【文徒】2018年(平成30)9月14日(第6巻174号・通巻1348号)

Index------------------------------------------------------
1)【記事】「災害ポルノ」を得意とするマスメディアとハラスメントを「売り」にするネットメディア
2)【本日の一行情報】
3)【深夜の誌人語録】
----------------------------------------2018.9.14 Shuppanjin

1)【記事】「災害ポルノ」を得意とするマスメディアとハラスメントを「売り」にするネットメディア

「Abema TIMES」が「『悲惨さ』に偏りすぎる映像…災害現場で繰り返されるテレビ報道の問題点とは」を掲載している。新潟青陵大学学院教授の碓井真史は災害心理学の見地から、マスメディアの役割として「災害発生直後の生活状況」「被害増大を防ぐ情報」「被害の大きさ、悲惨さの報道」「被災者へのインタビュー」「明るく前向きな情報」の5つのポイントを挙げる。 そして編集者の速水健朗は、マスメディアはこのバランスを崩し、「被害の大きさ、悲惨さの報道」に重心を移しがちなのだと指摘する。
災害報道がショーではないことは承知していても、こうした報道は被災地とは関係ないところにいる人のためのニュースとなってしまうのは、そのためだ。
しかし、災害報道はSNSの時代なればこそ第一義的に被災者のためのサーヴィスである必要があるはずだと私は考えている。私はジャーナリズムの「本質」はサーヴィスであるとさえ思っている。
https://abematimes.com/posts/4865047
この「Abema TIMES」の記事は9月10日に放送されたAbemaTVの「AbemaPrime」をまとめたものだが、ではAbemaTVに問題がないかと言えば、さにあらず。9月4日付で伝えた「極楽とんぼKAKERUTV』で私が受けたハラスメント」のようなトラブルを引き起こしている。
https://note.mu/_momoco_/n/n13f540d53052
地上波では流せない威圧や罵倒、泥酔を「売り」にする、いわば偏り過ぎたコンテンツをバラエティとして見せているのだ。
毎日新聞が9月13日付で「ネットTV 問題浮上 放送法規制対象外 自律的な対応必要」を掲載している。
インターネットテレビ局『Abema(アベマ)TV』のバラエティー番組に出演した女性が『生放送中に男性陣からハラスメントを受けた』と訴え、波紋を広げている」
https://mainichi.jp/articles/20180913/ddm/004/040/010000c?fm=mnm
AbemaTVは「セクハラコンテンツ」が多いという視聴者からの指摘もある。
「AbemaTVちょっと観てた時期あるんだけど、セクハラコンテンツ多かったからしんどくてすぐやめた。規制されない自由な表現を求めたさきが、弱いものいじめなんだからやりきれない。
あとエロとセクハラの区別くらいつけて」
https://twitter.com/36363636aj/status/1037014104358051840

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2)【本日の一行情報】

マイクロソフトの日本法人は「働き方改革」の聖地なんだってね。「ダイヤモンド・オンライン」が上阪徹の「今や訪問者100万人超!生産性が圧倒的に高い企業の秘密」を掲載している。働き方改革の本質は労働者のためのものではないということである。こういうことをサラリとリクルート出身者は書けるんだよね。
働き方改革は、もっと儲かるためのもの。実際、単純に残業代が減れば、会社にとってはコストカットにつながる」
https://diamond.jp/articles/-/177451
上阪は「マイクロソフト 再始動する最強企業」(ダイヤモンド社)を上梓している。

◎「小西美穂の七転び八起き」が日経BP社から発売された。小西は「news every.」に出演している日本テレビ解説委員だ。
https://wol.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/030700177/090500017/
9月27日(木)19時より八重洲ブックセンタートークイベントが開催される。
http://www.yaesu-book.co.jp/events/talk/14619/

◎ぴあより、読売テレビアナウンサーを経てフリーとなった川田裕美の初エッセイ本「あんことわたし 日日大あん吉日」が9月26日に発売される予定である。川田は「情報ライブ ミヤネ屋」に出ているよね。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000965.000011710.html

末井昭の自伝的エッセイを映画化した「素敵なダイナマイトスキャンダル」のBlu-ray & DVD(バンダイナムコアーツ)の発売を記念して、11月9日(金)、HMV&BOOKS SHIBUYA 6F イベントスペースにて、トーク&ミニライブイベントの開催する。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000020.000029654.html

