【文徒】2017年(平成29)10月23日(第5巻199号・通巻1128号)

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1)【記事】スタートトゥデイがVASILYを完全子会社化
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】

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1)【記事】スタートトゥデイがVASILYを完全子会社化

ファッションショッピングサイト「ZOZOTOWN」で知られるスタートトゥデイは、アプリのダウンロード数は200万を超える ファッションメディアサービス「IQON」(アイコン)などを運営するVASILYの全株式を取得し、完全子会社化する ことになった。
https://www.starttoday.jp/news/20171019-2872/
http://press.vasily.jp/171019_press
スタートトゥデイは良い買い物をしたのではないか。「CNET Japan 」は次のように書いている。
「VASILYは、200以上のECサイトのファッションアイテムをユーザーが自由に組み合わせて、コーディネートを作成できるサービスIQONをはじめとするファッションメディアの運営や、ソフトウェアの受託開発などをしている。また、これらのサービスの構築を通して、AI(人工知能)を活用した機械学習・画像認識の分野における技術も持つ 」
https://japan.cnet.com/article/35109052/
VASILYの金山裕樹代表取締役は「THE BRIDGE」に対して次のようなコメントを提供している。
「買収金額や今後の提携内容についても詳細は公表できません。ただ、一つ言えるのはキーはデータになります。スタートトゥデイグループの持っているデータ、今後持つだろうデータ、それをVASILYのテクノロジーを組み合わせてこれまで以上のビジネスができるという確信を持っています」
http://thebridge.jp/2017/10/starttoday-vasily
日経によれば「スタートトゥデイは、ヴァシリーが持つ人工知能(AI)や画像解析の技術を今後のサイト運営に生かす考え 」だそうだ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22453260Z11C17A0000000/
スタートトゥデイは女性誌にとって、ますます脅威となる「勢力」になるのだろう。

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2)【本日の一行情報】

東洋経済新報社の渡辺智顕は次のようにツイートしている。
三省堂書店神保町本店で内田樹さん著『街場の天皇論』が人文書ランキング2位に。6位に加藤典洋さんの『もうすぐやってくる尊皇攘夷思想のために』も」
https://twitter.com/abi_nabe/status/920526385587908608
加藤典洋が10月16日付毎日新聞で次のように語っている。
「皇国思想にとっての大正デモクラシーと同様に、今の右派的な運動も戦後民主主義の弱さを蹴散らす形で出てきている。これに対し、リベラル派が自らを根づかせ直す原理に、幕末の尊皇攘夷思想が一つの土台として回復されなければいけないと思う」
https://mainichi.jp/articles/20171016/dde/018/040/005000c
10月20日朝日新聞のインタビューにも答えている。朝日新聞横浜総局記者 の太田泉生によれば「本日朝刊の一押し記事」とのこと。
https://twitter.com/otaminao/status/921190765702799360
そこでは、こんな風に語っている。
「安倍政権はもはや保守ではありません。
戦後の第一の目標として従来の保守政治が堅持してきた国の独立という大前提、つまり対米自立の目標を、自分の政権維持のため事実上放棄しているからです」
自衛隊員の使命感と安全を考えたら、米軍に指揮権を委ねたままでの集団的自衛権の行使容認は無責任で、国益に反します」
http://www.asahi.com/articles/DA3S13188497.html

石原さとみのデビュー15周年&30歳記念写真集「encourage」(宝島社)が 10万部を突破。今年は「白石麻衣写真集パスポート」(講談社)、「齋藤飛鳥ファースト写真集潮騒」(幻冬舎) も10万部を突破しているそうだ。
http://www.oricon.co.jp/news/2099182/full/

電通デジタルは、DataRobot, Inc.(データロボット)とパートナー契約を締結し、AI・機械学習自動化、高速化プラットフォーム「DataRobot」を活用したマーケティングソリューションの提供を開始した。
https://www.dentsudigital.co.jp/release/assets/DD2017019-1017.pdf
博報堂DYホールディングスもデータロボット とコンサルティングパートナー契約を締結した。
https://www.hakuhodody-holdings.co.jp/news/corporate/assets/uploads/HDY20171017.pdf

