)11月号の付録は、「リリー ブラウン」とコラボした、ファー素材の4WAYミニバッグ。
https://netatopi.jp/article/1082036.html

◎「GINGER」(幻冬舎)11月号の付録は美脚タイツ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000332.000007254.html

紀伊國屋書店ベトナムハノイで、イオンモール・ロンビエン内の書店「ファハサ」(FAHASA)の一角を借りて和書の販売を開始した。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170921/k10011150901000.html
http://www.viet-jo.com/news/economy/170919175445.html

◎無料Webマンガ誌「ジーピクシブ」で連載中の「ガイコツ書店員 本田さん」がアニメ化されることになった。コミックスはKADOKAWAから刊行されている。
https://animeanime.jp/article/2017/09/21/35391.html

◎BLコミック「花は咲くか」(幻冬舎コミックス)が実写映画化される。
http://eiga.com/news/20170922/1/

◎「Number PLUS 桑田佳祐×ボウリング特集」(文藝春秋)が発売される。「音楽以外をテーマに雑誌まるまる1冊特集されるのは桑田佳祐としてもちろん初のこと」だって。
https://www.musicman-net.com/artist/68972

富山県射水市橋下条の書店「文苑堂書店小杉店」で起きた強盗致傷事件は書店員の自作自演だったようだ。
http://www.sankei.com/west/news/170921/wst1709210072-n1.html

◎中国の大型書店「方所」が紹介されている。
http://toyokeizai.net/articles/-/189327

◎これは売れるし、化ける可能性もある。単なる子供のための夏休み本ではなく、ワサビのきいた大人の絵本として楽しめる。ダイヤモンド社の「せつない動物図鑑」。TBSの「「新・情報7daysニュースキャスター 」で紹介されたのは大きい。八重洲ブックセンター上大岡店が次のようにツイートしている。
「【テレビで紹介】昨日『新・情報7daysニュースキャスター』で紹介された『せつない動物図鑑』(ダイヤモンド社)、青のエスカレーター前でドーンと展開しています!『せつない』の隣には『ざんねん』もありますよー !」
https://twitter.com/yaesu_kamioooka/status/911748470741987329
http://diamond.jp/category/s-setsunaidoubutsu
https://www.buzzfeed.com/jp/narumi/setsunai-animal?utm_term=.svQEG8n0y#.sygaQLYrx
ダイヤモンド社の営業の腕の見せどころでもある。

◎日販は、BLコミックのヨネダコウのデビュー10周年を記念して、「ヨネダコウ画業10周年記念祭」を12月に東京・大阪で順次開催する。大洋図書の協力のもと、日販が企画・運営を行う有料のイベントだ。
http://www.bs-garden.com/feature/yoneda10th/
http://www.nippan.co.jp/news/yoneda10th/

トーハンの創立68周年記念式 で藤井武彦社長が挨拶に立ったが、そのなかで着目すべきは次のように語ったことであろう。
「いまトーハンが変化対応に失敗すれば、50周年まではよかったが、それ以降は衰退期だったと定義されるようなことにならないようにしなくてはならないと思います」
http://www.tohan.jp/news/20170919_1067.html
出版総合商社という枠組にとどまる限り、衰退を克服することはできないのではあるまいか。

◎耷出版社 は「暮らし上手」特別編集「Kurashi」を発売 した。「Kurashi」は「暮らし上手」シリーズの領域を扱いつつ、さらにファッションやコスメなどの分野を加えてリニューアルし、女性ライフスタイル誌としての位置づけた 。公式WEBサイト もリニューアルされた。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000051.000022918.html
https://www.kurashijouzu.jp/

KADOKAWAが「巨大メディアミックス企業 」を志向しているのはわかる。ただし、実態はハリボテであり、「巨大メディアミックス企業 」の幻想を維持するためには、新たな合併を模索するしかないと私は思っている。KADOKAWAとしては、NTTドコモあたりとくっつきたいに違いない。
http://president.jp/articles/-/23135

山川出版社にとっては痛恨の校正ミスである。「新もういちど読む山川日本史」 で東日本大震災が発生した年を「2012年」と記してしまったそうだ。読売新聞は次のように書いている。
「約40万部のヒット作となった「もういちど読む山川日本史」(2009年発売)を今年7月に改訂し、問題の部分などを付け加えたが、誤りに気付かなかった。本が店頭に並び始めた8月、読者から指摘があったという 」
http://www.yomiuri.co.jp/national/20170922-OYT1T50078.html
朝日新聞も取り上げている。
「原稿は曽雌氏ら2人で2回校閲したが、誤りに気付かなかった。人気シリーズの刷新に向け、作業を急いだことも影響した可能性があるという 」
http://www.asahi.com/articles/ASK9P4SHHK9PULZU007.html
「曽雌氏」とは曽雌健二編集長である。