◎「withnews」の「飲み屋の『お通し』に漫画も選べます講談社の副部長に狙いを聞く」。
「居酒屋などで導入されている『お通し』。注していないのに小鉢が出てきて、テーブルチャージ代わりに数百円の代金を取られることもあります。そんなお通しの一品として『漫画も選べます』という取り組みを講談社が企画しました。居酒屋『はなの舞』のチムニーに持ちかけて、東京都内の4店舗で実施中です」
https://withnews.jp/article/f0180912001qq000000000000000W00o10101qq000018006A
「お通し」だからといってバカにしたり、軽く見てはなるまい。講談社の月刊少年シリウスで連載中の「はたらく細胞」(清水茜)のつまみ読み特別編が総160ページのボリュームで用意されているのだ。

◎「Yahoo!ニュースには現在、神奈川新聞、十勝毎日新聞沖縄タイムスから3名の記者、カメラマンが出向して」いるそうだ。「newsHACK」が「Yahoo!ニュース トピックスの編集に1年間携わり、2018年4月から神奈川新聞に戻って統合編集局編成部に所属する川島秀宜」による「『さあ、もう一度頑張ろう』新聞社からヤフーに出向して考えたこと」を掲載している。
「ほどなく、新聞の読者離れは起こるべくして起きたと痛感させられました。なぜなら、好奇に映っていたYahoo!ニュースほど、読者に誠実であったから。これは世辞でも、こびでもありません。読者に最適なニュースの見せ方、発信の仕方を常に追求していたのです。
わずかな出向期間中でさえ、Yahoo!ニュース トピックス編集部の編集は日進月歩を遂げました。朝日新聞社との共同企画連載『平成家族』を皮切りに配信元と連携した議題設定型の記事に挑戦したり、重大事案と防災情報、『ゆるいネタ』のニュース発信にそれぞれ特化したツイッターアカウントを新設したり。Yahoo!ニュース トピックスの『ココがポイント』にQ&A形式を取り入れ、意識調査にグラフを導入したのも、この1年の変化です」
https://news.yahoo.co.jp/newshack/professional/kanagawa_yjnews1.html
出版社もIT企業に優秀な人材を出向させたらどうだろうか。

毎日新聞の9月12日付「自民党総裁選『取材対応自粛を』党が都道府県連に書」は次のように書いている。
自民党総裁選について、同党総裁選挙管理委員会都道府県連の幹事長らに対し、報道機関によるアンケートへの対応を自粛するように求める書を出していた。党は『報道規制ではない』としているが、書を理由に取材を拒否されるケースも出ている」
https://mainichi.jp/articles/20180913/k00/00m/010/135000c?fm=mnm
池上彰の「WEB悪魔の辞典」(春オンライン)に同感!
「この書の問題点は2つ。そもそも総裁選挙には公職選挙法は適用されないので、放送局に対する放送法の『政治的に公平であること』という規定は適用されません。放送局がどのような編成や放送をしようが自由なのです。余計な口出しだと言うべきでしょう。
また新聞社はそもそも民間企業。『新聞法』などという法律はありませんから、こちらもどのように報道しようと自由です。それなのに『掲載面積』にまで口を出すのは、編集権の侵害です」
http://bunshun.jp/articles/-/8944

朝日新聞デジタルが9月11日付で「女性に復縁強要した疑い、産経新聞記者逮捕 山形県警」を掲載した(午後7時44分)。
「以前に交際していた女性を脅迫し、復縁を約束させた疑いで、山形県警は11日、産経新聞記者の伊藤寿行容疑者(55)=仙台市青葉区梅田町=を強要容疑で逮捕し、発表した。容疑を認めているという」
https://www.asahi.com/articles/ASL9C5T55L9CUZHB00M.html
「あなたを道連れにして地獄に落ちます」って迫ったのか…。
「キャリネコニュース」の「産経新聞、自社社員の逮捕を実名報道して驚き広がる 『潔くて印象いい』『斬新なタイトル』」は次のように書いている
「同日、読売新聞やNHKなどの各社は実名入りでこの件を報道したが、逮捕された記者の所属する産経新聞は、ネット版の産経ニュースで、他社に先駆け『強要容疑で本紙記者逮捕』という見出しで報じた。ネットではこの報道に『潔くて印象いい』『一瞬『えっ?』ってなるぐらい斬新なタイトル』と、驚きの声が多く出ている」
https://news.careerconnection.jp/?p=59526
産経ニュースが「強要容疑で本紙記者逮捕」をアップしたのは9月11日午後4時37分。
http://www.sankei.com/affairs/news/180911/afr1809110022-n1.html