◎既報だが泥仕合の様相を呈して来たようだ。「Bloomberg」は次のように書いている。
アサツーDKの植野伸一社長は18日のインタビューで、『われわれはWPPにマジョリティーを持たれている子会社ではない』とした上で、過去の協業の中では「彼らが自らの利益を優先してくるところが大きくあった」と指摘。TOBの結果に関わらず提携関係の解消を模索する考えを示した。またベインからの提案を受ける以前の、社長就任の翌年の2014年からWPPと資本提携関係の解消に向けた議論を進めていたことも明らかにした 」
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-10-18/OXYMX26TTDS001
「ロイター」は「米ベインのアサツーDK買収、香港ヘッジファンドも反対」で次のように書いている。
「香港を拠点とするヘッジファンドのオアシス・マネジメント・カンパニーは17日、買い付け価格が低すぎるとして、他のアサツーDK株主と同様、買収に反対する考えを示した」
https://jp.reuters.com/article/asatsu-dk-m-a-idJPKBN1CM38X

◎米「Conde Nast Traveler」の読者投票ランキング2017 年「The Best Cities in the World」 において、世界でもっとも魅力的な都市1位に「東京」が選ばれた。2位「ウィーン」、3位「京都」、4位「バルセロナ」、5位「パリ」、6位「シドニー」、7位「マドリード 」、8位 「バンクーバー 」、9位「ローマ」、10位「ミュンヘン」。
https://resemom.jp/article/2017/10/19/40928.html
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/10/18/documents/07_02.pdf

◎米「VOGUE」の公式サイトに渡辺直美の特集記事が「日本のビヨンセ」として掲載された、とスポーツ報知が報じている。日本の女性誌に米国のタレントが特集されたとしても米では話題にもなるまい。文化もまた「従米」を脱せないでいる。
http://www.hochi.co.jp/entertainment/20171019-OHT1T50096.html

◎女性ファッション誌「MORE」専属モデルをつとめる内田理央が「 週刊ヤングジャンプ 」で「キングダム」の楊端和 に扮したコスプレを披露した。集英社は他社に比べて女性誌とマンガ誌の間の垣根が低いのかもしれない。
http://www.oricon.co.jp/news/2099184/full/

白泉社のアプリ「マンガPark」で連載中の魔夜峰央ギャグマンガパタリロ!」の特別編「パタリロ!モーニングコーチ」が、集英社ではなく、白泉社とは資本関係の全くない講談社の10月26日発売 「モーニング」48号に「出張掲載」されることになった。
https://mantan-web.jp/article/20171018dog00m200021000c.html

◎フジテレビ系の出版社である扶桑社のファッション誌「Numero TOKYO」 の表紙を飾ったのは、テレビ朝日で放映された男子フィギュアスケートアニメ 「ユーリ!!! on ICE 」だった。
https://animeanime.jp/article/2017/10/19/35698.html

中島岳志毎日新聞の書評欄で伊藤詩織 の「BlackBox ブラックボックス 」(文藝春秋)を取り上げている。
https://mainichi.jp/articles/20171022/ddm/015/070/046000c
「『南京事件』を調査せよ」(文芸春秋)の清水潔が次のようにツイートしている。
「伊藤詩織さんは強い人だ。ジャーナリストであろうとも、自身の事をここまで洗いざらい書ける人は少ない。しかも冷静にだ。本書は単なるレイプ被害の告発本ではない。現代社会のあらゆる歪みがこの一冊に集約されている。本文結びの言葉「あなたは、どう考えるだろうか」はあまりに重い」
https://twitter.com/NOSUKE0607/status/920799081483485186

◎米「タイム」 が日本で言えば2ちゃんねるに相当するのだろうか、掲示板の「Reddit」と提携した。
http://digiday.jp/publishers/reddits-unlikely-first-edit-partner-time-magazine/
実は「Reddit」は日本にも上陸している。これがそうだ。
https://www.reddit.com/r/ja/

文藝春秋は、電子書籍オリジナル作品「全国外科医大アンケート ライバルが認める『がん手術の達人』126人 文春e-Books」(300円/発売から1カ月間は特別価格200円・税込)をリリースした。
http://news.mynavi.jp/news/2017/10/19/182/
大腸、胃、食道、肝膵胆、乳、肺の6部門126人 が紹介されているが、腎臓は症例数が少ないのだろうか。私の場合は、この先生であった。
http://www.jfcr.or.jp/hospital/department/clinic/disease/urology/staff.html