サイバーエージェントは社DDTプロレスリングの発行済株式の全株式を9月1日に取得した。DDTプロレスの試は「AbemaTV」を通じて配信 されることになる。
http://www.ddtpro.com/ddtpro/50767/

◎元TBS記者・山口敬之がジャーナリストの詩織から「性犯罪被害を受けた」と指摘された 件について検察審査会は「不起訴相当」との判断を下した。
http://www.asahi.com/articles/ASK9Q6H2LK9QUTIL06G.html
二人のコメントも読んでおこう。
https://mainichi.jp/articles/20170923/k00/00m/040/105000c
弁護士・渡辺輝人のツイート。
「犯罪にならないとしても、山口敬之がメール等で認めている事実を前提にすれば、就職活動中の女性に対して優越的な地位にあるのに、相手が泥酔している時に避妊もせずに事に及んでおり、非難に値する」
https://twitter.com/nabeteru1Q78/status/911577593802919936

◎8月に高松市でオープンした「本屋ルヌガンガ」 はクラウドファンディングで76万2000円を集めた。
https://motion-gallery.net/projects/lunugangabooks
https://www.nikkei.com/article/DGXLZO21456520S7A920C1LA0000/
ビールもコーヒーも飲めて、「ワークショップ」「映画上映会」「読書会」など、イベントも充実させていくようだ。雰囲気もお洒落で良いし、店主の本を見る目が確かなことはツイッターで確認できる。
例えば、こんなツイートを紹介しておこうか。
獅子文六作品をいくつか。彼の小説を読む事は、ルビッチやホークスなどの幸福な時代のハリウッド映画を観る事にも似た、洒脱さと洗練を思う存分味わえるゼイタクな体験です。表紙も色んな若手デザイナーなんかを使ってて洒落てる! 」
このツイートもステキだ。
「『英国諜報員アシェンデン』新訳で復刊したモームのスパイもの。そうか、モームの冷徹なまでの観察眼はスパイ業でも活かされてたのかも、と思わせる一冊。同じくスパイ経験ありの作家、ル・カレやグリーンと合わせてどうぞ」
加藤典洋という名前を出しながら紹介しているところが、本のプロである。店主の名前は中村勇亮 か。覚えておくことにしよう。
「『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』日本には、国民が知らない米国との『裏の掟』が数多くあり、日本の政策はそれに規定されている… 普通なら『陰謀論ね』で済ませてしまいますが、緻密な調査で知られ、加藤典洋『戦後入門』にも影響を与えた矢部宏治の仕事とあれば、読むしかないのでは! 」
http://washing-weather.blog.jp/archives/72531581.html
https://twitter.com/YusukeN14
https://www.lunuganga-books.com/

◎「週刊少年ジャンプ」元編集長・堀江信彦 の発言。「オリコンニュース」がインタビューをしている。
「・・・漫画家として才能があると思ったら、その人をどうやって“漫画漬け”の環境にするか、どうやって“食べさせるか”を考えるのも編集者の仕事。そうした時に一番良いのは、漫画家のアシスタントに入れること。アシスタントならずっと漫画を描いていられるから、伸び方が全然違う。雑誌にはそういう機能もある。優秀な人にどうやって漫画漬けの生活をしてもらえるか、って考えた時にアシスタントは有効です。ただ、最近は漫画雑誌が売れないからそういう機能が弱くなっているとも感じます」
「最近、“漫画が物足りないな”って感じるとするなら、それは編集者の力が落ちているからかもしれません。昔の文学青年崩れの編集者って、自分で小説を書く才能はないけど、漫画家に託すことで溜飲を下げていた。社会への疑問や怒りを漫画に託していたんです 」
http://www.oricon.co.jp/special/50302/

◎「日本会議の研究」ですっかりメジャーな存在となった菅野完 のTwitterアカウント が凍結された。その理由は本人にも具体的な説明がなく、Twitter Japan の広報は「ハフポス」の取材にも「個別の案件にはお答えできかねます」 と応じるのみである。
http://www.huffingtonpost.jp/2017/09/18/sugano-tamotsu_a_23214134/
加藤典洋が次のようにツイートしている。
「菅野完さんのツイートを楽しみにみてきた。それが永久凍結とは! Twitter jp はその理由を説明しないといけないね。Twitter 社は、こういう日本支社の公共性の欠損を放置するつもりかな。ずぶずぶ、あっぷあっぷでもはやツイートできなくなりそう 」
https://twitter.com/ten_kato/status/909968339488743424

◎学研プラスの「ゲットナビ」は11月号から3か月連続で 90年代に大ヒットしたメンズファッション誌「GET ON!」を復刻 する。ちなみに11月号の付録は万年筆だ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001298.000002535.html
その昔、「中一コース」を年間購読すると万年筆がプレゼントされたものである。

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3)【深夜の誌人語録】

攻めるが勝ち!