◎ファッション誌「PLEASE」が川久保玲を丸ごと一冊特集した。「PLEASE」の編集長は周知のように元「ポパイ」副編集長の北原徹である。
https://www.fashionsnap.com/article/2018-09-11/please-kawakuborei-10/

博報堂、大広、読売広告社の8月度売上高。雑誌の数字が悪い…博報堂の前年同月比は84%、大広が同じく80%、読売広告社が同じく36.2%。
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1629057

◎「SankeiBiz」が「アマゾン、1冊から製本 少数出版システムを整備 自費出版・復刻需要に対応」を掲載している。
「アマゾンの少数出版は、国内では2010年に開始。洋書の出版が中心だったが、自費出版の増加で17年の売上高は12年比で20倍に増加、18年も前年比51%増で推移しているという」
http://www.sankeibiz.jp/business/news/180913/bsd1809130500006-n1.htm
しかし、アマゾンはどんどん便利になる。

◎学研プラスは、同社が運営する電子書籍の定額制読み放題サービスとして「学研ファミリーライブラリー」を公益財団法人 海外子女教育振興財団の紹介により在外教育施設を対象に販売を開始した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001818.000002535.html

◎「三菱重工爆破事件」(幻冬舎)の著者である宗像善樹は事件当時、ビルの4階にいたという。
https://www.yomiuri.co.jp/local/saitama/news/20180912-OYTNT50122.html

電通デジタルは、デジタル広告における広告効果をより正確に評価する新指標「True Lift Model」(トゥルー・リフト・モデル)を開発し、提供を開始した。
https://www.dentsudigital.co.jp/release/assets/DD2018015_0912.pdf

料理研究家・藤井恵による、料理ビギナー向け・動画付きレシピ本「動画でわかる!藤井恵の基本のお料理教室」が世界化社より刊行された。QRコードからアクセスすると、和洋中のメイン料理の工程がすべて4分以内で視聴できる。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000493.000009728.html

集英社が運営する公式ファッション通販サイト「FLAG SHOP」(フラッグショップ)のリアルショップが、そごう横浜店3階に9月21日にオープンする。売場面積は約40㎡。
https://www.ryutsuu.biz/store/k091312.html
通販サイトであろうと、リアルショップであろうと、これが女性誌の新しいカタチなのである。「FLAG SHOP」を擁しているからこそ集英社女性誌ビジネスは時代の最先端に立っていると言っても良いだろう。

朝日新聞デジタルの9月13日付「書店街 専門性で生き残りへ 神田(2)」。
「品ぞろえが個性的な新刊書店『東京堂書店神田神保町店』も、14年にカフェを併設。女性客がぐんと増えた。買ってすぐ読みたいという客でいつも満席状態だが、しーんとしている。店の売りは、棚の面白さだ。客の関心ものを、書店員が選び抜いて並べている」
https://www.asahi.com/articles/CMTW1809131300003.html

丸善ジュンク堂書店は、福島県への応援メッセージをデザインしたブックカバー5万枚を作製し、全国6店舗で配布している。
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20180913-306552.php

◎出版化の奥の深さをつくづく思い知らされる。皆さん、景書店をご存知ですか。吉田知子ロジェ・カイヨワの小説を発行する目的ではじめた出版社で、本社は愛知県岡崎市に、編集室は新宿区戸山にあるそうだ。この景館書店からジョルジュバタイユの「太陽肛門」が酒井健の翻訳と解説で何と4月28日に刊行されていたのだ。四六判ブックレットで、総64ページ。原テキストの翻訳が約20ページ、訳者による解題が訳の約2倍の40ページという構成で520円+税。
https://www.pen-online.jp/news/culture/bataille/1
https://keibunkan.jimdo.com/%E5%88%8A%E8%A1%8C%E6%9B%B8%E7%B1%8D/08-%E5%A4%AA%E9%99%BD%E8%82%9B%E9%96%80/
バタイユと言えば、そう「エロティシズムとは死に至るまでの生の賛歌である」のフレーズであまりにも有名なフランスの思想家である。気がついている人は気がついているのだろうけれど「メディアクリティーク」というタイトルはバタイユへのオマージュなんだよね。そうバタイユの創刊した月刊書評誌のタイトルに「メディア」をくっつけたんだよ。「この私そのものが戦いである」もバタイユだったよね。