国立歴史民俗博物館 の企画展示「『1968年』-無数の問いの噴出の時代- 」に足を運んだ。何と中川六平が展示されているではないか。「コーヒーハウス通信No.3」がそうだ。この文字、中川自身のものである。展示は、こう解説されていた。
「1972年2月25日、京都や福岡に所在するべ平連の若者たちによって、米軍基地がある岩国市内に反戦喫茶『ホビット』がオープンした。当時同志社大学生で京都ベ平連のメンバーだった中川六平がマスターをつとめた」
https://www.rekihaku.ac.jp/exhibitions/project/index.html
中川の「ほびっと 戦争をとめた喫茶店-ベ平連1970-1975 in イワクニ」は講談社から刊行されている。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062158343
六ちゃんは私が事務所を立ち上げた直後、電話番をしてくれていたんだよね。朝倉喬司を私に紹介してくれたのも、中川であった。サンカ研究会を立ち上げ、「マージナル」を創刊した頃が懐かしい。
図録には掲載されていないが、1971年の「週刊少年ジャンプ」も展示されていた。巻頭のグラビア記事で三里塚闘争の一翼を担った「少年行動隊」が「躍動する若い力」として紹介されていた。これ、これ。
http://twitpic.com/db7o1b
私の記憶が間違いなければ「少年チャンピオン」も少年行動隊を取り上げていたはずだ。

国立歴史民俗博物館 の企画展示「『1968年』-無数の問いの噴出の時代-」は熊本水俣病闘争も取り上げていて、そこには「チッソ水俣工場に座り込みを!!」と題されたビラも展示されていた。そこには、こう書かれている。
水俣病問題の核心とは何か。金もうけのために人を殺したものは、それ相応のつぐないをせねばならぬ。ただそれだけである。水俣病は『私人』としての日本生活大衆、しかも底辺の漁民共同体に対してくわえられた、『私人』としての日本独占資本の暴行である。血債はかならず返債されねばならない。これは政府・司法機関が口を出す領域ではない。被害者である水俣病漁民自身が、チッソ資本とあいたいで堂々ととりたてるべき貸し金である」
高倉健の「昭和残侠伝」シリーズの熱烈なる信者である私は、こういう騒動を煽る文章に弱いのである。読んでいて泣けてきちゃうのよ。
これを書いたのは「逝きし世の面影」や「黒船前夜〜ロシア・アイヌ・日本の三国志 」などで知られている渡辺京二だ。義をもって騒動に助太刀した渡辺はちょうど「死民と日常私の水俣病闘争」を弦書房から上梓したばかりである。日常の中で万物と交流する宴のような世界を踏まえない政治運動は無意味だとする渡辺に心の底から同意したい。
http://genshobo.com/?p=7496

◎米の女性ライフスタイル誌「タウン・アンド・カントリー」11月号の表紙を飾ったのはジェーン・フォンダ、79歳 !
http://www.huffingtonpost.jp/2017/10/19/fonda_a_23248481/
その昔、ジェーン・フォンダドナルド・サザーランド が岩国にやって来たんだよね。京都市会議員の鈴木マサホの次のようなブログ記事「<岩国にて> 」を発見した。
反戦ビラを撒いたりデモをしたりしていた岩国海兵隊基地の前にたたずむのは10数年ぶりか。基地のなかに入ったことはある。1970年だったか、ノーム・ユーイングという反戦米兵が軍事法廷で裁かれたとき、小野誠之弁護士が熱弁をふるった。ノームは今頃どうしているのだろうか、ジェーン・フォンダドナルド・サザーランドも来て、FTAショーと名付けて反戦集会などをしたこともあったなあ 」
http://blog.goo.ne.jp/hitokuchinituki/e/428c23027b958f73fc2c58475f34d0de

◎「J-CASTニュース」 によれば10月19日放送の 日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」 で「文春さん見たらさ、ミヤネ屋3月で降板させられちゃうの?僕」「辞めさせちゃうの?」 とスタッフに問いかけ、「私、4月以降もやらせていただきますので、よろしくお願い致します」 と言い切ったそうだ。
https://www.j-cast.com/2017/10/19311661.html

◎米のハーストは、ニューヨークとペンシルバニア州に拠点を置き、「メンズ ヘルス」「ウィメンズ ヘルス」 を擁するロデールを買収することになった。
https://www.wwdjapan.com/497915