集英社は、「週刊少年ジャンプ」創刊50周年を記念して、名作タイトルのみで構成された特別増刊号を4カ月連続で刊行する。第1弾は9月13日発売の「北斗の拳ジャンプ」、第2弾は「幽☆遊☆白書ジャンプ」(10月4日発売)、「DRAGON BALLジャンプ」(11月2日発売)、「キン肉マンジャンプ」(12月4日発売)とつづく。
https://mainichi.jp/articles/20180913/k00/00m/040/030000c

ラジオNIKKEIは「ラジオNIKKEI第2の音楽番組で 発覚したリスナー投票操作について」を発表した。
「リスナーの皆様のネット投票で流す曲を決めるラジオ NIKKEI 第 2(RN2)の音楽番組で、投票結果を担当ディレクターが意図的に操作していたことが分かりました。リスナーの皆様の期待・信頼を裏切る行為で、リスナーの皆様にお詫び致します。番組は打ち切りました。
投票操作が発覚したのは平日の正午から生放送している 1 時間番組「Click DE On-Air」のうち、主に月曜と金曜の放送です。この番組はあらかじめ番組サイトに掲示した計 30 曲の中からリスナーの皆様に聴きたい曲をインターネット経由でクリックしてもらい、投票の多かった 12~13 曲を優先的に流す番組です。ところが3人いる担当ディレクターのうち、月曜と金曜を担当する番組ディレクターが、連打アプリという多数連続してクリックしたことになるアプリケーションを使って一部の楽曲への投票を水増しし、流す曲を操作していたことが判明しました。
8 月 24 日(金)の放送で連打アプリを使った結果、アクセスが集中して番組用のパソコンからサーバに接続できなくなり、技術担当者が調べたことで、今回の操作が見つかりました。
このディレクターは委託先の番組制作会社の者で、調査の結果、約 1 年半にわたり、2回に1回程度の割合で連打アプリを使っていたことが分かりました。一部リスナーの連打アプリによる特定の楽曲へのリクエスト数の集中に対応するため、自らも連打アプリを使用することで数字のつじつま合わせをしたかったと説明しています。すべて独断で行っており、他の曜日の担当ディレクター2 人に不正はなく、不正を以前から知っていた関係者はいませんでした。
ラジオ NIKKEI としては社員、外部ディレクターら、番組に関わるすべての者にメディアにかかわる一員としての自覚を求めるとともに、一段とコンプライアンスを強化し、研修や教育を徹底します。各番組におけるチェック体制も強化します。申し訳ありませんでした」
http://www.radionikkei.jp/about/pressrelease/20180912release.pdf

◎「orange」の高野苺による最新作「君になれ」のコミックス第1巻が、2018年10月15日(月)に双葉社から発売される。「君になれ」は、9月8日に結成20周年を迎えたコブクロ楽曲「君になれ」からインスピレーションを受けて生まれた、青春と葛藤の物語だが、コブクロ「君になれ」のシングルCD付き特別限定版も同じく双葉社から同日発売される。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000102.000014531.html

◎「ForbesJAPAN」に光社の女性誌「VERY」の今尾朝子編集長が登場!
「誌面で使用するパートナーを指す言葉が、約20年で変化しました。創刊時の読者ターゲットは、専業主婦の方々がほとんどで、『主人を立てる』のが当たり前という考え方。そんな読者のマインドをベースに特集がつくられていました。
少数派だった仕事をもつ女性も『主人に働かせてもらっている』という意識で、働くこと自体に許可がいる時代でした。それが10年たつと、女性たちが使う言葉は『主人』に代わって『旦那さん』や『旦那』が増えてきました。さらに10 年がたったいまは、働くかどうかは女性が自分の意思で決める時代。『夫』と『妻』という表記がスタンダードです」
https://forbesjapan.com/articles/detail/22836/1/1/1

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3)【深夜の誌人語録】

動機は自由であるべきだ。