◎シマラヤジャパンときずな出版は、きずな出版刊行物のオーディオブック化を共同で行うことに合意した。その第一弾として、ジョン・キム著「『絶望』に声を与えよう。』を書籍発売と同時に、シマラヤジャパンが運営する音声プラットフォームアプリ「Himalaya」において、オーディオブック(音声書籍)として無料で配信している。書籍の新刊発売とオーディオブックの無料配信が同時にされるのは、日本で初めての試みだ。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000028442.html
櫻井秀勲 社長はまだまだ現役だ。

◎ランプライトブックスホテル名古屋 が2018年2月20日(火) にオープンする。東京・丸の内の「マルノウチリーディングスタイル」を運営するリーディングスタイルがセレクトした約3,000冊の書物や雑貨が24時間購入できる ブックカフェ「ランプライトブックスカフェ」 を一階に据えている。「本の世界を旅するためのホテル」がコンセプトだそうだ。
https://www.lamplightbookshotel.com/nagoya/
https://www.fashion-press.net/news/34387

◎「Sho-Comi」(小学館)で連載され、累計発行部数200万部を突破した「花にけだもの」が、dTVとフジテレビのタッグによって実写ドラマ化され、10月30日(月)から配信される。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000080.000022141.html

◎私たちが電通を中途退職した田中泰延のブログ「ひろのぶ雑記」の10月4日付「慚愧の値打ちもない」を紹介したのは10月11日付文徒。朝日新聞が取り上げたのは10月20日
http://www.asahi.com/articles/ASKBJ42YNKBJUTIL022.html
http://www.machikado-creative.jp/planning/62091/

テレビ東京局員・真船佳奈 によるコミックエッセー「オンエアできない!女ADまふねこ(23)、テレビ番組つくってます」 が朝日新聞出版 から刊行された。
https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=19445
http://natalie.mu/comic/news/253512

◎米「プレイボーイ」11月、12月号 は創刊以来初となるトランスジェンダーの「プレイメイト」 を登場させた。
http://www.huffingtonpost.jp/2017/10/20/playboy-transgender_a_23249782/

◎光文社の女性ファッション誌「CLASSY.」と「VERY」は「LINEアカウントメディア プラットフォーム」に参画し、LINE公式アカウントでのニュース配信を開始 した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000072.000021468.html

衆院選TwitterFacebook は大盛り上がりだが、「ハフポス」の生田綾は「Instagramを開けば、『ご飯・ご飯・友人の赤ちゃん・ご飯・お洋服』という具合だ 」という。、Instagramアカウントを持っている主要政党は自民党公明党希望の党社民党日本のこころの5党で最大フォロワー数を誇るのは公明党で1434人 に過ぎない。ツイッターのフォロワー数が急激に増えたことで話題になった立憲民主党Instagramアカウントは持っていないのである。
http://www.huffingtonpost.jp/aya-ikuta/instagram-and-election_a_23249387/

藤田ニコル講談社の女性ファッション誌「ViVi」の専属モデルに決まったことをインスタグラムで報告したが、そのことをスポーツ新聞が記事にしている。
https://www.instagram.com/p/BachYGZD_-C/?hl=ja&taken-by=2525nicole2
http://www.hochi.co.jp/entertainment/20171020-OHT1T50074.html

クリーク・アンド・リバー社のライツ・マネジメント・グループは、宮部みゆき模倣犯」の英語版「Puppet Master」(vol.1、vol.2)の受注販売を、Amazonプリント・オン・デマンド(POD)で開始した。
http://www.cri.co.jp/news/press_release/2017/20171020002110.html

小学館は6月23日に出版した「小学館の図鑑NEO きのこ」を回収することにした。食べると下痢や嘔吐を引き起こす毒きのこの「ヒョウモンクロシメジ」 を誤って「食用」と記載していた ためである。産経は次のように書いている。
「編集部が監修者からの修正指示を見落としていたことが原因で、20日に読者から指摘があり発覚した。5万部が発行され、すでに約1万6000部が販売されたが、これまでに誤記載による健康被害は報告されていないという」
http://www.sankei.com/life/news/171020/lif1710200024-n1.html
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171020/k10011184461000.html
刊行されても発覚しない誤記・誤植は山のようにある。そもそも売れて読まれないと誤記は発覚しない。3カ月以上かかったとはいえ、発見され回収されることは不幸中の幸いか。AI技術などで誤記や事実誤認が発覚する仕組みを作れるだろうか?

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3)【深夜の誌人語録】

義を磨け。理を鍛えよ。